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医療・介護のよもやま話

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2011.2.28 月曜日

真実は闇の中 78

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:58:08

●●N事務長とGさん再びⅩ●● 

Gさんは、N事務長の部下である自分を信用しないのかと言うけれど・・・
そもそも、こんな問題を起こす人を信用出来るのかということが問題なのです。
火の無いところに煙は立たない。
もしIさんの再骨折にGさんが関係していないとすれば、何故IさんはGさんに責任転嫁したのか?
たまたま、その日のリハビリの担当がGさんだったから?

Iさんは、リハビリの前に診察を受けています。
診察の詳細な内容までH先生に確認していませんが、腕に触らずに診察終了ということもないだろうし、腕には多少の負荷を掛けたでしょうから、診察以前に再骨折していたとすれば、診察の時点でH先生が気が付いていたはずです。
診察時の痛み我慢をして、リハビリに行って、「痛い」 なんてIさんが言うのは不自然ですし、もしそうであったならば、Iさんはすぐ同日再診で再骨折を判明させるはずです。
同日再診もせずに痛みに堪えて、1週間後まで我慢するのは不自然です。
と言うことで、リハビリを受ける前に再骨折していたというケースは考えられません。

やはり、話の内容、話の筋、時系列から考えるとIさんの話の方が信憑性があります。
勿論、Iさんの話が100%正しいとは思えないけれど・・・少しくらい話を盛っている可能性はありますが、それでもほぼIさんの話を信用したほうがいい気がします。

しかしなあ・・・
Gさんがしていない、言っていないというのに、したでしょう、言ったでしょうと決めつけるわけにもいきません。
一応、N事務長はGさんの上司だし・・・
信用のおけない部下だと言っても・・・
端から部下であり、同じ病院で働く同僚でもあるGさんを信用しないとすれば、それはそれで問題です。
普段は性悪説で仕事をしていますが、ここは性善説に立って話をしてみるのもいいかもしれません。

「N事務長、どうなんですか?」

「どうなんですかと聞かれてもねえ」

「私を信用しないということは、病院の職員を信用できないということですよ」

「そうなんだよ・・・」

「そうなんだよじゃないです」

「普段から、私は性悪説だって皆に言っているでしょう?」

「それじゃあ、まるで私が嘘つきの悪者みたいじゃないですか」

「そこまで言い切ってはいませんけれど・・・」

「何回でも言いますが、私は 『責任を取る』 などと言っていませんし、『責任を取る』 ようなことはしていません」

「まあ、Gさんはそう言うしかないよね」

「そう言うしかない?」

「それはそうだろう」

「よくそんなこと平気な顔して言えますね」

「顔は平気そうに見えるかもしれないけれど、心は痛んでいるんだよ」

「本当ですか?」

「当たり前じゃないですか」

「Gさんに問題があったとすると、その責任は病院にだって掛かってくるわけだからねえ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「それで・・・私は、Gさんを信用していいのかな?」

「も、勿論です」

「本当に?」

「ほ、本当です」

「IさんとGさんの意見は真っ向から対立しているけれど、私はGさんを信用すればいい、信用していいのですか?」

「ええ、そうしてください」

「どうするかなあ?」

「お願いです。 信用して下さい」

以下 ●●N事務長とGさん再び⑪●● は79に続く


2011.2.27 日曜日

真実は闇の中 77

医療・介護のよもやま話 — admin @ 17:25:58

●●N事務長とGさん再びⅨ●● 

Gさんは、IさんがN事務長に言った 『責任を取る』 という言葉を単なる責任逃れ、更には責任を転嫁することによって治療費や慰謝料を求める虚言だと言いますが、いささかGさんの発言には論理矛盾もあるようです・・・

「要するに、Gさんの施術が原因で再骨折して、そのことに対してGさん、アナタがIさんに対して 『責任を取る』 と言ったと・・・そしてその言葉の意味は治療費、慰謝料を目的として言ったということですね」

