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医療・介護のよもやま話

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2011.6.21 火曜日

真実は闇の中 166

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:08:17

●●Gさんの仏前Ⅳ●● 

お線香をあげる為にGさんの実家に伺ったN事務長を待っていたのは、Gさんのお母さんとお父さんと思われる年配の2人でしたが、N事務長と2人の間には微妙な空気感が漂っています。

「そうそう、ご挨拶もしていませんでしたわ」

「え、ええ、そうですね・・・」

「私が昨日電話を受けましたSの母です」 「父です」

どうやら間違いなくGさん、S.Gさんのご両親のようです。
ここは、もう一度ご挨拶をするべく、N事務長は膝を折って正座をして頭を下げてお悔やみの言葉を2人に述べます。

「この度は突然のことで・・・ご愁傷様です」

「わざわざお越し頂いて有難うございます。どうぞ線香をあげてやってください」
とGさんのお母さんに言われたので、身体の向きをお父さんお母さんから仏様の方へ向けます。
目に入ってきた遺影は間違いなくGさんです。
実家に辿り着くまでは、もしかしてGさんが騙しているのじゃないかと言う気持ちが僅かながらありましたが、遺影や位牌、骨壷まで見てしまえば、もうそんなことを疑う気持ちも湧いてきません。
N事務長は、胸ポケットにしまってあった御仏前を取り出して、仏前にお供えしてから、線香に火を点けます。
線香の火を手で消してから、線香を立てて手を合わせると、声を出さずに心の中でGさんに語りかけます。

『Gさん、Iさんとの問題を残して逝ってしまわれましたね・・・今まで、もしかして私のことを騙しているかと思っていましたけれど、どうやら本当に亡くなられたようですね・・・参りました・・・Iさんとの問題はさておき、まずは安らかにお眠りください』

N事務長が合掌した手を下ろして、遺影や位牌、遺骨が置かれた机の前の座布団から身体を移動させてからGさんのお父さんお母さんの方に向き直ると、Gさんのお母さんが、奥の台所からお盆に載せたお茶を運んできました。

「どうぞ」
と言って、茶卓にのせたお茶をGさんのお父さんの座るソファーの前のテーブルに置きます。
お茶に口をつけないのも失礼ですから、N事務長は身体をテーブルに近付けてからお茶に手をつけました。
すると、Gさんのお母さんが独り言を言うように話始めました・・・
「この家からも近い○×病院さんにお勤め出来て喜んでいたのにねえ、患者さまと何か問題があって辞めなきゃいけなくなるなんて、あの子、ついてないと嘆いてましたわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「○×病院を辞めてからは、なかなか次の仕事が見つからなくてね」

「そうですか・・・」
やっぱりそうだった。
次の仕事、転職先が見つかって退職すると言ったのは嘘だったようです。

「あの子の話によると、N事務長に濡れ衣を被せられた、責任を取って病院を辞めさせられるということでしたけれど・・・本当ですか?」

「そうなんですか?」
家族の中では、そんな話になっていたようです・・・だからこそN事務長に対する2人の対応がぎこちないのも頷けます。

「まあ、こんなことになってしまっては、誰にどんな文句を言ってもしょうがないのですけれど・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「本当に、まさかのまさかです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「結婚して、子供も出来て、これからだというのに・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「本当に世の中って、何が起こるか分からないことばかり・・・」

「・・・お母さま?」

「何かしら?」

「Gさんはどうして亡くなられたのですか?」

「ああ、そのことも知らないのでしたわね」

「ええ・・・」

「そうね、お話しますわ・・・」

「お、お願いします」

以下 ●●Gさんの仏前Ⅴ●● は167に続く


2011.6.20 月曜日

真実は闇の中 165

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:12:50

●●Gさんの仏前Ⅲ●● 

病院内でGさんの訃報に対する職員の反応を確認した後、Gさんの実家に向かいました。
それにしても、医療従事者は死というものに対して畏怖の念が無いのか、あまりにも身近にある所為で死という事実に対して不感症になっているように思えて仕方ありません。
他人の死に対しては、生物が生存を続けて行く為のエネルギーを作り出すことが出来なくなったとしか思えないのかもしれません。
そこには、悲しみとか、嘆きとか、寂しさとか、慈しみといった感情が無いようにも見えますが、実際は感情があってもそれを表に出さない様に知らぬ間に訓練されてしまったのかもしれませんし、それほど、他人の死というものが日常的な職業であり、日常の光景であることの裏返しなのかもしれません。

病院を出る前に、隣の市にあるGさんの実家の場所をインターネットの地図で確認しました。
電車などの公共交通機関で行くとなると、丁度いい場所に最寄りの駅が無く、電車とバスを併用することになって予想以上に時間が掛かりそうですが、車を使えば20分くらいで着く場所にあることが分かりました。
ということで、病院からGさんの実家まで、N事務長は車で向かうことにします。
インターネットの地図で確認したところ、Gさんの実家は住宅街に位置する為に車の駐車場が見つかるか心配でしたが、バスに乗って何処で降りるのかを悩んだり、降りてから地図を見ながらウロウロするよりはましでしょう。

