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医療・介護のよもやま話

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2009.12.31 木曜日

行き場のない患者80

医療・介護のよもやま話 — admin @ 14:21:05

●●報告●● 

結局昨晩、警察官が病院を後にしたのは午後11:00。
それから片付けをし、夕飯を食べていなかったのでコンビニに寄ってお弁当を買って家に着いたのは日も変わろうとしている時間です。

それにしても、あの連中は何なのでしょうか?
自分勝手にも程があります。
思い立ったら吉日とばかりに、津波のように怒涛のごとく押し寄せてくる。
その行動力は敵ながらあっぱれ!
行動力は認めさせて頂きます・・・

明日、院長と今後の方針を話し合わなければいけません。
院長が嫌な顔をするのが目に浮かびます。
わざわざ、火中の栗を拾いに行くのは誰もがイヤだから・・・
どうやって、院長をこの問題に足を踏み入れさせるか?
まあ、院長にもある程度は絡んで頂かなければしょうがありません。
この際、腹を割って話をすることにします。

翌日・・・

昨日の疲れは抜けきっていないけれど、重い足取りで病院に向かいます。
病院に着くと、早番で出勤していた医事課のS君が近寄ってきます。

「おはようございます」

「ああ、おはよう」

「疲れた顔してますね」

「分かる?」

「ええ・・・聞きましたよ」
そういうS君はニヤニヤ笑っています。

「何?・・・何を聞いたの? 笑ってる場合じゃないよ・・・」

「昨晩、Tさん御一行の訪問を受けたみたいですね」

「ああ・・・」

「奴等もやりますね」

「物は言いようだな」

「敵ながらあっぱれですよね?」

「まあ、そういうことだね。 誰から聞いたの?」

「事務当直からの引き継ぎで・・・」

「そうですか・・・聞いたと思うけど、裏口の施錠を全職員に徹底しておいてください」

「かしこまりました」

「院長は来てるかな?」

「ええ、先程出勤されました」

「そう」

「これから、御前会議ですか?」

「そういうことになるね・・・」

「頑張ってください」

「ああ、そうするよ」

そう言って、N事務長は事務長室経由で院長室に向かいます。

以下 ●●報告Ⅱ●● は81に続く
 


2009.12.30 水曜日

行き場のない患者79

医療・介護のよもやま話 — admin @ 12:26:48

●●警察の仲裁Ⅵ●● 

N事務長が年配の警察官から院長を含めた話し合いの場を設けるように言われている頃、受付前へ、若い警察官とTさん御一行が歩いていきます。
先頭はTさんと茶髪作業着君、それに続いて男性3人、彼等5人を見張るように警察官が後ろに続きます。
Tさんと茶髪作業着君は何やらヒソヒソと話をしながら歩き、後ろに続く3人の男性は、人気が無く静まり返った病院の中を物珍しそうにキョロキョロ見回しながら歩いています。
受付に一団が到着すると、警察官に促されて当直事務員が自動ドアの施錠を解除します。
警察官はTさん御一行に、外に出るよう目で訴えると、Tさん、茶髪作業着君の後ろにいる男性3人の背中を押します。

「さあ、今日は帰って」

「なんだよ、押すなよ!」

「いいから外に出なさい」

「出るから押すなよ!」

「早く、早く!」

「分かったよ」

一団が病院の玄関から外に出ると、Tさんが若い警察官に話しかけます。
「本当に改めて話し合いの場を設けてくれるんだろうな?」

「ああ、今、事務長さんにもそのように話していると思うよ」

「間違いないな?」

「約束出来ると思うよ」

「約束守らなかったら、警察に抗議にいくからな?」

「ああ、分かったから」

「よし、それなら今日は引き上げるか」

「でもな、Tさんだったかな?」

「なんだよ?」

「時間を考えて訪問するべきだよ」

「アンタに言われる筋合いはないね」

「そんなことないだろ?」

「警察はどっちの味方か分からないな」

「どういうこと?」

「私達みたいな、一般庶民の味方じゃないってことだよ」

「そんなことないよ」

「そうかな? ま、いいか、オイ帰るぞ!」

「そうするか」 「はい」 「はい」 「はい」
4人の男達が口々にTさんに答えます。

「出直しや!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

5人を見送ったあと、事務長室に戻る若い警察官は、何か言いようのない不安を感じました。
若い警察官が事務長室に戻ると、年配の警察官が
「どうや? 大人しく帰ったか?」

