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医療・介護のよもやま話

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2008.11.30 日曜日

異物混入⑦

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:37:26

●●MさんとN事務長●● 

看護部長を部長室に残し、栄養課A課長に先導して貰い、髪の毛が2度もご飯の上にのっていたMさんの病室に向います。

「ところで、A課長から見て、Mさんてどんな方?」

「んー、まあ一言で言えば、良くも悪くも大阪のおばちゃんです」

 「そうなの?・・・と言うことは、言いたいことは言うと取っていいのかな?」

「はい・・・」

「それは、楽しみですね?」

「楽しみですか・・・」

交通事故で骨折して入院中のMさんの病室に着くと、N事務長が栄養課A課長に耳打ちします。

「A課長!今回の件で、病院の事務長がご挨拶に来ましたって言ってね」

「はい、分かりました。それだけでいいですか?」

「それだけ言ったら、あとは、後ろに下がっていていいよ」

「はい」

A課長が病室に入ってから、後に続きます。

「Mさん、先ほどの件で事務長がご挨拶にまいりました」

「院長を連れてこいって言ったじゃないの!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

すると、N事務長が後ろから顔をにゅーっと出して

「こんにちは、Mさん・・・はじめまして、この病院の事務長のNです」

「事務長さんなんて、呼んでないけど!」

「まあまあ、そう言わずに・・・」

「私は、院長を呼んで来いって言ったの!」

「そうでしたか・・・でも、まずは私がお話聞きますから」

「事務長さんに話すことなんてないわよ!」

「そうですか・・・残念、私に話すことがないなら、院長も呼べませんね・・・」

「あんたは、院長の代理なの?」

「まあ、そう取って頂いても結構ですけど・・・」

「そう!代理なのね!それならいいわ!それで何?」

「またまたMさん・・・それで何なんて・・・院長を呼んで来いって、Aに言ったから私は来たんですよ!」

「ああ、そうか、そうっだったわ!」

「まずは、今回の件は、申し訳ありませんでした」

「そうそう、髪の毛のことね・・・まいっちゃうわ!2度も!」

「本当にすみませんでした!」

「それで、事務長さんの誠意を見せにきたんでしょ?」

「ええ、ですから、誠意を見せに病室までまいりました!」

「どんな誠意?」

「こちらにお伺いすることが誠意だと思っていますが・・・」

「えー、それだけ?」

「他に、何か?・・・誠意ってそういうものじゃないですか?」

以下 ●●Aさんの求める誠意●● は⑧に続く


2008.11.29 土曜日

異物混入⑥

●●N事務長Mさんの元へ●●

栄養課A課長からの報告によると、Mさんは、院長を出せと言っているようです。
この言葉は、病院内では、院長の代わりに事務長が伺うという意味になります。
やはり、N事務長の出番でしょうか?

