大阪・兵庫・神戸・京都、関西で、医師・看護師・薬剤師など転職・求職を希望される医療従事者の方へ病院・医院等医療機関の求人をご紹介

Home  »  医療・介護のよもやま話

医療・介護のよもやま話

関西の医療転職・求人サイト メディコプロ プログ

2010.3.10 水曜日

行き場のない患者149

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:59:33

●●O弁護士と雑談●● 

N事務長の最後の攻勢に手打ち?・・・取引に応じたO弁護士は、事務長職も大変だとN事務長を労いますが、N事務長は心の中で、しめしめ上手くことが運んだと一人喝采をあげています。
それにしても、O弁護士がまともな弁護士で本当に良かったとN事務長は思っていました。
そう思うと、N事務長はもう少しO弁護士の人と成りに触れてみたい気分になってきました。
N事務長も目的を達成し、O弁護士も納得したようですから、少し雑談でもしてみることにします。

「O弁護士は、いろんな病院に出入りされているんですよね」

「はい・・・と言っても、ほとんどの病院からは目の敵にされています・・・だから、あまりいい気分で病院の門をくぐったことはないです」

そりゃそうだろうな・・・
「目の敵はないでしょう」

「いや、もう病院に入った瞬間から、非難の視線が病院中から飛んできます」

「ははは、完全に悪人ですね」

「何とも嫌な役回りです」

「病院で働く人達は、まだ医療を聖域と思っているところが多々ありますから・・・」

「やはりそうですか・・・いろんな話をすると、オマエに医療の何が解るのかという思いがヒシヒシと伝わってきます」

「それは、私もそう思います。この病院ではそういうことはありませんが、事務屋が何を偉そうにってな感じはありますね」

「そうなんですか?」

「無きにしも在らずです」

「そんな時はどうするんですか?」

「一般論、常識論で徹底抗戦して撃破します」

「それは心強い・・・でも、それは院内での話で、逆に院外の人で病院に対して敵愾心を持っている人、私みたいな病院にとってはどう考えても不利益にしかならない人にはどう対応するんですか?」

「内容にもよります」

「内容と言うと、病院に過失がある場合もあるということですね」

「ええ、それも頭に入れてということにしてください」

「実際にあったかどうかは別にして、どう対応されるんですか?」

「どう考えても病院に過失がある場合は謝罪しかないですね」

「そうですか・・・」

「過失があったとしても、客観的にみて、そこには情状酌量の余地がある場合は、相手によって対応を変えます」

「相手によって?」

「ええ、相手が何を求めているかによってです」

「それは、謝罪とか賠償とかということですか?」

「まあそれも含めてです」

「その判断基準は何ですか?」

「勘です」

「勘?」

「はい。その時の状況や話し合いの内容からの勘です・・・でも、そういうことはO弁護士でもありますよね?」

「まあ、無きにしも非ずですが、職業倫理上、委託した場合はあくまで依頼人の利益を優先するのが私の仕事です」

「と言うことは、委託する前ならばあるということですね?」

「そういうことになります」

暗に、今回がそのケースだと言っているのでしょう。
おっと私の話ばかりになっています・・・O弁護士のことも聞いてみましょう。

以下 ●●O弁護士と雑談Ⅱ●● は150に続く


2010.3.9 火曜日

行き場のない患者148

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:51:05

●●O弁護士の見解●● 

N事務長のTさんに関する報告書に目を通して、客観的であり、それでいて内容もしかっりしている。場の臨場感もよく表現されていると感想を述べたO弁護士ですが、報告書を褒められてもどうしようもないとN事務長は思っています。
感想を述べた後、O弁護士は報告書やカルテを閉じて机の上に置き、頭を右に傾けて黙り込みました。
その時、いいタイミングで医事課長が頼んだお茶を持って応接室に入ってきました。
嫌な沈黙を破るには最適なタイミングです。
お茶をテーブルに置いた医事課長にお礼を言って、O弁護士にも話しかけます。

