大阪・兵庫・神戸・京都、関西で、医師・看護師・薬剤師など転職・求職を希望される医療従事者の方へ病院・医院等医療機関の求人をご紹介

Home  »  医療・介護のよもやま話

医療・介護のよもやま話

関西の医療転職・求人サイト メディコプロ プログ

2011.6.30 木曜日

真実は闇の中 174

医療・介護のよもやま話 — admin @ 20:09:48

●●報告Ⅵ●● 

次の診察の時で構わないから、GさんのことはN事務長から直接Iさんに伝えて欲しいと、Iさんの息子さんからN事務長は依頼されました。
直接Gさんの家族と話したわけでもありませんから、Iさんの息子さんの気持ちは解らなくもありません。
しかし、Iさんの次の診察日までは1週間ありますし、その日は○×病院での最終診察の日になります。
診察最終日は、転医先の病院への紹介状を渡したり、転医先の病院へ入院する前の事前診察日の時間の調整などをするとH先生からは聞いています。
いよいよ再手術へのカウントダウンが始まる日に、IさんにGさんの嫌なニュースをお聞かせするのは気が引けますが、致し方ありません。
そのことも含めて、Iさんには再手術に向けて前進して頂くしかありません。

整形外来にIさんの診察日の再確認をして、その日に備えます。
Iさんの主治医のH先生にも、院長、看護部長にも今回の件の現状を説明しました。
Gさんの訃報はどうしようもない事実であり、後はIさんがそのことをどのように受け止めて、ご自身の気持ちの整理をつけるかという意見で病院内はまとまりました。

病院としての対応は、N事務長が進めてきたとおりで、Gさんが居なくなってしまった今、以前にも増してGさんがIさんの腕を再骨折させたと証明が出来なくなったので、金銭以外のことでIさんには出来る限りのバックアップをすることで院内での意見を取りまとめ、確認、了解を取りました。
病院は、Iさんの再手術に関して金銭面でのバックアップは決してしないこと、病院が責任を負うべき確証がないのに金銭の授受をすること自体が変である・・・そう考えるとGさんの死は、こと病院の金銭的な負担をするかしないかと言うことに関しては、プラスに働いていると考えられます。
甚だ不謹慎ですが、結果的に病院のことだけを考えれば、Gさんが居なくなったことが、これ以上IさんとGさんの問題をややこしくしたり、複雑にしようにも出来なくさせたということです。
N事務長は、Iさんのことも、Gさんのことも全く考えず、病院のことしか考えていないように思われるかもしれませんが、致し方ありません。
人間性の欠片も見えませんけれど、これが事務長という仕事なのです。

Gさんの診察日。
外来師長に、Iさんの診察が終了次第、事務長室に連絡を入れて貰うように依頼をしました。
午前診もそろそろ終了する時間になって、事務長室の内線電話が鳴り出しました。

「はいNです」

「外来ですけれど、Iさんの診察終わりました」

「そうですか、申し訳ありませんけれど、事務長室の隣の応接室まで誰かに案内させて頂けませんか?」

「それならば・・・大切な話でしょうし、私がお連れしますわ」

「外来師長、申し訳ありませんが、宜しくお願いします」

「はい、看護部長からも言われていますから・・・」

「そうでしたか」

「ええ、Iさんにとっては、大変なことばかりだったけれど、最後は気持ちよく送り出してあげないといけませんしね」

「有難うございます。 さすが外来師長です」

「そうですか? 普通のことです」

「患者さま第一ですね・・・」

「でも、N事務長も本当は患者さま第一で考えたいのでしょうけれど・・・病院第一で考えたり、話をしなければならなくて大変だと思いますよ」

「そう言って頂くと、救われる気がします」

「あら、N事務長が普段より弱気な発言をされている気がしますけれど、大丈夫ですか?」 

「ええ、 これからが本番です」

「そうでしたわ・・・それでは、今からIさんをご案内致します」

「お願いします」

とうとう、この日がやってきました。
外来師長も看護部長やH先生から事の次第を聞いているのでしょう。
外来師長の言葉は、明らかにN事務長にエールを送っています。
最後の最後ですから、誠心誠意頑張るしかありません。
そして、Iさんが冷静に話を聞いてくれて、冷静な判断をしてくれることを願わずにはいられません。

以下 ●●報告Ⅶ●● は175に続く


2011.6.29 水曜日

真実は闇の中 173

医療・介護のよもやま話 — admin @ 17:45:18

●●報告Ⅴ●● 

Iさんの息子さんは、Iさんに再手術は受けさせるけれども、反省と贖罪の意味でGさんに金銭的な負担をさせることが出来ないとなれば、IさんのGさんに対する気持ちの整理がつかないだろうと言います。
しかし、現実に請求する相手であるGさんはもうこの世の中にいません。
最悪のケースを想像すると、Iさんの息子さんはGさんのご家族に請求相手を変えることも考えているのでしょうか?

