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医療・介護のよもやま話

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2009.4.30 木曜日

職業は?④

医療・介護のよもやま話 — admin @ 10:16:51

●●A君の電話●●

健診結果の発送間違いを指摘してくれた○×教育委員会に所属する先生には、発送ミスを咎めることなくお許しを頂けたようです。
N事務長は、30分で病院に戻ると言っていたA君に、この件の処理は任せてみようと考えていました。

30分後・・・
A君は意気揚揚とN事務長の事務室に戻ってきます。

「N事務長、今戻りました!」

「御苦労さま。上手くいったようだね」

「はい。予定通りです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「教えて貰ったとおりに、ことが進みました」

「そうですか・・・」

「あとは、連絡がつかない方ですね・・・」

「それも、A君に任せるよ!」

「はあ・・・」

「自分達で犯したミスだから、自分たちで解決してみて」

「わかりました」

「今、行ってきた方のようにいい方、いい人だといいね・・・」

「はい・・・」

「もう、そろそろ7時か・・・もう帰っているでしょう。電話してみたら?」

「はい。じゃあ、電話掛けてみます」

「ここで電話したら?」

「電話番号が・・・」

「持ってないの?」

「健康管理センターに戻らないと・・・」

「ダメですね・・・まあ、いいか・・・じゃあ、後で結果を連絡してください」

「はい」

A君は、そう言い、健康管理センターに戻っていきます。
A君が電話で上手く相手を納得させられなければ、その場で電話を代わろうと思っていたのに・・・
A君に任せると決めたからには、結果連絡をまちましょう。

健康管理センターでは・・・
この間違いを犯した当事者達、事務員達がA君の帰りを待っていました。

「どうでしたか?」 「怒られたりしませんでしたか?」

「上手くいきました」

「良かった・・・」 「ホッとしました・・・」

「N事務長は?」

「最初は怒っていたけれど、今はそうでもないかな・・・」

「受診者の怒りよりそっちの方が怖いかも・・・」 「そうそう・・・」

「じゃあ、間違えた別の方の連絡先教えて」

「はい、こちらです」

事務員が差し出した受診者一覧表を見ると・・・
在籍 ○×高校
性別 男
年齢 33歳
氏名 MD  となっています。
早速、その一覧表にある連絡先電話番号に電話を掛けます。

「プルプル、プルプル、プルプル、プルプル・・・」

「出ないな・・・」 「かちゃ」

「もしもし、M様のお宅ですか?」

「ああ・・・」
不機嫌そうな男の声です・・・
「誰?」

「申し訳ありません。私、○×病院、健康管理センターのAと申します」

「なんだよ、こんな時間に!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●A君とMDさんの会話●● は⑤に続く
 


2009.4.29 水曜日

職業は?③

医療・介護のよもやま話 — admin @ 15:32:45

●●A君からの報告●●

N事務長から、叱責を受けたA君は、今回のミスを怒ることなく教えてくれた受診者の自宅にお詫びに伺うことにしました。
その方の自宅は、○×病院から車で行けば20分くらいです。
N事務長から言われた銘柄の手土産を、これまた教えて貰った和菓子屋で買い求めて、車に乗り込みます。
先方には、ご自宅にお伺いすることは言ってありません。
突然の訪問ですが、これもN事務長から教えられました。
そして、先方にお伺いした時の口上を1から10迄教え込まれました。
それは・・・

「この度は、私どものミスで大変なご迷惑をお掛けしまして、申し訳ありませんでした」
頭を深々下げて言うと、先方は、わざわざ家まで来なくてもいいって言ったのに・・・という。

「いえ、一刻も早く、正しい健診結果をお届するのが私どもの使命ですので・・・」
最後は、口を濁らせながら言うと、そうですか・・・と返される・・・

「本当に申し訳ございませんでした」
と、もう一度頭を下げると、まあいいから・・・となる。

「申し訳ございません。こちらが正しい健診結果となります」
と言ってから、持ってきた正しい健診結果を手土産の袋を下にして両手で差し出す。
先方は、手土産は取らずに上の袋に入った健診結果の入った封筒を取る。