「N事務長、何を言っているんですか?」

「何をって・・・今までの話をまとめてみただけだよ」

「それじゃあ、Iさんの再骨折は私の施術が原因で、それに対して私が 『責任を持つ』 から安心してくださいって言ったみたいじゃないですか?」

「ですから、これはあくまでIさんの考えを考慮した要約です」

「私の言い分はどうなっているのですか?」

「それはこれから話します」

「N事務長がどのように考えているか、私の話を聞いてどのように感じて考えたかを教えてください」

「ええ、そのつもりです」

「で、どうなんですか?」

「Gさんは・・・」

「私は?」

「自分の施術が原因でIさんが再骨折したのではないと考えている」

「全くそのとおりです」
と言いながら、Gさんは何度も首を上下に振って納得顔です。
そんなGさんの姿を確認しながらN事務長は続けます。

「そして、IさんはGさんが 『責任を取る』 と言ったと言っていますが、そんな言葉を言った覚えは一切ない」

「そうですそうです、一切言ってません」

「そして、何故IさんがGさんがしてもいないこと、言ってもいないことを、したとか言ったと言い張るかと言うと、治療費や慰謝料、つまりお金目当てに違いない」

「そうに違いありません」

「つまり、Iさんはお金目当てのクレーマーである」

「さすがN事務長です。私の言いたいことはまさにその通りです」

「さすがも何も、単にGさんの言っていたことを要約しただけです」

「いえ、私の言いたかったことを分かって頂いてありがとうございます」

「お礼を言われてもねえ・・・」

「どうしてですか?」

「だって・・・GさんとIさんの意見・・・証言と言った方がいいかもしれませんけれど、それが正反対であることがはっきりしたわけだから・・・」

「でN事務長は、私とIさん、どちらの話を信用するのですか?」

「どちらの話ですか?」

「もちろんです」

「そうですねえ・・・」

「N事務長の部下である私の話とお金目当てのクレーマーであるIさんのどちらの話を信用するのですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●N事務長とGさん再びⅩ●● は78に続く


2011.2.26 土曜日

真実は闇の中 76

医療・介護のよもやま話 — admin @ 21:38:56

●●N事務長とGさん再びⅧ●● 

Gさんが 『責任を取る』 と言ったとN事務長に言ったのは、Iさんが他人に責任を押し付けたかったからだとGさんは言いますが、何故自分が受傷したことに他人の責任が必要なのか、腑に落ちないことの山積み、いよいよ分からないことばかりです。

「Gさんに聞きますが、どうして自分が怪我をしたことの責任をIさんは他人に押し付けなければいけないのですか?」

「あれじゃないですか?」

「あれ?」

「最近流行りのクレーマー」

「クレーマー?」

「そうですクレーマー、病院で言うならば金銭、治療費を払わない上に慰謝料を求める人達の仲間なのじゃないですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「そうです。 きっとそうです」

「どうしてIさんをそんな人達の仲間だと思ったの?」

「今までのN事務長の話を聞いていたら、Iさんがそんな人に思えてきました」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「そうです、そうに違いありません」

「そうですか?」

「そうですよ、だって可笑しいじゃないですか?」

「何が可笑しいの?」

「あれは、自分のせいで具合が悪くなったのに、他人のせいにして、治療費を病院持ちにしようとしたに違いありません」

「そうなのかなあ」

「そうですよ、そうに違いない」

なんでGさんは、そんなに強く言い切っているのか・・・まるで自分の言葉を自分に言い聞かせているみたいです。
「まあまあ、そんなに言い切らないで」

「言い切ってなんかいません」

「今のGさんの姿を見ていると、答えが分かった生徒が我先にハイハイと手を挙げているようにしか思えませんよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「分かりました」