「そうですか、Mさんは院長を呼んで来いと言ったわけですね?」

「はい・・・」

「看護部長には?」

「私には言いませんでしたが、確かに、私が部屋に入る前にはA課長にそう言っているのを聞きましたわ」

「院長呼んで、どうするのかな?何か言っていた?」

「いえ、何も・・・看護部長がいらっしゃってからは、看護部長に栄養課の悪口三昧でしたから」

「なるほどね・・・」

「ところで、看護部長!この髪の毛はMさんのものじゃないですか?」

「まあ、私は、美容師じゃありませんことよ・・・でも、看護に関わる者としての見解でよろしいかしら?」

「ええ、もちろん」

「はっきり言いますと、このご飯の上にのっていた髪の毛は、Mさんの髪質に近いです」

「やっぱり、そうですか・・・」

「栄養課の子達は、ショートヘアで、皆、茶色がかった色ですものね・・・若い子らしい明るい髪の毛の色・・・羨ましいこと」

「看護部長、今は、その、若い子の髪の毛の色が羨ましいとか・・・そう言った話ではありませんが・・・」

「失礼しました。まあ、結論から言うと、栄養課から食事が出て、患者さまに配膳するまで食器の蓋は開けませんから、やっぱりですね」

「そして、この黒くて丈夫そうな髪の毛の髪質の職員がいないとなると・・・」

「言いきれませんが、その可能性が大のような気がしますわ」

看護部長とN事務長の話をウンウンと頷きながら聞いている栄養課のA課長に

「A課長、とは言っても、Mさんの自作自演ということに決まったわけではありませんからね!」

「はい・・・」

「大体、1回目の時の髪の毛の現物を捨ててしまったのは、誰でしたか?」

「すみません・・・」

「すみませんで済めば、警察も事務長もいらないでしょ?」

「それじゃあ、申し訳ありません」

「申し訳ありませんも同じです」

「はい・・・」 しゅん!

「と言う訳で、院長を出せと言っておられますから、Mさんのところに行ってまいります」

「N事務長、お手柔らかにお願いしますよ」

「心得ております。看護部長殿。それでは、A課長まいりましょうか?」

「私もですか?」

「当たり前です!」

「N事務長、ご報告お待ちしておりますことよ」

「はい、かしこまりました」

「さあ、案内してA課長!」

「はい・・・」

以下 ●●MさんとN事務長●● は⑦に続く


2008.11.28 金曜日

異物混入⑤

●●報告●●

会議に参加した責任者には、異物混入の件を他言は無用と念押しして、会議は散会となりました。
会議終了後、Mさんの元へ状況把握?謝罪?に伺った3人の帰りを待つ間に今回の異物混入の件を整理してみると・・・

3日前の昼食時に蓋のしてあるご飯の上に髪の毛が一本のっていた。
3日後の夕食時にも同様に蓋のしてあるご飯の上に髪の毛が一本のっていた。
ただし、前回の髪の毛混入以来、蓋をする前に、ご飯だけでなく主采、副菜などすべてに髪の毛混入がないか2人で確認している。
1人での確認ならば、見落としも考えられるが、2人での確認で見落としがあるのか?
じゃあ、栄養課のミスでないとすると・・・
一体誰が、何のために?

もしかすると・・・
と、嫌な予感がしたところに、内線電話が掛かってきました。

「プルプル」(かちゃ)

「はい、会議室のNです」

「栄養課のAです」

「間違いなくその声は栄養課のA課長ですが、少し声が沈んでいますね・・・どうやら、Mさんからこっぴどく言われたみたいですね」

「はい・・・今、看護部長室ですが、これからそちらにお伺いしてもいいですか?」

「報告ですね・・・今、看護部長室ということは、看護部長も一緒ですか」

「はい・・・」

「それならば、会議も終わりましたからそちらに伺います。看護部長にもそう伝えてください」

「はい・・・看護部長もお待ちしていると言われています」

「それでは、今から行きます」

看護部長室にて

「御苦労さまでした。どうでしたかMさんは?」

「2度も同じ様に髪の毛が入っているなんてと・・・ひどく抗議されました・・・」

「現物は持ってきました?」

「はい、これです」

「どれ、うーん、随分太くて黒い髪の毛ですね。こんな髪質の職員はいなさそうですね」

「・・・実は、私もそう思っていました・・・」

「看護部長はどう思いますか?」

「先に、A課長に部屋に入らせて2人の会話を廊下で聞いていたのですが・・・Mさんは、随分な剣幕でしたわ・・・でも、私がそしらぬ顔で部屋に入っていったら、それもすぐに収まったのよ・・・看護部長さん聞いてくださいというような感じかしら」