「間違いなく、○○さまの健診結果です。ご確認ください」
と頭を下げると、先方は中の健診結果を確認する・・・間違いありません・・・という声が聞こえたら頭を上げる。

「つまらないものですが、お茶受けにでも・・・」
と言葉を濁らせながら言い、手土産を差し出す。
そんなつもりは無い、正しい結果だけ貰えればいいからと手土産を固辞される。

「そんなことは・・・上司から持っていけと言われましたので、お受け取りください・・・」
と言いつつ、手土産を差し出す。
先方が受け取らなければ、床に置き前へ出す。
先方が、受け取ればOK、受け取らなくても差し返さなければOK。

「今回の件は、大変ご迷惑をお掛けしまして申し訳ございませんでした。今後はこのようなことがありませんように、私を含め職員一同気を引き締めて職務を遂行させていただきます」
という。

もし、家に上がってお茶でもと言われても、勤務中ですのでのお断りする。
最後に、間違えたもう一人の健診結果を頂戴する。
車を運転しながら口上を繰り返し、イメージトレーニングをするA君・・・
果たして、上手くいくのでしょうか?

A君がN事務長の部屋を出てから1時間後。
N事務長の携帯電話が鳴ります。
着信表示を見ると、A君になっています。

「はい。Nです」

「N事務長!今、終わりました!」

「その声を聞くと、上手くいったようですね」

「はい。手土産も受け取って貰いましたし、間違った健診結果も回収しました」

「それは良かった・・・さあ、早く帰ってきて!もう一人に連絡するよ!」

「はい。30分以内に戻ります」

どうやら、上手くいったようですが・・・
これからが、この話の本題です。

以下 ●●A君の電話●● は④に続く


2009.4.28 火曜日

職業は?②

●●ミスの内容●● 

どうやら健診結果を間違えたのは、○×教職員組合の組合員である、学校の先生のようです。
そのミスはどんなものでしょうか?

書類を抱えたまま立っているA君に向い、N事務長が話し始めます。
「ちょっと、頭にきているけれど、まずは君の話を聞こうじゃないか」

「は、はい」

「分かり易く、何をどう間違えたのか話をしてくれるか?」

「はい・・・実は、今日、教職員組合で受診された方からお電話を頂きました」

「ふーん。それで何だって?」

「実は・・・結果をその方のご自宅に送らせて頂いたのですが・・・」

「それが・・・何?」

「別の方のが入っていたと・・・」

「は?別の人?」

「すみません・・・」

「なに、それって全く別の人の健診結果を、別の人の封筒に入れて送付したわけ?」

「・・・・・・・・・・はい。申し訳ありません」

「そんなこと私に謝られてもな・・・」

「そうですが・・・」

「それで、その方はなんて言ったの?」

「はい、その方は中身間違ってますよ。すぐに送り返しますから、私の結果を送ってくれればいいとおっしゃて頂けました」

「それは良かった・・・」

「はい・・・」

「それで、間違った結果を・・・まさか、別の人にも送っていたの?」

「は、はい・・・すみません」

「それで、その方には?」

「先ほど、ご自宅にお電話しましたが、御留守のようで・・・」

「まだ帰ってないということ?」

「そうだと思います」

「そうか・・・要するに、2人の結果をそっくり間違えて、違う封筒に入れてそれぞれ送ってしまったということですか?」

「はい・・・そのとおりです・・・」

「それで、気が付いた一方の方が連絡をくれたということですね」

「はい・・・」

「それで、その方の反応は?」

「自分の結果を送ってくれればいいよと言って頂きました。間違ったのは送り返して頂けるということです」

「何言ってるの・・・今、すぐにその方の結果を持って、菓子折りでも買って持っていって謝罪してきなさい。それと間違った別の方の結果を回収してくるんです」

「は、はい」

「全く持って、君は事の重大さを分かっていない。今、自分が出来る限りの誠意を相手に見せるんだ!」

「はい」

「本当に、ミスをした時、失敗した時の動きが悪すぎる。謝れば済むと思っていたら大間違いだ!」

「すみません」

「すぐに行ってきなさい。もう一人の方には、今日中に連絡を付けますよ。分かりましたか?」

「はい」

「それと、逐一報告をすること」

「分かりました。行ってきます」

以下 ●●A君からの報告●● は③に続く


2009.4.27 月曜日

職業は?