「何が分かったのですか?」

「Gさんの考えです」

「私の考え?」

「ええ、そうです」

「Gさんは、決して 『責任を取る』 なんて言葉は言っていない」

「その通りです」

「Iさんは、自分のした何らかの原因で受傷したのに、それを病院の責任にしたのですよね?」

「ええ、病院の・・・それも私に責任を押し付けようとしているのです」

「その目的は・・・」

「目的は決まっています」

「何ですか?」

「お金です」

「お金?」

「そう」

「治療費と慰謝料ですか?」

「その通りです」

以下 ●●N事務長とGさん再びⅨ●● は77に続く


2011.2.25 金曜日

真実は闇の中 75

医療・介護のよもやま話 — admin @ 14:30:51

●●N事務長とGさん再びⅦ●● 

やっぱり・・・
予想はしていたけれど・・・
Gさんの答えは、はっきりと言わないまでも、責任を取るなどとは言っていないと考えてくださいということです。

そうですか・・・
これは最悪のシナリオを考えなければいけないようです。
IさんとGさん、双方の意見が食い違う。
言った言わないの最悪のシナリオです。

「もう一度確認します」

「何回でもどうぞ」

どうやらGさんの考えもまとまり、本当に言ったか言わないかは別にして、自分は責任を取るなどと言ってないという方向で話を進める決心をしたようです。
「責任を取るという言葉は、言っていないのですね?」

「はい」

随分はっきりとした答えです。 もう、言ってないと決めただけでなくて、確信しているかのような断言の仕方です。
「責任を取るという言葉だけでなくて、そのようなニュアンスの言葉も使ってないということでよろしいですか?」

「はい」

もう完全にそんなことを言ってないという、言ってないモードに突入しています。
こうなったら、どんな人でも自分が正しいと思い込んでしまいますから、Gさんをこれ以上問い詰めてもしょうがないでしょう。
話の方向性を変更することにします。

「分かりました。 責任を取るなんて言葉は言ってないし、そのようなニュアンスの言葉も使ってないことにして・・・」

「ないことにして、と言うことは私の言うことを信用してくれないのですか?」

「しょうがないじゃないですか」

「どうしてですか?」

「Iさんは言った、Gさんは言ってないというのです。 今の段階で私がどちらかに加担することが出来ますか?」

「でも・・・」

「でも何ですか?」

「私は病院の職員で、N事務長の部下でもあります」

「そんなことは分かっています。 私だって病院や職員の味方をしたい気持ちは山々です」

「だったら、私の言うことを信用してください」

「Gさんを信用することと、今回のIさんが提起した問題を解決することは別のことです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」
何だか分かったような、分からないようなN事務長の言葉にGさんは言葉がありません。

「話は変わりますけれど、いいですか?」

「あ、はい」

「Gさんの言うこと 『責任を取る』 などと言っていないという言葉を信用するとして、じゃあどうしてその正反対の言葉、それもGさんが言ってさえいない 『責任を取る』 などという言葉を思いついて、Iさんは私に言ったのでしょうか?」

「そ、それは・・・」

「どうですか?」

「誰かに責任を押し付けたかったのではないですか?」

「責任を押し付ける?」

「ええ、そうです」

「責任をねえ・・・」

以下 ●●N事務長とGさん再びⅧ●● は76に続く


2011.2.24 木曜日

真実は闇の中 74

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:15:11

●●N事務長とGさん再びⅥ●● 

Gさんを家まで迎えに行き、迎えに行ったN事務長の車にGさんを乗せたので、もう逃走の恐れはないでしょう。
車に乗るまでN事務長が喋り続けていたのは、Gさんが逃走したり、Gさんの気が変わらない様にする為だったようです・・・

「Gさん、この辺りで一番近いファミレスは何処になる?」

「そうですねえ、大通り沿いのガストかな・・・」

「ああ、あそこ・・・そのガストでいいかな?」

「ええ」

「食事するわけでもないし、ドリンクバーだけだから問題ないね」

「はい」

逃走の恐れはないものの、N事務長生来のお節介癖、サービス精神で車の中でもGさんに話し続けます。
話し続けながら車を5分ほど走らせると目指すガストに到着しました。
到着すると、N事務長もGさんも言葉を交わすことなく車を降りて、ガストへ入っていきました。
店員に席を案内されて、注文はドリンクバーだけと言い終えると、どちらともなくドリンクバーに行き、2人ともコーヒーを淹れてから席に戻ります。

「それじゃあ、本題に入りましょう」

「はい」

「今日の午後、Iさんから聞いたことです」

「はい、Iさんは何て言っていましたか?」

「昨日、Gさんが私に言わなかったことです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「Iさんは、リハビリ中に腕が痛くなって、どうしてくれるんだとGさんに言ったと言っておられました」

