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医療ニュース

高温化、こう備えよ…環境省指針案

熱中症防止シェルター 下水浄化水利用を研究
 環境省は3日、地球温暖化に対して自治体がどのような対策を取るべきかを示した指針案をまとめた。近く、各自治体に通知する。

 指針案では、災害や住民の健康といった分野ごとの具体策とともに、温暖化関連でも熱中症対策として、屋外で体調不良になった人が一時避難できる「熱中症防止シェルター」を作ることなどが盛り込まれた。熱中症の予測情報を電子メールなどで送り学校や高齢者施設に注意を呼びかける「熱中症警報システム」の整備や熱中症への理解を深めるための「熱中症予防条例」の制定なども示された。

 ほかに、水不足対策で下水を浄化した「再生水」をトイレや風呂などに利用する研究の奨励や、高温でも育つ農作物の開発なども示した。同省は、21世紀末までに、最高気温が35度以上の「猛暑日」が、現在より最大で年間約20日増えるなどと予測しており「指針を活用し、温暖化に対応できる町づくりを進めてほしい」(担当者)としている。

2010年9月4日 読売新聞

2010.09.04



菌検出は昨夏、多剤耐性と疑わず 帝京大で感染拡大

 複数の抗生剤の効かない細菌アシネトバクターによる院内感染の疑いで、わずか1年で少なくとも患者9人が死亡した。帝京大学病院は5月に異変に気づいて内部調査を始めながら、9月まで外部に報告、公表を一切しなかった。3日の会見でその理由は明確にされず、どこからどのように感染が広がったのかもよくわからない。対応が遅れる間に被害はじわじわ広がった。

 「命を守る病院でこのようなことをして申し訳ない」

 会見冒頭、森田茂穂帝京大病院長らはコメントを読み上げると、深々と頭を下げた。

 国や東京都などへの報告や対応が遅いのではないかと問われると、森田院長は「現時点では、公表すべきだったと思う」と述べた。

 病院や都によると、病院が調査と対策に乗り出したのは、今年4~5月に約10人の患者から多剤耐性菌が見つかったことがきっかけだった。その調査で2009年8月に第1号の感染者が出ていた可能性が分かった。

 10月には、耐性菌との因果関係が否定できない最初の死亡者が出ていた。主治医はこの時点で、抗生剤が効きにくかったことを把握しながら、院内感染対策にあたる感染制御部に報告しなかったという。最初の死亡例では、菌の感受性の検査で「多剤耐性」という結果が出た。しかし、主治医はある抗生剤が効いたため、多剤耐性とは認識しなかったという。

 報告がなかったことについて、森田院長は「情報伝達が共有されていないという重大な側面です」と対応の誤りを認めた。

 病院では、この多剤耐性菌が見つかった場合は、感染制御部に報告する決まりがある。

 都などへの報告や公表が遅れた理由を複数回、問われても、院長らは「申し訳ない」「不備があったと認めざるを得ません」と繰り返すだけだった。一方で「当時、患者さんに百%治療にあたることを念頭においていたため」とも述べた。

 また、感染が相次いでいたことを把握していなかったのか、との問いについては、「2月までは月ごとの報告は1とか2、多くて3だったので」と答えるにとどまった。

 都などへの報告も遅れた。板橋区保健所や都への報告は、発表前日の今月2日だった。感染した患者への説明も死亡した患者の遺族以外へは「きょうの会見が終わった後」という。

 都医療安全課の田中敦子課長は「4月だけで約10人の感染が確認されており、その時点で報告があれば、速やかな対応ができた。7月30日に調査委員会を開いた時点では、明らかに集団感染を認識していたと考えられ、遅くとも、その時点で報告があるべきだった」と話した。

■階を超え感染、経路は不明

 感染は15~17階にある内科系の西病棟を中心に広がった。感染者46人のうち25人が集中する。16階の血液・総合内科と17階の腎臓・総合内科の2病棟で特に多かった。

