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医療・介護のよもやま話

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2010.6.30 水曜日

家族の形84

医療・介護のよもやま話 — admin @ 12:08:59

●●奥さんの逆襲Ⅷ●● 

それにしても、何故この場で離婚騒動が勃発したのか?
Bさんのご主人も変わっていますが、奥さんも奥さんです。
ある意味、どちらも似た者同士、似た者夫婦です。
E内科部長、病棟師長、N事務長の3人は、離婚に関しては全くの部外者、門外漢であり、そのことについて何を聞かされても、何を聞かれても、なんともお答え出来ませんし、どう対応していいのかも分かりません。
でも、Bさんの奥さんは3人が部外者、門外漢であるからこそ、こんな話・・・離婚話を持ち出したのかもしれません。
奥さんは単に、ご主人を他人の前で落としめたいだけなのかも・・・
否、もしかすると、積年の恨み、ここ数カ月間の自分に対する仕打ちの仕返しなのかもしれません。

どちらにしても、このままでは話し合いの趣旨から外れていくばかりで、収拾がつきません。
一旦誰かが、奥さんの暴走を止めなければいけません。
その役割は、もちろんN事務長?

「これだけ言っても、アナタが気になるのは、自分の体裁やお金のことでしょ?」

「どういうことだ?」

「どうして “そんなことは無いよ” とか、“何と言われようと君が一番だよ”って嘘でも言えないのかしら」

「嘘でいいなら言おうか?」

「いいえ、もう結構です」

「もう結構ですとはどういうことだね?」

「今は、もうアナタに何にも望むこともありませんし、アナタに何かをして貰おうなんて思ってもいません」

「そ、そうなのか・・・じゃあ、もう帰ろうか?」

「ええ、そうして頂いても結構です」

「では、もう2度と会うことはないだろうけれど・・・」

あれあれ、このままではご主人が雲隠れして、もっとも懸念すべき問題、入院費の徴収が出来なくなるかもしれません。
そうなると、ここは当然?N事務長の出番です。

「Bさん、まだお帰りになるのはお待ちください」

「事務長さん、そう言われても・・・このとおり妻がこんな状態ですから」

「だからと言って、ここで逃げるように帰ったら、また元の目阿見です」

「別に逃げるわけじゃないけれど・・・つ、妻が帰れと言っているわけですから」

「それでは、売り言葉に買い言葉じゃないですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「奥さんは病気なんですし、もう少し奥さんの気持ちを受け止めてあげることは出来ませんか?」

「病気だろうが、何だろうが、言っていいことと悪いことがある」

「そうですか・・・」

「事務長さんだって、ここで話を聞いていてそう思わなかったか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「何を黙っているんだ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「黙っているところをみると、その通り、図星ってわけだな?」

「ざ、残念ながら・・・」

「残念ながら?」

「ええ、残念ですが、そうでもありません」

「そうでもありません?」

「はい、言って悪いことでもないです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「もしかすると・・・言われて当然かもしれません」

以下 ●●N事務長が諭す●● は85に続く


2010.6.29 火曜日

家族の形83

医療・介護のよもやま話 — admin @ 14:04:40

●●奥さんの逆襲Ⅶ●● 

Bさんの奥さんの発言は、ご主人にとっては寝耳に水、予想だにしなかった発言であったことがご主人の対応から伺われます。
その為か、いつもの紳士然とした対応や言葉使いは影を潜めて、狼狽した口調はそこいらを歩いている、おっちゃん達と何ら変わりありません。
でも、これが本当のBさんのご主人の姿なのかもしれません。

