“や”の付く稼業98
●●患者さまとの電話の内容●●
それでは実際に患者さまに電話を入れます。
「●●様でいらっしゃいますか?先日、お目に掛かりました○×病院のNでございます」
「ああ、○×病院のN事務長か」
「先日、●●様から頂戴致しました問題についてお話させて頂きたいのですが、今お時間宜しいでしょうか?」
「ちょっと待っててくれる?」
「はい」
人混みにいるような音が受話器から漏れ伝わってきます。
「ゴメンゴメン、今、人の多いとこにおったんや」
「そうですか、お話してもよろしいですか?」
「ああ、構わない」
「先日はお忙しいところ申し訳ありませんでした」
「ああ、それでどうだった?」
「はい、対象の職員に確認しましたところ、理由はともかく、●●様の仰った事実は確認出来ました」
「そうやろ、あの言い方はないで」
「ええ、その件につきましては担当部署の管理者から厳重注意させて頂きました」
「そうか・・・それで?」
「本人からも、私宛に反省文が提出されました」
「反省文?」
「ええ」
「どんな?」
「要約すれば、患者さまに不愉快な気分にさせたことを反省していますということです」
「そうか・・・」
「どんな状況に置かれたとしても、患者さまに順序を付けたことを悔んでおりました」
「順序?」
「はい。順序というか看る順番というのでしょうか?」
「順番?」
「ええ、●●さんにナースコールで呼ばれた時に、ここだけの話ですが、急変された患者さまがいらっしゃいまして」
「急変?」
「ええ、要は、急に病状が変化したってことです。つまりは、危ない状態ってことです」
「そうやったんか・・・」
「ええ、それで本人も余裕がなかったみたいで、言葉足らずで本当に申し訳ありませんでした」
「そ、そうか・・・それで、その急変したとか言う患者はどないしたんや?」
「その晩はなんとか持ちこたえて、翌日のお昼過ぎに家族さまに見送られて、旅立たれました」
「そうならそうと言ってくれればよかったんや」
「そうですが、彼女もプロの看護師ですから、口が裂けても他の患者さまに手を取られているから、待っててとは言えなかったようです」
「なんだか、寝覚めの悪い話やな。オレが難癖付けたみたいや」
「いえそんなことはありません。日頃から●●様と上手くコミュニケーションが取れていれば、●●様もこんな風に思わなかったと思います」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「看護師のFは、男勝りというか、男気があるというか、看護師としての能力は人一倍あるんですが、言葉使いにやや難がありまして・・・●●様には本当に嫌な思いをさせてしまったのではないかと考えております」
「まあまあ、Fさんやったかな?」
「はい、看護師のFです」
「ええ看護師やってことは他の患者から聞いて知っとるわ。あんまり怒らんたってや」
「いえ、彼女の為にも叱るべきは叱らせて頂きます」
「なんやオレが悪い奴に思われとるんやないか?」
「そんなことはありません。Fにも、彼女のことを思って、わざわざ病院に意見を言いに来て頂いたことを有り難く思いなさいと言っておきました」
「そうか・・・」
「この度は、不愉快な思いをさせて本当に申し訳ありませんでした。●●様に有り難いご助言を頂いたことを心にしっかり刻み、今後もよりよい病院になるように努力してまいります」
「そうか・・・看護師のFさんにも頑張れって言っておいてや。わざわざ連絡させてすまんかったな。また、調子悪くなったら寄らせていただくわ」
「そうしてください。いつでもお待ち申し上げております」
こんなものでしょう・・・
以下 ●●管理職としての心掛け●● は99に続く