「そうですか・・・この騒動を楽しんでいるような感じですか?」

「そうかもしれませんわ」

「もしかするとですが・・・自作自演という可能性は?」

「あるかもしれませんね・・・」

「それで、A課長は何て言われたの?」

「2度も同じことをして、許さないと・・・院長を呼んで来いと・・・」

「それで?どうしたの?」

「はい、ただただ申し訳ありませんと・・・謝り続けました」

「そうですか・・・」

以下 ●●N事務長Mさんの元へ●● は⑥に続く


2008.11.27 木曜日

異物混入④

●●Mさんのもとへ●●

A課長から、またしてもMさんのご飯の上に髪の毛がのっていたと報告を受けた各責任者。
これから、どのような展開が待ち受けていることでしょう。

「A課長、何はともあれ、まずはMさんのところに行って謝罪すると同時に状況把握をしてください」

「はい、一人でいいですか?」

「出来れば、病棟師長と看護部長も!」

「エー!やっぱり・・・ですね」
「私も・・・ですよね・・・2度目ですからね」

「お2人とも、可愛いA課長の為に・・・ご足労お願いします」

「可愛いい?」
「可愛いいね・・・」

「すみませんが、お願いします・・・」

「さあ、それでは、可愛い課長と美しい看護師2人で早速Mさんへの訪問お願いします」

「じゃあ、師長、A課長行きましょうか」

さすが、看護部長は腰が軽い

「看護部長、ちょっと気になることがありますので、Mさんの人物評価お願いしますね。それと、看護部長が出動となれば問題ないと思いますが、もし、何かありましたらいつでも私をお呼びください」

「はい、その時は、宜しくお願いしますわ。クレーム担当、N事務長さま・・・」

「そうならないことをお祈り申し上げます」

「さあ、2人ともまいりましょうか?」

「はい」
「はーい、看護部長のお供してきまーす」

「いってらっしゃい」

会議中ではありましたが、3人を送り出したN事務長、どのような報告が上がってくるのでしょうか?
3人の抜けた会議室では、今回の件についての話題で盛り上がります。

「でも、いくらなんでも同じ人に、同じ状況で異物混入なんて考えられますか?」

「そうですよね・・・」

「栄養課の誰かがわざとやっているとか?」

「うーん」

「まあ、あの栄養課のメンバーではそれはないでしょう・・・なんて言ったって、真面目一筋の調理人と生真面目栄養士たちだから・・・」

「ということは、配膳する前に、誰かが入れた?」

「それも考えにくいですね・・・だって、動機がない」

「病棟に、Mさんに恨みを持つ人間がいるとか?」

「ありえない」「そうそう」「ないない」

「まあ、兎に角、報告を待ちましょう。看護部長が行っているから何か分かるでしょう。それと皆さん結果が分かるまではつまらぬ詮索はしないようにお願いします」

「はい」「はーい」「ハイ」

以下 ●●報告●● は⑤に続く


2008.11.26 水曜日

異物混入③

●●またしても?●●

会議中に栄養課A課長に電話が掛ってきました。
その時の状況を再現すると・・・

「はい、Aです・・・えっ!また?今度は誰?」

この言葉を聞いた瞬間に、会議室の空気は凍りつきました。
各病棟師長、看護部長とN事務長は眉間にしわを寄せながらお互いに顔を見合せ、その後、一斉に気が抜けます

「ふー」「ふー」「ふー」とため息のオンパレード・・・

N事務長が、A課長に向かい、重い口を開きます。

「A課長、また?今度は誰?とは、なんのことですか?」

「すみません・・・えっと・・・その・・・」

「はっきりしなさい」と看護部長の厳しい声が飛びます。

「また、異物混入?」各看護師長が声を揃えて言います。

「そうなの?」とN事務長のだめ押しに・・・

「はい、すみません。またです・・・」

「今度は何の中?」
「今度は何?」
「今度は誰?」

と、矢継ぎ早の質問?罵声?の嵐・・・
その声に、A課長が申し訳なさそうに返事をします。

「それが、また・・・、整形病棟です・・・」

「また、私の病棟?」と整形病棟師長が叫びます

「で、今度は誰?」

「それが・・・また・・・Mさんです・・・」

「えー、そんなー」

「A課長、それは本当ですか?」

「ええ、整形病棟から連絡があったそうです」

「それで、何が入っていたの?」

「また、髪の毛だそうです・・・」

「何に入っていたの?」

「また、ご飯の上だそうです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」「・・・・・・・・・・」「・・・・・」

