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医療・介護のよもやま話

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2009.10.31 土曜日

行き場のない患者21

医療・介護のよもやま話 — admin @ 14:42:07

●●Tさんの独壇場●● 

診察室から出てきたTさんは、ノッポ君と茶髪作業着君を両脇に従えてN事務長に語り続けます。
あーあ、Tさんはさっきまで苦しんでいたはずなのに、この饒舌ぶりは何でしょう?
やっぱり、単に薬を打って欲しかっただけなんですか?

「ところで、事務長さんはここの病院は長いの?」

「そうですね」

「そうですねって、何だよ! 何年働いているんだ?」

「事務長として赴任してから3年目です」

「赴任? アンタ子供居ないのか?」

「子供?」

「ああ、不妊してから3年なんだろ?」

「???」

「あの治療は大変なんだよな」

「治療?」

「アンタ、頭悪いんじゃないの? 不妊治療してから3年なんだろ?」

「不、不妊治療じゃなくて・・・赴任してから3年です」

「そうか治療してるわけじゃないんだ、3年間、不妊しているだけなんだ。子供は作らない主義ってわけか」

「・・・・・・・・・・・・・・・」
まあいいか、ここは話を合わせておきましょう。
でも、それを言うなら、不妊じゃなくて避妊でしょ!

「子供は可愛いよ。アンタも不妊なんかせずに、早く子供作りな。アタシの子供達なんか、今も心配して夜ごはんも食べずに病院に付いて来てくれるんだよ」

だから、不妊じゃなくて避妊でしょ!
まあいいか・・・
「そうですね、お母さんであるTさんを心配されてるんですね」
お母さんを心配して、あの目付きですか・・・

「今日は、そろそろ帰るけど、今度発作が出たら頼むよ」

「頼むとは、どういうことですか?」

「だから言ってるだろ! いつもの薬出すように言っておいてくれや」

「はあ・・・何度も言うようで申し訳ありませんが、それは、私の仕事の範疇ではありません」

「そう言わずに、今日で知り合いになったことだしな」

「知り合い?」

「なんだよ、不服か?」

「不服とかそう言うわけではありませんが、お顔見知り程度ですよね」

「お顔見知り? ハハハ、舌噛みそうだ」

「そうですか・・・患者さまとして記憶させて頂きます」

「おうおう、よーく記憶しといてや」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●Tさん家路に着く●● は22に続く


2009.10.30 金曜日

行き場のない患者⑳

医療・介護のよもやま話 — admin @ 10:19:29

●●N事務長とTさん●● 

噂には聞いていたものの、Tさんは押し出しの強い、充分にインパクトのある患者です。
初対面というのに、いきなりタメ口、言いたい放題。
まだまだ、Tさんの独壇場になりそうな気配が・・・

「今日の医者は、初めてなんだけれど、あれは誰?」

「誰ともうしますと?」

「名前はネームプレート見てるから知ってるんだよ」

「名札のとおり、内科医のEです」

「違うよ、名前じゃないよ」

「と申しますと?」

「偉い奴なのかってことだよ」

「偉い奴?」

「ああ、役職っていうのか?」

「役職ですか?」

「そうそう、内科の部長とかあるだろ?」

「ええ、その内科部長です」

「だろうな、深夜に来た時に見て貰った若い医者よりは、言う言葉に重みがある」

「そうですか・・・」

「納得させるまで、話し合いをするところは流石だな」

「はあ・・・」

「逆に考えれば、融通が利かないとも言うけどね」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「患者が望んでいる薬出しとけば、さっさと診察も終わるし、患者も喜ぶし、病院も儲かるんじゃないの?」

「えっ?」

「え、じゃないよ。事務長だったら、病院が儲かったほうがいいだろ?」

「儲かると言っても、そこにはルールがありますから・・・」

「ルール? 笑わせるね」

「そうですか?」

「アンタも頭の固い仲間の一人のようだね」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「それで、今日は帰るけど・・・」

