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医療・介護のよもやま話

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2008.6.30 月曜日

自殺 ⑦

●●入院中のMちゃん●●

自分で、お腹を差して緊急手術、入院となったNちゃん・・・入院してから3日間は大人しくベッドの上で過ごしていました・・・検査の結果、臓器の損傷もないことが判り、少しずつ体を動かすよう担当医師に言われました。

するとまずは、同室の患者さまのアイドルとなり・・・2日、3日と経つ内に病院中の入院患者さまのアイドルとなっていました・・・

下は骨折して入院していた小学生6年生の男の子から、85歳のお爺ちゃん迄・・・男子(男性)ばかりではありません、同性の女性陣からも可愛がられること・・・もう驚きです・・・

なんで、こんなに社交性があるのに・・・何故Nちゃんは外出できないのかが、H医師、看護師の納得できないところ・・・

どう考えても分かりません・・・

まあ、入院患者さまみんなが入院生活を楽しく過ごせるのなら、それはいいことと半ば訳の分からない理屈を付けたりしていました・・・

10日もすると、傷口はすっかり付いたようで、抜糸で退院となりますが・・・

退院にあたっては、ご家族とまず面談!

お母様に、病院でのMちゃんの様子を報告すると・・・

「そうですか・・・よかった・・・病院でもそうでしたか・・・」

「お家でもよくお話はされるんですか?」

「まあ、あの子が話掛ける訳じゃありませんが・・・あの通りニコニコしてるから、何だかつい話をしてしまうんです・・・」

「皆の癒しなんですね・・・」

「でも、それがあの子を追い詰めているのかもと考えたこともあるんです・・・人の話ばかり聞いて・・・疲れるかもしれないなと・・・」

「成るほど・・・」

「以前に一度聞いたことあるんです」

「何をですか?」

「自分のこと話さずに、他人の話ばかり聞いて疲れないって・・・」

「なんてお答になりましたか?」

「私にはこれしか出来ないからって・・・産んでくれたお母さんへの恩返しですって・・・」

「そうか・・・」

「そんな娘がなんで?」

「私にも解りません・・・あの子も分からないって言ってます・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「一人になると・・・気が付くと自傷行為をしているんだって・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「何だか、もう楽にしてあげたいと思ったことが何度あったか」

「そうですか・・・」

「多分、また何かします・・・今度は取り返しがつかない気がします」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「でも、この病院で働く皆さんのこと、とっても気に入っているようです・・・毎日が楽しいって・・・今度何かあっても必ずこの病院に連れて来てねって頼まれましたの・・・ごめんなさい・・・迷惑かもしれませんが・・・今後も宜しくお願いします」

そして、Mちゃんは患者さま皆に見送られて、お母様と帰っていきました・・・

そして2週間後!

以下 ●●Mちゃんの最期●● は⑧に続く


2008.6.29 日曜日

自殺 ⑥

●●割腹自殺?●●

「プルプル」 (かちゃ)

「N事務長ですか?」

「はい・・・」

「先程の救急搬送ですが、Nさんです!」

「Nちゃん!・・・今回はどうしたの?」

「H先生が、N事務長にも連絡しておいてくれって・・・」

「それで?」

「お腹を刺したようです・・・」

「お腹?・・・それで?」

「緊急手術になるって言っておられました」

「そうですか・・・」

前回の自傷行為から1か月と少し・・・通院しなくなって1週間で・・・またですか・・・今度はお腹とは・・・

手術は無事に終わり、一命は取り留めましたが・・・

手術に立ち会ったH医師から話を聞くと、傷は腹膜まで達していたけれど、出血も少なく、内蔵にも損傷は見られず、これならば2週間もすれば完治するでしょうとのこと

腕ではなく、お腹ですか・・・なんだか、だんだんエスカレートしていきます・・・

どうしてなんでしょう・・・

腹切り・・・割腹自殺?

