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医療・介護のよもやま話

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2008.8.31 日曜日

医療訴訟30

医療・介護のよもやま話 — admin @ 20:29:21

●●Aさんの申し出●● 

Wさん一家は、あまり冷静に話をが出来る人がいないため、亡くなったWさんと懇意にしていて、息子さんも小さい頃からよく知っているAさんが、家族の思いを伝えにきましたが、やはり、空回り・・・

空回りというよりは、Wさんの家族と病院の主張が咬み合いません・・・

いつものことで、言った言わないの押し問答になるのは、不毛な時間を費やすだけなので、避けたいなと思っていると、何かAさんから提案があるようです。

「Aさん、法的手段といっても、医療訴訟を起こすつもりなんですか?」

「そうみたいですよ」

「そうですか・・・でも、それこそ時間の無駄ですよ!」

「N事務長から見て、正直なところどうだ?」

「どうだと申しますと?」

「どちらの意見がとおると思う?」

「100%病院の勝訴となりますね」

「そんなものか?」

「間違いなく・・・」

「随分自信があるようだね」

「そうですね、するべきことはきちんとしていましたから」

「言い切りますね・・・」

「当然です」

「ということは、訴訟を起こしたら、病院にとって時間の無駄というわけですね」

「病院だけじゃないと思いますけれど・・・それに、費用も無駄です・・・」

「結構掛かるかな?」

「Aさんはよく知っていらっしゃるはずですよね?」

「どうかな・・・」

「それで、Wさんの家族を納得させる方法でもあるんですか?」

「そうですね・・・これは、私とN事務長だけの話にしてくれるかな・・・」

「そうさせて頂きます」

「N事務長は、もう気付いていると思うが・・・
W一家は猪突猛進というか、思慮が足りないというか・・・
兎に角、後先を考えずに行動を起こす悪い癖がある。
そこで、私が間に入って、今回の件は納得させてしまうという手もある。
その場合は、もちろん、私へは謝礼を頂きますよ」

「Aさんが、病院に代わってWさん一家を納得させていただけると・・・
その対価を、病院がAさんにお支払するということですか?」

「まあ、簡単に言えばそういうことかな」

「成るほど・・・でも、病院はきちんとした医療をして、でも、残念なことにWさんが亡くなられた訳ですからから、その条件は呑めません」

「そうか・・・私が一肌脱ごうかと思ったけれど、無理か・・・」

「有り難いお申し出ですが、病院としては、出しどころがハッキリしないお金を出すことは出来ませんから」

「そうか、分かった・・・」

やはり、そうきましたか・・・でも、これだけでは終わらないはずです・・・

以下 ●●Aさんの本業●● は以下31に続く


2008.8.30 土曜日

医療訴訟29

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:18:34

●●Aさん家族を代弁する●● 

さて、ねずみ先輩の年長者、代表でもあるAさんが、その弟分?(本人曰く息子みたいなものだそうですが・・・)の家を代表して話をしに来ます。

でも、よく考えると、これっていいのかな?
幾らWさんご本人が亡くなられたと言っても・・・
血縁者でもなく、法的な後見人?でもないわけですから・・・
でも、息子さんがあのキャラクターですから、しょうが無いか・・・
息子さんとは話できませんから・・・

でも、意外とAさんがこの話をややこしくしていたりして・・・
などと考えているうちに、Aさんが病院に着いたようです。

「プルプル」 (かちゃ)