「オマエは・・・失礼、君は別れる・・・つまり離婚しようと言っているんだな?」

「そうよ・・・ここで綺麗さっぱり別れて、私は何処かで暮らしていきますわ」

「何処かでって・・・そんな場所があるのかい?」

「何言っていらっしゃるの? 今はお金さえあれば体が不自由でも面倒を見てくれる施設なんて一杯ありますわ! ねえ師長さん」

「え、ええ、ま、まあ、そういう施設もありますわ・・・」

「ほらご覧なさい」

「・・・でも、どうやって探すんだい?」

「そんなものは、病院にだってそういうことを担当している部署や担当者がいますのよ」

「そうなのか?」

「そうですわよ、ねえ、師長さん」

「はい、それは間違いありません」

「ほらね・・・アナタみたいに、これをやってあげた、してあげた、という顔したりせずに、入院の中の一つの仕事としてしてくれるのよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「アナタみたいに何でも、どんなことでもドヤ顔していると、嫌われますわよ」

「なんで、私がドヤ顔なんだ?」

「ほら、今、その顔がドヤ顔なのよ」

「・・・まあいい・・・でも、君の面倒を見てくれる場所が見つかったとしてもだね、お金だってかかるんだろ?」

「また、お金の話ですか・・・」

「お金が無ければ、何も出来ないだろ」

「ですから、そのお金を得る為にも、アナタとは離婚させて頂きます」

「お金を得る為に離婚?・・・それはどういうことだね」

「いいじゃないですか・・・アナタだって、役に立たない私の面倒を見なくても済むし・・・どうせお金は掛かるんですから」

「何で私がお金を出さなくてはいけないのかな?」

「ほら、そう言うと思っていましたわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「アナタは、アナタには家族としての、書面上、法律上の夫婦としての責任があるのよ」

「そ、そうなの?」

「当たり前でしょ」

「そうかな?」

「旦那面して、何でも好き勝手に出来ると思ったら大間違いよ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「アナタも私と離婚して、今も続いてる他の女性とお暮らしになったらいいじゃないですか」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「あら、もしかして・・・その方は、アナタがたまに来るからお付き合い続けていられたりして・・・そうよね、アナタみたいな人が、毎日一緒にいたら疲れちゃいますわ」

「なんだと」

「それは、これだけ我慢強い私が言うんだから間違いないわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●奥さんの逆襲Ⅷ●● は84に続く


2010.6.28 月曜日

家族の形82

医療・介護のよもやま話 — admin @ 12:28:21

●●奥さんの逆襲Ⅶ●● 

Bさんご夫婦の話を聞いていると、考えさせられます。
ご主人は、まさか奥さんから三下り半を叩きつけられるとは思っていなかったし、これまではそんな気配さえ見えなかったのでしょう。
でも、奥さんはこうなることも視野に入れて今まで結婚生活を送ってきたということなのか?
何時でも、どんな時でも、なんでも言うことを聞くと思っていた妻が・・・
何時の時代も、愚かなのは、やっぱり男?

「どうして黙るの?」

「いや、そんなこと皆の前で言われてもな・・・」

「どうして? さっきはもう面倒みられないから、面倒みたくないから死ねって言ったじゃないの」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「2人きりだと、そういうこと言うくせに・・・他人が居ると言えないの?」

「そんなことは・・・」

「多分アナタは、私にそう言えば、私がアナタにすがりつくと思っているのよね」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「私が、そんなことしたくないとか、どうか許してとか、アナタ私を捨てないでって言われたいんでしょ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「アナタは他人にそういうことを言われるのが好きなのよね」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「他人にしてあげた。他人が望むから、自分は我慢してでも、なんとかしてあげた。要するに “してあげたと” いうのが大切なんでしょ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「あら、どうされたの? 無口になって・・・アナタらしくないわよ」

