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医療・介護のよもやま話

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2008.6.20 金曜日

通り魔 ⑪

●●事件の翌日●●

朝、病院に出勤すると、職員全員が雀となって 「ちゅんちゅんちゅん・・・」 

医療従事者が患者さまのことを話題にすることは殆どありませんが、今回の件には皆衝撃を受けたようです!

もちろん、N事務長も・・・H先生も・・・

H先生が出勤すると、N事務長と、他の先生も含めて医局でミーティングとなりました・・・

「H先生・・・新聞読みましたよね?」

「もちろん・・・もしやとは思っていたけれど・・・絶句しました!」

「私も、同じです・・・まさかとは思っていましたが・・・本当にそうだったと知って・・・二の句が継げないとはこのことですね!」

「本当に・・・でも、自作自演はいいとしても、何故そんなことしたんでしょうか?」

「顔ですからね・・・女の子ですよね・・・将来があるのに・・・」

「うーん・・・多分傷は残ります・・・形成外科受診勧めはしましたが・・・それどころじゃないでしょうし・・・」

「1回目はどうなんでしょうか?」

「うーん・・・1回目は自作自演じゃないことを祈ります・・・」

「そうですよね!でも、1回目の時の様子は本当にショックを受けていたようでしたから・・・」

「確かにその通り、処置するのも大変だったから・・・」

「もしあれも、演技だったらアカデミー賞取れます・・・」

「どちらにしても、理由が知りたいですね!何故、顔を切ったのか・・・大学にも特異な症例として報告したいです・・・」

「多分、刑事さん内緒で報告してくれますよ・・・」

「そう願いたいです・・・」

そうこうする内に、午前の診察開始となり、H先生を始めととして医師達は、医局を出て各自の仕事に向いました!

その日の11:00頃、いつもの刑事さんが、事務長室にひょっこり顔を出してくれました!

「刑事さん、お疲れ様でした!今まで仕事でしたか?」

「そうなんだ!あの女児に昨日は振り回されたから・・・徹夜で事後処理だった・・・」

「ところで、H先生も私もどうして自傷行為をしたか、それも顔を切ったのか理由が知りたいんです!」

「そうだろうと思って寄らして貰ったんだ!随分捜査協力もして貰ったし・・・古畑事務長、いやN事務長にもヒントを貰ったからね・・・」

「いやいや、滅相もない・・・お恥ずかしい限りです!・・・それで?」

「ただし、これから話すことはN事務長とH先生だけの胸の中にしまっておいて下さい!」

「承知しています!刑事さんの独り言を聞いてしまったと・・・H先生の精神医学的な勉強の為と私の古畑N三郎としての今後の活動の為に・・・」

「ふざけずに、守秘義務はお願いしますよ!」

「はい、もちろん・・・」

「それでは、いいですか?」

「お願いします・・・」

以下 ●●事件の真相●● は⑫に続く


2008.6.19 木曜日

通り魔 ⑩

●●事件の顛末●●

刑事さんは、女児の自傷行為の可能性を示唆して警察署に戻っていきました!

H先生は、大学の精神科に電話を入れ、過去の自傷行為の症例を問い合わせしましたが、自傷行為で顔を傷つける症例は過去例がないとの返答を貰い、刑事さんに連絡を入れました!

女児は処置が終わり、母親が病院に到着するとともに、付き添っていた学校の先生と母親が入れ替わり、婦警さんと事情聴取のため警察に向かいました!

前回の2倍にも膨れ上がった報道陣は・・・警察が引き上げると同時に各社三々五々それぞれ次の取材場所に移動していきました!

その日の夕刊には当然のことこんな記事が・・・

≪11歳女児、学校内で何者かに顔面を切られる!≫ ○月×日、△時、○×小学校の女子トイレで、何者かに突然刃物で顔面を15cm切られる。女児はすぐに病院に搬送されるも重傷。警察は直ちに緊急配備を行うも犯人は現在も逃走中・・・

もちろん、小中学校のPTA緊急連絡網では・・・携帯メールで事件の概要が直ちに配信されていました!

