行き場のない患者139
●●電話Ⅱ●●
事務長室に戻ったN事務長に、医事課から弁護士のOさんと言う方から電話が入っているという連絡が入ります。
弁護士でOさんと言う方は面識がありませんので、Tさんの件だとN事務長は確信しました。
早速、電話を繋いでもらいましょう・・・
「どうされますか?」
「勿論、繋いでください」
「それでは、繋ぎます」
カチャ。
「お電話代わりました。事務長のNです」
「○×病院の事務長をされておられるNさんですね?」
「はい」
「私は、O法律事務所の弁護士のOと申します」
話し方は普通です。
上から目線の物の言い方でもないし、かと言って卑下した話し方でもありません。
「初めまして」
「お忙しいところ申し訳ありません」
「いえ・・・」
「本日、お電話させて頂きましたのは、私もよく知っております、Tさんと申す者からの依頼でお電話させて頂きました」
「はい」
「N事務長は、Tさんをご存知でいらっしゃいますか?」
「ええ」
それはそれは、よく存知ております。
何て言ったって、最近では一番の話題の人です・・・
「そうですか・・・Tさんからの依頼でお電話させて頂いているんですが、もし宜しければ一度お目に掛かりたいと思っておりますが、お時間頂戴出来ませんか?」
「別に構いませんので、都合のいい日にちと時間を、順番に2~3上げて頂けますか?」
「明日の午後とかは如何でしょうか?」
明日なら時間はいつでも取れますが、ここは礼儀で・・・
「午後は何時になりますか?」
「午後であれば、何時でも結構です」
それならば、お昼ごはんを食べて、落ち着いた時間で・・・
「それでは、15:00で如何ですか?」
「結構です。お伺いさせて頂きます」
「分かりました・・・ところで、O先生はTさんから委任状を頂いて、当院にお越し頂くわけですか?」
「一応、委任状はお持ちする予定ですが、先程申し上げたとおり、Tさんとはこれまでも何度かお会いしておりまして、Tさんの親御さんからの付き合いもありますので、まずはN事務長さんにお話をお伺い出来ればと思っております」
「そうですか・・・分かりました。それでは明日、お話を聞かせて頂きます」
「宜しくお願いします。それでは、明日、15:00に○×病院にお伺いさせて頂きます。受付に伺えば宜しいですか?」
「ええ、受付で分かるようにしておきます」
「お手数ですが、宜しくお願いします」
「ところで、O先生、宜しければ下のお名前もお伺い出来ますか?」
「Kです」
「どんな字をお書きになりますか?」
「Oは××の×と△△の△で、Kは○○の○の一文字です」
「有難うございます」
「ハハハ、N事務長は想像していたとおりの方です」
「はあ、どういうことですか?」
「これから、弁護士名簿を調べるんですね?」
やっぱり分かりましたか・・・その通りです・・・
「ええ、そうです」
「○×弁護士会に所属しておりますから、ご安心ください」
「そうですか・・・それでは、明日お待ち申し上げております」
「私も楽しみにしております。それでは明日」
Tさんの相談したO弁護士は、どうやら頭の切れる、まともな弁護士のようで一安心です。
これならば、話もスムーズに進むでしょう。
以下 ●●O弁護士●● は140に続く