医療・介護のよもやま話 — admin @ 17:40:12

ある日の夕方。
今日もあと数時間の勤務だななどと思っていたN事務長の事務机が鳴ります。

「プルプル」 (かちゃ)

「はい。Nです」

「すみません、N事務長・・・」

「のっけから、何を謝っているんですか?まずは、所属と氏名を名乗るものでしょ?
・・・もちろん、君が誰だかは分かっていますが・・・」

「すみません。健康管理センターのAです」

「ああ、A君か・・・で、何を謝っているの? もしかして、また健診結果を間違えたというような報告じゃないでしょうね!」

「は、はい」

「はい、ってことは、間違えたの?」

「はい・・・」

実は、先日、受診者の検体間違いを犯し、こっぴどく叱り、2度と間違いが起こらないようなシステム作りや改善策を出させたばかりです。
その時は、受診者の方の自宅まで出向き、ことの経緯を説明し、尚且つ、その受診者の所属する企業にも謝罪し、とんでもない労力を使ったばかりです。
ですから、N事務長も電話口でつい大きな声を出してしまいました。

「なんだって! 仕事を何だと心得ている! すぐに説明に来い!」

「はい、資料を持って今すぐ伺います」

「3分以内だ!」

「はい!」

健康管理センターは、別館にありますから、3分以内に来ることは不可能でしたが・・・・
つまらないことでも言わないと、N事務長の気も治まりません。
5分後・・・

「トントン、Aです」

「入って」

「失礼します」
そう言いながら、息を切らし、腕には健診結果やら書類やらを抱えてA君が入ってきます。

「遅刻だ、5分経っている! 3分以内って言っただろ!」

「ゼエゼエ・・・すみません・・・ゼエゼエ・・・」

椅子に座ろうとするA君に向かって・・・
「誰が、椅子に座れって言った? 立ったまま話をしなさい」

「は、はい!」

「まあ、単刀直入に聞こう。今回は何処の企業?それとも健保組合?それとも個人?」

「すみません・・・健保組合です・・・」

「ふーん、そうなの・・・何組合?」

「教職員組合です」

「教職員組合?ってことは、間違えたのは学校の先生?」

「はい・・・」

以下 ●●ミスの内容●● は②に続く


2009.4.26 日曜日

N事務長のワンポイントアドバイス②

医療・介護のよもやま話 — admin @ 11:28:20

ワンポイントアドバイスというタイトルなのに・・・2日続いたら、ツーポイントかな?
などとつまらないこと考えずに、続きを・・・

患者さまの家族からのクレームについて。
意外に多いのが、家族からのクレーム。
入院している患者さまを愛しているから、大事だからこそのクレームです。

クレームは多岐にわたります。
掃除が行き届いていない。
食事が不味い。
注射が下手。
あの職員の言葉使いが気に入らない。
患者をもっと大事に扱え・・・

いろんな事を言われます。
でも、そういう家族は毎日、何時間も病院に詰めて、患者さまの身の回りの世話を一生懸命されているから、言うことにも一理あります。
真摯に耳を傾けて、病院改善のヒントとするのも手です。
家族のクレームは、療養生活に関することが多いのも事実。
そして、これらを放っておくと、医療や看護についてのクレームとなりますから、注意が必要です。

さて、家族のクレームで、その家族の職業はというと・・・
医療関係者
学校の先生
市町村などの役所に勤める方が、御三家でしょうか。
普段から、仕事でクレームを言われているからでしょうか?
・・・多分、そうでしょう。
家族の連絡先などで、この職業が書かれていた場合は、要注意!
これらの職業について、N事務長は報告を徹底させていました。
もちろん、これらの職業全ての方がそうとは言いませんが、注意するに越したことはありません。

でも、クレームはいい病院にする為のヒントです。
聞く耳を持って、真摯な気持ちを忘れずに取り組みましょう。
もちろん、あまりにもしつこくて、閉口することもありますけれど・・・

そんな時は、ビシッと言いたいことは言ってください。
何も、いつも患者さまや家族さまの言いなりになる必要は全くありません。
真摯な気持ちは忘れずに、でも自分達の仕事に自信を持って、クレームと向き合ってください。

最後に一つ、クレームや何か問題が起こった時は、他人をあてにしてはいけません。
解決するのは、自分達であるということを忘れずに!
警察だって、全てが病院の味方じゃありません。
時には、何の味方もしれないことだってあります・・・
自分たちで出来ることを良く考えて、実行する。
これが大切です。