「お大事に」

「まだ話は終わってないんだよ」

「はい、何でしょうか?」

「今度またお邪魔するかもしれないから、その時はE先生を私の診察からは外してや」

「そんなことは、私の一存では出来ません」

「そう言わずに、なんとかしてや」

「病院には、病院の決まり、規則がありますので、残念ながらご希望にお応え出来るかは即答出来ません」

「また、規則か? そんなこと言ってると頭凝り固まって、年取るぞ!」

「そうですか?」

いやいや、言いたい放題です。
それにしても、この人、Tさんは一体何が望みなんでしょうか?

以下 ●●Tさんの独壇場●● は21に続く


2009.10.29 木曜日

行き場のない患者⑲

医療・介護のよもやま話 — admin @ 11:39:00

●●Tさん現る●● 

茶髪作業着君がN事務長に詰め寄り、ノッポ君が間に割って入った、まさにその時。
診察室のドアが開き、A外来師長に付き添われた少し太め?貫禄のある女性が姿を見せました。
するとそれまで、N事務長に集中していた2人の視線が一斉にその女性に注がれます。

「T」 「Tちゃん」
そう言うや、2人は貫禄のある女性に走り寄ります。

この人がTさんなんだ・・・
名前は聞いていたけれど、N事務長は初対面です。
髪の毛は金髪。
ロングで巻き髪もどき。
まず目に止まったのは、細い顎に付いた肉・・・少し2重顎?
顔色は・・・健康的とは言えませんが、肌の色艶はいいようです。
目は大きく、二重瞼がいやに強調されたメークです。
メークで隠れていますが、目の下には年相応のクマが見て取れます。
小さい鼻はツンと上を向き、小さい口はややへの字。
でも、実年齢の割には、シミ、しわもなく肌は綺麗な方でしょう。
一昔前に良く見かけたスナックのママのような雰囲気です。

体型はと言うと、これは年齢相応のダボつき加減。
ドラム缶とは言いませんが、充分ドラえもんに近付いています。

身長は160cmくらい。
押し出しの強い気配が漂っています。

茶髪作業着君とノッポ君は、A外来師長を押しのけ、Tさんの両脇に陣取ります。
A外来師長は、押しのけられたことをこれ幸いと、Tさんに 「お大事に」 と言ってさっさと診察室に戻っていきます。
Tさんは、
「ああ、今度はヨロシクね」
とふてぶてしく、A外来師長の背中に言い返します。

「T、大丈夫か?」
茶髪作業着君の問いかけに、

「まあな。オマエ達、何騒いでるんだ?役立たずだな」
と、嫌味たっぷりに返しています。

何でしょうか、この落ち着きとまるで絶対服従的な物の言い方は・・・

「あいつ、誰?」
Tさんが、N事務長を指さしてノッポ君に聞いています。

「あの人、ここの病院の事務長だって」

「ああ、事務長か」

Tさんはそう言うと、つかつかとしっかりした足取りでN事務長に近付いてきます。

「アンタ、ここの事務長だって?」

「はい。事務長のNと申します」

「今日の医者は融通が聞かないね」

「?」

「看護師もだけど」

「は?」

「はじゃないだろ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●N事務長とTさん●● は⑳に続く


2009.10.28 水曜日

行き場のない患者⑱

医療・介護のよもやま話 — admin @ 20:46:36

●●N事務長とノッポ君&茶髪作業着君●● 

Tさんを群れのリーダーとして、そこに集まるオカルト的な集団に対して・・・
N事務長は、担当医師であるE内科部長は、患者さまであるTさん以外との接触はしない方がいいと考えています。