 アシネトバクターは人工呼吸器や点滴の管を介して感染する可能性がある。尿や痰(たん)、膿(うみ)などにも含まれ、トイレが感染原因になることもある。昨年の福岡大病院の例では、人工呼吸器の関連器具の消毒が不十分で菌が残ったのが主な感染源だったほか、血管に入れる細い管や包帯を載せた台車、ベッドなどからも菌が検出された。

 帝京大病院の説明では、医師は複数の病棟の患者を受け持つ。こうした医療従事者が感染を媒介した可能性がある。手術の過程で感染した患者がいることや、人工呼吸器周辺から菌が検出されたことも明かした。

 都の田中課長は3日の記者会見で、「病院スタッフによって菌が運ばれた可能性は否定できない」。中川原米俊医療政策部長は「感染ルート解明が第一。患者がいるので拡大防止が大事だ」と述べ、感染経路を突き止める姿勢を強調した。そもそも菌がどこから院内に持ち込まれたのかもわかっていない。

2010年9月4日 朝日新聞

2010.09.04



特養ホーム「過払い報酬」の返還求めず…厚労省

相部屋併設も容認
 個室と相部屋を併設した特別養護老人ホームで、自治体が個室部分の介護報酬の算定方法を誤って解釈していたために報酬の「過払い」が生じている問題で、厚生労働省は原則として報酬の返還を求めない方針を固めた。

 併設型の個室部分については、要件を大幅に緩和して個室の高い報酬を認め、今後、過払いが起こらないようにする方針。だが、全室個室の新型を推進し、「相部屋との併設は望ましくない」としてきた国の基本政策と矛盾するだけに、議論を呼びそうだ。

 これらの方針は、6日開かれる社会保障審議会介護給付費分科会で提示する。

 「過払い」は、低所得者のためには費用が安い相部屋も必要だとする自治体が増える中、4人部屋などの相部屋部分と、個室の入居者を少人数ごとに手厚く介護する「新型」と呼ばれる個室部分を併設した施設で起きていた。高額な新型の報酬が認められるのは原則、全館新型の施設だけ。だが、同省の調査では、4県9施設で、自治体が併設型の新型部分にも高い報酬が認められると解釈し、過払いが発生していた。

 同省はこれまで、「報酬の解釈は全国一律」との立場を貫いてきた。しかし、返還を求めれば、施設によっては数千万円規模となり、施設経営が難しくなる。報酬算定方法を伝えた文書が技術的助言にあたる「通知」だったことから、法的根拠が弱いと判断した。

 今後の施設整備に関しては、従来通り新型の個室を基本とする。

 一方、併設型施設に関しては、人員や設備基準の要件を緩和して新型部分と相部屋部分を別々の施設として届け出ができるようにし、それぞれ新型の高い報酬と、相部屋の低い報酬を支払う。

 実質、併設型を認めることになるだけに、相部屋建設が進みそうだ。

2010年9月3日 読売新聞

2010.09.03



8月の熱中症死、昨年の8倍

 記録的な猛暑となった今年8月の1か月間で、熱中症で救急搬送された人は全国で2万8269人、うち死者は64人に上ることが総務省消防庁の調査(速報値)でわかった。搬送者は昨年8月の4倍、死者は8倍。

 今年8月は全国主要観測所154地点のうち77地点で平均気温の最高を更新しており、同庁が統計を取り始めた2008年7月以降、8月としては最悪。死者が最も多かったのは埼玉県の6人、次いで三重県、岡山県の5人。搬送者は最多の東京都が2125人。大阪府(2118人)、愛知県(1705人)、埼玉県(1679人)、兵庫県(1495人)など8都府県で1000人を超えた。

2010年9月3日 読売新聞

2010.09.03



院内感染の疑いで9人死亡 帝京大病院、46人感染確認

 帝京大学医学部付属病院(東京都板橋区、森田茂穂病院長)は3日、複数の抗生物質が効かない多剤耐性の細菌アシネトバクター(MRAB)の院内感染で、内科病棟に入院した患者を中心に46人に感染していた、と発表した。このうち27人が死亡しており、9人については死亡と感染の因果関係が否定できないという。

 同大によると、今年4~5月、複数の内科系病棟で約10人の患者からMRABが検出されたという。そのため同大は外部委員らによる調査委員会をつくり、過去にさかのぼって調査していた。