「ありがとう・・・O弁護士、遅くなりましたがお茶でも飲んでください」

「ああ、すみません・・・頂きます」

「熱いお茶でよかったですか?」

「頭に血が巡らない時は、熱いお茶が一番です」

「そうなんですか?」

「血行が良くなるような気がします」

「ハハハ」

医事課長が応接室から退室したのを確認してから、N事務長は最後の攻勢をかけることにします。
「O弁護士、ご理解頂けましたか?」

「ええ・・・」

「ということで、当院ではTさんの診療を中止致しました。勿論、緊急時やそれに値するような場合は除いてです」

「そうですね・・・」

「これで、何か不都合はありますか?」

「○×病院さんの言い分はもっともです」

しめしめ・・・
「そうですか・・・」

「それで、当事者であるN事務長は、今回の件を警察にはお話されましたか?」

「いえ、そこまではしておりません」

「先程、どう取り扱うかは院内で調整中とのことでしたが、今後はどうのような方向性を考えておられますか?」

「このまま、Tさんが当院がお勧めしましたとおりに紹介状を持って、専門の病院に罹るのであれば、事を大きくしようとは思っておりません」

「民事もないと思っていいですか?」

「O弁護士にも、今日お時間を割いて頂いたわけですから、O弁護士の顔を立てて、お土産と言っては失礼ですが、そう思って頂いて結構です」

「分かりました。私が責任を持ってTさんに伝えます」

「宜しくお願いします」

「こちらこそ・・・」

どうやらO弁護士はTさんの行為に違法性を認め、刑事、民事事件にしないと言うN事務長の提案を受けてTさんの当院への出入りを止めることに協力してくれるようです。
協力というよりは、取引かな?
でも、これで○×病院に対するTさんの攻撃、口撃は終結です。
取引成立!

「じゃあ、そういう方向で宜しくお願いします」

「はい・・・それにしても、N事務長も大変な仕事をなさっていますね」

「そんなことありません」

O弁護士の口から、今度は労いの言葉が出ました・・・

以下 ●●O弁護士と雑談●● は149に続く


2010.3.8 月曜日

行き場のない患者147

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:28:35

●●O弁護士Ⅷ●● 

自分で書いた報告書を抱えて、事務長室から応接室に戻るとO弁護士は腕組みをしたまま頭を右に傾けています。
また考え事でしょうか?
O弁護士の気持ちも分からないではありませんが、ここはこのまま駄目押しといきます。

「持ってまいりました」

「そちらは、N事務長が作成されたものですか?」

「ええ、そうです」

「それでは拝見させて頂きます」

「自分のことですが、感情的にならないように・・・客観的に、第三者的立場で作成しましたことを付け加えさせて頂きます」

「分かりました・・・」

O弁護士はそう言うと、N事務長が作成した報告書に目を通しはじめます。
さすがに書類に目を通すのは早く、次々とページを捲っていきます。
そのページを捲るスピードが落ちたのは、添付資料であるN事務長の受傷写真、会議室の散乱した机、椅子の写真のページからです。
ちょっと、声を掛けてみることにします。

「どうですか?」

「んっ。 ええ・・・」

「どうされましたか?」

「いえ・・・」

すると、応接室がノックされます。
「はい」

「頼まれましたN事務長のカルテをお持ち致しました」

声の主は医事課長です。
「どうぞ入ってください」

「失礼します」
そう言って、医事課長は、N事務長のカルテをN事務長に手渡します。

「ありがとう。ご苦労様でした」

「他に何か必要なものがあればお言いつけ下さい」

「そうですね、申し訳ありませんがお茶をお願い出来ますか?」

「はい、かしこまりました」

普段は来客にお茶など出しませんが、O弁護士も思惑が大きく外れてお疲れのようですから、ここはサービスしておきましょう。
給湯室にお茶を入れる為に医事課長が退出したの確認してから、カルテをO弁護士に差し出します。
開いたページは、診察の時に書いて貰った診断書が貼ってあるページです。