それを察してか、E内科部長は、
「それでは、外の連中には、私が説明しなくてもいいですか?」

「ええ、しない方がいいと判断します」

「それならば、Tさんには落ち着き次第、帰宅するように言ってきます」

「そうしてください」

「訳の分からない連中の説得はN事務長にお任せします」

「E内科部長にとって、それが得策だと思います」

「じゃあ、お言葉に甘えてそうさせて頂きます」

そう言うと、E内科部長は再びTさんのいる点滴室に向かいました。
N事務長は、再び、現在の群れの代表者であるノッポ君と茶髪作業着君への説明に向かいます。

診察室を出ると、ノッポ君と茶髪作業着君が近寄ってきます。
するとやはり、茶髪作業着君がすかさず声を発します。

「おい、医者はどうしたんだ?」

「今、患者さまご本人とお話をされていると思います」

「俺達に説明は無いのかよ!」

「ええ、ご本人さまが、お話を十分出来る状態ですから、ご本人さまからお聞き頂くのがいいかと思います」

「なんだよ、それは?」

「ですから、担当医師はご本人さまとお話をさせて頂いていますから、皆様はご本人さまからお聞きくださいということです」

「だから、医者は俺達には説明しないということだな」

「まあ、そうなります・・・」

「そんなこと言ってるんじゃない」

「どんなことを言っておられるんですか?」

「Tが望んでいる薬は出たのかよ」

「出てないみたいです」

「だから、その説明をしろと言ってるんだ」

「その必要は無いということです」

「それは、説明の必要が無いのか、薬の必要が無いのかどっちなんだ?」

「両方です」

「なんだと!」

「ここで、大きな声を出すのはお止めください」

「ウルセー! テメエはフザケテやがる!」

またしても、一歩二歩とN事務長との距離を縮める茶髪作業着君。
すると、まあまあといった調子で間に入るノッポ君。
この2人中々いいコンビです。

以下 ●●Tさん現る●● は⑲に続く


2009.10.27 火曜日

行き場のない患者⑰

●●N事務長の見立てⅢ●● 

茶髪作業着君を盲信的だと言うN事務長。
その真意は一体何?