「どうされますか?」

「私もどうしたらいいのか分かりません」
Iさんのいいようにしてくれればいいのですが、こんな話を聞いた後に、もともと金銭を受け取ることが直接の目的ではなくて、Gさんの反省や贖罪の意味での金銭の負担を求める予定でしたから、じゃあご家族に請求しましょうなんて軽々しくは言えないでしょう。 ましてや、Iさん本人でもないのですから尚更でしょう・・・

「そうですよね・・・」

「世の中は上手くいかないものですね」

「全く、その意見に賛成です」

「でも、まさかこんなオチがつくとは思っていませんでした」

「私もです」

「今となって考えれば、Gさんが○×病院を辞める前に、母の再骨折が判明した時点でN事務長とも、当然Gさんとも話をするべきでした」

「ええ、そうですね・・・」
そうしていたら、今のこの状況は変わっていたでしょうか? いや、その答えは神のみぞ知るということか・・・

「それにしてもこの話を母にしたら、どんな反応をするかな?」

「はい・・・そうですね・・・」

「そうだ、この話はN事務長方からして頂けませんか?」

「わ、私からですか?」

「母の次の診察の時で構いませんから」

「・・・その方がいいですか?」

「ええ、その方がいいと思います。 Gさんのご家族の対応や反応を聞かれても私では答えようがありません」

「確かにそうですけれど・・・」

「じゃあ、それでお願いします」

「・・・ところで・・・少しお考えを聞かせて頂きたいのですけれど・・・」

「何ですか?」

「Iさんは息子さんとして、今後はどうしたらいいと思われますか?」

「今後?」

「ええ、お金のこととか・・・」

「はっきり言って、母もお金に困っているわけじゃないですし、母の治療費ぐらいは私にだって支払いは可能です。ですけれど、あのとおりの性格ですから・・・Gさんが責任を取ると言ったことを守らせようとしているだけだと思います」

「じゃあ、Gさんが居なくなった今となっては、治療費をGさんのご家族に請求するようなことはないと思われますか?」

「そうだと思いますけれど・・・こればっかりは、母と話してみないと分かりません」

「息子さんでも、分かりませんか?」

「ええ、今回のことは母の問題ですし、最後は母の気持ちの問題だと思います。 N事務長は、もし母がGさんのご家族に請求するという方向で話をしたらどうしますか?」

「もし、そうなったら・・・Gさんのご家族には酷な話ですけれど、勿論私にとっても気持ちのいい話ではありませんが、仲介はさせて頂きます」

「それをお聞きして安心しました」

「そうですか・・・」

「やっぱり、母にGさんのことを伝えるのはN事務長しかいないと思います」

「・・・分かりました」

以下 ●●報告Ⅵ●● は174に続く


2011.6.28 火曜日

真実は闇の中 172

医療・介護のよもやま話 — admin @ 19:03:29

●●報告Ⅳ●●

案の定? 予想したとおりの反応をIさんの息子さんは示しました。
電話越しの対応ですが、Iさんの息子さんが絶句している様子が手に取るように分かります。
N事務長が嘘をついていると疑う余地もないほど驚き、どうしていいのか分からない様子です。

「さぞ驚かれたことと思います」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「Iさん、大丈夫ですか?」

「え、ええ・・・N事務長、僕のことをからかったりしていませんよね」

「勿論です。 決してそんなことはありません」
そう、お聞きになる気持ちはよく理解出来ます。私だってGさんのお母さんからGさんが亡くなったことを電話で聞いた時は、騙されているかもしれないと思いました。