救急搬送された日、術後は静かにベッドで寝ていたようですが、その寝姿を見た病棟の看護師はこう言ってました

「普段から色白な顔色は少し青白く感じました・・・でも、何だか落ち着いたような、幸せそうな顔をして、微笑んでいるようにも見えました・・・」

次の日、H医師と相談をして、H医師がNちゃんから事情を聴くことになりました

「どう、元気になった?」

「先生!また、お世話になりました・・・」

「まだ、お世話中だぞ!」

「そうですね・・・」

「折角、腕の傷も治ってきたのに、世話の掛かる娘だなMちゃんは・・・」

「お世話掛けっ放しですね・・・」 (微笑)

「何で、お腹切ったの?」

「うーん・・・先月は病院に通っていたから・・・すること一杯あったんですが・・・病院に来なくなったらすることがなくなってしまって」

「それで?」

「外出したいなーと思って・・・」

「まあ、外出には違いないな・・・」

「腕見たら、右腕も左腕も切るところが無いなーって・・・」

「切るところが無いから・・・」

「お腹見たら、傷の無い綺麗なお腹だったんで、刺しました・・・」

「ん・・・・・・・・・・・・・」

「この間、右腕ケガしたから、あまり力が入らなくて・・・ごめんなさい・・・また、未遂・・・失敗・・・」 (ニコッ)

「あやまらなくてもいいよ・・・」

「でも、この病院に運んでもらってよかった・・・」

「救急車で来なくても、いつでも来ていいって言っただろ!」

「先生も看護師さんも、皆忙しいのに、病気もケガもしてないのに来られないです・・・」

「そうか、気を使ってくれたんだ・・・」

「ある意味そうかな・・・」

「そんな気は使わなくていいから、まあ、当分は病院のベッドで寝てて貰おう・・・」

「はい、大人しくしています!」 (ニコッ)

外出したいからお腹を刺す、右腕も左腕も切るところが無いからお腹を刺す・・・Nちゃんの頭の中はどうなっているのか?・・・H先生も頭を抱えています・・・次は何をしでかすやら・・・

以下 ●●入院中のMちゃん●● は以下⑦に続く


2008.6.28 土曜日

自殺 ⑤

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:51:05

●●Mちゃんの術後1か月●●

術後1か月間、最初の1週間は毎日消毒のため通院・・・2週目は1日置きに通院・・・3週目は3日に1回の通院・・・4週目は・・・

最初の週、お母様に付き添われて通院していましたが、診察室では医師と看護師と3人になります。看護師曰く 「Mちゃんは女の私から見ても可愛い」 と・・・処置中も笑顔を絶やさず・・・医師にこんなことも

「先生、人間の体って不思議ですね、あんなザックリ切れていたのに、くっつくものですね・・・」

「そうだね・・・でも切らない方がいいよ」

「分かっています・・・」

「表面はくっついても、元にもどらない場所もあるからね」

「そうみたいです・・・でも自分でしたことだから・・・」

「全くその通り、自分でしたんだよ!痛いとか思わないの?」

「痛いと言えば痛いけれど・・・やっぱり、生きてる証しが欲しいのかな・・・」

「そうか・・・でも、毎日病院に通院すれば、外出も出来るし、気分も変わるだろ?」

「そうですね、毎日外出するのは何年振りかな?」

「これを機に外出が苦にならないようになることを祈っているよ!」

「ありがとうございます。私この病院の先生も看護師さんも好きです」

「どうして?」

「皆さん、別に構えることもなく、言いたいことズバッと言ってくださるから・・・」

「ちょっと、デリカシーがない?」

「いえ、変に気を使われても困りますし・・・」

「褒められているのかな?」

「ええ、こんなに気持ちのいい病院は初めてです」

「じゃあ、お願いがあるけど聞いてくれる?」

「何ですか?」

「これ以上、自分の体を傷つけないで欲しい」

「んー、自分でもそうしたいと思うけれど、癖なのかな・・・自傷癖!」

「癖か・・・その癖治らないかな?」

「癖の治る薬ありますか?」

「残念ながら、そのような薬はない・・・」

「残念・・・」

「本当に残念だ・・・」

「でも、頑張ってみます」

1週目にこんな会話があったことを 「Mちゃん、Mちゃん」 とMさんを可愛がっていた看護師が教えてくれました

2週目、Mちゃんは一人で通院し、入院中に知り合った人の病室に顔を出したりしていました

3週目、抜糸も終え、機能訓練の方法を医師から学びました

そして、4週目の最後の通院日、医師と看護師に丁寧にお礼を言って帰って行く姿には、もう当分自傷行為はしないかなと思えたのですが・・・

その1週間後のこと、また、Mちゃんは救急車で搬送されてきました・・・

以下 ●●割腹自殺?●● は⑥に続く


2008.6.27 金曜日

自殺 ④

●●病院内でのMさん●●

右腕を固定したナイフに突き刺し、緊急入院、手術となったMさん・・・

夕食はさすがに食欲もなかったようですが、夕食後は病院内の探索をしていたようです!

