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医療・介護のよもやま話

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2010.4.8 木曜日

家族の形

医療・介護のよもやま話 — admin @ 19:35:31

病院に勤務していると、いろんな患者さま、患者さまの家族と出会うことになる。
家族や友人もいなくて、一人寂しく入院生活を送る患者さまがいる一方、家族に見守られ、家族の励ましや協力で病気と闘う患者さまも多々見られます。

手足のマヒで日常生活が困難な母親を毎日、朝昼夕、食事の介助に来る娘達。
1日のほとんどを、寝たきりの老人の側で過ごす老女。
20代で寝たきりになったご主人を甲斐甲斐しくする世話をする若妻。
難病で入院を余儀なくされた妻を、仕事帰りに毎日就寝時間まで見舞う旦那。

さまざまな家族模様が、病棟で繰り広げられます。
そんな患者さまの中で、N事務長の目に留まったある老夫婦の話。
老女は、ムシムシして立っているだけで汗が噴き出る梅雨の晴れ間に、○×病院に搬送されてきました。

「N事務長、救急搬送された患者さまのことですが・・・」

「どうしたの?」

「救急隊長がお話があるって、救急隊控室でお待ちになっておられます」

「なんだろう・・・何か言ってた?」

「多分、今運ばれてきた患者さまのことだと思います」

「どんな患者さま?」

「60代、女性で衰弱が激しいということでした」

「何か病気?」

「今、検査中ですけれど、行路みたいな雰囲気でした」

「そう・・・でもそんなことは・・・この時期の行路の搬送は珍しくもないけどね・・・兎に角、救急隊控室に行ってみます」

「お願いします」

急に暑くなったり寒くなったりすると、行路の患者さまが運ばれてくる頻度が高くなります。
不衛生な環境で栄養状態が悪ければ、気温の急激な変化で衰弱もするでしょう。
救急隊長の話はなんだろうと考えながら、N事務長が控室に入っていくと、

「お疲れ様」

「隊長お疲れ様です」

「忙しいのに申し訳ない」

「いえ、どうされましたか?」

「ちょっと患者さまのことで・・・」

「さっきの救急搬送患者さまのことですか?」

「そうなんだ」

「行路ですか?」

「いや・・・見た目は行路だけど・・・」

「見た目は行路?」

「それが違うんだ」

「どう違うんですか?」

救急隊長は、たった今書き終えたばかりの救急搬送表をN事務長に指し示します。
救急搬送表には、収容場所や搬送病院、搬送日時や患者さまの氏名、年齢、病状などが書いてあります。
その収容場所を救急隊長はラテックス手袋をしたままのゴツイ右手人差し指で指し示します。
その収容場所を見ると、そこには○×市内でも指折りの豪邸の建ち並ぶ住所が書かれていました。

「A町ですね・・・」

「そうなんだ」

「A町で道で倒れていたんですか?」

「そうじゃないんだ」

「???・・・」

以下 ●●救急隊長の疑念●● は2に続く