「どうぞ、参考までにご覧ください」

「は、はい・・・それでは・・・」

そう言って、O弁護士は、もうどうにでも成れというようにゆっくりした動作でN事務長からカルテを受け取ります。

「ご確認だけでもと思っております」

「はい・・・」

「どうですか?」

「ええ・・・完璧です」

「完璧?」

「はい、良く出来た報告書です」

「お褒め頂いているわけですか?」

「いえ、客観的にそれでいて内容もしかっりしていますし、場の臨場感もよく表現されています」

「はあ・・・」

以下 ●●O弁護士の見解●● は148に続く


2010.3.7 日曜日

行き場のない患者146

医療・介護のよもやま話 — admin @ 19:14:12

●●O弁護士Ⅶ●● 

出し惜しみではないけれど、ついにN事務長は伝家の宝刀を抜きます。
でも、宝刀はいいけれど、抜いてみたら錆びていたんなんてことにならなければいいですが・・・

「N事務長にTさんが、暴力行為を働いたというのですか?」

「ええ、まあ、そういうことになります」

「その現場には、どなたかいらっしゃいましたか?」

「当院は院長と看護部長、そしてTさんの付添の皆さまが見ておられました」

「もう少し詳しくお話を聞いてもいいですか?」

ここは、少し勿体ぶって・・・
「・・・あまり、思い出したくもないですが・・・」

「どうしてそうなったのか、触りだけでも結構です」

「そうですか・・・」

「宜しければ、怪我の状況なども教えて頂きたく思います」

もう少し、引っ張ってみようかな・・・でもここらが潮時かな・・・
「うーん・・・じゃあ・・・」

「しかと、お伺いさせて頂きます」

「あの日は、Tさんがどうして当院で診療をしてくらないのかときちんとした場所で聞きたいというので、院長が説明をするということになりました」

「病院の代表、そして医師としての見解ということですね」

「ええ、そういうことになります」

「そこで、暴力行為を働いたということですか?」

「まあまあ、焦らずに・・・この際、O弁護士を信用して、順を追って全てお伝えすることにします」

「有難うございます」

「あの日は・・・」

N事務長は、あの日のことを話し始めます。
1.日時
2.院長の見解
3.それに対するTさんの反応
4.Tさんの矛先がN事務長に向かったこと
5.何故か、N事務長に謝罪を要求したこと
6.これで、Tさんが納得するのならと謝罪をしたこと
7.落とし所、気持の持って行き場の無くなったTさんがN事務長に暴行を働いたこと
8.N事務長は全治2週間の打撲、及びシャツが破れたこと
9.暴行現場の机、椅子なども散乱したこと
10.その時の状況証拠として現場の写真、カルテ内の受傷写真は保存してあること
と順を追って、手短にではありますが、あくまでも第三者的、事務的にO弁護士に話しました。
話を聞き終えたO弁護士は、視線を天井に向けながら、頭は右に傾けています。
何事か、頭の中で考え事をしているに違いありません。

「以上ですが、何かご質問はありますか?」

「もし宜しければ、その写真を見せて頂くわけにはいきませんか?」

「ええ、いいですよ」

そう言って、N事務長は立ちあがり応接室の内線電話を取り上げます。
「Nですが、申し訳ありませんが、私のカルテを応接室まで持ってきて頂けますか・・・はい・・・はい、お願いします」

「お手数かけます」

「いえ、構いません。あと、その時の報告書を事務室から持ってきますので、暫くお待ち頂けますか」

「はい・・・」

そう言って、N事務長は応接室を出て事務長室に入ります。
事務長室の書類棚からリスクマネージメントのファイルに収納してあるTさんに関する報告書を取り出し、小脇に抱えて応接室に戻ります。

以下 ●●O弁護士Ⅷ●● は147に続く


2010.3.6 土曜日

行き場のない患者145

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:51:47

●●O弁護士Ⅵ●● 

N事務長が、Tさんが病院で診療を受ける際に要求する内容を掻い摘んでO弁護士に話をすると、O弁護士は何やら思案気な表情に変わります。
O弁護士は何か考え事をする時に、頭を少し右に傾ける癖があるようで、O弁護士の顔を正面から見ると、目はN事務長を見つめたまま口を真一文字に結んで、頭だけ15度程、斜めになっています。

「お解り頂けましたか?」
とN事務長が問いかけると、O弁護士は頭を元に位置に戻して質問を再開します。

「○×病院さんでは、その過換気症候群ですか・・・その根本的な治療が出来ない。ましてや対処療法で依存性が認められる薬を毎回処方することは出来ないということですね」

「そのとおりです」

「そのことは、Tさんご本人にお話されましたか?」

「ええ、2度、話ました」

「2度?」

「1回目は治療が終わった後、付添の今一緒に住んでいらっしゃる男性立会のもと、治療にあたった当院の内科部長から。そして2度目は、病院に話し合いに来られた時に、付添人、確か、お子さんも含めて9人位いたかな?・・・皆さんの前で、当院の院長がお話をさせて頂きました」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「O弁護士は、そのことお聞きじゃありませんか?」

