スワッ!強面の3人組が「見舞金返せ!!・・・??」①
●●突然3人組はやってきた●●
「ドンドンドン」 (スライド式ドアを叩く音)
「おい、事務長はいるか?」
おやおや・・・大きな声で突然何ですかね?・・・事務長はイルカ?・・・あー違うか、イントネーションと発音が違うんだよねこの人、やれやれ イ・マ・ス・ヨ!
「カラカラ」 (スライド式ドアを開ける音) 「はい、事務長のNと申しますが・・・」
おいおい、ナニナニ、3人も強面が揃いも揃って・・・
「事務長だな!ちょっと折り入って話があるから顔貸してくれや!!!」
顔貸すのはイヤだけど、話ならお聞きしますけど・・・なんか、無理して怖い顔作ってないかなー、御3人衆!?!?
「ご様子からお伺いしますと、急なご用向きのようですが、お急ぎになられるようでしたら、そちらのお部屋でお伺いいたしますので、今しばらくお待ちいただけますか?今、掛けている電話を切り上げてすぐにお伺いします。」
「どこの部屋だい?ここか?」
「はい、こちらでお待ちください」
「5分以内に戻ってこいよ!!!」
「はい、すぐに・・・」・・・・・・・・・・・・・・・・「カラカラ」(ドア閉めて)「あっS院長、話が中断しましてすみません。何だか強面3人組の急襲をうけまして・・・ハハ・・・応接間使わせていただきますから宜しくお願いします。またあとで、お電話お掛け直ししますので・・・」
「何だか楽しそうだね・・・相変わらずセワシナイ・・・あとで聞かせてください3名様のご用件」
「はい、楽しみにお待ち下さい」 (カチャ=電話切る)
「お待たせしました」
「おー早いじゃないの!ところでこのソファーふかふかで気持ちいいなー!病院儲かってるんだねー!!!」
「あーこのソファーは、ご説明申し上げますと・・・話は長くなりますが・・・」
「手短に頼むわ!こっちは時間がないからな!!!」
「実は、5年程前に長期入院されておられました患者さまがいらっしゃいまして、まあ、こちらで最期をお迎えになられたわけですが・・・それはそれは安らかに眠るように旅立たれました・・・ご家族の方々も、病院にはよくして頂いたとお礼を申されておられました。有難いことです。病院職員冥利に尽きるというものです。・・・」
「おー長い話だなー!結論言ってくれや!!!」 「早くしろよ!!」 「ホントだぜ!」
「あーそれでですね!49日がお済みになられた後、娘さんが私にお電話を下さいまして、故人の家の片付けをしておりましたら、買ったばかりの立派なソファーがあるんですが、病院のどちらかでお使いになられませんか?と聞かれたわけです・・・まあ、入院も長期でしたから、ご家族さまとは何でもお話出来るような関係になってしまう訳ですが・・・一度見せていただいて、お断りしたんですよ・・・あまり高価なものですと病院としても困りますからと・・・まあ高価なものですが、是非お使いくださいのお言葉に甘えて、今こうして応接間で使わせていただいているわけです」
「金持ちの遺産分けというわけか?」
「いえいえ、故人の暖かいお気持ちとご家族さまの感謝の気持ちを頂戴させていただきました」
「やっぱり、金持ちはどこにでもいやがる!!!」 「ホントだぜ兄貴、嫌味だねー、幸せな家族に見守られて、オレ達とは正反対の境遇だぜ!!」 「アニキ、早いとこ話しようや!」
「あー話が長くなって申し訳ありません。ご用件をお聞きいたします。どうされましたか?」
「おー話な!オレ達は、昨日おたくの病院で逝っちまったIの身元引き受け人というやつだがな・・・要は小学校からのダチってわけよ・・・あいつ身寄りのない寂しい奴だからよ・・・逝っちまう2日前によ、近所の有志から見舞金集めて持ってきてやったわけダ・・・なんとかっていうお金持ちじゃないから皆で小銭集めてよ・・・それで、今日、病院からオレに荷物引取りにこいって電話があったからキタワケダ・・・そしたら見舞金が一円も残ってないじゃないか・・・おかしいだろっ!!・・・3日前に持ってきた見舞金が・・・見舞いに来たときIは歩くこともできなかったんだぜ・・・病院が預かっているに違いないと思って・・・看護師が知らなくても、事務が預かったとか、逝っちまったから病院の金庫かなんかにしまってあるんだろうと思って、返して貰うためにきたんだよ!!!」 「兄貴に手間とらせるんじゃねえよ!!早く返しな!!」 「アニキはこれからIの葬儀も出してやらなきゃいけないんだよ、早くシナ!」
「そうでしたか、私はお預かりしておりませんが、事務の者、ケースワーカーらに聞いてみますが・・・ちなみに、お幾らでしたか?」
「10万円だよ!!!」
また、10万円です、トホホ・・・
以下、●●10万円の行方●● は②に続く