ナースステーションでは看護師達と談笑し、H医師には叱咤激励され、他の患者さまには天使のような微笑みを投げかけて一夜にして病院内の人気者になっていました!

微笑まれた人が皆、つらいことや、嫌なことを全て忘れてしまう・・・聖母マリアのような慈愛に満ちた微笑み・・・時には、はにかんだように笑い、いたずらっ子のように口元をキュッと結び目だけが笑ったり・・・

Mさんは、不幸にして病魔に襲われたり、事故にあった人達を見て何を思ったのでしょうか?

多分彼女は、他の患者さまを見ても、自分のことを責めたりしていません・・・だって、いつの間にか知らない内に切ったり、刺したりしているのだから・・・彼女も立派な患者さま・・・

翌日からMさんは、病院中の皆から ≪Mちゃん≫ と愛情を込めて呼ばれていました!

入院中の ≪Mちゃん≫ にH医師の叱咤激励

「また、やっちゃたの?」

「はい、そのようです・・・」 (くすっ)

「今回はちょっと大掛かりだったね!」

「失敗ですね!」 (にこっ)

「失敗はないだろ、一生懸命手術したのに!」

「先生、違いますよ、手術が失敗じゃなくて、自殺の失敗・・・また、皆に迷惑掛けちゃった!」 (うつむき加減にはにかむ)

「そうだな・・・救急搬送も2回目だよ!」

「はい、ごめんなさい!」

「今回はどうしたの?」

「自分の両腕見たら、あーもう切るところ無いなーと思って・・・エイッっていってしまいました!」 (恥ずかしそうに微笑む)

「確かに、もう切るところ無いな・・・両腕とも・・・」

「でも、切って血が出るのを見ると、生きてるなーって思うんです。ドクドクって傷口と心臓が連動しているように動くのを感じるんです!」 (目がキラキラ)

「そうじゃなくて・・・何かあったのかと思って!」

「理由ですか?・・・しいて言えば、昨日お天気ものすごく良かったでしょ!そうしたら、お気に入りの白の麻のワンピース着てお出かけしたくなったんです!でも・・・行くところないから、外に行くには・・・病院だなって思って・・・エイって」

「そのお気に入りのワンピース赤に変わっちゃったぞ!」

「でも、外に出られて良かった!」 (ニコニコ)

「・・・・・・・・・・・・・・・」

退院時には、H医師にもうこんなことして病院に来たら駄目だよとたしなめられ!看護師達からは、ケガしていなくても遊びに来てもいいからと言われ、患者さま達からはまた顔を見せてねと声を掛けられ・・・≪Mちゃん≫ は、はにかみながらお母様に付き添われ帰宅しました!

帰る時は、ピンクの麻ののワンピース(長袖)、つばが広く、紺色のリボンの付いた日よけの夏用の帽子を被って・・・

以下 ●●Mちゃんの術後1か月●● は以下⑤に続く


2008.6.26 木曜日

自殺 ③

医療・介護のよもやま話 — admin @ 11:52:58

●●Mさんの右手●● 

高い青空と白い雲、日差しは強いが湿度が少なめで日陰に入れば、風がそよそよと吹き気持ちのいい夏の日の午後、セミ達が 「ミンミン、暑い暑い」 と騒々しく大騒ぎしている声をかき消すように、救急車のサイレンが鳴っています!

Mさんが1か月振りに病院にやってきました!

今回は強烈で、ナイフを固定して右腕を突き刺したということです!

さすがにMさんのはかなげな顔も、今日は腕の傷の痛みで少し苦しげ・・・でも傷口ににじむ血を見る目は何か満足そう!

傷が深い為、緊急手術となり、真夏にピッタリの白い麻のワンピースは脱がされ病衣に着替えさせられていました・・・

病衣に着替えてもMさんは美しかった・・・

ストレチャーで手術室に運ばれていく時にすれ違った時、Mさんは、目をつぶり、静かに呼吸をし、天使のような微笑みを浮かべていました!