「N事務長、ねずみ先輩の親分がお見えです」

すっかり、みんなにこの呼び方が定着してしましました・・・

「そうですか、Aさんですね?お客さまをそんな呼び方してはいけませんよ!」

「・・・・・・・・・・よく言いますね・・・どちらにお通ししましょうか?事務長室に連れて行きましょうか?」

「・・・・・・・・・・それって、逆襲?・・・相談室にお願いします」

最近の若いものは、見事な切り返しをしてきます・・・我儘な患者さまたちに鍛えられているだけあります。

「Aさんご足労頂きましてすみません」

「いえいえ、こちらこそお時間取らせて申し訳ない」

「それでは、早速お話お伺いします」

「そうだな、話は早く切り上げたいしな」

「それで、ご家族の方々は何とおっしゃっておられますか?」

「ご想像のとおり、納得出来ないみたいだな」

「そうですか・・・それでどうしろと?」

「どうしろと言うわけではないが、納得いく説明が欲しいと言っている」

「先日の説明では、納得頂けないと言っておられるわけですか?」

「入院に至るまでの経緯についてはね」

「外来診療以外にも納得できないんですか?」

「まあ、Wが死んでしまったから、何をどうしようとも納得しろというのが無理かもしれないが」

「そうですか・・・しかし、外来診療についてはご説明のとおりです。ご本人の同意がなければ、診療はできません」

「しかし、そうじゃないと家族は言っておるぞ?」

「まあ、ご家族がそうおっしゃっても事実は変わりません」

「どちらが、本当なのか・・・」

「こういう場合は、いつも言った言わないになりますけれど・・・」

「そうだね・・・」

「入院治療につきましても、いつでもご説明は申し上げます」

「説明か・・・」

「それでは、他に何かいい方法がありますか?」

「家族は納得出来なければ、最終的には法的手段に訴えると言っているんだ・・・」

「そうですか・・・まあ、それでご家族が納得されるのであれば、受けて立つしかありませんね」

「いいのか?」

「いい悪いではなくて、しょうがないですね」

「そういうものか?」

「そういうものです」

「そうか・・・」

「Aさん、何か、他にいい方法でもありますか?」

「そうじゃのう・・・」

以下 ●●Aさんの申し出●● は30に続く


2008.8.29 金曜日

医療訴訟28

医療・介護のよもやま話 — admin @ 23:00:13

●●Aさんからの連絡●● 

外来診察の経緯を2人に話ましたが、案の定、息子さんは納得されませんでした・・・
最終的には言った言わないの押し問答になってしまうのが常。
まあ、いつものことです・・・

さて、これからどんな展開になっていくのやら・・・

2人が病院から引き揚げた翌週の月曜日、早速Aさんから連絡が入りました。

「プルプル」 (かちゃ)