Gさんの実家は、インターネット上の地図のとおり住宅街にありました。
上手い具合にGさんの実家から100m程離れた場所にコインパーキングも見つかり、そうそうに駐車場の心配をしなくても済みました。
Gさんの実家は、小じんまりとしており、狭い敷地の中に目一杯建物が建っています。
周囲の家も同時期に建てられたのか、大体同じ大きさで、似たような造りをしています。
コインパーキングに車を止めてから、御仏前だけを背広の胸ポケットにしまい、徒歩でGさんの実家に向かいます。

Gさんの実家の玄関の前に着きましたが、黒枠で囲んで忌中と書いた張り紙も見あたりませんし、お線香の香りが漂っているようなこともありません。
前を通っただけでは、普段の生活と何ら変わることの無い平凡な住宅街の一角の光景です。
往来に人の気配はありませんが、昼時で住宅街ですから余計に人通りが少ないのかもしれません。

門など無く、道路と敷地の境界が判明せずに、道路からいきなり玄関となるGさんの実家のドアの柱に後から取り付けたのか、色が微妙に柱と違うインターホンのブザーを鳴らします。
ブザーを鳴らすとすぐにインターホンの受話口兼送話口から、N事務長を待っていたかのように 「はい」 という女性の声で返事が返ってきました。

「昨日、お電話させて頂きました、○×病院のNです」

「どうぞお入りください」

と言われたので、勝手にサッシで出来た引き戸をガラガラと開けると、小さな玄関にGさんのお母さんらしい年配の女性が佇んでいます。
家の中は想像以上に狭く、玄関を上がるとすぐに2階へと伸びる幅が狭くて急な階段が行く手を阻みます。
玄関を入ってすぐ左手に格子状の木にガラスが嵌っている引き戸があり、その奥からお線香の匂いが漂ってきますから、その部屋にGさんの遺骨が安置されているのでしょう。
よくよく考えれば、初七日も終わっていませんから、お線香を絶やさないようにしているのでしょう。

「失礼します」

「どうぞ狭いところですが、お上がり下さい」

「はい」
と言い、靴を脱いで玄関に上がります。

「どうぞこちらへ」 
とその女性の右腕が指し示したのは、やはり玄関を入ってすぐ左手にある引き戸の奥の部屋でした。
その右腕が誘導した引き戸の奥の部屋に 「お邪魔します」 と言ってから足を踏み入れると、引き戸の奥には真ん中で襖で仕切られた畳の6畳間が2部屋続いています。
襖は開いたままになっていて、奥の畳の和室は無理やり洋室使いをしているのが分かりました。
奥の部屋は、畳の上に部屋のサイズに合っていないカーペットを敷いているので、カーペットの端から畳の黒い淵がはみ出ています。
そのカーペットの上に2人掛けのソファーが無理やり置いてあって、そこには案内してくれた女性と同世代の男性の姿があります。
Gさんのお父さんでしょうか?
そして、そのソファーの向かいには、部屋のサイズに合っていない大きなサイズのTVがあって、その横に無理やり場所を作ったかのように白い布で覆われた小さい台が置いてあり、その上にGさんの写真と位牌、遺骨が置かれており、その前ではお線香が煙を上げています。

「初めまして、○×病院の事務長のNです。 この度はご愁傷さまでございます」
と定石通り語尾をムニャムニャとさせて、ソファーに座ったままの年配の男性に挨拶をします。

「どうもはじめまして・・・」

と言ったきり男性はN事務長から視線をそらします。
N事務長の後から付いてきた女性が、その男性の態度に気を使ったかのようにN事務長に話始めます。

「すみません、突然のことだったから・・・私達もどうしたらいいのか分からなくてね・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

なんだか微妙な空気が漂っています。

以下 ●●Gさんの仏前Ⅳ●● は166に続く


2011.6.18 土曜日

真実は闇の中 164

医療・介護のよもやま話 — admin @ 19:27:42

●●Gさんの仏前Ⅱ●● 

Gさんの訃報について、リハビリ科の職員は誰も知らず、そのことを聞いた職員もいないということでしたが、リハビリ科責任者のAさんは、Gさんの突然の訃報に驚きの反応は示したものの、意外に落ち着いた様子でどうして亡くなったのかをN事務長に尋ねてきました。
○×病院在職中のGさんは、リハビリ科で浮いた存在だったこともあり、病院を辞めた後ではリハビリ科職員との付き合いが疎遠になるのは当然かもしれません。
それにしても、あまりのあっさりした対応にN事務長は拍子抜けです。