「2度、その回数のことは・・・こちらの院長先生から、○×病院ではTさんを診られない。もう診察は出来ないと言われたとしか聞いていません」

「なるほど・・・」

「他にも何かありましたか?」

「一度目に内科部長からお話をさせて頂いた時には、私も看護部長も同席させて頂きましたが、専門病院への紹介状もお出しさせて頂きました」

「医療的には、出来うることをしたということですね」

「ええ」

「そうですか・・・他にも何かありますか?」

よし、チャンスだ。 今O弁護士は、この依頼を受けるか否か、頭の中で計算を初めている・・・
「まあ、無いと言えば嘘になります・・・」

「なんですか?」

「これについては、今院内でどのような対応を取るか検討中ですから・・・」

「対応?」

「はい。O弁護士と同業の方にお願いするかどうか・・・」

O弁護士の目が困ったように、何度かパチクリと閉じたり開いたりしています。
「私と同業?」

「はい」

「何ですか? こちらの病院で誰かに何かしたんですか?」

「誰かと言われましても・・・」

「器物破損?」

「それもあります・・・」

「それもですか・・・他には?」

「当事者がそんなに問題を大きくしてもしょうがないと思っていますので・・・」

「当事者ということは、やはり・・・暴力行為ですね」

「そうですけれど・・・」

「誰にですか? 院長先生にですか?」

「院長ではありません」

「内科部長の先生にですか?」

「違います」

「看護師のどなたかにですか?」

「それも違います」

「じゃあ、誰ですか?」

N事務長はゆっくりと膝の上に置いていた右手をテーブルの上に出し、人差し指を自分の鼻に当てます。

「N事務長?・・・」
N事務長はO弁護士の目をしっかりと見据えながら、大きく頷きます。
「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●O弁護士Ⅶ●● は146に続く


2010.3.5 金曜日

行き場のない患者144

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:41:52

●●O弁護士Ⅴ●● 

Tさんの代理人であるO弁護士に、N事務長はTさんは精神の病気であると伝えると、O弁護士は暫し沈黙・・・
でも、確定診断ではないので、精神の病気かも・・・と言った方が良かったかも・・・

「それは、どんな症状なんですか?」

「残念ですが、私は医師ではありませんから、これ以上、病気のことについてお話しすることは止めておきます」

「それでは、N事務長の私見ということで教えていただけませんか?」

「その前に、Tさんが何をどのように、どうしてO弁護士に依頼、相談したのかを教えて頂けませんか?」

「そうですね・・・じゃあ、言える範囲でお話します」

「それで結構ですから、お願いします」

「まずは、何をですが・・・先程も言いましたとおり、こちらの病院で診療拒否をされたということで、診療を続けたいとの申し出でした」

「なるほど・・・では、どのように言われたのですか?」

「んー、それはですね・・・まあいいでしょう。N事務長から不当な扱いを受けて、個人的な恨みから診療拒否をされたということです」

ん? 私の個人的な恨み? まあ、当たりと言えば当たっています・・・
「私がTさんに対して個人的な恨みを抱いて、それが診療拒否の原因であるということですか?」

「Tさんはそう言っていましたが、何か心当たりはありませんか?」

無きにしも非ずです・・・
「それは、後ほどお話させて頂きます」

「分りました。後はどうして私なのかということですが・・・それについては、親御さんも含め、Tさんもある団体に入っておられまして、その団体を通じて知り合いになったということにしておいてください」

「ある団体ですか?」

「団体と言っても、別に非合法なものじゃありませんから・・・そうですね町内会みたいなものと思って頂いて結構です」

何でしょうか、団体って・・・町内会?まあいいか・・・
「そうですか・・・」

「そんなことで、お伺いしたわけですが、この問題の争点が何なのか私には今一つ理解出来ないんです」

「そうでしょうね」

「本当のところ、何ですか争点は?」

「何でしょうか・・・」

「Tさんは、病院の治療費の不払いということでは無いですよね?」

「ええ、公費で払われておりますから、それはありません」

「病院で何か問題でも?」

「それは、少しあります」

「あるんですか?」

「ええ・・・しかし、それ以上に問題があります」

「えっ? それは何ですか?」

「まず、Tさんがこの病院に来られるのは決まって夜間、若しくは時間外です」

「はあ・・・」

「そして、その時の状態は決まって過換気症候群です」

「過換気症候群?」

「まあ、興奮しての酸素の吸いすぎです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「ただし、その症状も詐病の疑いを捨てきれません」