「ええ、何とか・・・」

「どうしたんや?」

「あの連中何者ですか?」

「ああ、あいつらは素人やけど中々手強いわ」

「そうですか・・・その道の連中より性質悪いですね」

「まあ、そういうことや! 事務長さんも大変でしょうが、宜しくお願いしますよ」

「・・・はあ・・・」

「話し合いだけはしてやってくださいな」

2人の警察官はそう言い残して、病院を後にしました。

以下 ●●報告●● は80に続く


2009.12.29 火曜日

行き場のない患者78

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:42:54

●●警察の仲裁Ⅴ●● 

若い警察官には、N事務長の思惑通り話が進みました。
隣の応接室では、年配の一見温和な警察官がTさん一行に事情を聞いていますが、どんな話になっているのやら・・・
一通りN事務長の話を聞いた若い警察官は、隣の様子を見てくると言って事務長室を出ていきます。

手持無沙汰のN事務長は、部屋の片付け始めます。
警察官がお互いの言い分を聞いて、大岡裁きならぬ仲介をして、今日のところは帰りなさいとTさん一行に言うことが予想されます。
そうなれば、Tさん一行には、改めて出直して頂くことになりそうです。
そうこうする内に、若い警察官が年配の警察官を連れて事務長室に戻ってきました。

「事務長さん、向こうも事情を聞き終わりました」

「そうですか、ご苦労様です」

「私が事務長さんから聞いた話と、ほぼ同じ内容だそうです」

「なるほど・・・・そうでしたか」

すると、年配の警察官がN事務長に話しかけます。
「事務長、今日はこのまま彼らを帰らそうと思いますが、いいでしょうか?」

「そうですね、時間も遅いですし、それがいいかと思います」

「その為には、明日以降に院長先生なりに話し合いの時間を取って頂くことは可能でしょうか?」

「院長ですか・・・」

「彼等は、それを条件に出してきてますし、私もはっきりと病院の代表として彼等に話をして頂くのがいいかと思います」

「院長も忙しい身なので、何時とは今の段階では決められませんが、その方向で調整してみると言って頂いて結構です」

「有難うございます。それでは、彼等にそう伝えて今日は帰らせます」

「宜しくおねがいします」

年配の警察官がそう言うと、若い警察官を従えて再び隣の応接室に向かいます。
ほどなくして、年配の警察官が1人で事務長室に戻ってきました。

「今、もう1人の警察官に彼等を送りにやりました」

「申し訳ありません。お手数掛けました」

「いや、それにしても大変ですな」

「いえいえ」

「実は、私は彼等に会うのは2回目でして」

「そ、そうなんですか?」

「別の病院で揉めたことがありまして、その時は事務員に手を出しましてね」

「その時現場にいらしたんですか?」

「ええ、そうなんです」

「そうですか・・・」

「今日、通報を受けてこちらの部屋に入った時に、またかと思いました」

「と言うことですか・・・」

「彼等も困ったものです」

「全く・・・それで何か言ってましたか?」

「この病院は私達を差別してるとか、病院なのに患者を選ぶとか言ってましたわ」

「そうですか・・・」

「まあ兎も角、今日は遅いし出直しなさいと言っておきましたから、今度は院長先生なり代表者の方も同席されてもう一度話し合いをしてやってください」

「そうですね・・・検討しておきます」

以下 ●●警察の仲裁Ⅵ●● 79に続く


2009.12.28 月曜日

行き場のない患者77

医療・介護のよもやま話 — admin @ 12:06:09

●●警察の仲裁Ⅳ●● 

若い警察官はN事務長と話をする内に、当初病院に来た時よりも心証がN事務長よりになってきています。
当たり前と言えば当たり前ですが、ここはもう一押しして完全にN事務長の味方にしてしまいましょう。