「そうですか・・・」

「それは間違いありませんか?」

「細かいことは・・・」

「細かいことは何ですか?」

「細かいことの真偽をここで言ってもしょうがないですよね?」

「まあそうですね・・・」

「それで続きは?」

「そうしたら、取りあえず1週間様子を見ましょう、それでもし腕が良くならなければ・・・」

「良くならなければ何ですか?」

「Gさんが・・・」

「私が?」

「責任を取ると言ったということです」

「責任を取るですか?」

その言葉を聞いたGさんの顔は観念したというよりも、何やら不敵に笑っているように見えました。

「本当に言ったの?」

「どうだったかなあ・・・」

「その答えは、どう受け止めればいいの?」

「どうとでも受け止めてください」

「?」
Gさんの様子は、なんだか開き直りにも見えます。

「N事務長は私が責任を取るなんて言うと思いますか?」

「どうだろうか」

「医療従事者がそんな言葉を患者さんに言うと思いますか?」

「そうだね、一般論ではそんな言葉を言うはずがありませんね」

「そうですよね」

「全くです」

「ということです」

「ということ?」

「ええ」

「それは言っていませんということ?」

「そう取って頂いて結構です」

以下 ●●N事務長とGさん再びⅦ●● は75に続く


2011.2.23 水曜日

真実は闇の中 73

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:05:40

●●N事務長とGさん再びⅤ●● 

善は急げ?
思いたったら吉日?
善でも吉日でもありませんが、急ぐに越したことはありません。
Gさんが何を思いつくか分かりません。
家族を捨てて逃亡者になるとは思えませんが、今日の約束を何らかの理由で反故にする可能性は捨てきれません。
ここは、Gさんの家に着くまで全ダッシュ、猛ダッシュとします。

まずは開けたままになっている職員データの中からGさんの住所をコピーして、地図検索です。
グーグル地図で検索してから、プリントアウトします。
地図上で確認すると、車ならば10分以内で確実に到着しそうです。

車のキーと携帯電話を持って、事務長室を飛び出て駐車場に向かいます。
10分以内でGさんの家に着く為に、車を発進させるまでに与えられた時間は3分以内?
3分と言うことは、ダッシュでも相当のスピードを要求されます。

フーフー言いながら、車のドアを開けてエンジンを掛けます。
カーナビの設定などしている場合ではありませんし、土地勘がないわけでもないので、エンジンを掛けるや否や車を発進させます。
5分程車を走らせると、先程調べたGさんの家の近くまで来ているこが電柱に張られた町名表記で確認できます。
目的の番地まであと少しですから車を止めて、歩いて探すことにします。

車を止めた地域は住宅街で、マンションと言っても4階建て程度の中層の建物ばかりです。
歩いていると町名表記が番地まで揃いました。
このブロック内にマンション風の建物は2棟ありますが、グーグル地図から推測すると手前の建物が目指すGさんのマンションのようです。
マンションと言っても正面入り口はオートロックではなかったので、そのまま中に入っていき、郵便受けを確認するとGさんの住むマンションであることが確認出来ました。
自宅まで迎えに行くのは、Gさんにも見栄や家族には見せたくない姿もあるでしょうから、マンションの入り口から携帯電話で連絡を入れることにします。
事務長室を出てから13分。
電話で10分後と約束をしましたが、これならば許容範囲でしょう。

「Gさん、Nです」

「家、分かりますか?」

「ええ、今マンションの1階からです」

「分かりました。 すぐに下ります」

「お待ちしています」

今のところ案外、すんなりと大人しく言うことを聞いてくれています。
勿論、ここまできてGさんが家からは出ません、N事務長と会いませんというのも可笑しな話です。
問題は、これからの話の内容、話の進め具合です。
IさんがGさんとしたという約束の真偽の確認が出来るかが、N事務長に課せられた大きな課題です。

