行き場のない患者120
●●これで終わらないのがTさんⅡ●●
Tさんの報告書をリスクマネージメントのファイルに仕舞おうとした時に、内線電話が鳴ります。
まさかTさんの関係者じゃないだろうな?と、N事務長の脳裏に嫌な予感が走ります。
でも、悪い予感は、思ったり感じたりしたが最後。
予感的中となるのが世の常です。
「はい。事務長室です」
嫌な予感がしたので、電話の出方を変えてみました・・・
「医事課ですが、外線入っております」
「どちらさまから? 誰宛に?」
「もちろんN事務長にです」
「誰ですか?」
「昨日お世話になったKさんということですが?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」 ビンゴ!
「N事務長、どうされますか?」
「ああ、私宛ではしょうがないですね・・・繋いでください」
「分かりました。繋ぎます」
やっぱり、Tさんの関係者でした。
でも、Kさんてことはノッポ君ですから、まあ、ヨシとしましょう。
「はい、お電話変わりました。事務長のNです」
「N事務長ですか?」
「はい。Nです」
「お電話繋がらないかと思いました。昨日お世話になりましたKです」
「昨日は、どうも・・・何の御用でしょうか?」
「すみません。N事務長が私達と話をしたくないのは重々承知しておりますが、まずは、お電話に出て頂いたことに感謝しております」
この辺りの気の使いようは、さすが、Tさんの関係者の中では一番常識人であるノッポ君です。
まあ、あんまり無下にしてもしょうがありませんから、普通に対応しましょう。
「そうですか・・・それで、お電話のご用向きは何ですか?」
「はい。まずは、昨日の謝罪と思いまして・・・」
「何の謝罪ですか?」
「Tの無礼な振る舞いについてです」
「はあ・・・」
Tさんの無礼な振る舞いはいつものことで、昨日に始まった訳でもないし・・・
「N事務長には、大変、嫌な思いをさせてしまったと思っております」
「そんなこともないですよ」
「・・・一度、改めてN事務長に謝罪に伺いたいと思いまして・・・」
「謝罪? どなたが?」
「私が、Tに成り変わってお伺いさせて頂ければと思っております」
「どうしてですか?」
「どうしてと言われましても・・・」
「昨日でTさんと、我々○×病院の職員との信頼関係は破綻したと認識しております。
それは、私だけの意見ではなく、特に同席しました、診療部門のトップである院長と看護部門のトップである看護部長がそう考えておりますので、その必要は無いと断言させて頂きます」
「・・・・・・・・・・」
「Kさんもお仕事やなんだでお忙しいのに、何の意味もない訪問で時間を浪費することはないと思います」
「いえ、それでは私の気持ちが・・・」
「それはお気になさらなくて結構です。私はKさんに対しては、何の恨みも持っておりませんし、今日お電話があったことでKさんのお気持ちは頂いておきます」
「・・・・・・・・・・」
以下 ●●これで終わらないのがTさんⅢ●● は121に続く