「でも、最終的に彼等は何をしたいんですか?」

「何をしたいかですか?」

「何を目的にでもいいです」

「この病院へ自由に出入りして、自由に欲しい薬を貰っていくってことでしょうか・・・」

「薬ですか?」

「ええ」

「どんな薬ですか?」

「御存知かとは思いますが、精神的な病気には病院じゃないと手に入らないものがたくさんあります」

「いわゆる合法ドラッグみたいなものですか?」

「それに近いものです」

「そうか、ハルシオンとかリタリンなんかも皆病院で処方されるんですよね」

「はい」

「そういったものも、入手しようとしているんですか?」

「Tさんの場合は、少し違います」

「どう違うんですか?」

「合法も合法、病院が処方するわけで・・・Tさんの愛用品の向不安薬などです」

「そうですか・・・」

「ですから、自然に当院での診察は拒否ということになりました」

「餅は餅屋にということですね」

「それもありますが、本人にとっても良くないという判断です」

「病院もいろんな患者さんを抱えているわけですね」

「そういうことです」

「でも、病院でそう決めたのならばどうしようもないじゃないですか」

「そうなんですが、納得出来ないって乗り込んできたんです」

「ああ、そうか」

「最終的に内科部長から通告されたんですが、それでも納得出来ないみたいです」

「じゃあ、どうするんですか?」

「院長に会わせろと・・・」

「なるほど」

「それも、今、呼べと」

「今? 今ですか?」

「ええ、この時間に・・・」

「それは無茶な要求ですね」

「そう思われますよね」

「はい。それで睨みあい?」

「そううことです」

以下 ●●警察の仲裁Ⅴ●● は78に続く


2009.12.27 日曜日

行き場のない患者76

医療・介護のよもやま話 — admin @ 19:17:13

●●警察の仲裁Ⅲ●● 

事務長室にて若い警察官と2人きりになったN事務長は、ことの経緯を話はじめます。
この若い警察官であれば、N事務長の言い分を100%信用してくれることでしょう。

「そうですか、問題児ですか・・・」

「ここだけの話ですが、2~3か月前に、彼等は近くの病院で事務員に暴力をふるって警察のお世話になっているようですよ」

「そうなんですか?」

「名前を確認してから、後で調べてみてください」

「そうさせて頂きます」

「ところで今日は彼等が来ることを事前に知っていたんですか?」

「いいえ、彼等は裏口が開いているのを見計らって病院内に侵入したみたいです」

「そうですか・・・」

「もちろん、病院は半公共な場所ですから、不法侵入にはならないと思いますが、それに近い侵入をしてこの部屋に乗り込んできました」

「何時頃ですか?」

「9時頃です」

「じゃあ、1時間以上ここに居たわけですね」

「はい」

「なるほど・・・それで、彼等の要求は何なんですか?」

「1人女性が居たと思いますが」

「ええ、いましたね」

「彼女が患者、いや元患者なんですが・・・」

「じゃあ、彼女が問題の発端なわけですか?」

「はい」

「それでは、他の男性達との関係は分かりますか?」

「茶髪の作業着を着ていた男は、内縁関係と聞いています」

「その他の3名は?」

「3名は初めて見る顔です」

「関係は分かりますか?」

「茶髪の男性の友人のようです」

「なんで、友人を連れて来たのか分かりますか?」

「数の論理でしょう」

「数の論理?」

「要は人数居た方が圧力が掛かると思っているんじゃないですか?」

「なるほど・・・」

「部屋に乱入してからも、睨みを効かせたり、書棚や机、椅子を蹴ったりしてましたから」

「そうですか・・・」

「ちなみに、女性の方の病気は何ですか?」

「精神的な病気です」

「あー、そういうことですか」

「そういうことです」

「○×病院さんは、診療科がないからお断りしたけれど、何で診られないんだって乗り込んできたわけですか」

「そんなところです」