「N事務長、お電話です」

「どなたかな?」

「ねずみ先輩軍団ですよ」

「一番年上の?」

「ビンゴ!」

「ビンゴって、君も随分古いね」

「そんなことより、お電話お待ちですよ」

「はいはい、代わります」

さて、何を言ってくるのやら・・・

「お待たせしました。事務長のNです。」

「Aです」

「先日は、ご苦労さまでした」

「いやいや、こちらこそ」

「本日のご用向きは?」

「そうそう、そのご用向きなんですが」

「えっ!」

「一度、ゆっくりN事務長と刺しで話がしたいんだが」

刺しですって、ついに本性現わしましたか・・・

「ええ、私は構いませんが・・・」

「Wが居ると、あいつは煩いからな、ハハハ・・・」

「そうですか?」

「N事務長だって、そう思っているだろ?」

「まあ、何とも言えませんね」

「兎に角、W家の思っていること、考えていることを代弁させて貰います」

「そうですか・・・それで、何時がいいですか?」

「N事務長さえ良ければ、今からでも病院にお伺いしますよ」

「そうですか、それではお待ちしています」

終に来ました。その時が・・・家族の意向とやらを聞かせて貰いましょう・・・

以下 ●●Aさん家族を代弁する●● は29に続く


2008.8.28 木曜日

医療訴訟27

医療・介護のよもやま話 — admin @ 14:32:14

●●外来診察の経緯を聞く2人●● 

Wさんの外来診察の経緯を話すために相談室に向かったAさんと、Wさんの息子とN事務長・・・
2人は、話をすんなりと聞いてくれるのでしょうか・・・

「Aさん、先日言われていました、Wさんの外来診察の件ですが、報告させていただきます」

「大体、連絡が遅いんだよ!」

「はあ・・・」

「オマエが返事しないから、今日こうやってわざわざ病院まで出向いたんだよ!」

「Aさん、そうなんですか?」

「いやいや、私も今日ぐらいには返事貰えるだろうとは思っていたんだが・・・」

「Aさん、事務長に本当のことを言ってやれよ!Aさんも返事が遅いと思っていたって!」 

「コラッ!いい加減にせんか!W家は、皆揃いも揃って、気が短いからな!」

「Aさん、返事にはお時間頂戴しますと言ってありましたはずですが」

「まあまあ、N事務長も些細なことは気にせずに報告を聞こうじゃないか」

なんだか、やっぱりこの2人は息が合ってます。
何だか打ち合わせをしてきたみたいです。

「早く、病院の言い分とやらを聞こうじゃないか!」

「言い分ではありませんよ。
病院として、把握している事実をお話しますから」

「本当のこと言えよ!」

「ですから、嘘など言いません。我々は医療従事者としてのモラルに則り、病院内での事実だけをお話させていただきます」

「分かっていますよ、N事務長・・・Wの言うことは気になさらずに、お話続けてもらいましょう」

「まず、Wさんは、入院までに3回外来診察にお越しになっています」

「それは、知ってるよ!」

「W、チャチャを入れるな!・・・続けてください」

「初めて来られた時は、お一人で来られて、本人が風邪薬をくれと言われたそうです」

「そうなの?」

「はい、それで、念のために検査をしようとお伝えしたら、ご本人さまから今日はいいと言われたということです」

「それで?」

「2回目に来られた時は、奥さまとご一緒のようですが、検査並びに、診察も拒否されたということです」

「拒否するはずがないだろう!診察室に入っているのに!」

「そうではなくて、いつも診察をしている、当院の内科部長の診察を受けなさいと打診したけれど、いいとお断りになられたということです」

「そんなはずはないだろ!オレの母親が担当の医師に体調悪いから入院させてくれって言ったけれど、断られたと言っているんだぞ!」

「申し訳ありませんが、そのような事実はなかったと、担当医師も担当看護師も言っております」

「それは、オレの母親が嘘を言っていると言いたいのか!」

「嘘だとは言っておりません。そのような事実はないということをお伝えしているだけです」

「同じことじゃないか!」

「そして、3回目に月曜日に来られた時の担当がO医師で、あまりにも体調が悪そうだったので、レントゲン撮影などをして、入院となったということです」

「だから、なんで、2回目の診察のときに、入院させてくれと言ったのに、拒否したのかと言ってるんだ!」

「ですから、そのような事実は確認出来ません」

「やっぱり、何か隠してやがる!」

「何も隠してはおりません」

「Aさん、やっぱりコイツに聞いたのが悪かったな!」

「N事務長、今のお答は病院としての正式な回答と思っても宜しいですか?」

「はい、事実だけをお答させていただきました」

「そうですか・・・これは、随分双方の言い分が違いますね・・・困ったもんだ」

「そうですね・・・」

「Aさん、一旦、帰ろう!」

「そうだな、お前の母親にも、もう一度話を聞かなければな・・・」

「そうして頂けると、私も助かります」

「それでは、改めて私の方から連絡を入れさせていただくから・・・」

「わかりました」

ということで、その時の報告?話は終わりましたが、どうも母親のいうことと病院の言うことの溝は埋まりそうにありません。
次は、どんな話をしてくるやら・・・

以下 ●●Aさんからの連絡●● は28に続く


2008.8.27 水曜日

医療訴訟26

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:38:11

●●Aさん再登場●● 

Wさんの外来診察の経緯をY、S両医師から聞き、仲裁?に入っているAさんに連絡をしようと思っていると・・・

Wさんの息子さんが病院に乗り込んできました。
そして、Aさんがあたかも偶然のように登場します・・・

「W、何大きな声出してるんだ!静かにしろ!」

「Aさん、この事務長が俺に喧嘩売るからだよ!」

「オマエは何処でも、誰でもすぐに噛みつく・・・悪い癖だ・・・」

「Aさん、こんにちは」

「こんにちは、N事務長、お騒がせしてすまないね」

「そうですね・・・お気持ちは解りますが、少しやり過ぎですね」

「確かに・・・」

「これ以上続けば、我々も別の方法を考えなければなりません」 

「べつの方法?それはあまり穏やかじゃありませんな・・・
今日のところは、私の顔を立てて貰いましょうか」

「今日のところは、そうさせて頂きます」

「頼みますよ・・・」

「ところで、Aさん、今日はどうされたのですか?」

「いやいや、Wの家に行ったら、奥さんが病院に行ったと言うから様子を見にきたら、この有様・・・」

「そうですか、私もちょうどAさんに連絡をと思っていたところです」

我々の会話を、Wさんの息子は不貞腐れた顔をして聞いています。
でも、その眼はギラギラして容赦なくN事務長を睨み続けています。

「Aさん、ちょうど先日のご依頼の件の報告をしようと思っておりましたので、お時間ありませんか?」

「Wも一緒でいいかな?」

「もちろん結構です。ご家族さまにも聞いていただいた方がいいと思います」

「W、一緒に聞くか?」

「Aさんさえ良かったら、望むところだ!」

「そういう挑発的な物言いをするな!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「それでは、あちらに行きましょう」