「今日は、ちゃんと確認しましたけれど・・・」

「そうですか・・・でも、入っていたのですね」

「そうです・・・」

「連絡が入ったのですね?」

「はい・・・」

以下 ●●Mさんのもとへ●● は④に続く


2008.11.25 火曜日

異物混入②

●●また?今度は?●●

患者さまのご飯の上に髪の毛がのっていたと連絡があった日から3日後の夕方17:00より、責任者会議が開催されました。
会議では、この件についての報告、改善策を栄養課A課長がすることになっています。
会議の現場を覗いてみることにしましょう。

「皆さん御苦労さまです。これより、定例責任者会議を開催します。」

「起立、礼」

「宜しくお願いします」「お願いします」「します」

「それでは、議題に入る前に先日、病棟の昼食で異物混入がありましたので、栄養課A課長より報告していただきます。A課長、お願いします」

「皆さん、お疲れ様です。3日前に、整形病棟より昼食時、患者さまがご飯の蓋を開けた時に髪の毛が混入していたと連絡がありました。
その後、病棟師長にご一緒して頂き、当該患者さまにお詫びに伺い、何とかご納得頂きました」

「当該患者さまとは、どなたですか?」

「整形病棟に入院中のMさんです」

「病棟師長、Mさんは、どんな方ですか?」

「56歳、女性、交通事故で受傷、左大腿骨骨折で現在術後2週間が経過しています」

「そうですか・・・ちなみに、ご家族さまはお見舞いには来られていますか?」

「あまり、来られておりません」

「そうですか・・・それで、A課長はこの件について、栄養課職員のミスによるものと考えていますか?」

「申し訳ありませんが、ミスでないとは言い切れません」

「それはそうでしょう・・・でも、その確率は少ないのですか?」

「はい、言い訳に聞こえるかもしれませんが、今回は蓋を開けた時に、ご飯の上に髪の毛がのっていたと言うことですので・・・
ご飯の中に混じっていたなら、ご飯を炊く段階で混入したことが考えられますが・・・上ですから・・・
ご飯をよそう者、蓋するものは別別で作業を行っております。蓋をする時に、必ず確認しますから、確率的というか、そのようなことは、あまり起こりえないと思います」

「でも、現実に髪の毛があったわけだ・・・」

「はい・・・」

「その髪の毛は残してありますか?」

「髪の毛は捨ててしましましたが、写真は取っています」

「そうですか・・・今後は、物証はこちらがいいと言うまで捨てないようにしてください」

「はい・・・」

「それで、今後の改善策は?」

「課内で話合いまして、暫くの間、蓋を閉める時に、2人で確認することにしました」

「ご飯だけでなく、主采や副采も含めてお願いします」

「はい、そうさせて頂きます」

「今日から、1か月間は続けてください」

「分かりました」

「皆さんも、気付いたことがあれば、今後も栄養課に意見を言ってください・・・それでは、栄養課の件はこれで終了とします。報告書は、会議後、私宛に提出してください」

「はい」

会議は、議事に戻り、各部署から意見、提案などが出つくし、そろそろ終了の時間です。時計を見ると18:00を回っています。
すると、会議室の内線電話が鳴りました・・・

「プルプル」

「はい、会議室です。はい、いらっしゃいます。ちょっとお待ちください。A課長、栄養課からお電話です」

「はい・・・会議中にすみません・・・はい、Aです・・・えっ!また?今度は誰?」

以下 ●●またしても?●● は③に続く


2008.11.24 月曜日

異物混入①

今年もそろそろ年末が近付いてきました。
今年もいろいろなことがありましたが、身近なところでは、食の安全を考える一年だったでしょうか?

食品偽装、産地偽装・・・高級料亭、鰻、中国製冷凍食品、お米etc.
並べるといろいろあります。

お米と言えば、医療や介護の世界にも飛び火しました・・・
大手給食委託会社が納入したお米にも、あのお米が混じっていました。
原価を落とすには、材料を安く仕入れる。でも、安かろう悪かろうではちょっと???です。

さてさて、病院や施設では、食事が付きものです。
三度三度のご飯を美味しく食べる。
しっかり栄養を取って、自分の力で病気を治すのが一番!
最近は、学校などでもご飯を食べることの重要性を食育などと持て囃していますが・・・

病院で食事を作るのは、栄養課・・・
その栄養課を襲った異物混入事件、さてその真相は?