院長、看護部長、H先生への報告は、リハビリ科責任者のAさんの反応を遥かに上回るあっさりしたものとなりました。
3人ともほぼ同じような反応でしたから、3人を代表して、院長へ報告した際のやりとりを聞いて貰います。

「院長、今お時間よろしいですか?」

「はい、電話でいいなら・・・お聞きします」

「Gさんのことですけれど」

「ああ、そう言えば、昨日IさんとIさんの息子さんとお会いしたはずでしたね」

「ええ」

「どうなりましたか?」

「リオペは、受け入れて頂きました」

「過失の割合はどうなりましたか?」

「病院としては、再骨折したのが病院内で起こったことだという証拠がないことを理解して頂き、リオペにかかる金銭的な負担は出来ないけれど、リオペに伴なう病院への送り迎えなど金銭でない部分で出来る限り協力させて頂くということでご了解頂きました」

「へえー、よくそんなに病院にとって都合良く納得して貰いましたね。 さすがN事務長です」

「ええ、そこまではよかったのですが・・・」

「何か不都合でもありましたか?」

「病院にGさんの使用者責任を求められても、証拠のないものにお金を出せないというスタンスで話をしたわけです・・・その代わりと言うのも変ですが、Iさんに対して 『責任を取る』 と言ったGさんに対しては、Iさん親子の味方になって金銭的な負担を負うように調整することに同意しました」

「あまり、Gさんを追い込むのもどうかとは思いますが、病院としてはしょうがありませんか?」

「はい、こういうこと、金銭的な補償については前例を作らないことが大事ですし、Gさんは、今はもう当院の職員ではありません」

「そうですね・・・それは理解出来ますが・・・で、何が不都合なのですか?」

「昨日、Iさん親子からGさんと会って話をする為のセッティングを頼まれましたので、Gさんに連絡を取りました・・・」

「もしかして、Gさんに逃げられたとか?」

「結果的には・・・そうかもしれません」

「結果的にはとは、どういうこと?」

「どうしても連絡がつかなかったので、Gさんの親のところに連絡してみました」

「保証人?」

「はい」

「Gさんは、実家に居たんだ」

「それが・・・実家に居たのですが・・・灰になっておられました」

「灰?」

「ええ、5日前に亡くなられたということでした」

「ああ・・・・・そんなこともあるんだ・・・・・何と言ったらいいのか、ご愁傷様です」

「全くです」

「それで、Gさんが亡くなったということが本当かどうか疑るわけではないけれど、Iさんへの手前、これから確認の為にGさんのところにお線香をあげにいくということの報告ですか?」

「さすが院長、お察しの通りです」

「まあ、どうしてGさんが亡くなられたのかは分かりませんが、人間にはいつか必ず死が訪れるものですから、Gさんが亡くなられたことについては単純にあーそうですかという感想です・・・でも、Iさんの再骨折について、本人が認めることなく逝ってしまわれたわけですね」

「ええ、グレーのままです」

「そうなりますか・・・」

「院長、御仏前ですけれど」

「それは、規定どおりでお願いします」

「分かりました」

「じゃあ、お手数でしょうが、Iさんの為にも確認の意味も込めてお線香をあげてきて下さい。 帰ったらまた報告をお願いします」

「はい」

というのが院長の反応ですが、看護部長もH先生も大体似たような対応でした・・・3人ともGさんが亡くなったことについては、医療従事者らしく冷静に受け止めていましたが、これからのIさんへの対応について、ひどく心配をしていました。

以下 ●●Gさんの仏前Ⅲ●● は165に続く


2011.6.17 金曜日

真実は闇の中 163

医療・介護のよもやま話 — admin @ 12:00:12

●●Gさんの仏前●● 

昨日は何が何やら分からないまま1日が終わりました。
Gさんに連絡が取れないので、Gさんの保証人であったお父さんが住んでいるGさんの実家に電話を入れると、その受話口からGさんの訃報が飛び込んできました。
その訃報をN事務長に伝えたのはGさんのお母さんでしたが、まさかGさんを逃がす為にそんな不謹慎な嘘を言うことは考えられません。
それ以前に今日の午後、Gさんの仏前にお線香をあげに伺うことを了承してくれたことから、嘘をついていることはまずありえません。
そう言えば、昨日は電話だったこともあり、Gさんの死因などは聞けませんでした。
病気・・・それも退職までは元気だったから突然の病気? 事故? まさか・・・自殺?
何はともあれ、今日Gさんの実家に伺えば、N事務長が知りたいこと、知っておかなければいけない全てのことが判明するでしょう。

昨日、N事務長はGさんのお母さんからGさんの訃報を聞いてから、確認や報告に始終しました。
確認は、○×病院の職員の誰かがGさんの訃報を知っているかということです。
報告は、GさんとIさんの問題に関係している院長、H先生、看護部長にGさんのことを報告することです。