○×小学校は、当然のことながら、全校生徒を早退、集団下校させました・・・

その晩、H医師とM事務長は緊急ミーティングを開催したことは言うまでもありません!

「H先生今日の件どう思われました?」

「確かに、N事務長のいうとおり、あの女児の落ち着き払った態度は前回とは大違いでしたね!」

「H先生、あの傷は痛いでしょ?」

「それは、間違いなく痛いはず!」

「でも、あの女児は痛いとか言ってなかったですよね!」

「確かにそうなんだ・・・何か達観したように一点を見つめて・・・微笑んでいたようにも見えた!」

「それは、私も感じました・・・」

「もし、刑事さんの言うとおり自傷行為だとしたら・・・」

「H先生・・・恐ろしいことですよね・・・」

「本当に・・・でも、自分で顔を切るなんて考えられない!」

「多分、明日の朝には新聞に続報が掲載さされるでしょうし、刑事さんも何らかの協力を言ってくるでしょうから・・・その時進展状況を聞いておきます!」

「事件の結末はどうであれ・・・真相を知りたいですね!」

「私もそう思っています!」

そんなこんなで、夜の緊急ミーティングはお開きとなりました。H先生、N事務長とも何か合点がいかず、そして普段はあまり患者さまのバックグラウンドを詮索しないにも関わらず・・・女児のことが気になってしょうがありませんでした!

翌朝、新聞を見ると・・・そこにはこんな続報記事が・・・

≪11歳女児が顔面を切りつけられた事件は、女児の自作自演!≫

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハア!

以下 ●●事件の翌日●● は⑪に続く


2008.6.18 水曜日

通り魔 ⑨

●●刑事さん動く●●

突然、自傷という言葉を発した刑事さん・・・自傷・・・自傷行為・・・そんなこと・・・

H先生が女児の処置を終えたら会議室に来て貰うように外来に連絡して、刑事さんから救急搬送の現状を聞かれました!いわゆる自傷行為の頻度、その時の患者さんの様子など・・・

確かに、そう言われるとリストカットをした患者さんは・・・本人は意外と落ち着いている・・・でも、付添の方々は動揺し中には泣き崩れる方も・・・

でも、リストカットならぬ、フェイスカットは聞いたことがありません!自分で自分の顔を切るなんて普通は考えられない!

そうこうする内にH先生が女児の処置を終え、会議室に現れました!

「H先生忙しいところすみません!」

「いえいえ、刑事さんも大変ですね!」

「まあ、お互いに仕事ですから・・・」

「そうですね!仕事です・・・」

「ところで、H先生、女児の様子はどうですか?」

「一応処置は終わりました!」

「傷はどうですか?」

「右頬、耳の下から口元まで15cmで、傷はは深いところで1cmというところですね・・・」

「結構・・・」

「凄い傷ですね!間違いなく跡は残りますね!なるべく傷が残らないようにしましたが・・・」

「女児は?」

「んー!それが落ち着いたもので、こちらが驚く程、精神的には安定しています!」

「そうですか・・・やっぱり!そうかも!」

「やっぱり?」

「H先生!刑事さん自傷の可能性を疑ってるんです!」

「自傷!エッ!自傷行為ねー!ウーン!」

「H先生可能性はどうですか?」

「ウーン!一般的に手首や腕、足、体までは経験ありますが、顔はないですね!」

「そうですか?」

「自傷行為で顔は聞いたことありませんし、普通は出来ませんよ!」

「そうですか・・・」

「自傷行為ね!何故?」

「時間的に犯人が逃走するのも少し無理があるし、犯人が学校内のトイレに隠れていたのも・・・、怨恨だとしても、女児がその時間にトイレに来る可能性は数%、違う犯人でたまたま同じ女児が被害に遭う確率は?」