「君、どうかしてる・・・」

「私はどうもしていません」

「もし・・・だからと言って・・・別れたら・・・君はどうするんだ?」

「どうするって?」

「ああ、自分一人では生活出来ないだろう」

「ええ、そうね」

「お金だって・・・」

「お金、お金ってウルサイわね」

「う、うるさい?」

「本当にしつこいし、ウルサイわ。お金、お金って!」

「でも、お金は必要だろ?」

「アナタ、本当に馬鹿ね」

「ば、馬鹿だと!」

「ええそうよ。離婚すれば半分は私のものよ」

「なんだと?」

「それに、今回のことや、今までの他の女性との関係などを考えたらどうなることかしら」

「な、なんだと? それは脅かしているのか?」

「そうね・・・そう取って貰っても結構です」

「な、なんだと!」

以下 ●●奥さんの逆襲Ⅶ●● は83に続く


2010.6.27 日曜日

家族の形81

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:25:30

●●奥さんの逆襲Ⅵ●● 

奥さんの話はとんでもない方向へとむかっています。
当初の予定では、Bさんのご主人を説得して、ご主人の協力のもと奥さんの今後のことを皆で考えるはずだったのですが・・・

Bさんの奥さんは、ご主人に対して平然とした態度で “別れましょう” と言いだします。
Bさんの奥さんの発言には、ご主人だけではなく病室に居た3人、E内科部長、病棟師長、N事務長も驚きを隠せません。

「B、Bさん。 何を言い出すの?」

「あら師長さん、驚かせてしまった?」

「そ、それは驚きますよ!」

「そうかしら・・・」

「そうかしらって・・・突然、皆の前でそんなこと、ご主人と別れるなんて言ったら・・・誰だって驚きます」

「そうなのね・・・それはご免なさい」

「いや、Bさんが謝らなくてもいいけれど・・・こんな大事なことを部外者の我々の前で言ってしまって良かったの?」

「ええ、さっきも言ったけれど・・・皆さんが居てくれたから言えたの・・・」

「そうならいいけれど」

「2人きりでこんなこと言っても、主人には無視されるだけですから・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「虫けら扱いされて、虫けらは無視・・・なんちゃって」

「・・・・・・・・・・・・・・・」「・・・・・・・・・・」「・・・・・」

そのギャクは笑えません。 ましてや門外漢の3人にはリアクションも取れません。

Bさんの奥さんに応えられるのは、今はご主人だけです。
「君、そのギャクは笑えないな」

「あら、そう?」

「なんだか君は病気になって、この病院に入院してから人が変わってしまったようだね」

「そうでもありませんわ」

「いや、この病院に来てからの君の言動は変だよ」

「言動じゃなくてよ・・・体は自由に動かないから、言だけでしょ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」「・・・・・・・・・・」「・・・・・」

やっぱり、Bさんの奥さんの自虐的な発言には笑えませんし同意も出来ません。

ご主人の言葉を待つだけの3人を安心させるかのように、ご主人が奥さんに言い返します。
「人の言葉の揚げ足を取らなくてもいいから」

「あら、揚げ足を取ったつもりはありませんわ」

「そうかな?」

「ええ、この病院に来てから、家に居る時は独りきりで、誰も話し相手も居なかったけれど、話を聞いてくれる人達が居て、それもアナタのように自分の意見を押し付けるんじゃないのよ」

「私が君に自分の意見を押し付けたことがあるかい?」

「どうでしょうか?・・・ご自分の胸に手を当てて考えてみればいいと思います」

「ああ、そうしてみるよ・・・」

「それで、アナタはどうなの?」

「何が?」

「何がって・・・そのお返事は笑えませんわ・・・」

「何が可笑しいんだい?」

「私の提案についてよ・・・今更、別れないなんて言わないでしょ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●奥さんの逆襲Ⅶ●● は82n続く


2010.6.26 土曜日

家族の形80

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:38:57

●●奥さんの逆襲Ⅴ●● 

2人きりになると何をされるか、何を言われるか分からないので病室に居る皆に証人になって欲しいというBさんの奥さんですが・・・
今、病室に居るのは、Bさん夫婦を除くとE内科部長、病棟師長、N事務長の3人です。
すっかりBさん夫婦2人の言い争い?に呆気にとられてしまい、話し合いの主導権をBさんの奥さんに握られてしまいました。
今後のことを決める上でも、言いたいことを2人で言い合うのはいいことですが、なんとなく今回の話し合いの本筋から逸脱している気がしないでもありません。
しかし、ここは我慢して奥さんの言いたいことを言わせてあげて、お2人にはすっきりした気分で今後の生活について考えて貰えればいいと思っていました。
が、しかし、2人の会話は病室に居る3人の思ってもいなかった展開に・・・

