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医療・介護のよもやま話

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2010.4.27 火曜日

家族の形20

●●看護師長のお説教●● 

病棟師長に力ずくでナースステーション内のパイプ椅子に座らされたBさんのご主人ですが、気を取り直したのか開き直ったのか、背筋をピンと伸ばしてお洒落なオジサマに戻ったかのように感じます。

「それにしても、凄い力ですね」
そう言って、Bさんのご主人はジャケットの上から病棟師長に掴まれていた左腕をさすっています。

「どうしてお帰りになるんですか?」
Bさんのご主人の言葉を無視して、病棟師長はまくしたてます。

「いえ、帰るんじゃなくて、喉が渇いたからジュースでも飲もうと思いまして」

「この期に及んで、まだしらを切るんですか?」

なんだか、刑事の取り調べみたいになってきました。

「そんなに恐い声を出さなくても結構です」

「恐い声? 申し訳ありませんが、これで普通の声です」

「それは失礼しました」

「Bさんしっかりしてください」

「私はいたってしっかりとしているつもりです」

「それならば、奥様の状態を認識して、これからどうすればいいのか一緒に考えていきましょう」

「そうですか・・・病院の方で一番いいと思われる方法を取って頂ければ結構です。こちらの病院でされる医療行為に対して、私は素人ですから、異論を唱えるつもりも意見を言うつもりもありません」

「そういうことではありません」

「どういうことですか? 入院費についても、しっかりお支払いさせて頂きます」

「そうじゃなくて、身内の方が一緒に病気と闘って頂きたいと思っているんです」

「ええ、ですから病院の治療方針に口も出しませんし、入院費も個室料金を含めて、しっかりお支払いさせていただきます」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「何か問題でもありますか?」

傍から聞いていても恐い声を出していた病棟師長が、フーと息を吐きだします。
更に気を引き締めたのか、目尻をキッと上げてBさんのご主人を睨みつけます。

「問題大ありです」

病棟師長のパワーアップした剣幕に、Bさんのご主人も少々ゲンナリしてきたようです。
「だったらどうすればいいんですか?」

「これから奥さんの病室に行って、奥様の様子を見て頂いて、その後、主治医の治療方針を聞いて頂きます」

「わかりました・・・それだけでいいんですね」

「・・・ええ、ただし、病状説明や治療方針をお話させて頂きますが、どうしてこのような状態になったのかをご家族である貴方にお聞きします」

「お聞きしますと言われても・・・見たまま、病院が考えるとおりだと思います」

「そうですか、それでは今から主治医を呼びますので、お話はその時にお聞きしましょう!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

病棟師長は、いまだ固まったままの医事課入院係へ振り返り、 「主治医のE内科部長を呼んで」 と命じます。
医事課入院係は、病棟師長の声で身体の緊張を解き内線電話でE内科部長を呼び出します。

「E先生が来たら、Bさんのお部屋にお願いします」

病棟師長は医事課入院係にそう言って、再びBさんのご主人の腕を掴みます。

「さあ、一緒に行きましょう。 ジュースはお話が終わってからにしてください」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●病室にて●● は21に続く