「今の内縁の男性を、私は茶髪作業着君と呼んでいます」

「茶髪作業着君?」

「ええ、見たままなんですけれど」

「その茶髪作業着君がどうして盲信的なの?」

「20代と言っても、20代の半ばは過ぎていると思います」

「まあ、若いと言えば、若いよね」

「しかし、服装から判断すれば、建設か土木関係の仕事をしていると思います」

「そうでしょうね・・・」

「仕事の内容や中身は別にして、それなりに社会に出て他人と接していれば、していいこと悪いこと、言っていいこと悪いことの区別はつきませんか?」

「確かに、多かれ少なかれ、それが社会性というものでしょうね・・・」

「自分の言い分が通らないからと言って、辺り構わず表へ出ろとか、殴るとかあり得ますか?」

「そんなこと言うの?」

「ええ、私にも、前の内縁の男性にもです・・・」

「身内というか、仲間にまで?」

「そうなんです」

「ふーん・・・」

「もちろん自分のこととか、それが自分の生活に不利益をもたらすのなら分かりますよ」

「確かにな・・・」

「いくら、彼女か内縁の妻だか知りませんが、そこまで行動に出せますか?」

「それだけ、Tさんを愛しているから?」

「愛ですか?」

「違うかな・・・何かそこにあると思う訳ですね・・・N事務長としては・・・」

「そういうことです。何かそこには、Tさんの持っている狂信的なパワーが彼をそうさせているとしか思えません」

「それが、精神的な病気が移っている、伝染しているということですか?」

「何か、オカルト的なもの・・・」

「ハハハ、それは考え過ぎですよ」

「そうだといいのですが・・・」

「彼は、興奮すると喋っている時に口角に泡が溜まるんです」

「口角に泡?」

「ええ、私が今までお相手させて頂いたその方面の患者さまは皆そうだったものですから・・・」

「そうですか」

「N事務長の見解ということで、心してお聞きしておきます」

「単なる素人の私見ですからね」

「まあ、そういうことにしておきます」

以下 ●●N事務長とノッポ君&茶髪作業着君●● は⑱に続く


2009.10.26 月曜日

行き場のない患者⑯

医療・介護のよもやま話 — admin @ 17:33:23

●●N事務長の見立てⅡ●● 

N事務長の見解は、まだまだ続きます。

「それで、何が見えてきましたか?」

「Tさんは40歳を超えていますよね?」

「カルテによると46歳です」

「外に居る男性は、どう見ても20代です」

「そうですか・・・」

「まあ、Tさんは若く見えますから・・・それに男女間のことなど、他人がどうのこうのと言えませんが・・・明らかに、Tさんの中心とした群れのように思えます」

「ん?群れ?」

「はい、群れです。ハーレムでもいいですが・・・」

「・・・まあ、話を続けてください」

「子供達は、まだそれ程大きくありませんから、彼等の物の見方や考え方は、当然母親であるTさんに大きく影響されます」

「影響されるというよりは、母親の考えが全ての基本になっていることは、間違いないでしょうね・・・」

「そこで、4人の男性陣は置いておいて、まずは3人の子供達です」

「子供達がどうかしましたか?」

「彼等の私を見る目が、驚くほど敵意に満ちて、とても13歳の中学2年生、11歳の小学6年生、10歳の小学5年生とは思えないんです」

「そうなの? 前、小児科に受診に来ていた時にちらっと見かけた時は、そんな風に思えなかったけれど・・・」

「そこなんです」

「どういうこと?」

「要は、母親であるTさんに全てを依存して生活している子供達にとって、母親の言うことは絶対であって、母親の望むことが彼等の望むことであるということです」

「まあ、そうでしょうね・・・」

「しかし、そうであっても、あの敵対心丸出しの目付きは、あの年齢の子供達にしては異常です」

「そうですか・・・」

「後で、E内科部長も通りすがりに子供達に視線を合わせてみてください。多分、E内科部長に対してもそのような目付きで睨んでくると思いますよ」

「分かりました。確認しておきます」

「お願いします」

「それで、若い男性達はどうなの?」

「特に、今現在、居候している内縁の男の方が危ないです」

「危ない?」

「ええ、盲信的です」

「盲信的?」

以下 ●●N事務長の見立てⅢ●● は⑰に続く


2009.10.25 日曜日

行き場のない患者⑮

医療・介護のよもやま話 — admin @ 11:32:28

●●N事務長の見立て●● 

決して他言もしないし、笑ったりもしないというE内科部長の言葉に、N事務長はTさん一行に対する見解を話し始めます。

「まず、前置きで申し訳ありませんが、精神的な病気が伝染するということをE内科部長はどうお考えになりますか?」

「N事務長はそのような症例を、見たことがあるんですか?」

「見たというよりも、感じただけです」

「まあ、そのような症例報告がないわけではありませんが、それは、細菌やウイルスといった伝染とは全く別のものと考えています」

「要するに、生活を一緒にしていくうちに、時間を共有することによって、考え方や物の見方に影響を及ぼすということですよね?」

「まあ、簡単に言えばそういうことかな」

「そうですよね・・・」

「N事務長は、いろんな人と話をしたりしているから、そんなことを感じたこともあるわけですね」

「はい。 奥さんが入院していて、オカシナ言動をする。そのことを旦那さんに話をすると、旦那さんはそれを認めたくないのか、それとも奥さんの言動が普通であると思っているのか、話が噛み合わないことがありました」

「そうですか・・・それと今回のTさん家族、知人どういう風に結びつきますか?」

「そこなんですが・・・Tさんはお子さん3人と暮らしている」

「そうですね」

「そこに、婚姻関係ではない内縁の男が居候している」

「まあ、そのくらいは良くありますよね」

「でも、その前に居候していた別の男性も出入りしている」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「これは、どうでしょうか?」

