行き場のない患者137
●●ノッポ君の再コンタクトⅥ●●
ノッポ君の言葉から推測すると、Tさんは○×病院の診療拒否を不服として弁護士に相談に行っているのか、行くつもりのようです。
医療行政では、病院に対して指示、命令が出来ないことが理解出来たようで、頼みの綱を行政から司法へ移したということですが・・・
でも、そんな相談を受ける弁護士がいるのでしょうか?
常識的な弁護士であれば、Tさんから今までの経緯を聞いたら、とても病院に対してアクションを起こしはしないでしょうが、弁護士といってもいろいろです。
もしかすると、もしかします。
でも、逆にその方がいいかもしれません。
完全にTさんとの縁が切れるというものです。
そして、この熱心なTさんの僕、友人のノッポ君の訪問も終わるでしょう。
それでは、Tさんの現在の行動や考えていることも分かったので、さっさとノッポ君との楽しい?会話も終わりにしましょう。
「Kさん。貴方がたの考えていることはよく分かりました。ただ、どう考えても、どう頭を捻っても、Tさんをもう一度病院で診察することには結びつかないんです」
「何とかなりませんか?」
「と言うよりも、Tさんこそ何とかなりませんか?」
「別に病院に無理に来なくてもいいじゃありませんか」
「無理というよりは、Tのライフワークみたいなもので・・・」
「ライフワーク?・・・それを言うなら、単なるワークの間違いじゃありません?」
「ワーク・・・仕事・・・そう言われれば、そうかもしれません・・・」
「Kさんだから言いますけれど、別にTさんが生活保護を受給していようがいまいが、私達にとっては何の関係もありません」
「は、はい・・・」
「受給資格に、医師の就業不可というチェックさえあればいい訳ですし、それを○×病院で書いているわけでもないし、Tさんは、せっかく医療扶助をされているからその権利を行使しているのかもしれませんが、当院ではそういうこととは関係なく、当院で出来る医療を、当院で必要としている患者さまにさせて頂いているだけです・・・それ以上でも、それ以下でもありません」
「Tは、○×病院さんでの医療を必要としています・・・」
「残念ながら、Tさんの求めている医療は、当院で出来る医療ではありません」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「と言うことで、今日のお話も前回と同様、きっぱりとお断りします」
「そんな・・・N事務長、よく考えてみてください」
「はあ?・・・何を考えるんですか?」
「Tの受け入れについて・・・」
「ですから、無理です」
「で、でも、弁護士とか面倒なことになりますよ」
「弁護士?・・・やっぱり弁護士なんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「それなら、その方がいいです」
「いいんですか?」
「勿論」
「面倒じゃないですか?」
「いえ、弁護士の方が論点もはっきりしますし、書面でもやり取りの方が私にとっては有り難いです」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「Kさんも、もうTさんに頼まれて、○×病院に来る手間も省けるし、その方がいいと思いますよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ではTさんに、N事務長は弁護士さんとお話させて頂きますと言っていたとお伝えください。今日のところはこれで失礼します」
ノッポ君は何も言い返せないまま、立ち尽くしています。
N事務長は、そんなノッポ君に背を向けて、さっさと病院に向けて歩みを進めます。
この後、あっと驚く展開が待ち受けているとは、この時点ではN事務長もノッポ君も知りませんでした。
以下 ●●電話●● は138に続く