「確かにそうですが・・・」

「自傷行為で顔を傷つける・・・聞いたことがない・・・」

「H先生、どなたかお知り合いで医学的、いや精神医学的に研究している方ご存じないですか?」

「ウーン・・・一度大学に聞いてみますけれど・・・連絡は?」

「出来ればこちらの電話番号にお願いします!」

「分かりました・・・でも、一般的には自傷行為で顔はありえませんよ!」

「そうなんですよね・・・」

「まあ、ご協力はしますが・・・」

「お願いします!でも、第三者の線ももちろん捜査は継続します!校内の防犯カメラの解析と凶器のカッターの指紋採取など出来ることはしておきますから・・・」

「第三者であって欲しいですね・・・自傷行為?それは・・・あまりにも恐ろしい・・・女児が顔を自傷?・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●事件の顛末●● は以下⑩に続く


2008.6.17 火曜日

通り魔 ⑧

医療・介護のよもやま話 — admin @ 10:14:43

●●刑事さんのつぶやき●●

女児の様子があまりにも前回と違うので何か別人のような気がするものの、あまりにも怖い顔をして天井を睨む刑事さんに話かけずにいると・・・

「N事務長・・・いつもお世話になりますね・・・」

「いえいえ、そんなことはありません!」

「今日は報道陣の数はどう?」

「前回の2倍はいそうです!」

「そうだろうな・・・学校内での事件だし・・・同じ女児が襲われたとなると・・・」

「刑事さん、同じ女児となると・・・怨恨ですか?」

「怨恨か・・・それもあるかも・・・」

「さっき、救急隊から事件の概要は聞きましたけれど・・・」

「また、N事務長が古畑になるんですか?」

「ただ・・・何か気になるんです・・・」

「気になる?何が?」

「女児の様子が・・・」

「そうですか・・・どういう風に?」

「あまりにも、あんな酷いケガをしているのに落ち着いていて、微笑んでいるようにも見えました!同一人物とは思えないんです!」

「N事務長は前回の処置の時も女児の様子見ているわけですね!」

「はい!それにしても顔を15cmも切るなんて尋常ではありません!あの傷は絶対に残りますよ!女の子なのに・・・」

「そうだね・・・顔15cmだよなー」

救急隊の話によると今回の事件の概要は・・・女児は2時間目が体育であった・・・クラスメートとともに体操服に着替え、そのあとトイレに行くと言って友達と別れた・・・授業が始まっても女児が校庭に出てこないので体育教師がトイレを見にいくと・・・顔を切られた女児が血まみれで倒れていた!・・・凶器はカッターで女児の傍らに落ちていた!・・・というものでした・・・

「凶器はカッターですか?それに前回と違って明るい時間だから女児も犯人の顔見てますよね!」

「まあ・・・そういうことだね!」

「それで犯人は?」

「今、非常線と検問かけてる!」

「早く捕まるといいですね!」

「ウーン!犯人ね・・・」

「どうしたんですか?」

「いや別に・・・」

「刑事さん何か聞きたいことあるんですか?」

「N事務長、医師に聞きたいことがあるんですが・・・後でH先生呼んでくれませんか?」

「いいですが・・・何か不審なことでも?」

「自傷かも・・・」

「エッ!自傷?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●刑事さん動く●● は⑨に続く


2008.6.16 月曜日

通り魔 ⑦

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:08:49

●●ストレッチャーに横たわる女児●●

1か月前に、通り魔に右腕を刃物で切られた女児がストレッチャーの上に横たわっています!

何故?本当に同一人物?

婦警さんに再度確認を取ろうと横にいる婦警さんを見ると女児を凝視しています!

その視線に誘われるようにN事務長も再び女児を見ると・・・

その時女児は・・・

1か月前の体を震わせ、まともに口も聞けず、ケガをした右腕を左手で抱え、何かに怯えたような眼をしていた時とは別人のように落ち着いています!

1か月前とは比べようもない程の大ケガであるのに・・・

右頬、耳の下から口元まで15cmもあるキズなのに・・・

何か眼が笑っています・・・微笑むように・・・落ち着いているようにも見えます!

泣き叫ぶこともなく・・・痛みに堪える様子もなく・・・静かな微笑!

