行き場のない患者144
●●O弁護士Ⅴ●●
Tさんの代理人であるO弁護士に、N事務長はTさんは精神の病気であると伝えると、O弁護士は暫し沈黙・・・
でも、確定診断ではないので、精神の病気かも・・・と言った方が良かったかも・・・
「それは、どんな症状なんですか?」
「残念ですが、私は医師ではありませんから、これ以上、病気のことについてお話しすることは止めておきます」
「それでは、N事務長の私見ということで教えていただけませんか?」
「その前に、Tさんが何をどのように、どうしてO弁護士に依頼、相談したのかを教えて頂けませんか?」
「そうですね・・・じゃあ、言える範囲でお話します」
「それで結構ですから、お願いします」
「まずは、何をですが・・・先程も言いましたとおり、こちらの病院で診療拒否をされたということで、診療を続けたいとの申し出でした」
「なるほど・・・では、どのように言われたのですか?」
「んー、それはですね・・・まあいいでしょう。N事務長から不当な扱いを受けて、個人的な恨みから診療拒否をされたということです」
ん? 私の個人的な恨み? まあ、当たりと言えば当たっています・・・
「私がTさんに対して個人的な恨みを抱いて、それが診療拒否の原因であるということですか?」
「Tさんはそう言っていましたが、何か心当たりはありませんか?」
無きにしも非ずです・・・
「それは、後ほどお話させて頂きます」
「分りました。後はどうして私なのかということですが・・・それについては、親御さんも含め、Tさんもある団体に入っておられまして、その団体を通じて知り合いになったということにしておいてください」
「ある団体ですか?」
「団体と言っても、別に非合法なものじゃありませんから・・・そうですね町内会みたいなものと思って頂いて結構です」
何でしょうか、団体って・・・町内会?まあいいか・・・
「そうですか・・・」
「そんなことで、お伺いしたわけですが、この問題の争点が何なのか私には今一つ理解出来ないんです」
「そうでしょうね」
「本当のところ、何ですか争点は?」
「何でしょうか・・・」
「Tさんは、病院の治療費の不払いということでは無いですよね?」
「ええ、公費で払われておりますから、それはありません」
「病院で何か問題でも?」
「それは、少しあります」
「あるんですか?」
「ええ・・・しかし、それ以上に問題があります」
「えっ? それは何ですか?」
「まず、Tさんがこの病院に来られるのは決まって夜間、若しくは時間外です」
「はあ・・・」
「そして、その時の状態は決まって過換気症候群です」
「過換気症候群?」
「まあ、興奮しての酸素の吸いすぎです」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ただし、その症状も詐病の疑いを捨てきれません」
「詐、詐病?」
「ええ、しかし確信はありません。診療にあたった医療従事者がそうかもしれないという疑念を持ったということです」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「そして、必ずその発作を止める為に、ある薬を注射してくれと言う」
「ある薬?」
「ええ、それは使用頻度が高いと中毒症状を起こすこともある薬です」
「中毒症状?・・・つまり、依存性が高いということですか?」
「そうです」
「なるほど・・・で、その過換気症候群の時は、通常その薬を使うんですか?」
「あまり使用しません」
「・・・そうですか・・・」
「しかし、極度の興奮状態が続く場合など非常時に使用することは稀にあります」
「なるほど・・・その薬をTさんは毎回欲しがるということですね」
「ええ」
「そうですか・・・」
以下 ●●O弁護士Ⅵ●● は145に続く