「プルプル」(かちゃ)

「N事務長ですか?」

「はい、そうです・・・」

「栄養課のAです」

「ああ、A課長ですか・・・どうされました?」

「すみません・・・」

「何がどうして、すみませんなの?」

「患者さまの食事に髪の毛が入っていたようなんです・・・」

「うーん・・・それで?」

「先ほど、病棟から連絡があって・・・患者さまのところに行って、今謝罪してきました・・・」

「そうですか・・・それで、患者さまは?」

「大層ご立腹でしたが・・・取りあえず、お許し頂きました・・・」

「ちなみに、何に入っていたの?」

「ご飯の上です・・・」

「ご飯って、蓋してありますよね?」

「ええ・・・」

「ご飯の中に混じっていたんだ」

「いえ、上に乗っていました・・・」

「と言うことは、ご飯をよそった後、蓋を閉める時に入ったの?」

「状況からするとそうなります・・・」

「そうですか・・・病棟師長は、このこと知っていますか?」

「はい、師長にも同行して頂き、一緒に謝ってもらいました」

「分かりました。今後は同じ過ちをしないように栄養課職員に伝えてください」

「分かりました。どうも、申し訳ありませんでした」

「それと、報告書と改善策を次回の責任者会議に提出してください」

「はい・・・」

しかし、当然のことながら、このまま終わるはずがありません・・・
3日後、またしても・・・

以下 ●●また?今度は?●● は②に続く


2008.11.23 日曜日

小ネタⅡ≪カイセン≫

医療・介護のよもやま話 — admin @ 11:16:01

≪カイセン≫
医療従事者にとっては、一度は経験のある忌まわしき奴!
一度、感染すると恐るべき繁殖力で、次から次へと蔓延していく恐ろしい奴!

でも、一般の人達は知らないんです・・・
≪カイセン≫なんて・・・
だから、私も知りませんでした。奴のこと・・・
そんな、ある日のこと、

「プルプル」(かちゃ)

「はい、医事課のNです」

「内科病棟ですが、院内連絡してください!」

「院内連絡ですね・・・緊急ですか?」

「はい、痛い目に遭いたくなかったら緊急で!」

「痛い目?」

「痛い目というか、痒い目というか・・・」

「何ですか?」

「昨晩、救急搬送されたKさんから≪カイセン≫発見、幸いにも昨晩から疑いありということで、個室にて隔離中。被害は最低限に抑え込む予定であります。したがって、内科病棟のA個室は完全隔離されます。ということかしら・・・」

「な、何ですか?≪カイセン≫って!」

「そうか・・・Nさんは、知らないんだ≪カイセン≫・・・痒くて、しつこくて、恐い奴・・・」

「痒くて、しつこくて、恐い奴?」

「そう、ダニの王様、王者、親分かな・・・」

「ダニ?」

「そう、ダニの一種」

「そんなに、恐いの?」

「もう、いやになる程ね・・・以前、発見が遅れて、病棟中、職員にも感染したことがあるわ!」

「そうですか・・・」

「実物見たかったら、検査部で見せてくれるわよ」

「分かりました。緊急連絡後、ただちに見学にまいります」

「ヨロシク!」

急いで、各部署に連絡して非常警戒令を発令し、その後に検査部に向いました。

「お疲れさまー、医事課のNです」

「おっ!来た来た、ナゼナゼNさん!」

「またー、そんな言い方しないでください。照れるじゃないですか?」

「照れてないでしょ!」

「ははは・・・」

「さっき、内科病棟から連絡があってね・・・きっと、Nさん検査部に行くからって・・・そう思って、用意してありますよ、その顕微鏡覗いてみて」

検査部の中央の机に顕微鏡が用意してあります。どうやら、わざわざ用意して待っていてくれたみたいです。
お言葉に甘えて、早速覗くと・・・
いました、いました、何だか、ポッチャリしたモグラみたいな奴が・・・
意外と足が短い、見た目は鈍そうなんだけれど、こいつが≪カイセン≫か・・・