「そんなに、その精神的な病気は酷いんですか?」

「専門的なことは分かりませんが、思い込めば思い込む程、悪くなるんじゃないですか・・・被害妄想って言葉がありますよね?」

「はい」

「それに近いものだと思って頂けばいいと思います」

「それで、この部屋で事務長さんを脅していたわけですか?」

「そういうことです」

「事務長さんも大変な仕事ですね」

「警察の皆さん程ではありませんけれど・・・」
よしよし、これで、この若い警察官は私の味方になったようです。

以下 ●●警察の仲裁Ⅳ●● は77に続く


2009.12.26 土曜日

行き場のない患者75

医療・介護のよもやま話 — admin @ 11:35:15

●●警察の仲裁Ⅱ●● 

満を持して登場した?警察官は2手に分かれて事情聴取に・・・
実際には、事情聴取というよりも、単に事情、事の経緯を聴くだけです。
年配の穏やかな風情のベテラン警察官がTさん一行を隣の応接間に連れていき、N事務長は目付きの鋭い若い警察官と事務長室に残ります。

でも、人は外見で判断してはいけません。
実はこの警察官のペア、穏やかな風情のベテラン警察官が厳しく、目付きの鋭い若い警察官が気弱なんです。
ベテラン警察官は余裕があるから穏やかで、若い警察官は余裕が無いので顔だけでも強面にしているということ。
それは、2人の会話から理解出来ます。

でも、警察官は自分達の外見や雰囲気をどう思われているかには無頓着なのに、ことこのような仲裁の場合は、10:0 とはいきませんが、少なくとも 7:3 で見た目が普通で、それなりに身分のしっかりした人の味方をしてくれます。
それを見越しての警察官の応援要請です。

「それでは事務長さん。事情をお話頂けませんか?」

「はい」

「こちらに座ってお聞きしますが、いいですか?」

やっぱり、この若い警察官、丁寧に腰も低く接してきました。
「ああ、すみません。気が付きませんで・・・」

「いえいえ」

「すみません。こんな時間にお呼びたてしまして・・・」

「職務ですので、お気になさらないでください」

「まずは名前と住所ですか?」

「いえ、お名前も住所も存じております」

「そうですか・・・」

「事務長さんの名前、住所は署に保存されていますので」

「そうですか・・・」

そうなんです。
N事務長の名前、生年月日はもちろんのこと住所まで警察署に保存されています。
もちろん防犯協会に強制入会させられ、会合にも強制参加させれているし、病院内での揉め事で何度も警察にもお邪魔していること、それにも増して警察の捜査協力?しているからかな・・・

「氏名N。生年月日昭和●●年×月△日で●×才。現住所は○×市△町○-○で間違いありませんか?」

「はい、間違いありません」
でも、手帳を見ながらでもこうスラスラ言われると何だか嫌な気分。
悪いことは出来ません・・・

「それで、今日はどうされたんですか? その前に彼等は患者ですか?」

「元患者です」

「元?」

「はい。先日から、当院の患者さまではありません」

「???・・・どういうことですか?」

「問題患者ってことです」

「問題患者?、問題児ってことですか?」

「そう考えて頂いて結構です」

以下 ●●警察の仲裁Ⅲ●● は76に続く


2009.12.25 金曜日

行き場のない患者74

医療・介護のよもやま話 — admin @ 11:23:18

●●警察の仲裁●● 

受付の事務当直者から連絡が入り、警察が到着したということですが、それにしても事務当直者の反応は如何なもの?
何かありましたか?ですって・・・
1人、2人の院内への侵入ならばまだしも、相手は5人です。
今後は病院内のセキュリティーを重要事項として、抜本的に考え直さなければなりません。
事務系の部屋が多く集まるこの階は特に要注意です。
そもそも、医療従事者は事務系の部屋には寄り付きませんし、事務長室なんてもっての外と考えています。
下手をすれば、事務長室を 「取調室」 とか言っている職員もいるくらいです・・・