幸いなことに、血管の損傷はそれほどでもなく手術は1時間程で終了!

その日は、術後の精神的なフォローも含め1日の入院となりました。

お母様が付き添っていらっしゃいましたが、お母様もスラリと高い背をピンと伸ばし、身に付けているものも豪華ではないけれど、品のいい質のいいものです!

お母様は慌てる様子もなく、人目をはばかる様子もなく、誰に媚へつらうことなく淡々とされています!

医師の術後の説明も淡々と聞いていました!

「Mさんの右手ですが、多少機能障害が残るかもしれません!」

「そうですか・・・」

「多少、こう手を曲げるのがスムーズにいかなくなったりします。もちろん、日常生活に支障をきたす程ではありませんが!」

「わかりました。ありがとうございました」

と、こんな調子です・・・H先生がお母様にこんなことを聞きました!

「ところで、左腕も右腕も切り傷が凄いですが、いつからですか?」

「・・・二十歳を過ぎた頃からでしょうか・・・突然学校に行かなくなり・・・家でほとんどの時間を過ごすようになりました・・・・・・・・・・」

「そうですか・・・」

「最近外出するのは、こうして病院に来るときだけです!」

「自傷行為はその頃から?」

「そうです・・・病院に行ったり、カウンセリングを受けたり、家族で話し合ったりしました・・・」

「効果はない・・・と」

「はい、最近は家の中ではよく笑うようになりましたし、大丈夫かなって思っていましたが・・・」

「本人の気持ちの問題なんでしょうが・・・」

「はい、自分の娘ですが・・・普通の親子関係で、話もよくしますが、娘の頭の中までは・・・何を考えているのか理解出来ません!本人もどうして自分の体に傷を付けるのか分からないと・・・ふと気が付くと血が出ていると・・・それで、≪あーあ、またやっちゃった≫ なんだそうです!」

「そうですか・・・」

「いつかは、自分で気が付かない内に死んでいると思う・・・お母さん私が居なくなっても悲しまないでって・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「いい娘なんですが・・・どうも・・・あの娘の魂はこの世にないような気がします!」

「そうですか・・・」

以下 ●●病院内でのMさん●● は④に続く


2008.6.25 水曜日

自殺 ②

●●Mさん再来院●●

Mさんが初来院したその日の夕方、いつものように、医局でH医師との緊急ミーティング!

「H先生、今日のMさんそんなに凄いリストカットマニアなんですか?」

「ウーン・・・はっきりいってびっくりした!」

「そうですか・・・どんな具合に凄いんですか?」

「今日は左手首だったけれど・・・長袖のワンピース着ていたから袖を看護師に肘までまくらせたんだ!」

「そ、それで?」

「手首から肘まで5mm間隔で傷痕があるんだ・・・」

「えっ!そんなに?」

「それも、手首あたりは傷の上に傷がある・・・」

「肘の上は見なかったけれど・・・凄い・・・の一言」

「あんなに綺麗な顔しているのに、可憐ではかない花なのか・・・」

「でも腕は阪神タイガースのユニフォームより細かい縞模様・・・」

「分からないものですね!」

「そうですね!処置している時も、何だか楽しそうに微笑んで処置室見回したりしてるんだよ!」

「遠足気分?」

「まあ、そんな感じだね!」

「心の問題ですか?」

「そうだろうね!」

「処置中に何かお話はされましたか?」

「どうして、切ったのって聞いたけど・・・」

「なんて、答えたのですか?」

「なんとなく・・・切ろうかなと思ったら切っちゃいました・・・です」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「また、切ってしまったらお願いします・・・ですって!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

それから、1ヶ月後の午後・・・再びMさんは救急車に乗って来院されました・・・

今度は右手首をリストカット・・・

傷は少し深め!

H医師の言うとおり、当分続きそうです・・・

以下 ●●Mさんの右手●● は以下③に続く


2008.6.24 火曜日

自殺 ①

●●Mさん初診●●

自傷行為を繰り返す人は、何かキッカケを見つけないとその行為を止められないという・・・傷痕が1本、2本左手首にある人は衝動的に傷を付けてしまったかもしれませんが・・・何本ともなると?・・・そんな自傷行為マニアのちょっと悲しいお話!