 その結果、46人に感染し、そのうち27人が死亡していたことが判明した。死亡と感染の因果関係が否定できない9人以外は、6人が因果関係が不明、12人が因果関係はなしとみられる、との調査結果だったという。

 関係者によると、患者には化学療法を受けているがん患者も含まれるという。

2010年9月3日 朝日新聞

2010.09.03



スマートフォンで素早い救急搬送 仙台市が独自システム

 仙台市消防局が、流行している携帯端末「スマートフォン」を使って救急患者を素早く病院に運ぶシステムを独自に開発し、活用している。救急車内でリアルタイムに病院の受け入れ可否情報を入手し、効率よく搬送先を選ぶことができる。4月から使い始め、成果も出ているという。同局によると、全体の動きを把握する指令課と各救急隊員がリアルタイムで情報を共有する仕組みは全国初という。

 システムは、スマートフォンの画面で専用のウェブページに入って使う。119番などの通報があると、スマートフォンに通報者のいる場所から近い順に医療機関が表示される。救急隊員は、救急車内で患者の容体を診て適当な診療科を見極め、画面上の医療機関を選んでタッチすると、電話がかかる仕組み。そこで受け入れ可能とわかれば、医療機関に急行する。スマートフォンは全22台の救急車に配備している。

 従来、救急隊員は出動時に、直前の時間帯までに把握できた医療機関の受け入れ状況十数件が書かれた紙を渡され、それをもとに搬送先を決めていた。だが、ほかにも救急車が出ていた場合、お互いにどこの医療機関を探しているのかはリアルタイムにはわからず、先約がいてほかを当たらざるを得なくなるケースも少なくなかった。

 新システムでは、例えば熱中症の疑いの高齢女性を搬送時に目当ての病院から受け入れを断られた場合、その情報を隊員が入力。スマートフォンを通じ、同時刻に出動しているほかの救急車にも提供される。似た年齢や容体の患者を搬送している救急車は、その病院を避けて、ほかの病院に照会をかけられる。受け入れ情報も共有される。全体的な効果の度合いは検証中だが、新システムを利用したことで一度で搬送先を決められた事例もあったという。

■搬送時間短縮狙う

 開発の背景には、搬送先の最適化と、搬送時間短縮の狙いがある。

 県消防課によると2009年、救急搬送における医療機関への照会件数が、一般的に回数が多いとされる「11回以上」あった例は、132件あった。仙台市では1回の照会に平均3分かかり、単純計算で照会だけで30分以上手間取っている。消防本部(局)別にみると、仙台市は65件でほぼ半数を占めた。大崎地域が17件、名取市、黒川地域、亘理地区、塩釜地区がそれぞれ10件と続く。こうしたことも一因となって、宮城県の平均搬送時間は08年の都道府県別でワースト7位の37分。仙台市は35.5分だった。

 132件のうち、命の危険が迫っている患者を診る「3次医療機関」への救急搬送が56件と、全体の42.4%を占めた。だが、傷病の程度の別で見た場合、「中等症」と「軽症」が全体の84.8%。比較的症状の軽い患者も、大規模な総合病院が多く、救急搬送が受け入れられやすい3次医療機関に運ばれていることがわかる。

 仙台市消防局救急課の担当者は「患者の症状によっては、1分1秒が生命を左右することもある。システムを活用して、迅速かつ効率的な病院照会につなげたい」と話している。(篠健一郎)

2010年9月3日 朝日新聞

2010.09.03



新型インフル、早期投薬で死亡率に差 横浜の医師ら結論

 新型の豚インフルエンザによる日本の死亡率が世界的に極めて低かったのは、48時間以内に治療を受けた患者が多かったためだ。けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師らのチームが国内で1千人の小児患者を分析してこう結論づけた。3日から香港で開かれるインフル対策の国際会議で発表する。

 昨年6月から今年1月までに国内25病院に入院した小児の1千人分(平均年齢6.4歳)を調べた。亡くなったのは1人。症状は65%が息ができなくなるなどの呼吸器障害で、26%が脳症やけいれんなどの神経に障害が出るものだった。9%は脱水症状。