確認については、Gさんの職場であったリハビリ科を中心に行いました。
リハビリ科の責任者であるAさんに電話を掛けると・・・

「Aさん、Nですけれど」

「お疲れ様です」

「その後どうですか?」

「ええ、新しく入職した人も慣れてきて一生懸命仕事に取り組んでくれていますから、その一生懸命さが患者さまに伝わるのか、前任者と比べたのか・・・評判はすこぶるいいです」

「それは何よりですが・・・」

「何でしょうか?」

「その前任者のことですけれど」

「はい、連絡はありませんし、以前にも言いましたように近隣の病院からも転職の話は聞いていません」

「そうですか・・・」

「他に何か?」

「何かGさんのこと、転職のこと以外で聞いていませんか?」

「いえ、全く何も聞いてませんけれど・・・」

「そうですか、それじゃあ結構です」

「何かあったのですか?」

「そうですね、何かあったと言えばありましたが・・・Aさんに関係ないと言えば関係ありませんし・・・」

「何ですか?」

「お聞きになります?」

「聞いていいのなら、お聞きしますけれど」

「Gさんの訃報を聞いてませんか?」

「Gさんのご家族の誰かが亡くなられたのですか?」

「いえ、ご家族じゃなくて、Gさん本人のです」

「ええっ・・・ど、どういうことですか?」

「リハビリ科のどなたか聞いていませんか?」

「ですから、な、何をですか?」

「Gさん、本人の訃報。 Gさんが亡くなったということをです」

「し、知りませんでした」

「どなたも、誰も聞いていませんか?」

「そんな話は出ていませんし、話題にもなっていません」

「そうでしたか・・・」

「それで、どうして亡くなったのですか?」

「そこまで聞いていませんけれど、明日お線香をあげに行ってきますから、その時にでも詳しいことは聞いてきます」

「そうでしたか・・・また、詳しいことが分かったら教えてください」

「そうします」

と、こんな調子でしたが、院長、H先生、看護部長への報告はもっとドライなものでした。

以下 ●●Gさんの仏前Ⅱ●● は164に続く


2011.6.16 木曜日

真実は闇の中 162

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:48:43

●●Gさんに連絡Ⅴ●● 

Gさんのお母さんは、N事務長が誰かから何かを聞いて電話をしてきたのだと思っていたようですが、そうではありません。
Gさんのお母さんは、そうでないと確認した後、長い沈黙を破って衝撃の事実を話始めます。

その衝撃の事実とは?

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「申し訳ありませんが、お電話繋がっていますか?」

「ええ、すみません。 どうしようかなと思っていました」

「どうしようか?」

「そう、話すべきか話さないべきか・・・でも、隠し立てしてもしょうがありませんからお話しますわ」

「隠し立て?」

「隠し立てと言うよりは、黙っていてもしょうがないと言う方が正しいかもしれません」

「はあ・・・」

「N事務長」

「はい」

「驚かないでくださいね」

「ええ」
別に、何を聞かされても、そうそう驚くことはないと思います。

「あの子、先月まで○×病院でお世話になっていたのに・・・」

「はあ・・・」

何だか、Gさんのお母さんの声が、聞き取れないくらい小さくなっています。
「あの子、Sは4日前に亡くなりました」

「えっ?」
亡くなった? 死んでしまったということ? どうして? な、なんで?

「昨日、葬儀も終わりました」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「ということです。 ですから何方からかそのことをお聞きになって、お電話を頂けたのかと思っておりました」

「はあ・・・」
ちょ、ちょっと待ってください。 もう一度頭の中で整理をします。 今日、IさんとIさんの息子さんの依頼を受けてGさんとの話し合いのセッティングをしようとGさんに連絡したけれど、そのGさんは4日前に亡くなっていたということなの?

「N事務長、突然のことで驚かれたでしょう?」

「え、ええ・・・」
事実ならば、驚き以外の何ものでもありません。

「息子が嫁と、孫と暮らしていたマンションは手狭なので、葬儀はこちらの家で親族だけで密葬という形にしました。 だから息子の自宅では、誰も電話に出ませんわ」

「そうでしたか・・・」

「嫁と孫は、マンションに帰っても寂しいだけだから、こちらの家で生活しています」

「はい・・・」

「嫁から話は聞きましたけれど、あの子、病院でいろいろとあったみたいね」

「え、ええ・・・」
お嫁さんだけではなく、このお母さんもGさんの病院での件を知っているようです・・・

「そのことも、Sが亡くなったことと関係あるのかなあと考えてしまうことがありましたわ」

「そ、そうですか・・・」
どこまでGさんから聞いていて、どんな風に聞いているのでしょうか? そんなことよりも、不謹慎かもしれませんが本当にGさんは亡くなったのか・・・お母さんまでつまらない芝居をするとは思えませんが、Iさん親子に事の次第をきちんとお伝えする為にも、確認の意味も込めてお線香を上げに行かせて頂くのがいいように思えます・・・

