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医療・介護のよもやま話

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2009.11.28 土曜日

行き場のない患者48

医療・介護のよもやま話 — admin @ 20:23:37

●●御前会議●● 

翌日、朝一番にN事務長は看護部長と共に、院長室へTさんの件を報告に上がります。
E内科部長の言うところの御前会議です。
もちろん、E内科部長の言うところの御前会議の御前は院長のことと思いますが、もしかすると、御前は看護部長のことかも・・・

院長、看護部長、N事務長はこの会議を情報共有の為に随時行っており、E内科部長を始めとする職員の思いとは別のところにありますが、この会議は密室で行われており、内容や会議の趣旨も秘密にしていますから、傍から見れば、御膳会議、そう思われるのも致し方ありません。

院長室の前まで来ると、院長の声が聞こえます。
どうやら電話中のようです。
相手は?
話の内容から患者さまのことについてのようです。
「分かりました。私の方でも確認しておきます」 と言う声が聞こえてきます。

電話も一段落したようなので、ノックをすると、
「はい、どうぞ」 と返事が返ってきます。

「失礼します」 とドアを開けて部屋に入ると、院長はまだ電話中ですが、手でソファーを指さしています。
院長の指示に従いソファーに看護部長と共に腰掛けると、

「分かりました。その件についてはこれから報告を受けます」
と院長が言っています。
どうやら電話の相手はE内科部長のようです。
電話を切った院長が、

「おはようございます。今、E内科部長から電話がありました。その件ですね?」

看護部長が、「ええ」 と答えます。

「昨晩は大変だったみたいですね?」 と言う院長の視線はN事務長に向いています。

「昨晩は、私は大した活躍をしておりません」

「そうでした、N事務長の出番はこれからですね」

「そうなります」

「では、昨晩の件についての報告を聞かせてください」

「まずは、当該患者さまのカルテを持ってきましたので、ご確認をお願いします」
そう言って、N事務長がTさんのカルテを院長に手渡します。

院長は表紙をめくり、1号用紙の氏名、性別、年齢、病名などを確認しています。
「なるほど、E内科部長の報告のとおりです」

「院長はTさんの診察はされたことありませんこと?」
と看護部長が尋ねます。

「残念だけれど、私の診察には来てない。カルテにも私の記述はありません」

「お顔も、お分かりになりませんかしら?」

「ああ、残念だけれど・・・」

「そうですわね、診察していなければ、入院患者さまならいざ知らず、外来患者さまは無理ですわね」

「そうですね・・・」

「それで、この患者さま、Tさんって言うんですけれど、今までに医局で何かお話はありませんでした?」

「いや、それも今日の朝、初めてE内科部長から聞いた次第です」

「相変わらず、医局の先生方は意思の疎通がお悪いことで」
看護部長の毒舌が始まります。

「まあまあ看護部長、それくらいにして昨晩の経過を報告してください」
N事務長が看護部長の独走を阻みます。

「あら、だって、看護部では随分前からTさんについて問題提起してきましたのよ」

「はい、それは了解していますが、ここは報告を先にお願いします」

「全く、意思の疎通じゃなくて、医師の疎通が悪いって漢字の変換を変更願い出したい程ですわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・」

「あら、ここは笑って頂くところですよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・」

看護部長、それは笑えません。

以下 ●●御前会議Ⅱ●● は49に続く