 ほぼ全員の984人が抗ウイルス薬を飲んでいた。症状が出てから抗ウイルス薬を飲むまでの時間がわかった667人では、48時間以内に薬を飲んでいたのは89%だった。このうち29%が12時間以内、38%が12~24時間以内と、さらに早い時期に飲んでいた。

 米国では48時間以内は39~51%にとどまった。抗ウイルス薬を飲んでいた小児の割合自体も75~79%と低かった。アルゼンチンは48時間以内が12~13%だった。

 子どもから大人までの全体の死者数は米国が推計約1万2千人に対し日本は約200人と少ない。厚生労働省によると、人口10万人あたりの死亡率は、米国3.96(推計)、カナダ1.32、メキシコ1.05。日本0.16だった。

 菅谷さんは「医療水準が変わらない米国などでは薬を飲み始めるのが発症から何日もたってからという例が少なくない。死亡率の差は薬を飲む時期が早かったとしか考えられない」と話している。(熊井洋美)

2010年9月3日 朝日新聞

2010.09.03



鼻からインフルワクチン、10月から臨床研究 厚労省

 鼻に吹きつけるだけでよいインフルエンザワクチン(経鼻ワクチン)の効果を調べる臨床研究が10月に始まる。米国では市販されている製品もあるが、日本ではまだ動物実験段階で人での本格的な研究は初めてだ。注射器がいらないため、新型インフルなどの大流行に備えて多くの人に素早く使える。

 厚生労働省の研究班(代表=長谷川秀樹・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター第6室長)が実施する。ワクチンは阪大微生物病研究会が従来の季節性インフル(A香港型)のウイルスを化学処理し、毒性をなくしたものをもとにつくる。

 30~50人の健康な成人に約1カ月をあけて2回、鼻に噴霧してもらい、体内でどんな免疫反応が起こるか、鼻汁や血液などにある免疫細胞などを分析。来年以降の実用化を目指すという。

 従来の注射するワクチンは、ウイルスの感染を防ぐというより、体内で感染したウイルスの活動を抑えて重症化を予防するものだった。一方、経鼻ワクチンは、ウイルスがとりつく鼻やのどの粘膜の免疫を活性化し、感染を防ぐ効果があるとされる。

 マウスやサルによる動物実験では、経鼻ワクチンは注射のワクチンと異なり、ワクチンのもとになるウイルスの遺伝子が変化しても、それに対する免疫反応の働きがみられた。またサルの実験ではワクチンの効果は1年たっても持続した。

 研究班の長谷川さんは「米国の経鼻ワクチンは弱毒化したウイルスを使った生ワクチンで、幼児や高齢者など重症化しやすい年齢に使えない。我々のワクチンは毒性を無くしているので使える。免疫を強化する物質を加えた方がいいのかなど見極めたい」と話している。(大岩ゆり)

2010年9月2日 朝日新聞

2010.09.02



喫煙しなくても肺がんに?

 芸能リポーターの梨元勝さんが先月21日、肺がんで亡くなった。しかし梨元さんに、喫煙の習慣はなかったという。たばこを吸わなくても肺がんになるの?

 日本人の死因のワースト1位はがんだが、その中でも最も年間死亡者数が多いのが肺がんだ。

 喫煙が肺がんの危険要因であることはよく知られている。国立がん研究センター資料によると、日本人を対象にした研究で、喫煙者は非喫煙者に比べ、肺がんになる危険性が男性で4・4倍、女性で2・8倍高い。欧米では、さらに高く20倍以上とされている。

 ただ、その一方で、最近は、たばこを吸わない人にも肺がんが増えている。

 一口に肺がんといっても、顕微鏡で見た時の細胞の形などから、主に4種類に分類される。

 肺の入り口の太い気管支付近にできることが多い「扁平(へんぺい)上皮がん」と「小細胞がん」は、喫煙との関係が特に深い。

 これに対し肺の外側にできる「腺がん」は、肺がんの過半数を占めるとされるが、たばこを吸わない人でもかかることがある。

 最近目立つ、非喫煙者の女性の肺がんは、ほとんどがこのタイプだ。肺の外側に出来やすい種類にはこのほか「大細胞がん」がある。

 日本胸部外科学会の調査では、全国で1997年に手術した肺がん患者のうち、扁平上皮がんが30%、腺がんが60%だった。ところが、2007年には扁平上皮がん21%に対し、腺がんは68%。ここ10年のうちに腺がんの割合が増える傾向にある。