「ごめんなさい・・・」

「い、いえ・・・恐れ入りますが、お線香を上げにお伺いさせて頂いても宜しいでしょうか?」

「え、ええ、もちろんです。 私もお聞きしたいと思っていることもありますから、是非お越しください」

「は、はい・・・明日の午後・・・13時頃にお伺いさせて頂いても宜しいですか?」

「ええ、お待ちしております」

「それでは、そうさせて頂きます」

「はい」

そうGさんのお母さんにお伝えして受話器を置きましたが、はっきり言えば驚くというよりも、唖然という感じです。
どうしてこんなことになったのか・・・何だかドラマを見ているようです。

以下 ●●Gさんの仏前●● は163に続く


2011.6.15 水曜日

真実は闇の中 161

医療・介護のよもやま話 — admin @ 12:37:05

●●Gさんに連絡Ⅳ●● 

Gさんの携帯電話と自宅に電話をしても全く音沙汰が無いので、Gさんの在職中に保証人であったGさんのお父さんの連絡先に電話をすると、年配のおっとりした話し方をする女性が電話口に出ました。
Gさんのお母さんでしょうか?
しかし、その女性はN事務長が○×病院の事務長であることを名乗ると、それまで優しかった声が、少し怒気を含んだような戸惑いを隠せない口調に変わり、そして無言になりました。
一体どうしたというのでしょうか?

「もしもし」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「もしもし、お電話繋がっていますか?」

「え、ええ・・・」

「すみません、○×病院の事務長のNと申します」
と、再び名乗ると、女性は気を取り直すかのようにため息をついてから話始めます。

「フー・・・すみません、○×病院の事務長さんからの突然のお電話に驚いただけです」

???、どうしてN事務長からの電話に驚いたのか・・・
「突然お電話して申し訳ありません」

女性は少し落ち着いたのか、冷静を保つように敢えてゆっくりと話始めます。
「Sの在職中には大変お世話になりました」

そう言えば、Gさんの下の名前はSでした・・・
「いえ、こちらこそ・・・」

こちらこそお世話になりましたと続けたかったのですが、Iさんの件でGさんに世話を掛けられ続けているN事務長は、言葉を続けることが出来ませんでした。

「申し遅れました。 私、Sの母です」

「Gさんのお母さまでしたか・・・」

「はい、今日はSの件でご連絡を下さったのでしょうか?」

「え、ええ・・・」

「どうされましたか?」

「はい、Gさんにお伝えしたいことがありまして・・・」

「伝えたいこと?」
何か不審気にGさんのお母さんがN事務長に問い返します。

「ええ、ご連絡することがありまして、Gさんの携帯電話やご自宅に電話をさせて頂きましたが、何度掛けても出られなかったので、大変恐縮ですがGさんの保証人の申請書を拝見させて頂き、お電話させて頂いた次第です」

「と言うことは・・・N事務長は何も知らずにお電話されているのかしら?」

何も知らずにとは・・・どういうことでしょう?
「え、ど、どういうことですか?」

「すみません。 私はてっきり、何方からかお聞きになってお電話頂けたものと思っていました」

何方からお聞きになってとは? 誰に何を聞いて電話をしたと言うのでしょうか?
「???すみませんが、話の筋が見えていません」

「そうね、そのようですわ。 失礼しました」

「とんでもありません」

どうやら、何かを誰かから聞いて、知っていること前提にしないといけない話のようです。
「もう一度、お聞きしますが何も知らずにお電話頂けたのですか?」

「え、ええ・・・ご連絡することがありまして・・・」

「そうでしたか」

「はい」

「実は・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

一体、Gさんのお母さんの話は何でしょうか?
実は・・・と言った後のGさんのお母さんの沈黙は、永遠に続くかのような気にさせられます。

以下 ●●Gさんに連絡Ⅴ●● は162に続く


2011.6.14 火曜日

真実は闇の中 160 

医療・介護のよもやま話 — admin @ 12:28:53

●●Gさんに連絡Ⅲ●●

総務事務室でGさんが退職後の書類の受け取りを自宅に指定したことを確認して一安心したN事務長ですが、しかしながら心の中のザワザワとした不安感を拭うことが出来ません。
とは言うものの、Gさんが病院を辞めることになったのは、Iさんとの問題が原因ではないということでした。
たまたまIさんとの問題と転職の時期が重なっただけのことだとGさん本人は言っていましたが、本当はどうなのでしょうか?
もし本当に時期が重なっただけであれば、N事務長に転職先を教えても良さそうなものです。
それに、同業であるリハビリ科の職員達もGさんの転職先は知らないし、そんな話を他の病院のリハビリ科からも聞かないと言っています。
もうここまで来ると、Gさんという人物に関して、何が本当で、何が嘘なのか判らなくなってきました。
でも逆に考えれば、もうここまで来てしまったのだから、本当のGさんの退職理由など何でも構わないという気持ちがあることも事実です。
今は、Iさんの息子さんからの依頼を着実に実行する為にGさんと連絡を取り、Iさんの息子さんとGさんの話し合いのセッティングが出来ればいいだけです。