「そうか、こんなことってあるんですね」

「はい、嘘のような本当の話とは、まさにこのことです」

「嘘のような本当の話か・・・まだ信じられません・・・」

「それはそうでしょう」

「これから、一体どうしたらいいのでしょうか?」

「そうなんです。 それが問題です」

「何だか訳が分からなくなってきましたねえ」

「全くです」

「N事務長は他人事のような言い方をしますけれど、やっぱり他人事ですか?」

「申し訳ありませんが、私もどうしたらいいのか分かりませんし、どうするべきなのかも分かりませんから、他人事に聞こえるかもしれません」

「そうかもしれませんね・・・それで、Gさんのご家族は何か言っておられましたか?」

「何かとは・・・例えばどんなことをでしょうか」

「母のことや、病院のことについてです」

「Iさんのお母さんのことについては、お名前までは出ていませんでした」

「名前は出ていないとは・・・名前は出ていないけれど、Gさんと母との間に問題があったことをご家族には伝えていたということですか?」

「問題というよりも・・・Iさんのお母さんと名指しではなく、患者さまと揉めて、それが原因で病院を辞めざるを得なくなったというような取り方をされておられました」

「なるほどねえ」

「ですから、Iさんのお母さんの名前は出ていないと思います」

「今更、どっちが悪いとか言い争う気もしませんけれど、こちらが悪くもないのに悪者にされれば目覚めが悪いですね」

「それはIさんの仰る通りですし、もしそうであればIさんのお母さんも、さぞご気分が悪いことでしょう」

「それで、今回の母との問題と、Gさんが亡くなったことは関係ないですよね?」

「ええ、私は関係ないと思いますが、Gさんのご両親はそのストレスも多少は関係あったかもしれないと言っておられました」

「ストレスですか?」

「ええ、ストレスと言っておられました」

「でも、世の中にストレスが無い人なんていますか?」

「いないでしょうし、ストレスの元を作ったのはGさん本人です」

「N事務長の言うとおりです」

「Gさんのご家族には、Iさんとの問題の詳細は話していませんけれども・・・お話するかどうかはIさんに相談してからにしようと思っていました」

「そうですか・・・」

「Gさんが居なくなってしまったから、今後のIさんの方針も変わってくると思いますし・・・」

「方針ですか・・・でも、再手術は受けさせます」

「ええ、それはそうされた方がいいと思います」

「ただ、Gさんの責任についてですね・・・」

「ええ、Iさんの気持ちを考えると、何とも・・・言えません」

「気持ちの整理をつけるのに・・・良い悪いは別にして、お金で解決することすら難しくなったということですね」

「はい、そうなります・・・」

以下 ●●報告Ⅴ●● は173に続く 


2011.6.27 月曜日

真実は闇の中 171

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:11:43

●●報告Ⅲ●● 

Gさんの実家を訪問したことを院長には報告しましたが、問題はこれからです。
一番の問題はGさんの死をIさんがどのように受け止めるかです。
Iさんに直接伝えた場合にIさんがどんな反応をするかは全く想像出来ません。
何となくではあるけれど・・・あくまで想像ですけれど、驚きつつも冷静に対応してくれるであろうIさんの息子さんに連絡をする方が現段階では正解のように感じたので、まずはIさんの息子さんに連絡をしました。
しかしIさんの息子さんは、N事務長からの電話の内容は、当然、昨日自分がお願いしたGさんとの面談日の連絡だと思っています・・・

「今、お時間宜しいですか?」

「ええ、早速Gさんとの面談の件ですね」

「え、ええ・・・」

「Gさんの様子はどうでしたか? 逃げ出したりしていませんでしたか?」

「逃げてはいませんでしたが・・・」

「いませんでしたが・・・とはどういう意味ですか? まさか連絡が取れなかったとか・・・でも、連絡がついていなければ私に電話してきませんよね」

「そうですねえ・・・」

「何ですか? その歯切れの悪さは?」

「実は・・・」

「実は?」

「Gさん本人にはお会いできませんでしたが、ご両親にお会いしてきました」

「Gさんのご両親に会ってどうするんですか? まさかGさんの代わりに親が話し合いに来るとかという面倒な展開じゃないでしょうね」

「ええ、今の段階ではそんなことにはなっていません」

「???、一体どういうことなのですか?」

「実は・・・Gさんは亡くなられていました」

「Gさんが、何を失くしたのですか?」

「いえ、Gさんが何かを失くしたのではなくて、Gさんが亡くなられていました」

「はあ? N事務長の言っていることが分からないです・・・」

「はい、Iさんが驚かれるのは理解出来ます・・・私も驚きましたけれど、Gさんに連絡をしたところ全然連絡が取れ無くて、それで勤務している頃の保証人であったご両親のところへ連絡をしたら、Gさんが突然亡くなられたということが判りまして・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「もしもし?」

「聞いています」

「すみません・・・」

「それは、Gさんが我々やN事務長から逃げようとして親を巻き込んで、一芝居・・・演技をしているとかではありませんか?」

「Iさんが疑る気持ちは理解出来ます。 私も電話で話を聞いた時は、まさかとか・・・冗談でしょうと思いましたが・・・今日の午後にGさんのご実家をお伺いしてきました」

「で、どうでしたか?」

「仏様になっておられました」

「そ、そうなんだ・・・」

「まさか、演技するにしても位牌や遺影、骨壷まで用意しないでしょうし、本当のことだと納得せざるを得ませんでした」

「そうですね・・・」

「突然のことで驚かれていると思いますが、嘘のような本当の話です」

「で、どうして? 死因は?」

「解剖まではしていないということですけれど、朝、起きて来なくて、どうやら寝ている間にお布団の中で息を引き取られたようです。所謂、突然死というものです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