「結構、愛らしい形してますよね?」

「まあ、そういう見方もできるかな・・・」

「ところで、≪カイセン≫ってどんな漢字ですか?」

「えっと・・・どうだったかな?あれっ?こんな字だったかな・・・うーん、難しい字なんだよな・・・あれっ?・・・おーっと、検査依頼だ!Nさんゴメン、後で書いて持って行くから!」

「・・・分かりました。本当は忘れたのですね・・・内科病棟に寄って聞いていきます」

「そうしてくれると助かるな・・・じゃあ、検体取りに出るから!」

内科病棟に寄って、≪カイセン≫ってどんな字ですか?と尋ねる前に、A-4の紙に大きく書いて既に用意されていました。

『疥癬』

「どうせ、聞きに来ると思って用意しておいたよ、Nさん!」

「ど、どうも・・・難しい漢字ですね・・・でも、ほんとうに痒そうな感じ、いや漢字ですね」

「そうでしょ!・・・また勉強になったわね!」

「うーん、疥癬か・・・」

一週間後、看護部の飲み会に参加要請され、幹事に無理やり任命されました。
まあ、要は段取りしておいてということですけれど・・・
場所、時間を決め、料理を決めようとメニュを見ると・・・
≪カイセン鍋セット、お一人様¥3800≫

この鍋、痒そうです・・・
≪疥癬鍋≫・・・???

ベタな落ちでスミマセンでした・・・
尚、医療従事者以外の方で≪疥癬≫について詳しく知りたい方は↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%96%A5%E7%99%AC


2008.11.22 土曜日

小ネタⅠ≪ショウトウダイ≫

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:38:36

ショートストーリーというタイトルなのに17日間(番外編を含めれば18日間)も続くなんて・・・
タイトルに偽りありです。
反省!

本日は小ネタ。

病院に勤め始めた頃の話・・・
当時は医療?病院用語なんて一般常識程度しか分かりません。
オペとか、メスとか、カルテとか・・・
その程度の知識で、病院で働いてもいいのか?と心配される方も・・・
でも、異業種からの転職ですから、そんなものでしょう。
したがって、職員の話の輪に入っても、頭の中は?????の連発
幼稚園児が大人の会話に混ざっているような状態。

ええい、こうなったら聞かぬは一生の恥と、分からない言葉は、それって何ですか?攻撃!
言葉と物が一致したら、今度は辞書で調べるけれど、漢字やスペルが分からない・・・

次は、どういう字書くんですか?攻撃!
当時、一緒に働いた、医師、看護師、コメディカルの皆さんその節は大変お世話になりました。
この場を借りて御礼申し上げます。

そんなことで、会議での会話・・・ちなみに私は書記でした。

「今日の議題は、患者さまの療養環境について、TVも含めた≪ショウトウダイ≫の変更を提案頂きました。看護部長、趣旨説明をお願いします」

「はい、患者さまから、現在の≪ショウトウダイ≫は荷物が少ししか入らない、また、貴重品を入れておける鍵付きの引き出しを付けて欲しいなどの要望が出ております・・・以下云々」

えっ?≪ショウトウダイ≫って何?患者さまの荷物を入れておくもの?貴重品?
≪ショウトウダイ≫・・・≪ショウトウダイ≫・・・
頭の中では、病室の風景と≪ショウトウダイ≫の漢字変換がはじまります。
≪ショウトウダイ≫を分割して、≪ショウトウ≫+≪台≫・・・

病室の中の風景は?ベッドとベッドサイドにあるキャビネット・・・
キャビネット?台?・・・
そうか、あのベッドサイドにあるキャビネットは≪ショウトウ台≫って言うんだな!
よし、脳内にインプット!
≪ショウトウ台≫の≪ショウトウ≫については、後で調べることにしよう!
さて、議事に集中集中・・・

会議では、≪ショウトウ台≫の買い替えを前提にした変更が決定されました。
病室全部の買い替えとなると、金額的にも、作業的にも、労力的にも大きな仕事です。
これは、ビッグニュース。議事録を含め、早く職員に通知しなければいけません。
会議終了後、慌てて議事録、院内職員通知文の作成に励みます。