総務事務室から事務長室に戻ったN事務長が時計を確認すると、長針の位置が上向きから下向きへと変わっています。
当初の予定どおり30分が経過しました。
再度机の上の電話の受話器を取り上げて、パソコンの画面に白黒反転させてあるGさんの携帯電話番号を口ずさみながらプッシュします。

「090-○○○○―××××」

「プルル、カチャ。 この電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていません」

やっぱり繋がりません。
となれば・・・電話番号の間違いではありませんから、やっぱり電源が入っていないのでしょう。
そうなると、次は自宅への電話です。
もう一度パソコン画面を見て、今度は自宅の電話番号をプッシュします。

「××××―△△△△」

「プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル」

呼び出し音だけが空しく鳴っています。
誰も電話に出る気配がなく、30分前の状況と何ら変わりはありません。
Gさんの携帯電話だけが繋がらないのではなく、自宅の電話さえ繋がりません。
と言うことは、Gさんは携帯電話を持たずに奥さんと小さい子供と一緒に外出しているということか・・・
いくら考えても答えは出て来ません。
勿論、30分程度で2回しか連絡を取っていないのに、そこまで拙速に答えを求めてもしょうがないじゃないかという気もしますが、先程からしているザワザワとした得体のしれない不安な気持ちが、徐々に心の中を覆い尽くしてきて、どうも気分が晴れません。何か気持ちが悪いままです。

もうこうなれば、この不安な気持ちを解消する為に、Gさんの保証人である実家に電話をすることにします。
Gさんが病院を辞めたからと言って、Gさんのお父さんがGさんが在職中に起こした問題を知っているかどうかも別にして、この問題を解決の為に協力することが保証人としてサインをしたお父さんの責務であることに違いはありません。
息子が辞めた病院の事務長から電話が掛かってきて、驚かれるかもしれませんが、何とでも言いようはあります。
仕事のことで、Gさんと急ぎの連絡を取りたいのですが、電話が繋がりません。何かお心当たりはありませんか? とか・・・
まずは当たって砕けろ、Gさんの実家に電話をしてみることにします。

先程メモをしたノートを確認しながら、机の上の電話をプッシュします。
受話器の受話部から、固定電話特有の呼出音が流れ始めます。

「プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、カチャ」

呼び出し音が5回鳴って、電話が繋がりました。

「はいお待たせしました。 Gです」
年齢を重ねた、おっとりした優しい女性の声です。

「お食事時に申し訳ありません」

「はい」

「私、○×病院で事務長をしておりますNと申します」

「○×病院?」

「はい」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

それまで優しかった女性の声が、少し怒気を含んだような戸惑いを隠せない口調に変わり、○×病院と病院名を口にした後、無言になりました。
一体どうしたのでしょうか・・・

以下 ●●Gさんに連絡Ⅳ●● は161に続く


2011.6.12 日曜日

真実は闇の中 159

医療・介護のよもやま話 — admin @ 23:07:06

●●Gさんに連絡Ⅱ●● 

IさんとIさんの息子さんが帰った後、Iさんの息子さんから依頼を受けた話し合いの日程を決める為にGさんに連絡をしましたが、Gさんの携帯電話は繋がりません。
携帯電話はワンコール後に 『この電話は電波の繋がらない場所にあるか、電源が入っていません』 と空しく繰り返すだけ・・・
もしかすると、充電の為に電源を切っているかもしれないと考えて、Gさんの自宅に電話をするものの、小さいお子さんが居て家に居るはずの奥さんも電話に出ません。
勿論、奥さんだって夕飯時とは言え、外出することもあるでしょうし、ちょっと近所に足りないものの買い物に出掛けるなんてことも考えられます。
ここは気を取り直して、30分程してからGさんの携帯にもう一度連絡をしてみることにします。

それにしても、何か腑に落ちません。
腑に落ちないと言うよりも、嫌な予感がします。

まさか、一家で夜逃げ?
まさかのまさか・・・そんなことはないでしょう。
でも、そのまさかに備えて、Gさんが入職した時の入職書類の中に保証人の用紙があるはずですから、それを確認する為に総務の事務室に出向きます。

「先月の退職者の書類は整理を終えて、倉庫に移しましたか?」

「いいえ、まだ倉庫には入れていません。 先月の退職者の2人の書類はここにあります」
と、総務の女性職員が机の上のファイル立てから2冊の紙ファイルを持ち上げてN事務長に見せます。

「その中にGさんのファイルがあるよね?」

「Gさんですか?」

「そう、リハビリ科のGさん」

「はい、こちらになります」

総務の女性職員からGさんに関する書類がまとめて入れてある紙ファイルを受け取ったN事務長は 
「そのファイルを借ります」
と言い、ファイルを女性事務員から受け取ってから、総務の事務室を出て事務長室に戻ります。