2人を連れて、相談室に向かうと、野次馬の患者さま達は、散り散りになりました。
Wさんの息子さんは相変わらず、すれ違う病院職員を上から下まで、ギラつく眼で舐め回し、何か因縁をつけたそうな素振りをしています・・・

以下 ●●外来診察の経緯を聞く2人●● は27に続く


2008.8.26 火曜日

医療訴訟25

医療・介護のよもやま話 — admin @ 12:47:15

●●息子さん再登場●● 

Y医師、S医師から入院に至るまでの経緯を確認し、E内科部長との相談の結果、ご家族さまへは出来うる限りの精神的な援助をしていくことになりました。

しかし、考えものです。
患者さま本人は無駄なお金を払いたくないから、検査はいらない。
「自分の体は自分が一番知っている」と言われたら、医師といえども手の施しようがない。
本人の意思を無視して、医療は出来ない・・・
でも、その本人が居なくなってしまったら・・・
後は、家族が残る・・・
家族と本人の思いが違う・・・
家族には、診察室の中での会話は解らない・・・
だから、納得出来ない。
これは、必然の結果です。

じゃあ、患者さまの家族を納得させるための方策は?

カルテに外来診療の内容、患者さまとの会話についての記載は絶対に必要でしょう。
医師が必要と思う検査を患者さまが拒否した場合は、そのことを家族に相談することも必要?

そんなことは、解っていても患者さまのキャラクターで、出来ないことも・・・
おせっかいと言われることもあるかも・・・
でも、これはしなければいけないのでしょう。

さて、Y医師、E医師からの情報収集も終わり、Aさんに診察経緯の報告をしなければいけないなと思っていると・・・

「プルプル」(かちゃ)

「N事務長!すぐ受付にお願いします!」

「どうしたの?」

「あの・・あの・・ねずみ・・・」

「ねずみ先輩?」

「そうです・・・今、受付でN事務長を呼べって・・・この人殺し病院って、大騒ぎしています!」

「あーそうですか・・・じゃあ、今いきますから」

早速、Wさんの息子さん登場です・・・
いつもながら、エネルギーの有り余った登場のようです。

受付に行くと、受付は黒山の人だかり・・・
その中心にはWさんの息子さん・・・
回りは外来患者さま・・・
そこで、Wさんの息子さんは、この病院で父親が殺されたと騒いでいます・・・
もうちょっと、まともな登場の仕方はないのかな?
これは本当に、仕方のない人です・・・
仕方ありませんね(しょうがないですね)

「Wさん、どうされましたか?」

「オッ!人殺し病院の事務長のお出ましだ!」

「それは、聞き捨てならない物の言い方ですね」

「それがどうした!本当のことを言って悪いのか?」

「お父様がお亡くなりになられたことは、残念に思いますが、その死因は当院の治療に因果関係があるということですか?」

「当たり前だろ!」

「まあ、分かりましたから・・・ここでは、話も出来ません・・・場所を変えましょう」

「ここで話すとまずいことでもあるのか?」

「そう言うわけではありませんが、他の患者さまの迷惑になります」

「そんなことは、関係ない!」

「こちらは、残念ながら・・・大いに関係がありますので」

「喧嘩売っているのか!」

「そうではありません。ここは受付です。さあ、別の場所に移りましょう」

と言って、息子さんの腕に手を掛けると・・・ 

「何しやがるんだ!俺に触るな」

と、腕を払いのけます・・・

「さあさあ、あちらに行きましょう」

と背中を押すと・・・

「俺の体に触るな!」

とまたしても、腕を払いのけられます。

「さあさあ、皆さん道を開けてください!」

と集まっている患者さまを散会させようとすると・・・
遠くから、大きな声が聞こえました・・・

「W、何大きな声出してるんだ!静かにしろ!」

あの声は・・・Aさん?