「あのー!婦警さん?」

「は、はい!」

「本当に、この前の女児と同じ子ですか?」

「そうです・・・」

「そうですよね・・・」

「どうしてですか?」

「先日の時とは別人のように見えます・・・」

「どのように違いますか?」

「あまりにも、落ち着き過ぎています・・・」

「そうですか?」

「痛いと思うし・・・顔ですよ!・・・11歳の女の子ですよ!」

「そうですよね・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

処置がはじまりました!消毒して、ナートします!先生女の子の顔だから丁寧に傷跡がなるべく残らないようにしてあげて下さい!お願いします!

処置が始まったので、救急処置室を出て会議室に婦警さんを案内しました!

そこには、待機場所としてお貸しした会議室には、いつもの刑事さんが、いつもより怖い顔(もともと怖い顔なのに鬼の形相)をして天井を睨んでいました!

以下 ●●刑事さんのつぶやき●● は⑧に続く


2008.6.15 日曜日

通り魔 ⑥

医療・介護のよもやま話 — admin @ 14:09:09

●●一ヶ月後再び!●●

結局のところ女児を刃物で傷つけた犯人は捕まらず、また、女児の怪我も軽傷であったため2~3日は話題になったものの女児は周辺でどうかはわかりませんが、その後一般の人達の間では話題にも上らなくなりました・・・

昔は≪人の噂も七十五日≫なんて言われましたが、最近では≪人の噂も2~3日≫のようです!

しかし、事件はここで終わりではありません・・・

普段通り、日々の業務に追われていたある日・・・そう、女児の事件から1か月程経ったある日の午前中のことです・・・

「プルプル」 (かちゃ)

「救急搬送依頼です・・・」

「何か特別な依頼ですか?」

「はい・・・」

「どうしたの?」

「○×小学校内で、11歳女児が何者かに刃物で切られたそうです!」

「またしても?11歳女児?」

「傷は?」

「右の頬、耳の下から口元まで15cm程の傷だそうです・・・」

「それは凄い傷だね・・・」

「いつもどおり、C搬送でいいですか?」

「はい、そうして下さい!先日のこともあるから、警察及び報道陣の対応は私がします!今から正面玄関に出ます!」

「よろしくお願いします!」

「院内には事務から連絡回してください!」

先日と同じように狙われたのは11歳の女児・・・それも、小学校の中での犯行とは・・・これは、先日以上の大騒動になるな!

取りあえず、警察待機用に会議室を手配し、報道陣の対応のために男性職員を正面玄関に立たせるなどばたばたと準備をしていると・・・

「ウーーーー、ウーーーー・・・」「ピーポー、ピーポー・・・」 (パトカーと救急車のアンサンブルです)

警察のパトカーが先導して、救急車、覆面パトカー、30m程おいて数台の報道陣の車がやってきます・・・

「凄い台数だね!」

「壮観な眺めですね・・・まるで西部警察みたいです・・・」

「まあ、そんな呑気なことも言ってられませんよ!」

「はい!」

「君は一般の患者さまの誘導と、報道陣の院内立ち入りを阻止してください!私は警察の方と被害者の方を誘導しますから!」

「はい!」

救急車が救急搬入口に横づけされると、すぐさま他の車がそばによれないようにカラーコーンを張り巡らし、警察車両をカラーコーンの外側に停車して貰いました。報道車は後から続々と到着しましたが、到着前に救急隊、救急当番医師、看護師達によってあっという間に救急処置室に搬入を終えました・・・私も被害女児の顔さえ見ない内に・・・

報道陣といつものように、院内に入れろ、お待ちくださいなどと一悶着していると・・・いつもの刑事さんが現れました・・・

「御苦労さまです・・・」

「N事務長・・・ちょっといい?」

「えっ!何ですか?」

「また、会議室借りていい?」

「はい、用意してありますよ!」

「ありがとう!それと、この婦警を救急処置室入れて貰っていいかな?遠くから見るだけでいいから・・・」

「あっ、まあいいですが・・・邪魔にならないように遠目になりますよ?」

「それでいいです!よろしく頼みます!」

そう言った刑事さんの顔が何か浮かぬ様子であったこと、何か腑に落ちない顔をしていたことの理由は婦警を連れて救急処置室に入って解りました!