「詐、詐病?」

「ええ、しかし確信はありません。診療にあたった医療従事者がそうかもしれないという疑念を持ったということです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「そして、必ずその発作を止める為に、ある薬を注射してくれと言う」

「ある薬?」

「ええ、それは使用頻度が高いと中毒症状を起こすこともある薬です」

「中毒症状?・・・つまり、依存性が高いということですか?」

「そうです」

「なるほど・・・で、その過換気症候群の時は、通常その薬を使うんですか?」

「あまり使用しません」

「・・・そうですか・・・」

「しかし、極度の興奮状態が続く場合など非常時に使用することは稀にあります」

「なるほど・・・その薬をTさんは毎回欲しがるということですね」

「ええ」

「そうですか・・・」

以下 ●●O弁護士Ⅵ●● は145に続く


2010.3.4 木曜日

行きなのない患者143

医療・介護のよもやま話 — admin @ 17:06:22

●●O弁護士Ⅳ●● 

Tさんの親御さんとも懇意にしていて、その関係で相談に来たと、そして、Tさんから正式な依頼を受けて契約を結んでいる訳ではないと言うO弁護士ですが、さてこれから、どういう話しになっていくのでしょうか?

「正式な依頼じゃないということですけれど・・・何をお話するんですか?」

「実は、私もTさんから相談を受けた時に?と思ったことがありまして、正式な依頼は保留ということにしてあります」

「何を?と思ったんですか?」

「そもそも、Tさんの依頼が私にとっては?なんです」

「依頼が?って、どういうことですか?」

「ですから、それをN事務長さんに確認させて頂きたくお伺いしました」

「はあ・・・あまり要領を得ませんが・・・」

「そうでしょうね・・・こちらが要領を得ていないのに、N事務長に解かれと言うほうが無理ですよね」

「ええ・・・」

「Tさんは、こちらの病院で不当な扱いを受けたと言われています」

「不当な扱いですか・・・で、どんな不当な扱いと言っておられるんですか?」

「診療拒否だと」

「診療拒否ですか・・・なるほど・・・」

「そうなんですか?」

「正確に言わせて頂くと、診療拒否ではありません」

「じゃあ、何ですか?」

「当院での治療は無理なので、他の病院を紹介させて頂きました」

「?・・・?・・・どう言うことですか?」

「要するに、Tさんの抱えている病気を治療する医師も診療科も無いということです」

「確かこちら、○×病院さんは整形外科や内科を中心に救急医療を得意とされているんですよね?」

「はい、そうです」

「○×市内に及ばず、他の近隣市町村からも救急搬送を数多く受け入れされているんですよね?」

「ええ、そうです」

「広域的に見ても、都道府県的に見ても、相当な実績があると聞いております」

「そうです。よくご存知で・・・」

「そんな○×病院さんで断る病気って・・・何ですか?」

「Tさんから正式に依頼を受けていないから、病名を言っていいものか・・・」

「そのことはご安心ください。今日、こちらに来ることは伝えてありますし、今日の件に関する代理人としての書面はこのように持参いたしました」

そう言って、O弁護士はファイルに入った書類をブリーフケースの中から取り出します。

「確認させて頂いてもよろしいですか?」

そう言ってから手渡された書類に目を通すと、○月×日に○×病院にて、私の代理人としてO弁護士を任命する。以下云々・・・というような文面がワープロ書きで書かれ、最後にTさんの自署でサイン、押印してあります。

「分かりました。それでは、今日のことはTさんから一任されているということで、お話させて頂きます」

「お願いします・・・まずは、Tさんの病気の件です」

「当院には、専門医がおりませんので病名は確定出来ませんので、大きな括りで申し上げます」

「お願いします」

「精神に関わる病気です」

「精神?」

「ええ」

「所謂、精神科で診る病気ということですか?」

「はい」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●O弁護士Ⅴ●● は144に続く


2010.3.3 水曜日

行き場のない患者142

医療・介護のよもやま話 — admin @ 12:38:30

●●O弁護士Ⅲ●● 

N事務長とO弁護士はお互いに腹の探り合い、ジャブの応酬を繰り返します。
そろそろ本題に入るのでしょうが、先陣を切るのはどちらでしょう?