Tさん御一行は、皆、渋面、仏長面です。
まさか警察が本当に来るとは、思っていなかったようです。
よし、これで今日の会合?はお開きとなるに違いありません。

「どうされましたか? もうすぐ警察の方がお見えになりますから」

「警察なんか呼んでどうするんだよ」

「どうするもこうするも、警察でも呼んでみろと言ったのはアナタですよ」

「言葉のアヤやろ!」

「言葉のアヤだろうが何だろうが、呼んでしまいましたし、第三者として話を聞いて貰えばいいと思います」

「警察は関係ないやろ」

「そうですか? このまま話をしていても埒が明かないし、まあいいキッカケじゃないですか」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

少し慌て気味の茶髪作業着君に比べ、Tさんは落ち着いたものです。
Tさんは、警察の扱い、対応にも慣れているように思えます。

ドアがノックされました。
「はい、どうぞ」

ドアを開けたのは当直事務員です。
その後ろには、制服姿の警察官が2人続きます。
1人の年配の警察官には見覚えがあります。
何度も病院内で見かけている警察官です。
年は50歳くらいでしょうか、警察官としては押し出しの弱い、優しそうな地域のおまわりさん然としています。
もう1人は20代の若い警察官。
こちらは目付きも鋭く、何かあれば直ぐにでも抑え込んでやろうとする気迫がみなぎっています。

ドアを開けた事務当直員は、事務長室の中を見てギョッとしています。
さほど広くもない事務長室に、事務当直員も問題児と認識している顔なじみの2人と若いヤンチャそうな男が3人も居て、その圧迫感、閉塞感にたじろいだようです。

「失礼します」
年配の警察官が、事務当直員の横から事務長室に入室しました。
そして、目付きの鋭い若い警察官も、後に続きます。

「お忙しいところ申し訳ありません」

「どうされましたか?」

「こちらのお客様が突然乗り込んで来られまして、少々身の危険を感じましたもので御足労頂いた次第です」

「???」

「お話は、お客様にも聞いてみて頂けませんか?」

「・・・そうですか・・・」
年配の警察官は事態が飲み込めないようです。
「ちょっとここは狭いようですから、どちらか、お話する場所はありますか?」

「隣に応接間がありますから、そちらをお使いください」

「それではそうさせて頂きます」

N事務長は事務当直員に命じて、応接間を開けさせます。
年配の警察官は事務長室を占拠していたTさん御一行を引き連れて応接間に向かいます。
事務長室には若い警察官とN事務長が残されました。

以下 ●●警察の仲裁Ⅱ●● は75に続く


2009.12.24 木曜日

行き場のない患者73

医療・介護のよもやま話 — admin @ 10:44:39

●●警察到着●● 

話の流れで警察に通報することになったN事務長。
警察を呼んでも、問題の抜本的な解決にはなりませんが、今日の会合?はお開きに出来るはず。
突然訪問されても・・・困るんですよ!
訪問と言うよりは乱入ですが。

でも、Tさん御一行は一体何をしたかったのでしょう・・・
自分達の都合のいいように病院を使うことを認めさせる。
その為に自分達の力を誇示する。
標的は医療従事者ではなくN事務長。
そのN事務長を脅す。
こんなところでしょうか?

でも、N事務長には院内で物事を決める力はありません。
買いかぶり過ぎです。
N事務長にあるのは、事故や不正等、病院にとって不利益になることを事前に察知して、調整するだけです。

さて、N事務長が警察に通報していると、Tさん御一行は何やらヒソヒソ話をしています。
あれあれ・・・警察への通報は、Tさん御一行の予定には入ってなかったとみえます。
しめしめ。