救急処置室に入ってストレッチャーに横たわっている女児の顔、半分は止血のためにガーゼで覆われていましたが・・・確かに見ました・・・そこに横たわっている女児は・・・

1か月前に何者かに襲われて右腕を切られた女児その子ではないですか!

「んっ!婦警さん!あの子?」

「そうなんです・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●ストレッチャーに横たわる女児●● は以下⑦に続く


2008.6.14 土曜日

通り魔 ⑤

医療・介護のよもやま話 — admin @ 17:43:32

●●H医師と刑事さん●●

女児が何者かに襲われ右腕を刃物で切られた事件の翌日、犯人は未だに逃走中ということです・・・

担当の刑事さんは、女児の傷の状況などを詳しく調べるために病院にお越しになりました!処置を担当したH医師との会話を再現します!

「初めましてではないですよね!H先生!」

「そうですね、刑事さん!以前にお目にかかっていますね!」

「刑事さん!H先生何か悪いことしたんですか?」

「N事務長!H先生には以前にも容疑者の診察やら何やらで署として随分お世話になっているから!」

「あーそうでした!そうでした!もう、茶々入れませんからお二人でお話進めてください!」

「H先生のご意見をお伺いしにまいりました」

「わかりました」

「傷の程度などを詳細にお聞きしたいと思います」

「傷は切創、深さは深いところで1cm、長さ3cm、右腕上腕三頭筋いわゆる力こぶが出来る筋肉の裏側を上から下に向けて刃物で切られていました」

「そうですか・・・」

「そのことは、婦警さんにもお話しましたが・・・」

「そうなんですが・・・」

「他には?」

「搬送後の女児の様子はどうでしたか?」

「そうですね・・・私の見たところでは・・・重度のショック状態でした!」

「話は出来ましたか?」

「ほとんど出来ませんでした!」

「どんな感じでしたか?」

「もう、ぶるぶる震えていて・・・ケガをしている右腕を左手でぐっと押えて固まっている状態でした」

「そうですか」

「処置を始める前に体の力を抜かせて・・・左手を右腕から離させるのに手間取っていました!」

「そうですか・・・」

「それが何か?」

「いやいや・・・」

「傷の場所なんですが・・・」

「場所ですか?」

「はい、その傷の場所ですと第三者が傷付ける以外に可能性は?」

「そうですね、自傷では少し無理があります!」

「そうですよね・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「何か御不審な点でも?」

「いや、いろんなケースを考えて・・・可能性はどうかなと思っただけです・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「何しろ、目撃者がいなくて・・・女児の言い分を聞くと・・・自転車に乗っていて、肩を掴まれて引きずり倒され刃物で切られたと・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・それが何か?」

「いや、検問にも、非常線にも犯人らしき人物がかからなかったので、少々焦り気味ですかね・・・」

「刑事さん私も小学生の女の子の父ですから、早い事件の解決をお願いしますよ!」

「そうですね・・・」

こんなやり取りがなされていましたが、この時刑事さんは一体何を考えていたのでしょうか?

以下 ●●一ヶ月後再び!●● は以下⑥に続く


2008.6.13 金曜日

通り魔 ④

●●事件翌日●● 

昨日は久し振りに病院中が大騒動でした。

女児の処置が終わると、警察が動きだしました。警察が動くと報道陣も動く・・・あっちに動きこっちに動き・・・

女児を警察まで移送するのに大変な騒ぎです!うまく裏口からご両親とともに車に乗せ無事病院脱出!

さて、平静を取り戻した病院内では、雀たちが 「ちゅんちゅんちゅんちゅん」 患者さまたち自分の病気のことだけ考えてくださいね!

翌朝、早速新聞に目を通すと・・・地方面のトップに載っていました!

≪○月×日18:00頃、○×市・・・の路上で塾から帰宅途中の女児11歳が何者かに刃物により切りつけられる・・・犯人は現在逃走中・・・≫

なるほど・・・まだ捕まってないんですね!