「お待たせしました」

Gさんが、ジーンズにスウェットのパーカーというラフな格好で現れました。
多分、家着のズボンだけ履き換えて出てきたのでしょう。

「どう、お腹の調子は?」

「ええ、まあ・・・」

「お茶くらいならば飲める?」

「は、はい」

「じゃあ、車で来たから近くのファミレスでも行こうか」

「分かりました」

車を止めてある場所まで、Gさんと連れだって歩きます。
事務長室に連行する時のように、Gさんの後ろを歩くのは止めておきます。

「Gさんの家、病院に近いね」

「ええ」

「車で10分弱、歩いても20分くらい?」

「ええ、そうです。 でも私は電車を利用させて貰っています」

「そうだね、病院もGさんの家も駅に近いから、その方が正解ですね」

「はい・・・」

車に乗るまでの時間、意味の無い会話を次から次へと繰り出すN事務長ですが、これらの会話は身体慣らしなのか、これからするIさんとGさんの問題の核心部分の確認の為の前哨戦、軽いジャブの連打で、ファミレスに着いたら一気呵成に攻め込むつもりなのでしょう。

以下 ●●N事務長とGさん再びⅥ●● は74に続く


2011.2.22 火曜日

真実は闇の中 72

医療・介護のよもやま話 — admin @ 14:27:38

●●N事務長とGさん再びⅣ●● 

2日連続で早退したGさんの家に電話をして、これから会おうと平然と言ってのけるN事務長ですが、それに対してGさんは無言のままです。
ここからは、N事務長お得意の畳みかける戦法しかない気がします。

「Gさん、どうしましたか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「無言ですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「それとも、無言じゃなくて黙秘権ですか」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「あのねえGさん。 ここは取調室じゃないので、黙秘権を使ってもしょうがないですよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「そうか、黙秘権じゃなくて何をどう話したらいいのか分からないのですね」

「・・・・・はあ・・・・・」

「そうか、電話じゃ話しにくいですし、やっぱりお会いしましょう」

「い、いえ、それは・・・」

「大丈夫です。 これから私が家まで行きます」

「い、家? そ、それは・・・」

「それは何ですか? 別に家に上がり込んで話をしようといっているんじゃありません」

「でも・・・」

「家に迎えに行きますから、近くの喫茶店かファミレスで話をお聞きします」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「もし、私がこれから家に行ってGさんが家に居なければ、その場合はGさんがIさんの言い分を認めたということになります」

「ですから、Iさんの言い分、言ったことは何ですか?」

「そんなことを・・・私がこの電話で話すと思っているのですか?」

「出来れば・・・」

「出来ればそうしたいのかもしれませんが、それでは私が納得出来ません」

「そうですか・・・」

「取りあえず、今からGさんの家に迎えに行きますから、外出出来るようにご用意願います」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「別に普段着で構いませんし、病院に連れてこようとも思っていませんからご安心ください」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「いいですね。 それでは、10分後にお迎えに上がります」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「また無言ですか? 返事をしようとしまいが関係ありません。 ただ返事だけはされた方がいいと思いますよ」

「・・・は、はい」

「そうです、そうです、その調子です」

「はい・・・」

「今返事をしてくれましたから、現段階では私はIさんではなくて、Gさんの味方ということにしておきます」

「宜しくお願いします」

何がGさんの味方なのか・・・よく分からないN事務長の発言です・・・ともかく、Gさんの気が変わって再び逃走しないためにも、ここはいち早くGさん宅に向かうことにします。

「それでは、10分後に」

「はい」

以下 ●●N事務長とGさん再びⅤ●● は73に続く


2011.2.21 月曜日

真実は闇の中 71

医療・介護のよもやま話 — admin @ 13:52:34

●●N事務長とGさん再びⅢ●● 

Gさんに連絡をするのに携帯電話ではなくて、固定電話の番号に電話を掛けたのは大正解でした。
案の定電話に出たのは、Gさんの奥さんです。
Gさんの携帯電話であれば居留守を使われたかもしれませんが、固定電話で電話に出たのが、日本語の言葉の裏に込められた意味までは理解出来ない奥さんですからしょうがありません。
奥さんはGさんを呼びに行き、Gさんも電話口に出ることになりました。

