行き場のない患者(Tさん)のその後6
●●O弁護士再びⅡ●●
他人事?ではありますが、思い立ったら即行動。
Tさんの周囲の人の中で、一番頼りになって、影響力をあるO弁護士に電話を掛けて、昨日のTさんの○×病院での行状を訴えると、O弁護士は、N事務長の言葉に頷き返してくれます。
ここは、Tさんの暴走を抑える為にO弁護士の力を借りるのが一番有効な方法だとN事務長は確信しました。
「失礼ですが、今もまだTさんと近い関係でいらっしゃいますか?」
「そうですね・・・近いと言えば近いですね」
「大変恐縮なお願いですが、Tさんに今回のことについて話す機会はありませんか?」
「まあ、電話を一本掛けるだけですみますね」
「それでは、その電話をお願い出来ませんか?」
「それは、N事務長からの依頼と受け取っていいんですよね?」
「いえ、私の依頼ではなく、Tさんが負けるであろう刑事、民事訴訟の被告となって、その弁護をする手間を省く為と思って頂きたく思います」
「ハハハ、さすがですね」
「そうですか?」
「世の中に、弁護士をタダで使おうと考える人はいませんよ」
「タダで使うんじゃなくて、先行投資と思ってください」
「よく言いますね」
「じゃあ、実費だけお支払いしましょうか?」
「それは電話代と電話を掛ける労働に対する対価を含んでですか?」
「申し訳ありませんが、私の財力では電話代だけになります」
「ハハハハハ」
「どうやら、お願い出来るようですね」
「まいったな。これじゃあ単なるお人好し弁護士、貧乏弁護士の見本です・・・」
「いえいえ、人権派弁護士の鏡です」
「上手いこと言いますね。 まいりました。 それでは電話代の代わりに、一つ教えて頂くとしましょう」
「何をお教えしましょうか?」
「Tさんのことです」
「Tさんのことは、私よりO弁護士の方が詳しいと思いますけれど・・・」
「もちろん、Tさんの置かれている環境や悩みなんかは知っていますが、どうしてあのような行動をするかについて、N事務長の客観的なご意見を頂戴出来ませんか?」
「そういうことですか・・・」
「病院という特殊な世界に勤務されているわけですから、いろんな患者がいて、似たようなケースは当然ありますよね」
「ええ、まあ・・・同じケースと言えるかどうかは分りませんが、似たようなことをする患者さまが居ないわけではありません」
「私もある事情から、今後もTさんと付き合っていかなければいけない身ですから、その辺りを踏まえておきたいんです」
それでは、地雷を踏まない程度に、私の思っていることを交換条件としてお教えすることにしましょう。
地雷を踏まないって?
そう、TさんとO弁護士が同胞であるということ・・・
以下 ●●N事務長の見解●● は7に続く