その日の午後・・・

「プルプル」 (かちゃ)

「N事務長!○×警察の方がおいでになってます!」

「わかりました!会議室にお通しください!」

会議室に行くと、いつもの刑事さんと相棒の若い刑事さんが待っておられました。

「御苦労さまです!まだ、犯人は捕まってないようですね!」

「N事務長は言いたいこというな!これでも、昨日から一睡もしてないんだぞ!もう、眠いとも言ってられない状況だよ!」

「いえいえ、本当に御苦労さまです。地域の小中学生の親に成り代わりまして事件の一刻も早い解決をお願いします!」

「そうだな!警察もこの手の犯罪は早く解決しないと・・・」

「署内での立場や、府警本部もウルサイと・・・」

「そのとおり・・・」

「それで、今日は何をお手伝いすればいいですか?」

「あのとおり、女児は精神的なショックが強くて、警察でも何も喋れなくてね・・・」

「事件の細部が分からないと・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「搬送後の女児の状況と、傷の手当をした医師、看護師にもう少し話を聞きたいと・・・」

「そうです!今日は明智君ですか?それとも古畑?」

「古畑にしておきましょう・・・早速H医師を呼びます!」

「H医師には・・・」

「昨日、多分明日警察に協力することになると言ってあります!」

「さすが、古畑もどき!」

「もどきとは失礼な・・・」

「ははは、それでは早速H医師に話を聞かせてもらいましょう!」

以下 ●●H医師と刑事さん●● は⑤に続く


2008.6.12 木曜日

通り魔 ③

医療・介護のよもやま話 — admin @ 11:00:40

 ●●事件の全容●●

通り魔に襲われた女児の処置も済み、ご両親も病院に駆け付け医師からケガの状態、処置について説明を受けていますから、あと病院がすることは・・・

警察と報道陣の整理(?)だけです!

とりあえず報道陣は昔のスピッツのように 「キャンキャン」 とウルサイからほっといて、警察の人達にお話聞くことにします・・・

待機部屋として貸した会議室に行くと、なんだか警察の部屋のようになっていました!

無線で話す警察官、携帯で話している刑事さん・・・

顔見知りの刑事さんのところに行き話掛けました!

「刑事さん、診察と処置終わりましたよ!」

「あー、付添の婦警から聞いた!」

「あのご両親に付き添っていた女性の方は婦警さんなんですか?」

「そうだよ!被害者が女の子だからね!」

「いろいろと気を使われるんですね!」

「そう、病院と一緒で警察もそれなりに対応しないと世間からすぐ叩かれるからね!」

「笑えないですよ・・・」

「そうだね・・・」

「ところで、やはり通り魔による事件ですか?」

「断定できないけれど、そうみたいだね!」

「犯人は?」

「それが、全市に検問かけているけど・・・」

「網に掛からない・・・」

「まあ、そんなところだね・・・」

「もう、外は暗いし大変ですね?」

「そうだね、警察も必死なんだけどなー」

「凶器はナイフみたいですね!」

「多分ね!」

「でも、傷は浅かったからあまり切れ味のよくない刃物?」

「おいおい、N事務長は金田一か?」

「ははは、すみません・・・」

「まあ、これ以上は捜査上の守秘義務ということで・・・」

「最後に一つ!これは、カルテに書かなきゃいけませんから教えてください・・・医師からも簡単に聞いてくるよう言われましたので!」

「事件の概要?」

「そうです!」

「6時頃、被害者が塾の帰りに自転車に乗っていた。暗がりで後ろから誰かに引き倒された。びっくりして暴れたら刃物で右腕を切られた。このくらいでいい?」

「なるほど・・・目撃者は?」

「いないんだよ・・・」

「通りがかりの人が女の子が助けてと言って、泣いているのを見つけて通報・・・」

「うんうん・・・」

「いかん、喋りすぎた・・・内密にな!」

「はい、承知しています!でも右腕の切創以外は軽い打撲ですから・・・暴行された様子もないですし・・・可哀そうですけれど、この位のケガで済んで、ある意味よかったといえばよかったのかな?」