以下 ●●報告Ⅳ●● は172に続く


2011.6.25 土曜日

真実は闇の中 170

医療・介護のよもやま話 — admin @ 22:05:27

●●報告Ⅱ●● 

院長にGさんの実家での出来ごとの報告をするN事務長ですが、問題は院長が思っているとおり、Gさんが自分の非を認めないのに、後で何かあったら責任を取るなどと無責任な発言をした挙句に病院を辞めたことです。
更には、病院を辞めただけならまだしも、今度はGさんの姿形が消えてしまったのですから、責任を取って貰う側のIさんは堪りません。
姿形が消えてしまったと言っても、何処かに逃げた訳でもなく、言葉のとおりこの世から居なくなってしまったのですから、尚更どうしようも出来ません。
Iさんにこのことを伝えなければいけませんが、どんな方法で伝えるのがいいのでしょうか?
Iさんには、昨日今後の方針を納得して貰ったばかりなのに・・・
院長の言うところのIさんの着地点、Gさんが居なくなってしまった後の納得のいく決着はどうなるのでしょうか?
こうなれば、本当に出たところ勝負。
こちらがああしよう、こうしようと考えたところで、そのとおりに物事が進むはずもありません。
行けるところまで行くしかありません。
それに、今回のことは病院やN事務長が何かを仕掛けたわけでもありませんし、病院は兎も角、N事務長だってその事実に驚いているのですから・・・

「N事務長、Iさんにはどうお伝えしますか?」

「院長、そのことを考えていたのですけれど、ああしよう、こうしようと策を練ってもしょうがありませんよね」

「確かにその通りですし、策の練りようもありません」

「本当にそうです。 そのとおりです。 ですから、事実をそのままお伝えしようと思います」

「それしかありませんね」

「はい」

「それで、Iさんがどんな反応を示そうとも、対応はその時に考えるしかないでしょうね」

「はい、私も今、そう思っていました」

「じゃあ、いつもお願いばかりで申し訳ありませんけれど、Iさんの対応はN事務長にお任せします」

「はい、乗りかかった船・・・というよりも、乗客が居るのに船頭として舵を取るのが面倒だからと船を放り出すわけにもいきませんから・・・そんな気持ちですが、出来ることはさせて頂きます」

「くれぐれも宜しくお願いします」

「それから、Iさんのことですけれど、H先生の話によると・・・H先生が事前にリオペの相談とお願いに紹介先の病院へ行ったら、リオペをすれば90%以上の成功率で腕の骨はつくというお墨付きを貰ってきたようですから、H先生も安心してリオペをIさんに促してくださいと言っていましたからね」

「そうですか、それを聞いて安心しました。 Iさんにリオペをお勧めしているものの、失敗したらIさんの気持ちの行き場がありませんから・・・先方の病院がそう言って頂けるのならば、Iさんには安心して腕を治療して貰って、腕が治ればIさんの気持ちも落ち着くでしょうから、そのことを私の心の拠り所として、これからIさんに接していきます」

「先方の病院の執刀して頂ける先生は私もよく知っていますし、H先生の先輩でもありますから、その先生がそう言ってくださるのですから鬼に金棒です」

「はい、了解しました。 そのことを踏まえて、早速行動を起こすことにします」

「宜しくお願いします」

院長への報告はここまでにして、事務長室に戻ってIさんに連絡をすることにします。
勿論、Iさんに連絡すると言っても、折角昨日Iさんの息子さんにお会いしたのですから、まずはIさんの息子さんに連絡をして息子さん経由でIさんには連絡を取る形とします。
Iさんの息子さんであれば、Gさんが亡くなられたという事実には当然驚くでしょうが、嘘のような話でも事実として冷静に受け止めてくれるだけの人物であり、そう期待してもいいだけの人物でもあるとN事務長は思っています。
上手くいけばIさんの息子さんから、それならばしょうがないですね というようなN事務長にとってはこれ以上ない言葉が聞けるかもしれませんし、そう願いながら昨日Iさんから貰った名刺を取り出しました。
Iさんの名刺に印刷された携帯番号に電話を掛けます。
1回、2回、3回と呼出音が鳴った後に、Iさんの息子さんが電話に出ました。

「はい、Iです」

「お忙しいところすみません。 昨日お時間頂戴しました○×病院のNです」

「ああ、N事務長ですか」

「今、お時間宜しいですか?」

「ええ、早速Gさんとの面談の件ですね」

「え、ええ・・・」

以下 ●●報告Ⅲ●● は171に続く


2011.6.24 金曜日

真実は闇の中 169

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:56:01

●●報告●● 

Gさんの家から出た途端に、ホッと胸を撫で下ろすとはこのことを言うのか・・・説明しようの無い安堵感や解放感を感じました。
Gさんのお父さんは挨拶をしたきり、始終睨みつけるような顔で無言を貫いていましたし、お母さんの言葉の端々からは、N事務長に対して気こそ使っているように見せていますが、明らかにGさんの退職の原因にN事務長が関係していると疑っていることが伝わってきました。
それにも増して、Gさんは○×病院での患者さんとの間に何がしかの問題があり、それこそが退職の原因であり、それらがストレスの起因となって今回のGさんの死に繋がったのではないかと思っている節が、お母さんの言葉の端々から伝わってきました。
更にその患者さんとの問題には、当然N事務長も絡んでいるはずなのに・・・職場の仲間、上司として何故息子の味方となり、息子を助けてくれなかったのかという強い疑念を抱いていることを感じさせました。