「私、アナタと別れてもいいと思っています」

「別れる?」

「ええ、そうした方がアナタもいいでしょ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「アナタは私以外にも面倒をみてくれる女性がいらっしゃいますし、その方にとっても、そうした方がよろしいじゃないのかしら?」

「君、何を言い出すんだ」

「あら、アナタにとってもいい話じゃありませんか?」

「いい話? 人聞きの悪いことを言わないでくれるかな」

「あら、この期に及んでいい人にならなくてもいいですわ」

「だから、何てこと言うんだ」

「ここに居る病院の方々も、きっとアナタのこといい人だなんて思っていらっしゃらないから。 ねえ師長さん」

「え、ええ。 ま、まあそんなことは・・・」
そんなことを突然振られたら、師長でなくとも言葉に詰まるのは当然のことです。

「あら師長さん、はっきり言って頂いて結構ですよ、この人は何を言われても平気な人ですから」

「君、その言い方は無いな、私だって他人に言われて嫌なことはあるもんだよ」

「そうなの? アナタは他人が何と言おうが、他人は他人、自分は自分で、自分の考えが一番で、自分のことしか考えないから他人の言うことなんか、これっぽっちも気にしてないはずよ」

「そうでもないけれど・・・」

「あら、どうしたの何時になく弱気な発言じゃありませんこと」

「そんなことは・・・」

「ああそうか、私に、何でも言うことを聞く、虫けら同然のペット、玩具だった私に別れましょうと言われて、頭が混乱しているのね」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「別れることにご不満でもありますか?」

「い、いや・・・」

「そうでしょう。 私から意見を言われたことが今まで一度もなかったのに、初めて言われたことが別れましょうでは、混乱もしますわね・・・ホホホ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「でも私の提案に、ご不満が無いようで安心しましたわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●奥さんの逆襲Ⅵ●● は81に続く


2010.6.25 金曜日

家族の形79

医療・介護のよもやま話 — admin @ 14:15:13

●●奥さんの逆襲Ⅳ●● 

何だかとっても凄いことを、さらりと言ってのけるBさんの奥さんですが・・・
奥さんのその言葉を借りるならば、病院に運んで貰えるように努力をしたと受け取れます。
それでは、奥さんが倒れてからの日々は今日の為だったのですか?

「アナタ、お分かりになりまして?」

「い、いや・・・君の言いたいことは、何が何だかよくわからない・・・」

「要するに、アナタは自分で私の面倒を見られないから・・・面倒を見られないんじゃなくて見たくないから、私に居なくなって欲しいと思ったけれど、私はそんなアナタの思いを知っていてこういう行動をしたということよ」

「こういう行動?」

「ええ、なんとか小心者であるアナタを上手くコントロールして、独りで死んでいくことを避けたのよ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「アナタ、おうどんの生麺を食べている時に、私に “美味しいか” って聞きましたよね?」

「そうだったかな?」

「ええ、嬉しそうに、楽しそうな顔をしながら、確かに私にそう聞きましたわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「私が “ありがとう、美味しいわ” って答えたら、アナタは馬鹿にしたような顔をして頷いていましたわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「あの時、本当に私がそう思って、美味しいって言ったと思います?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「あの時は、そう言わないとアナタがまた不機嫌になると思ったから、そう言ったのよ・・・お分かりになりませんでしたか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「何十年もアナタの顔色を観察しながら生活してきたから、アナタが何を言えば喜ぶかぐらいは簡単に分かりますわ」