さて、いきなり、タイトルで手が止まります『≪ショウトウ台≫の変更について』・・・
≪ショウトウ≫ってどんな漢字?
まず、頭の中にある、≪ショウトウ≫は、≪消灯≫、≪松濤≫、≪小頭≫・・・

≪松濤≫は、渋谷区の町名、それはない・・・
≪小頭≫?、大きな頭の患者さまもいるから×
≪消灯≫これは、ありえる・・・確か、キャビネットにはヘッドライトも付いていたし・・・

≪消灯≫、これが第一候補だよな、ウンウン、確認のために国語辞典引いてみよう
≪ショウトウ≫・・・小刀、小塔、小党、消燈・・・
やっぱり、≪消灯≫だな・・・間違いない!

タイトル『≪消灯台≫の変更決定!買い替えを検討中!』
ん~、いいタイトル・・・などと悦に入りながら、せっせと職員通知、議事録を作成し、職員通知は帰り際に院内掲示板に貼り、家路に着きました。

今日も、いい仕事したなーなんて思いながら、風呂に入り、風呂上がりのビールを飲んでいると・・・

「プルルー、プルルー」

携帯が鳴っています。誰かな?んっ!病院?

「もしもし、Nさん?」

「はい」

「病棟当直のSです」

「はい!何か?」

Sさんはベテラン看護師で、物知りで人当たりがよくて、いい意味でおせっかいさんなので、よく分からないことをこっそり教えて貰っています

「Nさん・・・≪消灯台≫ってなあに?」

「えっ?あの、ベッドサイドにあるキャビネットのことじゃ・・・」

「電気消してどうするの?フフフ・・・」

「≪消灯≫、消灯時間ですって言うじゃないですか?ヘッドライトも付いてるし」

「今、いる看護師達、皆で、Nさんってヤラシ―なんて言ってるわよ!Nさんは多分女の子と2人になると電気消したがるんだなんて・・・ワイワイ・・・キャー、Nさんスケベ」

電話越しに当直看護師達の声が聞こえます・・・

「あのね、ショウトウダイは≪消灯≫じゃなくて、≪床頭≫ですからね!お間違いのないように!」

床頭=枕もと でした・・・病院用語は奥が深い・・・


2008.11.21 金曜日

ショートストーリーⅢ番外編

医療・介護のよもやま話 — admin @ 10:31:55

TKさんの奥さん(TMさん)からの手紙

夜間の無言電話やポルターガイスト?現象も無くなり、仕事に追われて、そんなことがあったことさえ忘れていたある日のこと・・・

毎日の仕事である郵便物の仕分けをしていると、病院宛の郵便物にしては、珍しく品のいい和紙で出来た封書が目に留まりました。
宛名を見ると、N事務長宛で、差出人は、TMとなっています。おっ!TKさんの奥さんダ!
他の郵便物の山は机の端によけ封を開けると・・・

○×病院 事務長N様

前略
 寒い日が続いておりますが、病院の皆々様は如何お過ごしでしょうか。
 先日は、TKの遺品を宅配して頂き、有難うございました。主人の財布並びに手帳、確かに手元に届きましたこと、ご連絡させていただきます。
 お陰様で49日も無事終わり、これで主人も心おきなく旅立つことが出来たと思っております。
 本日、このようなお手紙を書くことをお許し頂きたいのですが、主人の訃報を御連絡頂いた時にはじまり、主人を病院に迎えに行った時、そして今回の遺品の宅配等、いつも温かいお言葉を添えて頂きましたこと、どれだけ突然、愛する主人、家族の大黒柱を失った私を励ましてくれたことか・・・N事務長さまをはじめ、病院の職員の皆様の温かいお心遣いに感謝しているとともに、皆さまにお礼を言いたくて、筆を取らせて頂きました。
 主人の突然の死を受け入れ、私の気持ちの整理をする上でも手紙を書こうと思い、N事務長さまには全く持って関係のないことかもしれませんが、主人の最期を看取って頂いた皆様にお話しさせて頂きましたら主人の供養にもなると思っております。
 お時間がありましたら・・・愛する主人を亡くした女性の独り言と思い、笑ってお読み頂けましたら幸いです。