以下 ●●Aさん再登場●● は26に続く


2008.8.25 月曜日

医療訴訟24

●●E部長のWさん評●● 

Y医師、S医師から診察の状況を聞くと・・・
概要はこんな感じでしょうか

①両医師とも検査等をしましょうと、Wさん本人に打診している。
②Y医師は、お金が無いからという申し出に仏心を出す・・・
③S医師は、非常勤医師であり、前回診察時に常勤Y医師が診察しており、それ以前にいつも診て貰っていたE部長の診察を勧めるが本人に断られる。これも仏心?
④両医師とも、本人からの訴えがないから、重篤な状態との認識がない。
⑤外来カルテの記載が不十分

ということでしょうか。
あまり、外来診療担当医師とWさんの間に、いい関係が持てなかったようです。

それでは、以前にいつも診ていたE内科部長はWさんのことをどう見ていたのでしょうか?
もちろん、入院中も主治医のO医師を陰から支えていたのは、E内科部長ですから・・・

医局にて

「E先生、Wさんおことなんですが・・・」

「息子さん、まだ騒いでいるらしいね・・・」

「そうなんです」

「結局、何が問題なのかなー?」

「どうなんでしょうか・・・入院中はそれなりに、信頼関係もあったわけですよね?」

「そうですね・・・
O医師とご家族さまの関係を見ていて、大丈夫かなとは思っていましたが・・・
それなりの信頼関係はあったかな・・・
まあ、あのキャラだから・・・
でも、病状の説明や、今後の治療方針に対して、少し理解力に欠けるところはありましたね」

「そうですか・・・」

「でも、あの家族に限ったことではないですから・・・」

「確かに、そう思います。ところで、E先生は今までも数回Wさんの診察されてましたよね?」

「そうだね・・・今回の入院以外は、ほとんど私が診てますね」

「Wさんは、どんな方だったのですか?」

「一言でいえば、無口」

「無口ですか・・・」

「寡黙、良く言えば、我慢強い。悪く言えば、自分の思っていることを言葉に出来ない・・・」

「訴えがないと」

「そういうことだね・・・小児科の方がまだまし・・・痛かったら泣いてくれるし、体調悪かったらグズルから・・・」

「なるほど・・・それで、E先生はどのように、診察していたんですか?」

「血液検査やレントゲン写真から判断して、ここは痛いんじゃないですか?息苦しくはないですか?って尋問状態です」

「そうですか・・・」

「まあ、一番、医師泣かせの患者さまかな・・・なんといっても、自分の口で訴えることがないんですから・・・」

「それで、E先生は今回の件、どう思いますか?」

「個人的見解では、この病院には落ち度なし・・・
もちろん、施した医療に対してですけれど・・・
患者さまへの配慮に関して言えば?です。
ですから、ご家族さまのことを考えれば、Wさんの死を受け入れられるまで、出来うる限りのことはして差し上げるべき・・・です」

「分かりました。今後もE先生のお力をお借りするかもしれませんが、よろしくお願いします」

「O医師のフォローも含めて、N事務長とタッグチーム結成ですね」

「ということですね」

なるほど、Wさんは無口、寡黙な人、悪く言えば言葉足らずですか・・・

以下 ●●息子さん再登場●● は25に続く


2008.8.24 日曜日

医療訴訟23

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:47:51

●●S医師の記憶では・・・●● 

S医師にWさんの外来カルテを見せ、診察の状況を思い出して貰おうとしましたが・・・
なかなか思い出すことができないようです。
そこで、何かヒントになることをと考えてみました

「S先生、この時、Wさんは奥様と一緒に外来診察に来られたみたいですよ」

「そうですか・・・うーん・・・」

「先方がおっしゃるには、奥さまが入院させてくださいといったけれど・・・S先生が断ったと・・・」

「エッ!そんなことはあり得ません!入院をしたいと言う患者さまを検査もせずに帰らせるなんて・・・」

「そうですよね・・・断るにしても、理由がないと断りませんよね・・・」

「そうですが・・・うーん、思いだせない・・・」

「先生、3週間前です。思いだしてください」

「他に、何かヒントはないですか?確かに、このカルテの字は私の字なんですけれど・・・」

「ちょっと、その時の先生の担当の看護師呼びましょうか?」

「そうしてくれますか」

「外来師長、ちょっといいですか?」

「何でしょうか?N事務長」

「3週間前のS先生に付いた看護師は誰か判りますか?」

「勤務表を見てみましょう・・・その時は、Hさんですね・・・」

「今日は、Hさん出勤?」

「ええ、今、休憩に行っております」

「連絡取れないかな?」

「分かりました。探してきます」

外来師長がH看護師を探しにいってくれました。
その間、S先生には、Wさんの家族のこと、転医先の病院での詳細を話しました。
S先生の反応はというと・・・
完全に他人事モードで、病院って、本当に大変ですね・・・でした。