「な、何を言っているんだ・・・」

「要するに、私はアナタに面倒をみて貰おうともおもっていないし、アナタのペットでも玩具でも、何でもありません」

「そんなことは当り前じゃないか・・・」

「あら、そうなの? 当たり前のことでしたか」

「それはそうだ・・・」

「さっき、この病室内で言われたことお忘れになりましたの?」

「い、いや・・・もう、その話は・・・」

「面倒見られないから、直ぐに退院して家で寝てろって・・・要するに家でもう一回倒れろ? いや違いますね、餓死しろってことでした。 そう言いませんでしたか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「そんなことを言うアナタに、私から言わせて頂きます」

「な、何だい?」

「私の方から面倒をみて頂くこと、ご遠慮させて頂きます」

「ほ、ほう・・・お金はどうするんだい?」

「この期に及んで、お金ですか・・・」

「入院費だってあるんだぞ」

「私がお金を持ってないと思いますか?」

「だって、君は私から貰っていたお金しかないだろ?」

「ホホホ、これだから・・・アナタは本当に大甘な人ですね・・・」

「わ、私が大甘?」

「ええ、そうよ」

「何を言いたいんだ」

「折角、先生や師長さんや事務長さんも居るから、皆に聞いて頂きますわ」

「何をだ・・・」

「証人になって貰います」

「証人?」

「ええ、2人きりだと何をされるか、言われるか分かりませんから」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●奥さんの逆襲Ⅴ●● は80に続く


2010.6.24 木曜日

家族の形78

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:15:44

●●奥さんの逆襲Ⅲ●● 

奥さんの独壇場となっている病室には、何か冷たい隙間風が吹いているように思えます。
Bさんご夫婦に隙間風・・・
なんでも言いなりだと思っていた奥さんに、ご主人が噛みつかれています。

「アナタ、ペットだって・・・これは犬や猫のことで私のことじゃないけれど・・・飼い主を噛んだりするものよ」

「だからなんなんだ?」

「言葉の喋れないペットが噛みつくんですから、言葉の喋れる私なら、アナタに噛みついても何の不思議もありませんわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「何その顔は?」

「顔がどうかしたかね?」

「嫌そうな顔しているわ・・・あーそうか、早く言いたいことを言えってことよね」

「ああ、そういうことだ」

「じゃあ、お言葉に甘えて・・・違いますね、皆さんのご期待に応えて、私の思っていることをお話させて頂きます」

「そうして貰おうか・・・」 

「まず、私が・・・」

「私がなんだい?」

「アナタに言われたから死のうと思ったと、本当に思っています?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「確かに水分も食べ物も最低限しか食べなかったけれど、あれは、アナタに誰かを呼んで貰う為だったのよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「アナタって、最後は自分で何も出来ない人だから、私の意識が朦朧としていたら、救急車を呼ぶんじゃないかと思っていたわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「案の定、そうなりましたけれど・・・腹が据わってないというか、何でも人任せなのか、思ったとおりでした」

「じゃあ、私に救急車を呼ばせる為にワザと何も食べなかったのか?」

「そうね、それも理由の一つね・・・」

「他にもあるのか?」

「だって、食べると排泄するから・・・私の場合垂れ流しだったでしょ?」

「あ、ああ・・・」

「あんまり、部屋の中が臭くなったら、アナタが近寄らなくなって、意識が無くなっているのに発見されずなんてことになってしまいますわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「上手く意識が無くなった時点で発見されれば病院にでも運んで貰えるかもしれないけれど、発見されなければ単なる餓死。それじゃあ、つまらないでしょ?」

「よく分らないが・・・」

「だから、アナタが家に来た時は、部屋に顔を出すくらいは出来るようにしたってことよ!」

「そ、そうなんだ・・・」

「そういうことよ!」

以下 ●●奥さんの逆襲Ⅳ●● は79に続く


2010.6.23 水曜日

家族の形77

医療・介護のよもやま話 — admin @ 11:52:07

●●奥さんの逆襲Ⅱ●● 

Bさんの奥さんの持って回った言い方に、少しばかりキレ気味のBさんのご主人です。
そんなに勿体ぶって、奥さんは一体何をご主人に言いたいのでしょうか・・・

「ところでBさん、ご主人に言いたいことは何なのかしら?」
病室内にいる全員が思っている質問をさりげなく言える病棟師長はやはり大物?それともKY?