 実は、先日宅配して頂きました手帳に主人の遺言のようなものが書かれておりました。
 出張に行く前から、体調不良を訴えておりましたが、仕事一筋で生きておりましたので、私の再三の忠告も聞かず、病院にも行かず仕舞いでした。
 だからこそ、本人に何か予兆のようなものがあったのかもしれません・・・
 手前勝手で少々気恥しくもありますが、主人の手帳に書いてあった文章をそのまま写させていただきます。

M、いつもいつも仕事ばかりで家族のことを任せっきりにしていること許してくれ。
最近、体調が良くない。今日ほど家でゆっくり、のんびりしたいと思ったことはない。
Mと結婚してもう15年だね、結婚して今まで、仕事優先でMとも、子供達とも、のんびり旅行に行ったこともないな・・・
よし、今の仕事が終わって家に帰ったら、子供達をお袋に預けて、週末に二人で一泊の温泉旅行に行こう。
たまには、女房孝行しないと罰が当るよな?
でも、Mが居るから、子供達がいるからこそ、仕事を頑張れるのだと思ってきたけれど、仕事ばかりでなく、自分のためにも家族と過ごす時間も必要だと感じている。
Mと子供達と何をするわけでもなく笑って休日を過ごしたい。のんびりするのも悪くないよな?
家に帰った時、Mの「お帰りなさい。いつも御苦労さま」の一言や、子供達の寝顔を見ると、どれだけ気持ちが落ち着くことか・・・
ありがとう。
何だか、今日は無性にMに会いたい。Mと話がしたい・・・Mの顔が見たい・・・
一人でホテルに居ると、無機質な狭い部屋に一人で居ると、無性にそう思う。
こんなこと今まで思ったことも無かったけれど・・・
いつも、僕の傍には、Mがいて子供達がいるのが当たり前だと思っていた・・・
体調が悪いから弱気になっているのかな?
まあ、40も半ばになって、先が見えてきたのかもしれないけれど・・・
人生も折り返し地点も過ぎたことだし・・・
よし、この仕事が終わったら、一休みすることにする。これからは、Mと子供達と過ごす時間を増やすことに決めた。

話しは変わるけれど、この間、会社にいつもの生命保険会社の社員が来て保険の掛けかえを勧められたんだ。
今までのものにプラスして、死亡時の保険を加算しておいたから、もしもの時には忘れずに!
新しい保険証書は、私の仕事机の鍵付きの引き出しに入れてあります。

「もしもの時なんて」と、Mは笑うかもしれないが、これが僕に出来るMと子供達に対する精一杯の愛情表現!
いつも、傍に居てあげられないから・・・
優しい言葉も掛けてあげられないから・・・
感謝の言葉の一つも言っていないから・・・
仕事一筋で無骨な男の、言葉足らずな男の精一杯の愛情表現です。

そうそう、明日から今回のプロジェクトの詰めの作業です。
上手く仕事を進めて、早く家に帰れるようにしよう。
帰ったら、「いつもありがとう」って言ってみるから・・・
その時は、驚かないでくれるかな?
「どうしたの突然」なんて言われそうだな。

だから、ありがとうの練習でもしておきます。
「いつもありがとう」
「ありがとう」
「本当にありがとう」
「感謝している」
「ありがとう・・・」

ここまで書いて、自分で書いた手紙なのに、読み返したら少し恥ずかしくなってしまいました。
でも、49日が過ぎる前に主人の文字を読めて、言葉を目にして、気持ちを感じられて、本当によかったと思っております。
これも、忘れずに手帳を送って頂いた病院の皆様のお心遣いの賜物と思っております。
それと、全く知らなかったのですが、お財布には、私の写真と子供達の写真が入っていました。
本当にお世話になりました。温かいお心遣いに心より感謝しております。
お仕事お忙しいとは思いますが、お体にはご自愛くださいませ。感謝を込めて・・・   かしこ

平成○○年12月 TM
  


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