 たばこを吸わない人の肺がんが増えていることについて、東京医大呼吸器・甲状腺外科の池田徳彦教授は「大気汚染などの影響も指摘されているが、はっきりしたことは言えない。がんは細胞分裂のミスとも言え、高齢化が進んで変異が起きる確率が高くなったことなども関係している可能性はある」と話す。

 同じ肺がんでもタイプによって抗がん剤の効果にも差がある。最近では、がん細胞を取って調べた結果に基づき、抗がん剤を使い分ける治療が進んでいる。

 梨元さんの所属事務所によると、梨元さんの肺がんの種類は細胞検査でも判別しなかったという。本人には喫煙習慣がなくても、受動喫煙の影響があった可能性もある。

 池田教授は「非喫煙者のがんが増えていると言っても、喫煙者の方がリスクが高いことは明白だ。予防のためには、禁煙が重要であることに変わりはない」と話す。(高橋圭史)

2010年9月2日 読売新聞

2010.09.02



保健室でホメオパシー 沖縄の養護教諭、生徒に砂糖玉

 沖縄県名護市の公立中学校の養護教諭が5年以上前から、保護者や校長、校医の了解を得ずに、民間療法「ホメオパシー」で使う「レメディー」という砂糖玉を、保健室で生徒に日常的に渡していたことがわかった。複数の生徒や卒業生によると、教諭は「普通の薬はいけない」と話していたという。保健室に特別の装置を持ち込み、砂糖玉を加工していたという。校長や同市教育委員会は本人から事情を聴き、中止するよう指導した。

 この養護教諭は、普及団体「日本ホメオパシー医学協会」が認定する療法家。卒業生によると、この中学校に赴任した2006年度当時から、体調不良を訴える生徒にホメオパシー療法で使うレメディーという砂糖玉を渡していたという。レメディーは、植物や昆虫の成分など「症状を起こす物質」を水に薄めて、しみこませた砂糖玉。

 日本学術会議は先月下旬、ホメオパシーについて「科学的根拠がなく荒唐無稽(こうとうむけい)」とする会長談話を出している。

 生徒や卒業生は「頭痛や生理痛で保健室に行くと、『レメディーは副作用がない』と言って渡された」「普通の薬はダメと言われた。部活の遠征にもレメディーを持たされた」などと話している。ある生徒は「熱が出た時も『家で飲みなさい』と渡された」という。

 新型インフルエンザが流行した昨年、「インフルエンザを予防できるレメディー」を渡され、予防接種を受けなかった生徒もいる。

 また、この養護教諭は、砂糖玉をレメディーに変換するという装置を保健室に持ち込んでいた。縦横が約30~40センチほどの装置で、症状に応じて生徒の目の前で砂糖玉を加工していたという。

 一部の生徒は、このレメディーについて「思いこみ薬」と呼んでいた。

 この養護教諭は、沖縄の全小中学校の養護教諭約440人が加入する任意団体「県養護教諭研究会」の元会長で、07年12月には、日本ホメオパシー医学協会の由井寅子会長を沖縄に招き、養護教諭向けの講演会も開いている。同協会の会報誌に「教育現場で利用して10年になる。改善したことは多々あるが、トラブルは一度もない」と書いている。

 養護教諭は朝日新聞の取材に「直接の取材は受けない。質問は文書でホメオパシー医学協会に」と話した。同協会からは回答がなかった。

 同校の校長は「許可した覚えはない。砂糖玉であっても『病気が治る』と言って渡しているのであれば問題」と話し、即、中止するよう指導した。校医も「効果があるかわからないものを、生徒に勧めるのはよくない」と話した。(岡崎明子、長野剛)

2010年9月2日 朝日新聞

2010.09.02