「そうだ、師長さんの言うとおりだ。言いたいことがあればはっきり言いなさい」
Bさんのご主人も気を取り直して、奥さんに立ち向かいます。

「そうね、そろそろいいかな?」

「何がそろそろいいかな?だ! 私が気が短いことを知っているだろ?」

「アナタの気が短いことは関係ないわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「私は、おうどんが食べたいと言った時に、アナタが生麺だけ買ってきたことや、お菓子やお湯も無いのにカップ麺を買ってきて、手が届くか届かないギリギリのところにわざと置いていったことを、私が喜んでいたと思い違いしているあなたに本当のことを分かって貰いたいだけなの・・・」

「思い違い?」

「ええ、アナタは・・・アナタにとっての私は・・・いつも従順で、何でもアナタの言うことを聞いて、アナタに歯向かったり、意見を言ったりしない・・・アナタの召使だと思っていませんこと?」

「召使?」

「召使じゃなければ、アナタの玩具?」

「玩具?」

「玩具じゃなければ、ペットかしら?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「ペットでも犬や猫は、他人に自分の思っていることを伝えられないけれど、残念ながら私は人としての言葉が話せるの」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「だから、折角の機会だから言葉の話せるあなたのペットとして、あなたにペットの飼い方を正しく理解して貰おうと思ってますわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「さっきから、黙っていらしゃいますけれど、どうかなさいました?」

「イヤ・・・どうもしていない・・・」

「あまりにも、無口なので・・・ご気分でも悪いのかしら?」

「いや・・・」

「気分が悪くなってもここは病院で、今は先生も看護師さんもいらっしゃるから大丈夫ですよね」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「ああそうか、気分が悪いと言っても、体調不良じゃなくて精神的なものでしたか?」

「君、喋り過ぎだよ」

「ああ、ゴメンなさい。 お家で倒れて寝込んでからここ何カ月間、誰ともお話していなかったからかしら・・・ついつい余分なことまでお話してしまいましたわ」

「分かったから、言いたいことを早く言ったらどうだ」

「そうですわね・・・もう、アナタも私に何を言われても驚かないでしょうし、折角同席して頂いている先生や師長さんにもお時間を取らせて申し訳ありませんものね・・・」

「いいから、早く言いなさい」

「分かりました・・・」

以下 ●●奥さんの逆襲Ⅲ●● は78に続く


2010.6.22 火曜日

家族の形76

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:27:10

●●奥さんの逆襲●● 

自分達に子供が居なかったことの理由はご主人にあると、病室で指摘したBさんの奥さんですが・・・
奥さんは、そのことでご主人のことを、役立たずと罵ります。
???、でもこの場合は役立たずではなくて、種無しとか能無しの方が理にかなっているような気がします。
それとも、種無し、能無しで尚且つ役立たずだったのでしょうか・・・
役立たずという言葉に敏感に反応するBさんのご主人には、役立たずではないという自意識があるからでしょう・・・

「役立たずという言葉は撤回して貰おうか」

「撤回したところで、どうなるというの?」

「男としての沽券に関わる!」

「男としての沽券?」

「ああ、そうだ!」

「あなた幾つなの?」

「年は関係ない!」

「馬鹿みたい・・・」

「馬鹿でも、役立たずと言われるよりはましだ」

Bさんの奥さんの馬鹿みたいという言葉に、病室内にいる当事者の2人以外のE内科部長、病棟師長、N事務長は顔を見合わせて頷き合います。

「ほら、アナタ、今見た?」

「何をだ!」

「今、この病室内にいる全員が私の言うことに納得していましたわよ」

「そんなことはない」

「随分、自信がおありのようね」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「その自信が崩れ去る時に、アナタはどうなるのかしら?」