「プルプル」 (かちゃ)

「N事務長?Hだけど!」

「H先生、どうされましたか?今、診察中でしたよね?」

「さっき、救急搬送されたリストカットの患者さまの件だけど・・・」

「どうされましたか?」

「すごいんだよ・・・」

「何が凄いんですか?」

「傷痕が・・・あんなに凄い本数はめったにないな・・・今後も常連になるかもしれないから、N事務長にも報告しておこうと思って・・・」

「そうですか・・・H先生が凄いと言うくらいですから・・・本当に凄いわけですね!」

「そうなんだ、あれは傷の処置ではなくて、心の手当が必要だね!」

「まだ、ご本人さまはいらっしゃいますか?」

「今、処置終わったところだから、会計待ちだと思います!」

「分かりました!顔だけ確認させていただきます!」

「そうしてください!」

H先生とは、今後何か問題が起こりそうな患者さまの情報を共有することが日常となっています!意味のないクレームを言ってきそうな患者さま・・・家族が病院に対して不信感を持っていそうな患者さま・・・医療以外のクレームをH先生に相談された患者さま等・・・

そんな時には、まず、カルテを見て、名前を覚えて、お顔を拝見しにいきます!

さて、今日の患者さまはと・・・Mさん、25歳、女性・・・住所は○×市△△・・・近所ですね!当院には初めての来院です・・・

さて、お顔拝見!

外来看護師に、本人を教えてくれるよう言い、背格好、服装を聞くと・・・

「髪はロングで黒髪、服装は黒のワンピースです!あそこの待合室の隅に座っている方です」

教えて貰った方を見ると・・・ちょうど会計の順番がきたのか立ち上がってこちらに向かって歩いてきます!

そこには、身長170cm位、艶々の黒髪が背中に届く程度にサラサラ、ふわりとしており、小さい顔には知性的で、優しげでもある大きな瞳と、その瞳とは対照的に小作りで薄い口元・・・はっきり言って、今風ではないが、美しいという言葉がピッタリ当てはまる・・・でも、優しげな瞳は寂しそうにも見える・・・

黒のワンピースの素材は麻・・・真夏だというのに長袖・・・今時のモード系ではないが、仕立てと素材がいいのか、座り皺が綺麗についている・・・

歩く姿は背筋が伸び、腰から長い足が一歩、一歩と出てくる・・・

この娘がMさんか・・・それは、一度見れば忘れられない容姿、立ち姿でした!

「こんな娘が、リストカットマニアか・・・」

以下 ●●Mさん再来院●● は以下②に続く


2008.6.23 月曜日

自殺!

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:40:58

昨日まで、奇妙な自傷事件?11歳女児のリストカットならぬ、フェイスカットの話をさせていただきました・・・

自傷行為と自殺とはニュアンスは同じでも、似て非なるものであることは賢明なる皆さんにはお解りいただけることと思います!

自傷行為は字の如く、自ら自らの身体を傷つけるものであって、それは決して自らの死を目的にはしていない・・・

自殺でも、自殺と自殺未遂はやっぱり違います!未遂はあくまで、未遂!・・・もう、他人に迷惑を掛けることは止めましょう!

6月19日の医療ニュースで掲載しましたが ≪自殺、10年連続3万人≫ ・・・

その動機、構成年代は社会の情勢に合わせて変化しているようです。

しかし、この人数が多いのか少ないのか?

最近はネット上での自殺サイトなど、議論はさまざまです!

しかし、自傷行為、薬物中毒によって救急搬送される件数は驚きに値します。

つい先般も、九州の救急病院で、薬物中毒にて搬送された患者さまの嘔吐物から有毒ガスが発生した事件は記憶に新しいところです!

この患者さまは残念なことにお亡くなりになられましたが、どう考えてもその量、その薬では死ねないような薬物中毒の患者さまも多く見受けられます!

それ以上に多いのがリストカット、それも 「ためらい傷」・・・

診察すると、恥ずかしく、情けないことに、ナートもせずにテープのみの処置の方もいらっしゃいます・・・

それを考えると、11歳女児は大したものです!(褒めているわけではありませんから、あしからず)

さて、明日からは、記憶に残る自傷行為の話と薬物中毒の話をさせていただきます!