そうこうするうちに、外来師長がH看護師を連れてきました。

「Hさん、Wさんのことなんだけれど」

「はい、Wさんですね・・・」

「覚えてる?」

「ええ、2回とも私が担当していましたから・・・」

「そうなの?」

「はい、そうです・・・」

「灯台下暗しとは、こういうことだ・・・それで、S先生の時はどうだったの?」

「S先生、診察前にカルテ見て・・・この患者さん、1週間前に風邪薬貰っているけれど、E部長の患者さんだから、E部長に診て貰った方がいいんじゃないか?って言われた患者さんですよ!」

「あー、思いだした!そうだ、そうだ!
患者さん呼んで、話聞いて、いつもE先生に診て貰っているんなら、E先生呼ぼうか?って聞いたら・・・」

「聞いたら?」 

「いやいや、嫁が病院に行けって煩いから、病院に来たんだって」

「それで?」

「体の具合はどうって聞いたら・・・」

「聞いたら?」

「いつも、こんな状態だって・・・」

「奥さんが検査してとか、入院させろとは言われてませんか?」

「それは、無かったね」

「はい、私もそう記憶しています。
確かに、一緒に病院に来ておられましたが、診察室には入っていませんでした」

「そうですか・・・それで、S先生、どうされたんですか?」

「Wさんに、E先生、今病院内にいるから、診て貰おうっていったんですけれど・・・」

「うんうん・・・」

「もういいって、今日は帰るからって、大丈夫だって・・・嫁の手前、病院に来ただけだからと・・・」

「それで、何もせずに帰ったと・・・」

「そうです・・・」

「だから、検査も投薬もなしと・・・」

「そういうことです」

 「S先生、そうならば、これからは診察の経緯をきちんとカルテに書いておいて下さいね」

「申し訳ない・・・今後はきちんとカルテ記載をします・・・」

「じゃあ、入院させてくれとか、検査は何もしなかったとかは、Wさんが奥さんに言っただけかもしれませんね・・・」

全員が声を合わせて 

「奥様を納得させるために・・・」「納得させるために・・・」「させるために・・・」「ために・・・」

それならば、辻褄があいます。
でも、それがこんなことになるとは、Wさんも思っていなかったでしょう・・・

以下 ●●E部長のWさん評●● は以下24に続く


2008.8.23 土曜日

医療訴訟22

医療・介護のよもやま話 — admin @ 14:32:08

●●S医師の診察●● 

Wさんの初診時は、本人に検査を拒否され、所持金も少ないから風邪薬をくれという要望に応えていたことが判りました。

普段から、医局会などで、必要と思われる検査については必ずするように、たとえ点数が取れない検査であっても、病院として、医師としてのリスク軽減のための必要性を口を酸っぱくして言ってきたのに・・・

もちろん、リスク軽減の為でもありますが、その時は患者さまの金銭的な負担になるものの、結果として患者さまの為にもなるのですから・・・

さて次は、非常勤医師のS医師・・・
S医師は大学院で研究を続けている若手医師です。
30代半ば、人当たりもよく、土曜日の午後の外来担当です。専門は循環器内科・・・
週1回の診察ながら、着実に患者さまの人気を得て、外来数を増やしています。

土曜日の午後、S医師が到着したら教えてくれるように外来師長に耳打ちしておくと
早速、、連絡がはいりました・・・

「プルプル」 (かちゃ)

「N事務長ですか?」

「はい、そうです」

「外来ですけれど、待ち人お着きになられましたよ」

「ありがとうございます」

「前もって、S医師にはN事務長が話に来るっていっておきました」

「そうですか・・・」

「そしたらS先生、僕、何かした?とか言ってましたよ」

「まあ、何かした訳じゃないけれどね」

「何の話、何の話ってうるさいから早く来てくださいね」

「はい、今すぐ伺いますけれど・・・私が話があるというと、皆、そんな反応なのは寂しいですね・・・」

「しょうがないですよ、泣く子も黙る鬼事務長ですから」

「そんなことないでしょう・・・」

「兎に角、S先生落ち着かないようですから早くしてくださいね」

「は・い・・・」

あんまり、お待たせするのも忍びないので、S医師の待つ診察室に行くと・・・
S医師は白衣も着ずに、診察室の椅子に腰かけて、待っていました。

「S先生、ご苦労さまです」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「今日は、S先生に患者さまのことで少しお尋ねしたいことがありまして・・・」