「どういうことだ?」

「何時でも従順で、アナタに絶対服従で、そしてアナタの役に立たなくなった今の私からこんなことを言われたら、アナタはどうなるのかと思って・・・」

「何を言うつもりかは知らないが、君に何を言われようと私がどうなるわけでもないだろう」

「そうかしら?」

「だから、どういうことなんだ! いい加減にしなさい!」

「そんなに大きな声を出さなくても結構です」

「大きな声など出しておらん!」

「いえ、充分大きな声ですわ」

「なんだと?」

「ねえ、師長さん、この人にもう少し小さな声でも聞こえると言ってあげてください」

突然Bさんの奥さんから振られた病棟師長ですが、気を取り直してご主人に話しかけます。
「そうね、奥さんの言うとおりかしら・・・もう少し、小さな声でも十分聞こえますわ」

「そ、そうかね・・・」

「病室は狭いですから、もう少し穏やかにまいりましょう」

「あ、ああ・・・」

病棟師長の取りなしにBさんのご主人も心無しか意気消沈の様子です。

以下 ●●奥さんの逆襲Ⅱ●● は77に続く


2010.6.21 月曜日

家族の形75

医療・介護のよもやま話 — admin @ 15:00:44

●●Bさんの奥さんの激白Ⅷ●● 

カビの生えた、食べ残しのうどんの生麺が日に日に変化していくのが楽しみだったとは・・・
そんな変化、カビの繁殖が楽しみであったというのは、どういうことなのか?
カビの繁殖していく様を見ている、それはそれで、充分に不気味ですが、なんだか悲しみや寂しさを感じます。
≪生麺事件≫は、まだまだ続きます。

「大体、あなたは買い物に行って、お菓子とかカップ麺とかお水とか買ってきてくれたけれど・・・」

「ああ、君がお腹が空いたり、喉が渇いたりしたら可哀相だからね」

「へえ、私のこと可哀相って思っていたんだ」

「当たり前じゃないか」

「本当に、そう思っていた?」

「ああ・・・ほ、本当だ・・・」

「へえ、そうなんだ」

「何だか、疑ってないか?」

「疑うも何も、私は嘘だって分かっていますから」

「何を根拠にそんなことを言うんだ」

「だって、アナタは昔からそうじゃないですか・・・」

「昔からって、何でだい?」

「アナタは昔から、使えなくなたっり、用が無くなったモノ、モノと言っても、物も人も両方だけれど・・・」

「それがどうしたんだ?」

「何時でも、捨ててきたじゃない」

「捨てた?」

「ええ、後始末は私に任せて、全て捨ててきたじゃありませんか・・・」

「それがどうしたんだ?」

「今回の要らないもの、使えなくて、用が無いものは私なんだなって思ったのよ」

「君は自分で言っていることが分かっているのかね?」

「もちろんよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「アナタと何年、形だけでも夫婦として過ごしてきたと思っているの?」

「形だけ?」

「あら、アナタは形だけの夫婦のつもりだったんでしょ?」

「な、何を・・・」

「銀行マンとして・・・アナタの時代は銀行マンが離婚なんてタブーだったし・・・」

「銀行マンは関係ない」

「じゃあ、別にご家族もいらっしゃるじゃないですか」

「そ、それは・・・」

「いいんですよ、そんなこと。前から知っていましたし・・・」

「でも、子供がいるわけじゃない」

「やっぱり、子種が無いのはアナタなのよね」

「何でそんなこと言うんだ」

「アナタのご両親が健在の頃には、よく嫌みを言われたものよ」

「何の嫌みだね?」

「子供も作れない嫁はいらないって」

「そんなこと・・・」

「でも、私、病院で検査したら問題ないって言われたから・・・私にも外でも子供が出来ないなんて、あなたこそ役立たずなのよね・・・」

「役立たずじゃと!」

「そんなに怒らないで。でも、用無し女と思っている相手に役立たずって言われれば、怒るか・・・」

以下 ●●奥さんの逆襲●● は76に続く


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