Gさんの実家を訪問して、Gさんが間違いなくこの世から居なくなってしまったことを・・・N事務長は確認しました。
このことをIさんに伝えた後、Iさんの行動にどんな変化が起きるか分かりませんが、このことはIさん親子にとっても、決していい気分で楽しく聞ける話ではないはずです。
でもIさん親子に伝えなければいけないことは確かであり、N事務長も言葉を間違えることなく、言葉を選びながらも事実だけを正確に話さなければいけないと身が引き締まる思いがしてきました。

Iさん親子にGさんの死を伝える前に、病院に戻って院長に報告をしなければなりません。
院長はどんな反応を示して、どんなことを言うのでしょうか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「院長、戻りました」

「お帰りなさい、どうでしたか?」

「ええ、あまり気分のいいものではありませんでした」

「まあそうでしょうね・・・」

「針のむしろとは、このことかという気がしました」

「針のむしろですか・・・」

「はい、回りから見えない針でちくちくと刺されているような気分でした」

「それで、Gさんのご家族は何か言っておられましたか?」

「Gさんの死は本当に突然のことだったようで、唖然茫然というのが正直な感想のようです」

「なるほど・・・それで死因は?」

「夜寝ていて・・・朝、起きてこなくて様子を見に行ったら、息をしていなかったということです」

「そうですか」

「ええ、解剖はしていないようですが、他殺等の疑いはなく突然死だということです」

「心臓かな? それとも脳の血管かな?」

「どうなんですか?」

「診ていないから分かりませんが・・・」

「そうですよね・・・」

「兎に角、Gさんが逝ってしまったことは確かで、事実であることが明らかになったということですね」

「はい」

「Iさんには話しましたか?」

「まだです」

「当然お話しますよね?」

「ええ、そうしなければいけないと思います」

「話の流れから考えても、話すことが正しい選択でしょうね」

「はい」

「これで、今後はIさん親子がどこで気持ちの整理をつけるかが問題になってきましたねえ」

「ええ、昨日の話ではGさんが自分の失敗は認めないけれど、責任を取りますと言う言葉を使ったことは認めていますから、責任を追及するのではなくて、リオペにかかる費用負担で一件落着にしようと踏ん切りをつけたばかりですし・・・」

「責任の追求どころか、一部でも費用を負担して貰うことさえ出来なくなってしまいましたから、着地点が難しいですね」

「はい・・・最後は気持ちの問題で許す、許さないですから・・・今までに一言でも 「ごめんなさい」 と謝罪の言葉があったり、非は認めないまでも、少しでも治療費の負担でもしていたら、現状は違っていたと思います・・・」

「本当にそうだと思います。 今となっては良くも悪くも・・・死人に口無し・・・です」

以下 ●●報告Ⅱ●● は170に続く 


2011.6.23 木曜日

真実は闇の中 168

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:21:09

●●Gさんの仏前Ⅵ●● 

今日N事務長が家を訪ねることをGさんの奥さんとお子さんは知らないそうです。
どうりで、実家に居ると聞いていたGさんの奥さんとお子さんの気配がないはずです。

しかし、Gさんのご両親の話で分かったことが何点かあります。
まずGさんが○×病院を辞めたのは、転職が決まったからではないこと。
そして、家族には病院を辞めた理由の一つに患者さまとの問題があったと伝えていたこと。
けれども、Iさんとの問題を詳しく家族に話していなかったこと。

これらのことを総合的に考えると、Gさんの家族に病院で何があったのかを話すのは、IさんがGさんの訃報を聞いてどのような反応を示すのかを確認してからでも遅くはないように思えてきました。
遅くはないというよりも、それがN事務長に出来るGさんへの、いやGさんの家族に対するお悔やみの気持ちのようにさえ思えてきました。

「ところで、息子は病院ではどうでしたか?」

「どうでしたか?」

「ええ、しっかりと働いていましたか?」

「え、ええ・・・」

「そうでしたか、何しろ結婚して家を出てからは、話す機会も減りましてね」

「そういうものですか?」

「そういうものよ」

「でもお母さんや、お父さんの住んでいるこちらの家と、Gさんが住んでいたマンションはさほど離れてはいませんよね」

「月に一度くらいは、孫を連れてきてくれたけれど、孫の話が中心で息子の仕事の話はしなかったから」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「職場の皆さんとは仲良くしていたのかしら?」