「うーん」

「Tさんは、若い男性に子供達の前でどのように接しているのか?」

「そうだね・・・」

「外に居る、子供達と若い男性4人の関係がなんだか微妙なんです」

「そうなの?」

「ええ」

「どういうこと?」

「子供達は、まるで少し年の離れた友達、お兄さんみたいに接しています」

「まあ、そんなものでしょう」

「でも、前の内縁の男性と今の内縁の男性では、Tさんの男性に対する接し方も違うでしょうし、子供達もそれに従うと思うのですが・・・」

「そんなことはない。と・・・」

「ええ、どちらかと言えば、前の内縁の男性の方が、主導権を握っているような気がします」

「外では、そうなっているんだ・・・」

「はい」

以下 ●●N事務長の見立てⅡ●● は⑯に続く


2009.10.24 土曜日

行き場のない患者⑭

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:42:42

●●E内科部長とN事務長は相談する●● 

E内科部長とN事務長は、Tさんに対する対応を協議しています。
N事務長は、ここで患者さまの要望を聞くことは今後の為に良くないと考えています。
もちろん、要望というのは医師が患者さま以外の家族に直接話をすることです。

「E内科部長、それで、Tさん本人は納得しているんですか?」

「ああ、今日は薬は出さないよって今も言っていたところだから」

「それなら問題ないですね」

「でも、本人はお願い出してって言っていた」

「でも、E内科部長は却下したんですね?」

「一応は・・・」

「それを、家族に言うわけだ・・・家族と言っても、同居人らしいですけれど・・・」

「そうなの?」

「ええ、あの若い男性は元同居人と現在の同居人らしいです」

「そうだよね、生活保護受給しているから、籍入れていたらおかしいよね」

「多分、そんなことだと思います。ところで、Tさんの生活保護申請の意見書は、E内科部長が書いているんですか?」

「いや、当院では書いてない」

「じゃあ、何処の病院でしょうか?」

「彼女の既往歴からすると、△△病院かな?」

「てことは、精神の病気ですか?」

「多分・・・」

「やっぱり」

「なんだ、N事務長もそう思う?」

「ええ、私は専門家ではありませんが、あの家族、知人達の言動にはそれらしき匂いがします」

「そうなんだ・・・でも、N事務長の嗅覚は立派なものですから、その根拠を参考までに聞いておきたいと思いますが、如何でしょうか?」

「いやいや、そんな・・・E内科部長に私の第6感を話してもしょうがありませんから・・・」

「そんなことはありません。N事務長の第6感というか、他人を観察する能力の高さは医局でも評判です」

「褒められています?」

「ええ、心から」

「そうですか・・・それならば、あくまで私見ですからね・・・他の先生達には言わないでくださいね」

「もちろん」

「専門家じゃない私が、単に感じたことですから笑わないで聞いてください」

「もちろんです。決して笑ったりしません」

以下 ●●N事務長の見立て●● は⑮に続く


2009.10.23 金曜日

行き場のない患者⑬

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:12:54

●●E内科部長の見解●● 

ノッポ君、茶髪作業着君の2人から離れ、Tさんの子供達の粘りつくような視線を受けて診察室に入ったN事務長。
A外来師長がN事務長を迎え入れ、Tさん御一行様の様子を聞きますが、N事務長の答えは、A外来師長の予想どおりです。
E内科部長は、Tさんの様子を確認しに点滴室にいるようで、A外来師長がE内科部長を呼びに行きます。
果たして、E内科部長はどんな見解を下すやら・・・

内科診察室の患者様用丸椅子に腰掛けて、ぐるぐる回りながらE内科部長を待っていると、白衣の前ボタンを外して、白衣の裾をヒラヒラさせながらE内科部長の登場です。
E内科部長の顔は、いつもどおりマイペースでポーカーフェース。