「で、警察は何て言ってたんや?」

「これからお伺いしますですって」

「ホンマに来るんか?」

「ええ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・」 「・・・・・」

「何か不都合でも?」 

「警察なんか呼んでもケリはつかんからな」

「そもそも何のケリですか?」

「話のケリや!」

「はいそれは分かりますが、話のケリってのが分かりません」

「どうして、Tがこの病院で診察してもらえないかってことだよ!」

「それは何度もお話しているとおりです」

「それが納得出来ないから、院長を呼べって言ってるんだろ!」

「今、何時だと思っているんですか?」

「10:30や!」

「そうです。朝じゃなくて夜の10:30です」

「だからなんや?」

「突然来られて、院長を呼べって・・・それはあり得ません」

「じゃあ、申し込みでもするんか?」

「そうですね。話し合いの必要があればそうしてください」

「なんやと!」

その時、事務机の上の電話が鳴りました。
「ちょっと電話みたいだから失礼!」
N事務長はそう言って受話器を取ります。

「N事務長ですか?」

「はい」

「まだいらっしゃったんですか?」

「ええ、お客さまがいてね」

「お客様ですか?」

「ええ」

「今、受付にもお客様が・・・」

「そう、警察でしょ?」

「はい」

「私が呼びました」

「何かあったんですか?」

「まあ、そういうことですからこちらにご案内して頂けますか?」

「は、はい。 大丈夫ですか?」

「今のところはね」

「す、すぐ警察と上がります」

「待ってます」

以下 ●●警察の仲裁●● は74に続く


2009.12.23 水曜日

行き場のない患者72

医療・介護のよもやま話 — admin @ 11:09:22

●●警察通報●● 

茶髪作業着君をはじめとするTさん親衛隊の面々がしびれを切らして興奮してきました。
彼等のように理路整然と話をするのが面倒で、自分の主張を正当化する手段に威嚇や強要、時には暴力を用いる人達は分かり易くて面白いものです。
こう言ったら、こう行動するって簡単に読めるから。
逆にTさんのような人物は、何を考えているか、どんな作戦を立てているか理解し難く、その都度対応を余儀なくされるので面倒です。
だから、今回、ターゲットとしてロックオンしたのは茶髪作業着君です。

時計を見ると、話し合いを始めてからもう1時間が経過して22:00を回っています。
早く家に帰ってTVでも見たいのに・・・

「ふざけてはいません」

「ナンヤト! オラ!」
顔を近付けた男がまたしてもN事務長の座っている椅子を蹴飛ばします。

「君達、この部屋にあるものに触れないようにと言っているのが分からないのですか?」

「コイツ、シメようや!」 「アア、ヤッチまおうぜ!」
N事務長に近付いてきた2人の男が茶髪作業着君に問いかけます。

「アア、そうやな。 T、ヤルゼ!」

「まあ、待ちなって」

何で、止めるのかな?
「一体、しめるとか、やるってなんのことですか?」

「この口、2度と開かないようにしてやる!」 「ホンマや!」

「そうですか、それではどうぞ暴れてください」

「なんやと!」 「しばいたれ!」

相変わらず、口と無理に恐がらせようと作った顔付きだけで手は出してきません。
この連中は、やっぱり組織と喧嘩する方法が分かっていないようです。

「オイ、事務長!」
茶髪作業着君の呼びかけに、2人の男性は心持ち安堵した様子を見せています。
興奮して、調子に乗って、煽るだけ煽ったものの手を出すかどうかの判断が出来ずにいたからでしょう。

「何ですか?」

「アンタ、こいつらに手を出させて、警察でも呼ぼうと思っているんじゃないのか?」

よし、警察という言葉が出た!
「何ですか? 警察が来たらマズイことでもあるんですか?」

「そんなもんあるか! 呼びたきゃ呼んでみろや! 警察もそんなに暇やないぞ!」

「そうですか、それでは院内、そして、この部屋に乱入して机や椅子を蹴り上げて帰らないって電話してみましょう」

「おー、やってみろや!」

よし、引っかかりました。
警察呼んでも解決にはなりませんし、この問題について警察は役に立ちそうもありませんが、今日の監禁は解かれます。
それではお言葉に甘えて・・・

「分かりました。警察呼ばせて頂きます」

「・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・」 「・・・・・」

口をあんぐり開けている3人、いや男性陣4人と苦虫を噛み潰した表情をしているTさんの横目に事務机に戻り受話器を取ります。
「1、1、0番」
と声を出してプッシュホンを押します。