事を起こす時には、迅速に、そして全ての責任を取る覚悟が必要です。
作戦を練る時には、相手をよく観察して、何がこの問題を解決するのに一番効果的かを考えましょう。
また、作戦実行は少人数で効率よく!
大人数でかかると、連携が上手く取れずに失敗の元となります。

それにしても、患者さまや家族さまからクレームが多いのが不思議でなりません。
いつからか、病院はサービス業だなんて言い出したからでしょうか?
確かにそうですが・・・
この言葉は、医療従事者が自分達を戒めるために言った言葉であって、患者さまや家族が声高に言うことではない気もします。

頑張れ医療従事者!
そんなこんなで、明日からは、クレーム御三家の話を・・・


2009.4.25 土曜日

N事務長のワンポイントアドバイス

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:47:10

リスクマネージメント編

病院内でのリスクマネージメント・・・
医療ミスや医療事故については、後回し。
まずは、患者さまやその家族との間に、問題が起きた場合。

病気やケガは何時でも誰にでも、突然訪れます。
入院なんてことになったら当然、患者さまの精神状態は普通ではありません。
そんな時は、他人から掛けられる言葉に、妙に敏感になっています。
ですから、最初が肝心です。
第一印象が重要です。
患者さまには、病院の全職員が出来る限り、優しく丁寧な言葉使いをしましょう。
もちろんある程度、人間関係が出来てくれば、その限りではありません。
時には、叱咤激励をすることも必要な患者さまもいらっしゃいます。
もちろん地域性や患者さま個々それぞれ違いますから一概には言えませんけれど。

大体、患者さまのクレームは、N事務長の経験上、職員の最初の言葉の掛け方に左右されます。
その言葉の問題が、いつの間にか、医療や看護に対して不安を持つようになり、クレームへと発展していきます。
でも、小さな問題が起こったとしても、その問題を取り除くために、患者さまに医師や看護師がつきっきりにはなれません。

そんな時の為に居るのが、ケースワーカーや事務員。
ケースワーカーや事務員は、そんなことをする職種じゃないなんて言う人もいるでしょうが・・・
患者さまも人間です。それも病気やけがと言う悩みを抱えた・・・
一日中、ベッドの上で天井を見て過ごしていれば、小さな問題が鬱積して、いらぬ事を考え始めます。
そんな時だからこそ、ケースワーカーや事務員の出番です。
医療や看護においては、医師や看護師の言うことを聞かねばならない為、
患者さまの気持ちの中で、その立場は 医師・看護師>患者さま でしょう。
だからこそ、そのような立場にない職種の出番です。
患者さまは、一般的に自分とケースワーカーや事務員との関係を 患者さま>ケースワーカー・事務員 と思っています。
だからこそ、ここで出番が回ってきます。
立場が下だと思っているからこそ、そこにつけ込んでください。

「何か、ご不便なこと、困っていること、不安なことありませんか?」

などと、部屋回りをさせて下さい。
何か文句のある患者さまは、ペラペラと喋り始めます。
特に、お見舞いの来ない患者さまは、何か誰かと話したくて堪りませんから、ここぞとばかりに喋ってくれます。
だからこそ、チャンスです。
問題は小さい内に対処する。
これこそが、クレーム対応の一番の対処方法。
これで、クレームの6割は対処出来ます。

でも、ケースワーカーや事務員に部屋回りをさせても、心を開かずに話さない患者さまには?
その場合は、医師や看護師の出番です。
本人に聞いて、抱えている問題を話してくれれば、問題は解決出来るでしょうが・・・
聞いたが答えてくれない・・・
この場合、聞いた当人が問題の発端ということも考えられます。
そんな時は、お見舞いにきた家族に聞く方法もあります。

「○○さんは、入院生活で何か疑問や不安を言っておられませんでしたか?」

などと・・・
患者さまの家族は、患者さま本人から、何か聞いていたら必ず答えてくれるはずです。
そして家族は、何て気配りをしてくれる病院だと思うでしょう。
もし、本人が何か我儘を言い出しても、家族は 「すみませんね、我儘ばかり言って」 などと病院の味方にもなってくれるでしょう。