事務長室戻ってから、紙ファイルの中からGさんに関する書類を取り出すと、入職時に提出した書類や社会保障関連書類、理学療法士免許証のコピー、在職中の各種査定や人事評価表などが入っています。
何枚もある入職時書類の中から保証人の用紙を取り出します。
保証人の欄を確認すると、続柄は父となっています。
そして、Gさんのお父さんの住所は隣のO市です。
これならばイザという時、Gさんの代わりに連絡を取ることも、最悪訪問することさえ容易に出来そうです。
ひとまず、Gさんの保証人であるお父さんの名前と住所、電話番号を控えてからファイルに書類を揃えて入れてから一息つきます。
Gさんの保証人を確認したからといって、このままのんびりしている訳にもいきませんから、Gさんの書類をまとめた紙ファイルを持って総務の事務室に戻り、Gさんの紙ファイルを女性事務員に返します。

「何か、必要なものでもありましたか?」

「いえ、ちょっと連絡先の確認をしたかっただけです」

「そうでしたか」

「ところで、退職後の書類はどうしましたか?」

「何の書類でしょうか?」

「雇用保険の離職票とかです」

「郵送しました」

「いつ?」

「ちょっとお待ちください」
そう言って総務の女性事務員は郵便物の記録簿を確認し始めます。
「1週間前に、ご自宅宛に郵送しました」

「そうですか、1週間前に自宅にですか・・・」

「はい、そうです」

「書類の送付先は本人に確認したの?」

「ええ退職日に、今後の書類の送付先は自宅と本人に確認しました」

ということは・・・まさかのまさか、退職したと同時に一家で夜逃げなどという最悪のケースは無さそうで一安心です・・・

以下 ●●Gさんに連絡Ⅲ●● は160に続く


2011.6.10 金曜日

真実は闇の中 158

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:52:30

●●Gさんに連絡●● 

IさんとIさんの息子さん、そしてN事務長の話し合いは、Iさんの息子さんを含めて、Gさんと再び話をすることを確認して終了しました。
そしてその話し合いの仲介者としてN事務長がGさんに連絡を取り、場所は病院が提供し、話し合いにもN事務長が立会人として参加することになりました。
Iさんの息子さんにしてみれば、自分達の安全を担保する為にも、Gさんとの話し合いにN事務長が立ち会い、病院をその話し合いの場所として提供して貰うことは外せない条件のようです。

N事務長にしてみれば、いささかの不安は隠しきれませんが、取りあえずIさんの再骨折に関する責任追求の矛先を病院からGさんに向けたことは間違いありません。
それにも増してIさんの息子さんが、予想以上に話が通じたこと、物事を客観的に判断出来たことは嬉しい誤算でした。
しかし、N事務長にとってはこれからが正念場、今回の騒動の幕引きをする為の最後の仕事がまだ残っています。
それは、GさんをIさんの息子さんに引き合わせて、Iさんに 『責任を取る』 と言ったことを認めさせた上で、再手術にかかる費用負担に応じさせることです。
費用負担に応じるかどうかは微妙ですが、Gさんはそうせざるを得ないはずです。
それが出来ないのであれば、刑事訴訟は無理にしても、民事訴訟で裁かれることになるかもしれません。
ただ、そうなると病院の立場も微妙になりますから、ここはIさんの息子さんと一致団結して、Iさんの再手術にかかる費用負担を話し合いで認めさせることに取り組むことが重要です。

IさんとIさんの息子さんが病院から帰ると、時間は17時を過ぎていました。
今、Gさんに電話をしてもまだ仕事中かもしれないので、18時になってからGさんの携帯電話に連絡をすることにして、N事務長は仕事に戻りました。

時計の長針と短針が縦一直線になっています。18時です。

N事務長は、待ち侘びた様子で机の上の受話器を取り上げます。
机の上のパソコンの画面上には、退職者の電話番号一覧が表示されています。
その中で、白黒反転させてある行がGさんの電話番号です。
携帯電話と自宅の番号が並んでいますが、携帯電話番号をプッシュします。
そして番号を間違えない様に、電話番号を口ずさみます。

「090-○○○○―××××」

「プルル、カチャ。 この電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていません」

あれれ、Gさんはまだ仕事をしているのかもしれません。
でも、仕事中だとしてもマナーモードにすることはあるでしょうが、電源を切ることはあまり無いような気がします。
電話番号を間違えたかもしれないので、もう一度確認の為に電話を掛けます。
今度こそ間違いの無いように、一番、一番区切りながら声を出して、パソコン画面と電話の液晶ディスプレイを確認します。