「・・・私の担当した患者さまのことですか?」

「まあ、担当したといえば、担当されたんですが・・・」

「何か不都合でも?」

「不都合という程のことはありませんが・・・たまたま、S先生に患者さまが回ったということです」

「はあ・・・」

「実は、この患者さまのことです」

そう言って、用意していたWさんの外来カルテを差し出しました。
S医師は、そのカルテをじっと見つめていましたが・・・

「随分、前の話ですね」

「そうなんです。3か月経過するかという話ですみません・・・」

「まだ、よく思い出せないのですが・・・この患者さまがどうかされましたか?」

「実は・・・」

そこで、Wさんの家族構成、
S医師が診察した翌週に入院したこと、
1か月程、この病院に入院したこと、
その後、快方に向かわず、△△病院に転医したこと、
△△病院に1か月程入院して、先日お亡くなりになられたこと、
家族が、その死を納得していないこと、
特に、この病院の外来診察での対応、入院時の治療内容に疑問を持っていることを話ました。

S医師は、少し考えていましたが・・・

「思い出すのに何かヒントを貰えませんか?」

と言ったまま、一生懸命記憶を遡っています。

以下 ●●S医師の記憶では・・・●● は23に続く


2008.8.22 金曜日

医療訴訟21

医療・介護のよもやま話 — admin @ 20:25:14

●●外来診療の経過●● 

外来診療の経緯を確認しろと言われましたが・・・

実はこの時既に、外来での概要は掴んでおりました。
実際、担当医師や看護師には確認をとっておりませんが、少々疑問に思うことも・・・

このことは、入院時に外来を担当したO医師も指摘しております。

まず、初診時に・・・
(とは言っても、これまでにもWさんは風邪だなんだと年に数回は通院履歴があります)
先方のいうとおり、バイタルチェック以外、検査らしいものをしていない・・・
この病院では、検査もせずに投薬することを禁止しているのに・・・
そして、担当医師は常勤医師のY医師

これについては、今日中に確認はとれます・・・

そして、2回目の通院時は、同曜日の午後で、非常勤医師のS医師・・・
これは、電話しても事情が分からないでしょうから、土曜日に診察に来た時に聞くこととします

でも、2回目も検査してないんだよな・・・

そして、月曜日にO医師が診察して、胸部レントゲン撮影にて、肺炎で入院と・・・

さてさて、どんなものでしょうか?
この診察の経緯は・・・

まずは、初診時のY医師に確認してみましょう

「Y先生、先日から大騒ぎしています、Wさんの件で確認したいんですが?」

「あー、外来の件ですね・・・」

「外来カルテを確認しましたら、今回の入院に至る診察の初診がY先生になっていますので・・・」

「何で、検査をしなかったか、ですよね?」

「そのとおりです。何か理由でもあったのですか?」

「その件はO医師にも確認されましたが・・・
もともと、肺気腫の疾患持ってらしゃるし、胸部レントゲン撮影しましょうといったんですが・・・」

「一応、先方に打診したのですね?」

「もちろんです。それと血液検査もね・・・」

「そしたら?」

「今回は風邪だから、薬だけくれって・・・」

「それで、認めたと」

「申し訳ない」

「どうしてですか?」

「Wさん、もともとE部長の患者さんだし、肺の方は半年に一度は必ず検査しているからと・・・
それに、お金もそんなに持っていないというから・・・」

「一応、打診はしたんですね?」

「それはもちろん・・・でもその日はお一人で来られていたから、誰も証言はしてくれませんが・・・」

「本人の強い拒絶にあって、検査をしなかったと」

「まあ、そうなりますか・・・」

「そのことは、カルテに書いてありませんね?」

「そうなんです。こんなことになるならば、きちんと書いておくべきでした・・・」

「まあ、今さら言ってもしょうがありませんから、今後は、必ず検査をすること、もし、しなかった場合はその理由を必ず明記してください」

「わかりました・・・」

まあ、こんなものです。
いつもの患者さまだからと、安心してしまった。
患者さまがお金が無いからというから、仏心を出してしまったと・・・
本末転倒ですね・・・
でも、これも医療の現実かな?

さて、土曜日にはS医師にも確認することにしましょう

以下 ●●S医師の診察●● は22に続く


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