これで、残りの4割の内、3割は解決です。
さて、問題になるのはクレーム全体の1割を占める、問題を表に出さない、出せないタイプの患者さま。
病気やケガが患者さまの想像以上に良くなれば、問題も表に出てきません。
でも・・・患者さまは、病院に入院すれば病気やけがは治るものという思い込みがあるから、自分が想像していたよりもその回復が悪いと、クレームが爆発します。

その時は、関わっている職員全員で、患者さまが納得するまで患者さまの話を聞きましょう。
人はそんなに話を続けられません・・・
話をしていると気持ちもすっきりしてきます。
怒っていても、30分以上怒り続けることは、中々出来ません。
30分を目安にして、怒りを吐き出させてください。
吐き出すものが無くなれば、まあいいやなんてことになります。

「まあいいや、今後は気を付けろよ!」

「はい、そのお言葉を温かい励ましのお言葉と有り難く受け取り、今後の仕事に役立たせさせて貰います」

これで、手打ち!
明日は、家族の問題について・・・


2009.4.24 金曜日

珍客万来Ⅲ 番外編

SNさんのその後

Ⅲ-39でケースワーカーのT君と話題になっていたSNさんの入院費のことですが・・・
月曜日にS刑事から電話連絡があり、SNさんはその日、警察で1日のほとんどの時間を過ごすということです。
病院では、警察が事件として扱っている案件ですから、第三者による行為で受傷したことが明確になり、入院費の請求は自費扱い(保険証は使えません)となります。
支払いのことで、SNさんと一悶着なければいいのですが・・・

次の日、火曜日。
午前中はいつもの仕事を淡々とこなしたN事務長。
昼食を食べ終え、午後の仕事前に一息ついていると、内線電話が鳴ります。
受話器を取ると・・・

「N事務長ですか?」

「はい」

「お客様がお見えです」

「誰かな?」

「Sさんとおっしゃる方です」

「Sさん?・・・もしかして、SNさん?」

「私は土曜日、お休みでしたから分かりませんが、噂のSNさん・・・多分そうだと思います」

「そうですか・・・お一人で?」

「いえ、年配の男性の方と一緒です」

「男性?女性?」

「男性の方で、その方がSさんと言われました」

「分かった。今、下に降ります」

SNさん。誰と一緒に来院したのでしょうか・・・家族かな?
1Fロビーに降りると、間違いなくSNさんと50代の細身の男性が立っています。
2人に近付いていくと、SNさんの顔の腫れは少し引いてきたようです。
50代の男性は、深々と頭を下げます。

「SNさん、こんにちは」

「その節はお世話になりました」
SNさんが、生真面目な表情で頭を下げます。

「SNの父です。この度は大変お世話になりました。今日は入院費のお支払とお世話になったお礼にまいりました」

「そうですか。わざわざ御苦労さまです」

「まずは、入院費をお支払させていただきたいのですが・・・」

「それでは、こちらにどうぞ」
N事務長は、会計に案内します。
会計では、SNさんの父親が既に用意してあった請求書の金額を見て、言葉を失っています。
横目でちらりと金額を見ると¥89,300-
保険が利かないから当然の金額でしょう。
SNさんの父親は・・・

「これは、保険証使えないのですか?」

「申し訳ありませんが、第三者による受傷ですから、保険は使えません。加害者に請求して頂くしか方法がないんです」

「そうですか・・・」
そう言って、SNさんの父親は渋々支払を済ませます。
「事務長さん、今回のことで息子も目が覚めたようです。フリーターとか言って、好き勝手に生きてきましたけれど、私の仕事を手伝うと言っています」

「それは良かった。SNさん、高い勉強代になったね」

「はい。父には、働いて今回のお金を返します」

「それがいいね」

「N事務長のお陰で、凸凹2人組も逮捕されましたし・・・」

「捕まったんだ」
S刑事から聞いて知っていましたけれど、初めて聞く振りをするN事務長。

「はい。これで、ビクビクせずに暮らせます」

「そうですね。ああいう連中とは関わりを持たないようにするのが一番です」

「はい。身に染みて理解しました。色々とお世話になりました。病院のみなさんにもよろしくお伝えください」

そう言って、父と息子は頭を下げて病院を後にしました。
それにしても、1泊の入院で¥89,300-
確かに、高い勉強代です。
¥89,300―・・・893・・・やくざ・・・
オアトがヨロシイヨウデ!