「E内科部長、どうですか?」

「Tさんは、落ち着いています」

「そうですか・・・」

「外野はどう?」

「大騒ぎしています」

「ハハハ、やっぱり」

「やっぱりとは、どうしてですか?」

「今、Tさんと話をしていたんだけれど・・・」

「何て言っているんですか?」

「相変わらず、安定剤を打ってください、だって」

「で、何て答えたんですか?」

「今日は、打たない。今、落ち着いているのに打つ必要無しって言っておいた」

「そしたら何か言ってましたか?」

「それじゃあ、付いてきた家族や友人が納得しないだって」

「はあ?・・・どういう意味ですか?」

「分からないけれど、多分、家族や友人は安定剤が特効薬だと思っているんじゃないかな」

「なるほど・・・特効薬か・・・」

「確かに、特効薬には違いないけれど、私には処方する意味が分からないから、お断りしておきました」

「そうですね。それがいいです」

「家族やその友人達は何て言っているの?」

「処方しない医者を出せ、話をさせろって息巻いています」

「そうなんだ・・・どうする? 出た方がいい?」

「出なくていいですよ、普通に話して、理解も聞く耳も持たない人達ですから」

「そんなに凄いの?」

「ええ、予想以上ですね・・・」

「N事務長がそう言うのなら間違いないね、家族、友人も含めて病気になってるのかな?」

「ええ、その可能性は大です」

「家族て言っても、子供達はまだ小さいはずだよね?」

「はい、聞くところによると、長男は13歳で中学2年生、女の子は11歳の小学6年生、もう一人の男の子が10歳の小学5年生です」

「確か、当院の小児科の患者さまだったかな?」

「そうらしいです」

「家族揃って、病院通いか・・・」

以下 ●●E内科部長とN事務長は相談する●● は⑭に続く


2009.10.22 木曜日

行き場のない患者⑫

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:07:39

●●2人の再要求●● 

ノッポ君と茶髪作業着君は一触即発。
なんでこうなるのやら・・・
大体、何ですか?この微妙な関係は・・・

「2人とも、落ち着いて、ここで仲違いしてもしょうがないでしょ」

「ああ・・・」 「そうだな・・・」

「どちらにしても、問題はTさんのことですよね?」

「そうだ、で、どうなんだ?・・・医者に言ってくれるのか?」
気を取り直したノッポ君がN事務長に問うてきます。

「多分、聞いたところで、今日はその必要無しと言われると思いますよ」

「だから直接聞いてやるから、医者を連れてこいよ」
これまた気を取り直した茶髪作業着君が加勢します。

「じゃあ、無理とは思いますが、一応担当医師に確認してみましょうか?」

すかさずノッポ君が
「そうしてくれるか?」
と相槌を打ちます。

「じゃあ、お待ちください」
そう言ってN事務長は、E内科部長のいる診察室に歩き出します。
それにしても、言いたいことをはっきり言う連中です。
自分達の意見が第一で、他人の考え、病院の意思、考えは完全に無視。
これでは、職員が嫌がるのにも頷けます。

診察室に入る前に、内科診察室の入口に程近い待合ソファーに座っている、Tさんの子供達を見ると、3人とも肩を怒らして虚勢を張る、街中を歩くチンピラのような目付きをしてN事務長を睨んでいます。
診察室に入るドアを開けると、A外来師長が待ち受けていました。

「どう? あの連中は如何ですか?」

「まあ、大変と言えば大変です」

「分かって頂けましたか?」

「そうですね・・・普通に話が出来ない分、大変ですね」

「そうです、そうです」

「ところで、Tさん本人は?」

「あちらの点滴室で休んでます」

「薬とかは?」

「今、先生と協議中です」

「そうですか・・・で、E先生は何て言ってます?」

「今日は必要ないだろって」

「じゃあしょうがないですね」

「そうなんです」

「大体、本当に病気なの?」

「こればっかりは、なんとも・・・」

「そうか、当院に専門家は居ないですからね」

「そのとおりです」

「E先生は?」

「今、Tさんの様子見にいってます」

「じゃあ、診察室の中で待たせて貰います」

「そうしてください。E先生呼んできます」

以下 ●●E内科部長の見解●● は⑬に続く


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