真実は闇の中 78
●●N事務長とGさん再びⅩ●●
Gさんは、N事務長の部下である自分を信用しないのかと言うけれど・・・
そもそも、こんな問題を起こす人を信用出来るのかということが問題なのです。
火の無いところに煙は立たない。
もしIさんの再骨折にGさんが関係していないとすれば、何故IさんはGさんに責任転嫁したのか?
たまたま、その日のリハビリの担当がGさんだったから?
Iさんは、リハビリの前に診察を受けています。
診察の詳細な内容までH先生に確認していませんが、腕に触らずに診察終了ということもないだろうし、腕には多少の負荷を掛けたでしょうから、診察以前に再骨折していたとすれば、診察の時点でH先生が気が付いていたはずです。
診察時の痛み我慢をして、リハビリに行って、「痛い」 なんてIさんが言うのは不自然ですし、もしそうであったならば、Iさんはすぐ同日再診で再骨折を判明させるはずです。
同日再診もせずに痛みに堪えて、1週間後まで我慢するのは不自然です。
と言うことで、リハビリを受ける前に再骨折していたというケースは考えられません。
やはり、話の内容、話の筋、時系列から考えるとIさんの話の方が信憑性があります。
勿論、Iさんの話が100%正しいとは思えないけれど・・・少しくらい話を盛っている可能性はありますが、それでもほぼIさんの話を信用したほうがいい気がします。
しかしなあ・・・
Gさんがしていない、言っていないというのに、したでしょう、言ったでしょうと決めつけるわけにもいきません。
一応、N事務長はGさんの上司だし・・・
信用のおけない部下だと言っても・・・
端から部下であり、同じ病院で働く同僚でもあるGさんを信用しないとすれば、それはそれで問題です。
普段は性悪説で仕事をしていますが、ここは性善説に立って話をしてみるのもいいかもしれません。
「N事務長、どうなんですか?」
「どうなんですかと聞かれてもねえ」
「私を信用しないということは、病院の職員を信用できないということですよ」
「そうなんだよ・・・」
「そうなんだよじゃないです」
「普段から、私は性悪説だって皆に言っているでしょう?」
「それじゃあ、まるで私が嘘つきの悪者みたいじゃないですか」
「そこまで言い切ってはいませんけれど・・・」
「何回でも言いますが、私は 『責任を取る』 などと言っていませんし、『責任を取る』 ようなことはしていません」
「まあ、Gさんはそう言うしかないよね」
「そう言うしかない?」
「それはそうだろう」
「よくそんなこと平気な顔して言えますね」
「顔は平気そうに見えるかもしれないけれど、心は痛んでいるんだよ」
「本当ですか?」
「当たり前じゃないですか」
「Gさんに問題があったとすると、その責任は病院にだって掛かってくるわけだからねえ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「それで・・・私は、Gさんを信用していいのかな?」
「も、勿論です」
「本当に?」
「ほ、本当です」
「IさんとGさんの意見は真っ向から対立しているけれど、私はGさんを信用すればいい、信用していいのですか?」
「ええ、そうしてください」
「どうするかなあ?」
「お願いです。 信用して下さい」
以下 ●●N事務長とGさん再び⑪●● は79に続く