2009.4.23 木曜日

珍客万来Ⅲ-39

医療・介護のよもやま話 — admin @ 10:20:31

●●2日後●● 

凸凹2人組が病院を去り、SNさんも無事?警察に保護されて、病院の週末はゆるやかな時間が過ぎていきました。
N事務長はS刑事との電話の後、ケースワーカーのT君が警察で病院内での凸凹2人組の様子を聴かれているにも関わらず、サッサと片付けをし、週末を楽しむ為に家路に着きました。
T君から連絡が来たのは、N事務長が夕食をしていた19:00過ぎ・・・

「N事務長、今、病院に戻りました・・・」

「御苦労さま。随分時間が掛かりましたね」

「もう、疲れました・・・」

「そうだろ、長いだろ・・・事情聴取はね・・・最近、パソコン使って事情聴取するから、パソコン打つのが遅い刑事さんがすると、ビックリする位時間掛かるから・・・」

「ええ、途中でパソコン代わりに打ちましょうか?って言いそうになりました」

「なっ、いい経験だったろ?」

「まあ、いい経験と言えばいい経験ですが、N事務長に嵌められたような気が・・・」

「そんなことないよ・・・ちゃんと時間外付けるから、タイムカード押して、時間外届出してね。それじゃあ、よい週末を!」

「は・い・・・」

そして、土日が過ぎて週明け、いつものように勤務をこなしていると・・・
ケースワーカーのT君が、時間外届を持ってN事務長のところにやって来ました。

「N事務長、これ・・・」

「時間外届ね。判子押しておきますから、書類箱に入れておいて」

「はい。それと、SNさんの入院費、どうしましょうか?」

「まあ、払いにくるでしょう。もし来なければ、凸凹2人組のように、NT2人組で取り立てに行きましょう!」

「また、そんなことを・・・」

そんな会話をしていると、電話が掛かります。

「はい、Nです」

「医事課ですが、○×警察のSさんからお電話です」

「繋いでください」

「N事務長ですか?Sです」

「御苦労さまです。どうされましたか?」

「いや、お礼を一言ね・・・」

「お礼? どうされたんですか?」

「いや、教えて貰った携帯電話番号から、例の2人組はスピード逮捕しました」

「そうですか・・・それは、良かった」

「まさか、番号の出所は言わなかったでしょうね?」

「もちろん! 情報提供者の秘密は厳守です」

「これから取り調べですか?」

「ああ、相当叩いたら出てきそうだ」

「そうですか、少し長めに絞ってやってください」

「そうさせて頂くよ」

「SNさんは?」

「今、警察に来ている。被疑者と面通しをして、今日は被害届の確認をするつもりです」

「そうですか・・・」

「明日にでも、病院に行くように言っておくから、入院費の精算しておいてくれるかな?」

「どうも、お気使い有難うございます」

「入院費払わなかったら、N事務長、あの2人組より取り立て厳しそうだからな!」

「確かに!」

「そうだろ。それじゃあ、また何か力に慣れることがあったら言ってください」

「そうさせて頂きます」

「それと、地域課の巡査部長には、私から労いの言葉掛けておくから!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「警察を好いように使うのは、この管内ではN事務長くらいだからな」

「ははは・・・」

=完=


2009.4.22 水曜日

珍客万来Ⅲ-38

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:35:55

●●警察へのお礼●● 

警察にSNさんを送っていったケースワーカーのT君が、警察から電話をしてきました。
SNさんを無事送り届けたのはいいけれど、体がまだ不自由なSNさんに警察の中まで付き添ったのが、運のつき・・・
病院内での凸凹2人組について、事情聴取されることになったようです。
N事務長は実のところ、自分が警察に呼び出されなくてよかったと・・・ホッとしていました。
だって、今日は土曜日ですから・・・
土曜日くらい、自宅でゆっくりしたいのは、N事務長も同じです。

