珍客万来Ⅱ-⑬
●●3度目の正直●●
流れ板の風(ふう)さんとセクハラ親父のDさんがトランプ片手にいそいそと2F談話室に向かう一方、会議室では臨時責任者会議が佳境に入っています。
「それで、L師長の提案では院内に賭博禁止という文言を入れた告知文を張り出せということですね?」
院長が質問すると、すかさずL師長が・・・
「そうです。現在の文章では、入院、療養生活に必要の無いものの持ち込み禁止としかなっていませんので、その下に明確に、賭博行為の禁止という言葉を入れればいいと思います」
「でも、それはあまりにも直接過ぎる表現ですね」
N事務長が、呟くと・・・
「N事務長は、直接、患者さまに接することが少ないからそう言いますけれど、看護の現場を預かる身としては、患者さまが談話室で座布団を挟んで向き合って座って花札をしている姿や、丼を挟んでサイコロを振っている姿を見るのは、許しがたいです」
「確かにそうですが・・・」
「L師長のいうことにも一理ありますし、N事務長のいうことも正しいと思います」
院長の言葉に反応するように、他の出席者が頷きます。そして口ぐちに・・・
「今回の件は、○×病院としてもイレギュラーな出来事だと思います」 「そう思います」 「そうだ・・・」
すると、看護部長が・・・
「確かにイレギュラーではありますが、入院案内にまでは賭博行為の禁止という文言を入れないとしても、各病棟の掲示板に期間限定で今回の件を公表し病院としての方針を明確にすることは必要ではないですか?」
「それは、そのとおりですね・・・」 院長が相槌をうち、同意します。
「分かりました。それでは、その対応で如何でしょうか?」
と、L師長を含めた、臨時責任者会議の出席者にN事務長が問いかけると・・・
「賛成」 「異議なし」 「それがいい・・・」
出席者が各々、賛成の声をあげます。
「それでは、文章については、N事務長に一任ということでよろしいですか?」
院長の提案に出席者が全員頷きます。
「了解しました。早速、院内掲示の告知文の案を作成しますので、後ほど、院長にお持ちします。院長の許可が下り次第、各病棟に掲示させていただきます」
会議室で、今回の件についての対応が決定された頃、2F談話室では、2人が会議??打ち合わせを?いやいや、ルールの申し合わせを始めていました。
「それで風(ふう)さん。今日は何の勝負でいく?」
「Dの兄貴、今日はポーカーといきますか!」
「ブラックジャックは?」
「昨日まで、負けが込んでいる私の得意なのはポーカーですから・・・」
「分かったよ!それじゃあ、ポーカーでいくか・・・」
「点数は?」
「1点100円でどうですか?」
「よし、それでいい。ちゃんと払えよ!」
「今日できっちりチャラにさせて頂きます!」
「昨日までの貸しは、¥89,300-だからな!」
「はいはい、保護費が入ったら払いますから・・・」
「そんなに保護費出るのかよ?」
「払えなきゃ、なんでも言うこと聞きますから・・・」
「まあ、取り立てるだけだから、いいけどよ」
と話している2人の回りには、一人、また一人と男子患者が集まってきています。
また、騒ぎにならなければいいのですが・・・
以下 ●●病院の対応●● はⅡ-⑭に続く