「それで今日は、どうしたの?」

「昨日同様、差し込みがしまして」

「差し込み?」

「はい、急にお腹が痛くなりました」

そんなこと・・・最近は小学生だってもう少しましな理由を言います・・・
「今朝も言ったと思うけれど、病院に勤務している医療従事者なんですから、2日連続で仕事が出来ない程の腹痛であれば、原因を探るために医師の診察を受けてください」

「そうですね・・・」

「今からでも診察を受けますか?」

「いえ、もう家で休ませて頂いていますし・・・」

「病院から近いし、送迎しましょうか?」

「い、いや、そこまでは・・・」

それは、仮病ですなんて言えないですよね。
「遠慮しなくていいですよ」

「いえ、遠慮ではありません」

遠慮じゃなくて、仮病ですからとも言えないか。
「そうですか、じゃあ、家でしっかり静養してください」

「そうさせて頂きます」

「それは、そうとして・・・」

「今日はちゃんと届出も出したのに、何のご用件ですか?」

何のご用件とはお言葉ですね。
「いえね、さっきまでIさんとお会いしていました」

「Iさんとですか?」

「ええ、そうです」

「で、Iさんが何か言われたのですか?」

随分気になるようですが、ここは気を持たせて軽くあしらってみます。
「ええ」

「・・・で、何か?・・・何を言ってましたか?」

「ええ、とても看過できない重要な問題が発覚しました」

「看過できない、重要な問題・・・ですか・・・」

「そう、私としては看過出来ない重要な問題が発覚しました。・・・発覚です」

「何だか発覚に随分と力を入れて言われますね」

「もちろんです。 発覚です」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「Iさんは勿論のこと、Gさん、あなたも言ってくれなかったことです」

「そ、そうなんですか?」

「その発覚したことが本当なのか確認しようとしたら、またGさん、あなたは早退でした」

「はい・・・」

「で、それは・・・何が発覚したのですか?」

「電話で言わせようとしてますか?」

「・・・え、ええ・・・」

「電話ではね・・・Gさん、あなたもう回復してませんか?」

「回復?」

「ええ、腹痛ならば気持ちの持ちようですから、大丈夫ですよね?」

「えっ?」

「今から会いましょう」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●N事務長とGさん再びⅣ●● は72に続く


2011.2.20 日曜日

真実は闇の中 70

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:58:22

●●N事務長とGさん再びⅡ●● 

なんたること。
午前中にGさんと話をして、午後からIさんと話をしました。
そしてその後に再びGさんと話をしようとリハビリの責任者のAさんに、Gさんのスケジュールを確認すると・・・
Gさんは既に病院には居ませんでした。
早退です。
体調不良で早退です。
多分、気持ちの持ちようで起こる都合のいい体調不良で早退です。

2日連続の早退、これは重大な事実です。
どう考えてもGさんは病院から、N事務長から、Iさんから逃げているとしか思えません。
ここは・・・逃げる者は追いかけるに限ります。
電話をかけてみることにします。

「敵前逃亡か・・・」

N事務長はひとりごちてから、パソコンを立ち上げて職員名簿を開きます。
コメディカルのリハビリのページを開けると、そこには責任者のAさんから始まって、Gさんの名前もあります。
Gさんの名前をクリックして、Gさんのデータ―を改めて見直します。

「家は買ったばかり・・・奥さんと結婚して3年、子供は1歳・・・これからお金がたくさん要りますねえ・・・」

N事務長はそう言いながら、携帯電話番号と自宅の電話番号をメモ用紙に書き留めました。
2つの電話番号を書き留めてから、机の上の電話の受話器を取り上げます。
受話器を取り上げてから押した番号は、Gさんの自宅の電話番号です。

呼出音が2回、3回、4回と続きます。
携帯電話ではありませんから、10回くらいは鳴らさないと出ないかもしれません。
8回目の呼出音が終わりかけた時に受話器が上がりました。
「はい、Gです」

少しだけ、イントネーションが微妙に普通の日本人とは違う女性の声です。

「○×病院の事務長のNと申します」

「ああ、病院の事務長さんですか」

「ええ、そうです・・・Gさんの奥さんですか?」

「はい、Gさんの奥さんです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

Gさんの個人データの中の配偶者欄には、幾ら最近変わった名前が多いと言っても、まず日本人が考えつかない名前がカタカナで書いてありましたから、そうなんだろうと思っていましたけれど・・・
日本語で意思の疎通がなんとか出来る程度の会話力がある、母国語が日本語以外の女性が電話に出ています。