ちょっと、悲しい話と、笑える話です!乞うご期待!


2008.6.22 日曜日

通り魔 後書

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:34:40

●●いろんなことがあるものです●●

11歳女児の話を書き終えて、今更ながらに当時のことが思い出されます!

1回目に救急搬送されたときの女児の様子・・・傷は大したことがなかったけれど、何かに脅えるかのようなあの表情、体を硬直させ、ブルブルと体を震わせ、眼は天井の一点を見つめる・・・

そして1ヶ月後、2回目の救急搬送・・・顔面をカッターで15cm程切られる!しかし、何か達観したかのような、静かな微笑・・・そして傷は・・・なんと自傷行為!

理由は注目されたい?・・・・・それとも・・・・・

何はともあれ、1ヶ月間で女児にどんな心境の変化があったのか・・・

わかりません!

例え直接女児から話を聞いたとしても、私には女児の気持ちは理解できないでしょう・・・

でも、病院って本当にいろんな患者さまが来院されます・・・今日も、今この時間にも、全国の医療施設で何か奇想天外なドラマが起こっているのでしょうか?

自傷行為で顔を傷つけるということは、珍しいということですが?どれ程珍しいことなのか・・・?

できれば、専門の医師に話を聞いてみたいものです。どなたかそんなことを研究されている医師や研究者をご存じであれば教えてください。(私の後学の為に・・・)

さて、女児は今どうしているのでしょう?

もう今から5年も前のことですから、普通に生活していれば16歳・・・高校生ですね・・・

傷は目立たなくなったかな!

形成外科受診ちゃんとしたかな!

お化粧上手になって、お化粧で傷を目立たなくしているのかな!

何しろ立ち直って、普通に生活して、楽しい学生生活を送って、恋でもしてくれていたらいいなと思います!(勝手な願い)

まさか・・・自傷行為を繰り返していないことだけを願います!

秋葉原の事件のように他人を傷つけないからまだしも・・・どうか、周りにいる人達は女児を見守ってあげてください!

女児が今、幸福であることを祈ります!いやせめて、泣いたり笑ったり、勉強したり、クラブ活動をしたり同年代の子と同じような日々を過ごしてくれていることを祈ります!


2008.6.21 土曜日

通り魔 ⑫

●●事件の真相●●

静かに刑事さんは話始めました!

「女児が警察署に母親と一緒に来て、取り調べ室ではあまりにも可哀そうだから応接室を使ったんだよ・・・」

「前回もそうだったんですか?」

「そうなんだ・・・それで、傷が痛み始めたらしくてちょっと時間を置いて・・・その間に刃物、カッターの指紋を採取したら女児の指紋しかなくて・・・防犯ビデオ回しても、前日から事件の時間まで不審者らしき人影はどのビデオにも写っていない・・・もしかすると、やっぱり自傷かなと・・・婦警に話して・・・婦警もまさかと思っていたけれど、取りあえず聞いてみるということで・・・母親を部屋から出して聞いたら・・・」

「どうやって聞いたんですか?」

「お父さんお母さんにも言わないし、学校にももちろん先生にも言わないから、お姉さんに本当のお話聞かせてくれるかなっていったらしい」

「言ったら?」

「ケロッとした顔して自分で切ったって言ったんだって!」

「そんな簡単に自白?告白?自供?・・・」

「そういうこと・・・」

「なんで自分で?」

「一回目に襲われて切られた後、ご両親も女児に気を使ってお姫様扱い・・・何でも買ってくれるし・・・学校では悲劇のヒロイン状態・・・友達からは英雄扱い・・・先生は今までにないくらい優しいし・・・それが、1か月も経つと誰もそのことを忘れたかのように相手にしてくれないから・・・」

「その時のチヤホヤされたことが忘れられないから?・・・それだけ?」

「どうも、それが真相のようです・・・」

「でも、なんで顔を?」

「顔くらい切らないと、注目浴びないだろうって思ったらしい・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「笑えないでしょう・・・何だか屈折してますよね・・・こんな子供もいるんだって考えたら・・・」

「刑事さん・・・そんな世の中なんですか?」

「わからない・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

二の句が継げないどころか・・・絶句!

=完=


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