「病院にとっては恐い弁護士であるO弁護士の来訪を受けたわけですので、ここは気を引き締めてお話をお伺いするとします」

「気を引き締める様な不都合なことでもあるんですか?」

そうきましたか・・・
「いえ、弁護士という職業の方にはこれまでも何度か嫌な思い出がありまして・・・あっ、申し訳ありません。一般論で、別にO弁護士のことじゃありません・・・」

「そうなんですよね、弁護士を法の番人ではなくて、法を扱う悪人と思っている方が多いんで、困ります」

「そうそう、その意見には同意出来ます。O弁護士が後者でないことを願っています」

「さあ、どうでしょうか・・・」

「要するに、O弁護士はどちらにでも成れるということですね?」

「ご想像にお任せします」

「じゃあ、勝手に想像しておきます」

「ハハハ、N事務長は中々、弁がたちますね」

「とんでもありません。言葉で勝負される弁護士の先生方には勝てません」

「そんなこともなさそうですが・・・」

「それは、買いかぶり過ぎです」

「N事務長は職業選択のミスをしたかもしれませんね」

「いえいえ、私には今の職業で十分満足しております」

「世が世なら、法廷で対峙していたりして・・・」

「弁護士資格を取れるほど賢くもありませんし、そんなに勉強も好きではありません」

「でも、資質は十二分にあるとみました。そこいらのヘナチョコ弁護士なんかより、よっぽど頼りになりそうです」

「まあそれは、自分でもそう思う時があります。弁護士費用や顧問料なんて無駄だなって・・・文章を書くことさえ嫌いじゃなければ、世の中の人達は皆、自分で訴訟すればいいんです」

「確かにそうですね・・・でも、それだと弁護士はますます食えなくなりますから困ります」

「裁判所に相談に行けば、結構丁寧にいろんなこと教えて頂けるし・・・」

「よくご存知で・・・経験あるんですか?」

「それは、言えません」

「秘密保持ですね?」

「まあそういうことです・・・ところで、そんなお出来になる弁護士のO弁護士が今日は時間を取って病院を訪問された目的はなんですか?」

「そろそろ本題といきますか」

「ええ、時間幾らで仕事をされる弁護士の先生に、あまり無駄話もなんでしょう」

「お電話でも、お話しましたとおり、Tさんの件です」

「Tさんが、どのようなご依頼をされたんですか?」

「現段階では依頼と言うのは正確な表現ではありません。相談ということにしてください」

「相談ですか?」

「ええ、お電話でお話しましたとおり、Tさんの親御さんとも懇意にしておりまして、その関係で相談に来たと思って頂いて結構です」

「じゃあ、正式な依頼を受けて契約を結んでいらっしゃるわけではないんですね」

「ええ、そう考えて頂いても結構です」

以下 ●●O弁護士Ⅳ●● は143に続く


2010.3.2 火曜日

行き場のない患者141

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:39:39

●●O弁護士Ⅱ●● 

翌日、O弁護士の来院の時間が迫ってきました。
N事務長は、頭の中を一般業務モードから、来客、リスクマネージメント、危機管理モード、レベル5に切り替えます。
自分だけのこの儀式は、誰にも見せたことがありませんが、パソコン画面をシャットダウンして、暫し目を瞑り、息を整えてパソコンの電源が切れるまでの時間を利用して頭の中を空っぽにします。
パソコンの電源の切れるのを確認するや、背広を羽おり、背筋を伸ばして気合を入れます。
ヨシ!
これで準備完了です。
たったこれだけでも、立派なルーチンワークです。

時間を確認すると、15:00、5分前。
そろそろ、O弁護士の来訪を伝える電話が掛かってくる頃合いです。

デスク上の内線電話が鳴り始めます。
「はい、Nです」

「受付にお約束されたO弁護士が来られております」

「お待ちしておりますから、事務長室の隣の応接間までご案内お願いします」

「かしこまりました」

流石、弁護士、時間はきちっと守ります。
今日は、初顔合わせですから、相手のお手並み拝見といきましょう。

3分後。
隣の応接間に人が入った音が聞こえてきます。
事務長室のドアから、O弁護士を案内した医事課長が顔を出して、目配せを送ってきます。
その目配せに反応したN事務長は、大きく首を縦に振ります。
いざ出撃、出陣です。