「○×警察です」

「恐れ入ります。○×病院の事務長をしていますNと申します」

「何かありましたか?」

「すみませんが、患者さまの一団が私の事務室に乱入しまして、事務室内で器物を破壊しようとしたり、暴力沙汰に及ぼうとしています」

「事務長さんが暴行を受けたのですか?」

「今、現段階では大丈夫ですが、その可能性が大です」

「そうですか・・・で、相手は何人ですか?」

「男性4名と女性1名です」

「病院側は?」

「私1人です」

「???・・・今は・・・電話出来る状態なんですか?」

「ええ、何とか彼等をやり過ごして、連絡させて頂きました」

「・・・・よく分かりませんが、何か危険な状態のようですね・・・」

「はい、お察し頂き感謝します」

「了解しました。地域課を向かわせます」

「お願いします」

以下 ●●警察到着●● は73に続く


2009.12.22 火曜日

行き場のない患者71

医療・介護のよもやま話 — admin @ 12:28:57

●●対決Ⅹ●● 

N事務長はこの不毛な話し合いを終わらせるべく、相手に選んだのはTさんでなく茶髪作業着君です。
このままTさんと話を続けていて、発作でも起こされれば何を言われるか分からないし、意のままに発作を起こせるTさんのことですから発作の信憑性にも問題があります。
せっかくここまで診察をしないという方針を貫いてきたのに、発作を起こされたり、発作のふりでもされれば診察、処置をしないわけにもいきません。

よし、ここは腹を括りましょう。
茶髪作業着君に暴力行為に及んで貰うか、職員の助太刀は望めそうにもないので、解決にはならないにしても、この不毛な話し合いを中断、終了させる為に警察を呼ぶのもいいかもしれません。
でも、警察を呼ぶにはそれなりの理由がなければ・・・
ここは出たとこ勝負。

「確かに先日Tさんが診察を受けられた時のことをTさんが覚えておられないことはあるかもしれませんが、貴方には立会ということで診察室に入って頂きましたね」

「診察室には入ったのは認めるわ」

「それで、医師の説明もお聞きになりましたね?」

「ああ、なんか言ってたな」

「なんかじゃなくて、貴方にも説明があったと思います」

「オレに?」

「ええ」

「オレじゃなくて、Tに説明したのをオレは見ていただけや!」

「言った言わないは止めにしましょう。カルテを見ればその時に、誰が誰にどのようなことを話したかは明確です」

「なんやと! オマエ、オレを責めてるのか?」

「貴方はあの時、Tさんは体調も良くないので、Tさんと同じ立場で今後のことを聞いて頂く為にお呼びしたんです」

「はあ? なんやそれ?」

「それを聞いていなかったとはどういうことですか? 貴方はTさんのことが心配じゃないんですか?」

「なんやと!」

「そんなことじゃ、Tさんのお体は良くなりませんよ」

「オマエに言われる筋じゃねえよ」

「そんなことはありません」

「なんやと!」

茶髪作業着君が興奮するに従って、後ろに立っている3人も興奮しているのが見て取れます。
3人とも目が吊り上り、アゴが心持ち前に出てきました。

1人が横の書類棚を蹴り上げます。
ガーン!

もう1人がN事務長に詰め寄ります。
さらにもう1人は、N事務長の座っている椅子の足を蹴り付けます。
バゴッ!

「何ですか君達は! 先程、言ったはずだよ。 この部屋の中のものに手を触れるなとね」

「手は触れてないやろ!」 「そうや足や!」

子供の言い合いです。
「そんなことは通用しません」

「なんやと、この野郎!」
N事務長に詰め寄った1人の顔がN事務長の顔に接近してきます。
その距離、30㎝。
なんだか、よくある劇画みたいです。
チンピラが絡むシーン。
手が出ず、まずは顔を寄せる。
こういう時は、相手からは手が出ないのが常。
こうなれば、これをキッカケにしていくしかないようです。

「何ですか君達は!」

「あんだとこの野郎!」

「あのね、君、そんなに顔を近付けなくてもいいです」

「テメエ、ザケンナヨ!」

以下 ●●警察通報●● は72に続く


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