呼びだされないように、S刑事とは電話で終了してしまいましょう。

「もしもし、Sです」

「先日、お話しましたとおり、結局SNさんは警察にお世話になることになりましたのでヨロシクお願いします」

「ああ、ありがとう。これから、早速事情聴取して事件として扱わせて貰うよ!」

「2件あれば、あの2人組も引っ張れますか?」

「そうだね・・・そんなところです」

「それはそうと、今、署内で連絡が入ってN事務長の病院から通報があったそうだけれど?」

「ええ、例の2人組をついでに検挙して貰おうかと思いました」

「でも、逃げたんだって?」

「ええ」

「逃げたんじゃなくて、N事務長が逃がしたりして?」

「まさか・・・」

「いやいや、N事務長ならしそうだな」

「滅相もありません。そんな大それたこと・・・」

「病院内で面倒を起こしたくなかったんじゃない?」

「そんなことは考えも及びませんでした・・・」

「それならいいけれど」

「そうそう、S刑事に、いつもお世話になっているお礼をしようと思いまして」

「お、お礼?」

「ええ、凸凹2人組を捕まえるのに手掛かりを」

「何をくれるの?」

「連絡先です」

「連絡先?」

「はい。携帯電話の番号ですけれど・・・」

「どこでそれを手に入れたの?」

「何故か、教えてくれました」

「何故か? ウーン、また何か仕組んだの?」

「いえ、そんな仕組んだなんて・・・人聞きの悪い」

「有り難く頂戴しておくか」

「そうしてください。別に警察に無駄足踏ませたお詫びじゃありませんから」

「む、無駄足・・・やっぱり。 まあ私とN事務長だけの話にしておくか」

「そうしてください」

「それで、電話番号は?」

「090-●●●●―××××です」

「了解した・・・それとT君は少し時間掛かると思いますが、事情を聞かせて貰いますから」

「そうですか、それは好きな様にお使いください」

「時間外手当は付けてやってね」

「考えておきます。警察からは出ませんよね?」

「残念ながら・・・」

「SNさんは、病院に戻らなくても大丈夫のようにしておきますから、入院費用は後日精算で構わないと伝えて下さい」

「了解しました」

警察にも、貸しが出来て、作戦終了・・・作戦大成功!

以下 ●●2日後●● はⅢ-39に続く


2009.4.21 火曜日

珍客万来Ⅲ-37

医療・介護のよもやま話 — admin @ 15:21:31

●●T君からの電話●● 

SNさんが自らの決断?で警察へ向い・・・
凸凹2人組は、N事務長から警察が病院に向かっていると聞くや否や、お礼?を言って退散しました。
病院にやっと平穏な時間が戻ってきました。
しかし、凸凹2人組にも嘘は吐けませんから、本当に警察を呼んだ訳ですが・・・
警察を呼んだのはSNさんということになっています。(これは、嘘も方便ということで・・・)
凸凹2人組が、病院の外から本当に警察が来たかどうか確認していることも、大いに考えられるから、これは致し方ないことです。
警察には、ご足労掛けましたが、きちんとお礼はするつもりです。

どんなお礼?
それは・・・T君からの電話の後で・・・

「御苦労さま。SNさん、警察に無事送り届けた?」

「はい・・・」

「どうしたの?」

「そ、それが・・・」

「な、何? どうしたの?」

「実は、SNさんに警察の中まで付いて来てくれないかって言われて・・・」

「付き添ったわけだ」

「はい・・・」

「そうしたら、S刑事に捕まって、君も事情聴取させてくれるとか言われたんでしょ?」

「そ、そのとおりです・・・」

「あーあ・・・2時間は帰れないよ・・・」

「そ、そんなに? 今日は土曜日で半日勤務なのに・・・それでなくても、もう15時回っているのに・・・」

「ご愁傷さま」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「これ、時間外付きますよね?」

「どうしようかな?」

「お願いします。せめて時間外手当くらい付けてください」

「まあ、考えておきます。じゃあ頑張って!」

「そ、そんな・・・そ、それとS刑事さんが凸凹2人組は、まだ病院にいるのか?って聞いているんです」

「何? 今、側にS刑事居るの?」

「はい、真横に・・・」

「先にそれを言いなさい!」

「す、すみません」

「丁度いいか・・・」

「何が丁度いいんですか?」

「まず、凸凹2人組は無事病院を去りました。それと・・・警察にもご足労頂きました。と伝えてくれる」

「はい。・・・・・・・・・・・・・・・・・。もしもし、N事務長?」

「S刑事、何て言ってる?」

「電話代わってくれということです」

「了解!代わってください」

以下 ●●警察へのお礼●● はⅢ-38に続く


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