応接間にて、
「はじめまして、事務長のNです」

「昨日お電話させて頂いたOです」

2人は軽く挨拶を交わしながら、名刺交換をします
「今日は、お一人ですか?」

「ええ、事務所も一人でしております」

O弁護士から頂いた名刺を見ながらN事務長は、
「そうですか・・・事務所は○×弁護士会館内なんですね?」
昨日、調べて知っているのに軽くジャブ1

「ははは、そうです。家賃も安いので・・・」

「そうなんですか。どうぞお掛けになってください」

「それじゃあ、失礼します」

「どうぞ」

「それにしても、こちらの病院は職員教育もいき渡っていますね」

「ありがとうございます」

「受付の対応も一般の会社と遜色なく、立派なものです」

しめしめ・・・その為に医事課長に応対するように頼んでおいたんです・・・
「病院だからといって、第一印象は大切な要素ですので・・・」

「N事務長の教育がいいからです」

「とんでもありません。事務員がそれぞれ日々研鑽している賜物です。私は関係ありません」

「いやいや、そんなことは無いと思います」

じゃあ、ちょっと軽めのジャブ2・・・
「O弁護士は、医療訴訟なども手掛けていらっしゃるようですから、いろんな病院を見ておられるわけで、お褒め言葉と受け取ってもよろしいですか?」

「ええ、勿論です。・・・私の関わった医療訴訟のことも調査済みですか・・・まいったな」

「△△訴訟がそうでしたか?」

「ええ、結局、示談ということで決着になりましたけれど・・・」

「それは、勝訴と同じです」

「まあ、そうですかね・・・」

「病院側からすれば、恐い弁護士さんって訳ですね」

「そんなことはありません」

「いやいや・・・」

以下 ●●O弁護士Ⅲ●● は142に続く


2010.3.1 月曜日

行き場のない患者140

医療・介護のよもやま話 — admin @ 21:58:09

●●O弁護士●● 

Tさんの代理人であると言うO弁護士から電話を貰った後、早速、N事務長は弁護士会をパソコンで検索します。
本当に便利な世の中になったものです。
公的な組織であれば、必ず検索することが出来ます。
これまでのようにわざわざ電話を掛ける必要もありません。

○×弁護士会とキーを叩いて、ENTERキーを押すと、○×弁護士会のホームページが出てきます。
“弁護士を探す” にカーソルを合わせて左クリック。
あらあら、このホームページは良く出来てます。
次は、“○×弁護士会 会員検索システムへ” に合わせて左クリック。
次は、取り扱い同意画面ですから、“同意する” をクリック。
そして、氏名、住所から検索するの “基本情報検索へ” を左クリック
最後に、氏名欄にO弁護士の名前を入力して “検索する” をクリック

出てきました。
重点取扱分野は、交通事故その他の事故  医療事故(病院側,患者側を問わず)  離婚・親権者(親子関係を含む)  ドメスティックバイオレンス・ストーカー等  一般刑事  少年事件です。

O弁護士は、医療事故も得意分野みたいです。
その他には、一般刑事、少年事件にドメスティックバイオレンス・ストーカー等?
Tさんのしたことをこちらが相談したいくらいです・・・

これで、O弁護士が間違いなく弁護士であることが確認出来ましたので、院長にもこのことを伝えることにします。
デスクの上の受話器を取って、院長室の内線番号をプッシュします。

「院長、Nです」

「N事務長、どうされましたか?」

「早速、Tさんの代理人から連絡が入りました」

「ほう、誰でしたか?」

「O弁護士という方です」

「その人は本当に弁護士でしたか?」

「ええ、間違いありません。今、弁護士会の検索システムで確認しました」

「そうですか・・・じゃあ、代理人とか言って出てくる、司法書士とか弁護士を目指しているイソ弁じゃないわけですね」

「はい」

「それでどうされるのですか?」

「明日、15:00にお会いすることになりました」

「そうですか・・・私も同席しましょうか?」

「いいえ大丈夫です」

「相手が弁護士ならば危険なこともないかな?」

「はい、それは大丈夫だと思います」

「それで、そのO弁護士というのはどんな人でしたか?」

「電話だけですが、普通に話せる方だと思いました」

「N事務長がそう感じたのであれば、多分間違いないでしょう」

「恐れ入ります」

「弁護士にもいろんな方がいらっしゃいますから・・・」

「それは、私もそう思います」

「兎に角気を付けてくださいね」

「はい」

「明日は、午後は院内に居りますから、何かありましたら呼んでください」

「そうさせて頂きます」

院長も、弁護士という職業について一過言あるようです。
明日の話の内容によっては、院長の参加も考えなければいけないでしょう・・・

以下 ●●O弁護士Ⅱ●● は141に続く


次のページ »