「ええ、誰かと喧嘩をしていたとか、仲が悪かったというようなことは聞いていません」

「息子がこんなことになって、前の職場の仲間とかに伝える人は居ないのかと嫁に聞いたら、誰ともあんまりお付き合いがなかったと返事が返ってきたのよ」

「そうですか・・・」

「本当はどうだったの?」

「私は、Gさんと同じ部署にいた訳ではありませんので、特に誰と仲が良かったかは分かりませんし、職場の仲間の間で何か問題があったとも聞いていません」

「そう・・・その返事からすると、病院にあんまり親しい人は居なかったようね」

「・・・・・・・・・・・・・・・」
物は言いようです。 沈黙は金なり。

「まあいいわ、問題は息子の病院での様子を聞くことじゃないわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「息子が病院を辞めることになったという、患者さまのことも聞きたいと思っていたのよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「あら、そのことについてはN事務長はご存知なのでしょ?」

「え、ええ・・・」

「どうなさったの?」

「はい・・・どうもしません」
まいったなあ・・・そんなこと確認しなくてもいいのに・・・Iさんの様子をみてから穏便に済むようにしますから、今はこれ以上話しを掘り起こさないでください。

「今後、息子のことで知っておかなければいけないことが間違いなく出て来るでしょうから、何かあったらお聞かせくださいね」

「はい」

「で、どうなのかしら?」

「病院に戻りまして、お父さん、お母さんにお伝えしなくてはいけないことがあるか確認して、お伝えすることがあればご連絡させて頂きます。 今は退職後の手続きも全て終了していて、問題は無いと聞いています」

「そうなの?」

「はい」

お母さん、聞かぬが仏、知らぬが仏、という言葉もあります・・・

以下 ●●報告●● は169に続く


2011.6.22 水曜日

真実は闇の中 167

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:52:07

●●Gさんの仏前Ⅴ●● 

Gさんがどうして亡くなったのかと尋ねるN事務長に、Gさんのお母さんが話し始めます。

「突然でした」

「突然というと?」

「朝、嫁から電話があって、Sが起きてこなくて見に行ったら息をしてないって・・・」

「突然死ですか?」

「ええ、解剖はしませんでしたが、心筋梗塞か何かだろうということでした」

「寝ている間の出来事ですか?」

「そうなの・・・」

「じゃあ、誰にも気付かれない間に亡くなられたのですね」

「子供が小さいから、嫁と子供の寝る部屋と別の部屋で寝ていたみたいです」

「そうですか・・・」

「○×病院の患者さんのことで悩んでいたみたいだから、それがストレスになって引き金になったのかもしれないと嫁は言っていました」

「ストレス・・・ですか・・・」
私やIさんには、そんな気配さえ見せませんでしたが、やっぱり気にはしていたようです。

「勿論、そんなことでN事務長を責めているわけではありませんが・・・」

「はい」

「嫁は兎も角、子供は小さいから不憫でねえ」

「そうですね・・・」
ここは、頷くしか他に手はありません。 確かに残されたお子さんのことを考えれば可哀相です。 子供に罪はありません・・・

「その患者さんのことですけれど、詳しいことは嫁も聞いていないみたいだけれど、一体何があったのですか?」

そうですか、それをお知りになりたいですか・・・でも・・・聞かない方がいいと思うけれど・・・さてどうするべきか・・・本当のことをお伝えした方がいいのか、悪いのか・・・でも、Gさんの訃報を聞いた後のIさんの考え方や出方で対応が変わってくるはずです。 今、性急にN事務長が勝手な判断で、本当のことをGさんのご家族に伝えるか伝えないかの答えを出すべきではないでしょう。 判断を間違えれば、死者に鞭打つことになるかもしれません。 ここは一先ず、当たり障りのない答えをしておくことにします。

「医療従事者は、どんな職種であっても、患者さんと意見の相違があるものです」

「それは分かるけれど、病院を辞めるようなことって・・・何ですか?」

「病院を辞める、辞めないはご本人のお考えで変わったと思います」

「でも、N事務長は息子に退職を迫ったのでしょ?」

いや、退職は迫っていないし・・・後々になって、確かに厄介払い出来たと思ったのは事実ですが、Gさんから退職の意思を聞いた時は、Iさんとの件を中途半端な結果で逃げるように辞める姿勢に驚いたものです。
ここは、退職を迫ったことについては否定しておきましょう・・・

「恐縮ですが、決して退職を迫ったりはしていませんので、そのことは否定させて頂きます」

「そうなの? 嫁に言わせると、辞めざるを得なかったと息子は言っていたみたいで、N事務長の名前も出ていたみたいよ」

「そうでしたか・・・」

「だから今日も、嫁には席を外すように言ったの」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「嫁はまだ息子の突然の死を受け入れられていないようで、まあ私達もそうだけれど・・・今日、N事務長がここに来ることも嫁には内緒にしてあるのよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