「まあ、そうだね・・・」

「取りあえず、頑張って犯人の検挙お願いします!」

「そうだね・・・」

「でも、連絡すごいですよ!」

「何の?」

「学校の非常時の連絡網!」

「そうなの?」

「この病院の小中学生のいる看護師全員の携帯にメール届いてますよ!」

「なんて?」

「6時頃、○○学区で通り魔事件発生、犯人は逃走中、被害者は小学生、児童の外出要注意!ですって!」

「まあ、池田小学校の事件以来警察と学校は連携してるからね!」

「そうですね・・・」

「もういいかな?」

「はい、また何かあったらご連絡ください!ご協力いたします!」

「多分明日ケガの状態とか詳しく聞きにくると思うから・・・」

「担当医師に伝えておきます!」

「担当医師はH先生?」

「そうです!」

「H先生に宜しくお伝えください!」

「はい」

刑事さんは、その日は警察に戻って、女児から事情聴取をしなければならず、これ以上刑事さんに事件の内容聞くのは止めました!犯人早くつかまるといいですが・・・

以下 ●●事件翌日●● は④に続く


2008.6.11 水曜日

通り魔 ②

●●痛ましい女児●●

サイレンとともにパトカーに先導されて救急車が到着しました。その後も覆面パトカーが2台到着しましたから・・・救急隊員3名+制服警官2名+刑事4名+患者さま1名、計10名さまの大所帯での来院です!

居合わせた患者さまたちが何事かとざわめく中、患者さまは取りあえず救急搬送入口より無事救急処置室に搬入できたようです!

その後、女児のご両親も駆け付けられました!

取りあえず、外来を落ちつけようと出て行くと・・・顔見知りの患者さまから 「どうしたの?・・・なんだ?・・・事件か?」 などと雀たちがちゅんちゅんと寄ってくる始末・・・そうこうしていると・・・

「N事務長!」

と呼ばれる方に振り返ると、顔見しりの刑事さんが・・・

「すごい、人数ですね・・・」

「ちょっと多かったかな?」

「そうですね、もしよろしかったら会議室使ってください!」

「そうだね、診察時間はすることないから、そうさせて頂くよ!」

まずは、警察ご一行さまを隔離成功!・・・すると今度は医事課が飛んできます!

「N事務長、テレビ局が数社来て、取材させてくれと言っています!」

外を見ると3台ばかり、大きな取材車が停まっています!報道クルーはすでにテレビカメラを肩に担ぎライトで病院を照らしはじめています!

「取材の代表者はどなたですか?」

「あちらの男性だと思います!」

「わかりました!行きましょう!」

「○○テレビの××ですが、被害者の状態を教えて頂けますか?」

「今、治療中ですし、患者さまは未成年の方ですのでもう少しお静かにお願いできませんか?」

「カメラ回させていただいてもいいですか?」

「申し訳ありませんが、院内の撮影は許可出来ません!」

「そこを何とかなりませんか?」

「他の患者さまもおいでになりますから!」

とか、なんとか言い繕い取材陣は病院の外に追い出しました・・・さて、女児の状況はどうでしょうか?

救急処置室に入っていくと、女児のご両親に担当医師が話をしています!ストレッチャーの上には女児が寝かされています!外来師長に目くばせするとこちらに来てくれました・・・

「どうですか?状態は?」

「ケガは大したことないですけど・・・あのとおり精神的なショックが・・・」

「ほんとですね・・・」

ストレッチャーに目を向けると女児がガタガタ震えているのが判ります!女児の両側に看護師が付き 「大丈夫だよー」 とか 「頑張ったねー」 などと言いながら頭を撫ぜたり、ケガをしていない手を握っています。

「処置は済みました?」

「ええ、6針ナートしました」

「あとは?」

「打撲とかはありますが・・・それ程重症ではないです!」

「それは何よりですね!」

「あとは、心のケアです・・」

再度女児に目を向けると、女児と視線が合いました・・・そこには何かに脅える目が、恐怖を感じた目がありました・・・確かにそう感じました・・・

以下 ●●事件の全容●● は以下③に続く


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