「事務長さん、ご用件は何でしょうか?」

「ご主人、Gさんはご在宅・・・今、家に居ますか?」

「パパはお腹痛くて、寝てます」

「そうですか・・・」

「事務長さんから電話あったこと伝えてきますか?」

「ええ、出来ればお願い出来ますか? ・・・いや、お願いします」

「ちょっと待ってね」

と微妙なイントネーションで言葉を続けながらもN事務長の希望を読みとってくれました。
日本人同士で、変な言葉の裏読みをされたりするよりも、片言であろうと、イントネーションが微妙に違えどストレートに言いたいことが伝わる方が楽かもしれません。
家の中を 『パパ、パパ、電話』 と言いながら走って行く様子が受話器越しに伝わってきます。
この辺りが、オリジンジャパニーズではなくて、フォリナーである証か・・・

「ちょっと待ってね、今起こしてきたから、すぐ来るからね」

そうGさんの奥さんが電話口で言った数十秒後に、Gさんが受話器を持った物音が受話器越しに伝わってきました。

「電話代わりました」

「Gさん、Nです」

「はい・・・」

「また調子が悪くなって早退したんだってね」

「は、はい・・・」

以下 ●●N事務長とGさん再びⅢ●● は71に続く


2011.2.19 土曜日

真実は闇の中 69

医療・介護のよもやま話 — admin @ 15:38:12

●●N事務長とGさん再び●● 

Iさんの思いとは裏腹に、N事務長は今日の話し合いを終わらせてしまいました。
最後の最後まで、IさんはN事務長に対してGさんとの約束を担保させようとしましたが、そこはN事務長も然るものです。
百戦錬磨、歴戦の兵とでも言うべきか・・・
あの手この手で、病院の責任を認めさせようとするIさんの言葉を巧みに避けながら、今日は話し合い終了のホイッスルを鳴らしました。
それにしても、IさんとGさんの両方が示し合わせていたかのように、この約束ごとを黙っていたことに驚きを隠せません。
もちろんお互いそれぞれに思うところがあってのことでしょう・・・
似た者同士というのか、思考が似ているのか、目的は違っても自分が得をしたいという気持ちがその根源にあることに違いないでしょう。
Iさん思いはよく理解できましたから、次はGさんがどんな気持ち、思いで約束をしたかの確認をしなければいけません。
Gさんからは午前中に話を聞きましたが、もう一度呼び出すことにします。
午後は、ベッドサイドでのリハビリが多いでしょうから、一区切りついた16:00頃がいいのでしょうか?
まずは、リハビリの責任者のAさんに連絡してみることにします。

「もしもしAさんですか?」

「はい」

「Nです」

「連絡があるだろうと思っていました」

「えっ、どうして?」

「あれ? 聞いてないですか?」

「何を?」

「Gさんのことです」

「Gさんのこと?」

「はい」

「Gさんがどうしたの?」

「朝、N事務長と話をしてから戻ってきて・・・」

「戻ってからどうしたの?」

「午前中は全然仕事をしなくて・・・それで、午後になってから早退しました」

「早退?」

「はい」

「届出と理由は?」

「届出は先程総務に出しました」

「そうでしたか・・・私の来客中に提出したんだね」

「そうだと思います。N事務長はと聞いたら、来客中と言っていましたから」

「それで理由は?」

「先日と同じで、腹痛、体調不良です」

「診察は?」

「受けてません」

「困ったものだね・・・病院の職員が診察も受けずに体調不良で早退なんて・・・」

「すみません」

「Aさんに対して言ったわけじゃないですから、気にしないでください」

「でも、私の指導力の無さも痛感しています」

「まあ、それは今後の課題にしましょう」

「はい」

「じゃあ、Gさんはもう家に着いているかなあ?」

「真っ直ぐ帰っていれば、とっくに家に着いていると思います」

「分かりました」

以下 ●●N事務長とGさん再びⅡ●● は70に続く


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