ここは、何と答えるべきなかのか・・・さすがに言葉が出て来ません。
沈黙は金と言うように、ここは黙っている方が良さそうです。
今日この場にGさんの奥さんとお子さんが居ないのは、無用な争いを避ける為の緊急避難的措置で、Gさんのお父さん、お母さんが、現時点でN事務長に出来る唯一の心遣いと受け取れなくもありません・・・
確かに、ここで憶測で話をされても困りますし、恨まれるくらいならば兎も角、逆切れされて刃傷沙汰なんて笑えません。

以下 ●●Gさんの仏前Ⅵ●● は168に続く


2011.6.21 火曜日

真実は闇の中 166

医療・介護のよもやま話 — admin @ 16:08:17

●●Gさんの仏前Ⅳ●● 

お線香をあげる為にGさんの実家に伺ったN事務長を待っていたのは、Gさんのお母さんとお父さんと思われる年配の2人でしたが、N事務長と2人の間には微妙な空気感が漂っています。

「そうそう、ご挨拶もしていませんでしたわ」

「え、ええ、そうですね・・・」

「私が昨日電話を受けましたSの母です」 「父です」

どうやら間違いなくGさん、S.Gさんのご両親のようです。
ここは、もう一度ご挨拶をするべく、N事務長は膝を折って正座をして頭を下げてお悔やみの言葉を2人に述べます。

「この度は突然のことで・・・ご愁傷様です」

「わざわざお越し頂いて有難うございます。どうぞ線香をあげてやってください」
とGさんのお母さんに言われたので、身体の向きをお父さんお母さんから仏様の方へ向けます。
目に入ってきた遺影は間違いなくGさんです。
実家に辿り着くまでは、もしかしてGさんが騙しているのじゃないかと言う気持ちが僅かながらありましたが、遺影や位牌、骨壷まで見てしまえば、もうそんなことを疑う気持ちも湧いてきません。
N事務長は、胸ポケットにしまってあった御仏前を取り出して、仏前にお供えしてから、線香に火を点けます。
線香の火を手で消してから、線香を立てて手を合わせると、声を出さずに心の中でGさんに語りかけます。

『Gさん、Iさんとの問題を残して逝ってしまわれましたね・・・今まで、もしかして私のことを騙しているかと思っていましたけれど、どうやら本当に亡くなられたようですね・・・参りました・・・Iさんとの問題はさておき、まずは安らかにお眠りください』

N事務長が合掌した手を下ろして、遺影や位牌、遺骨が置かれた机の前の座布団から身体を移動させてからGさんのお父さんお母さんの方に向き直ると、Gさんのお母さんが、奥の台所からお盆に載せたお茶を運んできました。

「どうぞ」
と言って、茶卓にのせたお茶をGさんのお父さんの座るソファーの前のテーブルに置きます。
お茶に口をつけないのも失礼ですから、N事務長は身体をテーブルに近付けてからお茶に手をつけました。
すると、Gさんのお母さんが独り言を言うように話始めました・・・
「この家からも近い○×病院さんにお勤め出来て喜んでいたのにねえ、患者さまと何か問題があって辞めなきゃいけなくなるなんて、あの子、ついてないと嘆いてましたわ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「○×病院を辞めてからは、なかなか次の仕事が見つからなくてね」

「そうですか・・・」
やっぱりそうだった。
次の仕事、転職先が見つかって退職すると言ったのは嘘だったようです。

「あの子の話によると、N事務長に濡れ衣を被せられた、責任を取って病院を辞めさせられるということでしたけれど・・・本当ですか?」

「そうなんですか?」
家族の中では、そんな話になっていたようです・・・だからこそN事務長に対する2人の対応がぎこちないのも頷けます。

「まあ、こんなことになってしまっては、誰にどんな文句を言ってもしょうがないのですけれど・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「本当に、まさかのまさかです」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「結婚して、子供も出来て、これからだというのに・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「本当に世の中って、何が起こるか分からないことばかり・・・」

「・・・お母さま?」

「何かしら?」

「Gさんはどうして亡くなられたのですか?」

「ああ、そのことも知らないのでしたわね」

「ええ・・・」

「そうね、お話しますわ・・・」

「お、お願いします」

以下 ●●Gさんの仏前Ⅴ●● は167に続く


2011.6.20 月曜日

真実は闇の中 165

医療・介護のよもやま話 — admin @ 18:12:50

●●Gさんの仏前Ⅲ●● 

病院内でGさんの訃報に対する職員の反応を確認した後、Gさんの実家に向かいました。
それにしても、医療従事者は死というものに対して畏怖の念が無いのか、あまりにも身近にある所為で死という事実に対して不感症になっているように思えて仕方ありません。
他人の死に対しては、生物が生存を続けて行く為のエネルギーを作り出すことが出来なくなったとしか思えないのかもしれません。
そこには、悲しみとか、嘆きとか、寂しさとか、慈しみといった感情が無いようにも見えますが、実際は感情があってもそれを表に出さない様に知らぬ間に訓練されてしまったのかもしれませんし、それほど、他人の死というものが日常的な職業であり、日常の光景であることの裏返しなのかもしれません。