「0・・・9・・・0-○・・・○・・・○・・・○―×・・・×・・・×・・・×」

「プルル、カチャ。 この電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていません」

またです。
電話番号が間違っているわけではありません。
と言うことは、最近では地下街でもあまり存在しない無電波地帯にでも入り込んでいるのでしょうか?
考えられることの中で一番可能性が高いのは、携帯電話の充電が切れていること。
そうなると、今日中に連絡をつけるのが難しくなりますから、自宅に電話をして奥さんにGさんの予定を確認させて頂くのが正解でしょう。
電話を掛けて、自宅にGさんが居たらばそれで良し、居なければ帰ってくる時間を聞くことにします。

もう一度パソコン画面で、今度はGさんの自宅の電話番号を確認してから、一旦置いた受話器を再び取り上げて、Gさんの自宅の電話番号をプッシュします。
勿論、電話番号を間違えない様、電話番号を口ずさみながら・・・

「××××―△△△△」

「プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル」

呼び出し音だけが空しく鳴っています。
誰かが電話に出る気配がありません。
呼び出し音を10回鳴らしても出なければ、一旦電話を切ることを普段から実践していますが、ここも普段どおり、少し時間を空けて、電話番号の間違いがないかを確認しながら再度電話を掛けることにします。

「×・・・×・・・・×・・・×―△・・・△・・・△・・・△」

「プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル」

やっぱり電話に誰も出ません・・・

以下 ●●Gさんに連絡Ⅱ●● は159に続く


2011.6.9 木曜日

真実は闇の中 157

医療・介護のよもやま話 — admin @ 15:32:02

●●Iさんの息子さん15●● 

Iさんの息子さんは、Gさんとの面会のセッティングをN事務長に頼みますが、会うのは勿論のこと、会った時の話の流れも前もって確認したいと思っています。

「じゃあ、早速今日にもGさんに連絡を取ることにします」

「お願いします」

「それで、会うのが明日なんてことになっても構いませんか?」

「ええ、いいですけれど・・・念の為に2~3日の候補日を挙げて頂ければ間違いないと思います」

「そうですね・・・それに、Gさんに選択の余地などありませんね」

「そこまでは言いませんが、確かにそう思います。 N事務長も私もGさんに対して少し優しすぎるかもしれませんね」

「Gさんのご指摘のとおりで、全くそうかもしれません」

「ここは連立を組んで、Gさんに対してはお互いに協力して話を進めていくことを約束しませんか?」

「約束など結ぶ必要は全くありません。 どう考えてもGさんは、今回の件では灰色、グレー、それも真っ黒に近いダークグレーなのですから、どう考えても私はIさんの味方をさせて頂きます」

「本当ですか?」

「ええ、そこには疑念を抱かれなくても結構です」

N事務長のはっきりした口調にIさんの息子さんも納得顔ですが、Iさんも然もありなんといった表情をしています。

「ところでN事務長」

「はい、何でしょうか?」

「N事務長には、当然Gさんとの話し合いに立ち会って頂きますよ」

「はい、Iさんが希望されるのであれば、間違いなくそうさせて頂きます」

「それと、Gさんと会う場所ですが・・・」

「それも、この病院でよろしければお使い頂きたいと思っています」

「場所については、何かあった時のことを考えれば・・・病院の会議室か何かを貸して頂く方がいいでしょうねえ」

Iさんの息子さんの言葉に敏感に反応したIさんが、息子さんに聞き返します。
「その・・・何かあった時って・・・何のこと? 何を心配しているの?」

「いやあ、お母さんやN事務長の話を聞いて・・・Gさんという人は、何を考えているのか理解出来ない人なんだと思ってね」

「確かに、何を考えているのか分からない人だけれど・・・ねえ、N事務長?」

「そうですね、何を考えているのか分からないというよりも、自分のことしか考えていない、自己本位で勝手な人と言うべきかもしれません」

「でも、自分本位な人だからこそ、自分の思い通りにならなかったら、暴れたり、自分の意見を通す為に暴力を振るうことだって考えられるじゃありませんか」

「まあ・・・無いとは言えませんが・・・そんなことも最悪の場合として考えれば、病院として万全の対応は取らせて頂きます」

「そうお願いします」

「あのGさんが、そこまでするとは思えないけれど・・・」

「お母さん、でも念には念を入れないとダメです」

「そうね・・・でも、あのGさんの場合、暴力って言うよりも逃走、逃げるって感じがするわ」

「そうだとしても念を入れて、そして早くGさんに責任を認めて頂いて、その責任を負って貰いましょう。 ねえN事務長?」

「はい、そうされるのがいいと思います。 それで、Gさんと連絡を取った後の返事はどうしましょうか?」

「私の携帯電話に掛けてください」

「先程お渡しした名刺に携帯番号も書いてあります」

「はい、分かりました。 時間的にはどうですか?」

「常識的な範囲で・・・夜ならば9時ぐらいまでは大丈夫です」

「分かりました。 出来る限り早くGさんと連絡を取って、お返事致します」

「宜しくお願いします」

以下 ●●Gさんに連絡●● は158に続く


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