病院を出る前に、隣の市にあるGさんの実家の場所をインターネットの地図で確認しました。
電車などの公共交通機関で行くとなると、丁度いい場所に最寄りの駅が無く、電車とバスを併用することになって予想以上に時間が掛かりそうですが、車を使えば20分くらいで着く場所にあることが分かりました。
ということで、病院からGさんの実家まで、N事務長は車で向かうことにします。
インターネットの地図で確認したところ、Gさんの実家は住宅街に位置する為に車の駐車場が見つかるか心配でしたが、バスに乗って何処で降りるのかを悩んだり、降りてから地図を見ながらウロウロするよりはましでしょう。

Gさんの実家は、インターネット上の地図のとおり住宅街にありました。
上手い具合にGさんの実家から100m程離れた場所にコインパーキングも見つかり、そうそうに駐車場の心配をしなくても済みました。
Gさんの実家は、小じんまりとしており、狭い敷地の中に目一杯建物が建っています。
周囲の家も同時期に建てられたのか、大体同じ大きさで、似たような造りをしています。
コインパーキングに車を止めてから、御仏前だけを背広の胸ポケットにしまい、徒歩でGさんの実家に向かいます。

Gさんの実家の玄関の前に着きましたが、黒枠で囲んで忌中と書いた張り紙も見あたりませんし、お線香の香りが漂っているようなこともありません。
前を通っただけでは、普段の生活と何ら変わることの無い平凡な住宅街の一角の光景です。
往来に人の気配はありませんが、昼時で住宅街ですから余計に人通りが少ないのかもしれません。

門など無く、道路と敷地の境界が判明せずに、道路からいきなり玄関となるGさんの実家のドアの柱に後から取り付けたのか、色が微妙に柱と違うインターホンのブザーを鳴らします。
ブザーを鳴らすとすぐにインターホンの受話口兼送話口から、N事務長を待っていたかのように 「はい」 という女性の声で返事が返ってきました。

「昨日、お電話させて頂きました、○×病院のNです」

「どうぞお入りください」

と言われたので、勝手にサッシで出来た引き戸をガラガラと開けると、小さな玄関にGさんのお母さんらしい年配の女性が佇んでいます。
家の中は想像以上に狭く、玄関を上がるとすぐに2階へと伸びる幅が狭くて急な階段が行く手を阻みます。
玄関を入ってすぐ左手に格子状の木にガラスが嵌っている引き戸があり、その奥からお線香の匂いが漂ってきますから、その部屋にGさんの遺骨が安置されているのでしょう。
よくよく考えれば、初七日も終わっていませんから、お線香を絶やさないようにしているのでしょう。

「失礼します」

「どうぞ狭いところですが、お上がり下さい」

「はい」
と言い、靴を脱いで玄関に上がります。

「どうぞこちらへ」 
とその女性の右腕が指し示したのは、やはり玄関を入ってすぐ左手にある引き戸の奥の部屋でした。
その右腕が誘導した引き戸の奥の部屋に 「お邪魔します」 と言ってから足を踏み入れると、引き戸の奥には真ん中で襖で仕切られた畳の6畳間が2部屋続いています。
襖は開いたままになっていて、奥の畳の和室は無理やり洋室使いをしているのが分かりました。
奥の部屋は、畳の上に部屋のサイズに合っていないカーペットを敷いているので、カーペットの端から畳の黒い淵がはみ出ています。
そのカーペットの上に2人掛けのソファーが無理やり置いてあって、そこには案内してくれた女性と同世代の男性の姿があります。
Gさんのお父さんでしょうか?
そして、そのソファーの向かいには、部屋のサイズに合っていない大きなサイズのTVがあって、その横に無理やり場所を作ったかのように白い布で覆われた小さい台が置いてあり、その上にGさんの写真と位牌、遺骨が置かれており、その前ではお線香が煙を上げています。

「初めまして、○×病院の事務長のNです。 この度はご愁傷さまでございます」
と定石通り語尾をムニャムニャとさせて、ソファーに座ったままの年配の男性に挨拶をします。

「どうもはじめまして・・・」

と言ったきり男性はN事務長から視線をそらします。
N事務長の後から付いてきた女性が、その男性の態度に気を使ったかのようにN事務長に話始めます。

「すみません、突然のことだったから・・・私達もどうしたらいいのか分からなくてね・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

なんだか微妙な空気が漂っています。

以下 ●●Gさんの仏前Ⅳ●● は166に続く


次のページ »