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医療ニュース

孤立のおそれある高齢者の支援を介護保険で 首相指示

 菅直人首相は29日、介護保険の対象として、高齢者の独り暮らしや夫婦だけの世帯向けに、新たな生活支援策を追加する方針を明らかにした。全国で所在のわからないお年寄りが次々に明らかになる中、家族や地域から孤立しがちな高齢者への支援が欠かせないと判断した。厚生労働省を中心に、2012年度の介護保険制度の改正での実現を目指して検討を進める。

 首相は29日、視察先の兵庫県芦屋市で、制度改正のための検討を始めるよう厚労省など関係省庁に対して指示したことを明らかにした。

 「首相指示」によると、要介護高齢者の生活支援というこれまでの介護保険の目標に、新たに「孤立化のおそれがある高齢単身者や夫婦のみの世帯の生活支援」を追加する。

 具体的には、(1)24時間地域巡回・随時訪問(2)見守り付き高齢者住宅、住み替え支援(3)認知症支援(はいかいSOSネットワーク、予防・治療・支援の一貫サービス体系、成年後見)――を高齢単身・夫婦のみ世帯に対する「新型サービス3本柱」として介護保険の対象に加え、全国的に普及させるとしている。

 3本柱の多くは、厚生労働省の11年度予算概算要求の中で、高齢者の在宅支援策として盛り込まれている。全国100カ所にコールセンターを設置し、高齢者が24時間365日、いつでも介護や看護サービスが受けられる体制づくり(約28億円)や、厚労省と国土交通省が連携し、高齢者向けの福祉サービス付き賃貸住宅の整備を進める、などの内容だ。

 首相は29日、記者団に対して「介護保険制度は、お年寄りの面倒は娘や嫁だけでは見切れないので、社会的にサポートするという前提が強かった。これからは、独り暮らしのお年寄りなどにきちんと対応することが大きな目標でなければいけない」と述べた。

 背景には、高齢者が自宅で暮らし続けられる政策に力を入れる狙いがある。特別養護老人ホームの入所待機者は現在、42万人に上り、高齢者の独居世帯や一家に高齢者しかいない世帯は、05年の850万世帯が、25年には1270万世帯に達すると想定される。高齢者の在宅生活を支えることは急務の状態となっている。

 介護保険制度は3年に1回、サービス内容を見直すことが介護保険法で定められている。厚労省は、12年度の介護保険制度改正に向けた検討に7月下旬から着手しており、11月に見直し案を取りまとめる予定で、今回の指示の内容が反映されると見られる。

2010年8月29日 朝日新聞

2010.08.29



社会保障「保護型」から「参加型」へ 厚労白書が提唱

 長妻昭厚生労働相は、2010年版の「厚生労働白書」を報告した。保護することが中心だった社会保障を転換し、経済成長の基盤を作るための「参加型社会保障(ポジティブ・ウェルフェア)」にしていくことを提唱。菅直人首相が6月に表明した「強い社会保障」の考え方を前面に打ち出した。

 白書では、これまでの社会保障を「消費型・保護型」と定義。お金やサービスを一方的に給付するだけで、消費された後は何も生み出さないものとして、転換する必要性を訴えている。

 「参加型」では、労働市場や地域社会、家事への参加を促す目標を設定。行政が子育てや介護などを支援することで働き手を増やし、成長につなげるイメージを分野ごとに例示した。

 雇用分野を見ると、従来の再就職支援では失業以外に住宅問題などを抱えていた場合の対応が困難だと指摘。「参加型」では、住宅手当や職業訓練を組み合わせていく。医療や介護分野では、高齢者も地域で暮らし続けられるように、中学校区(全国約1万カ所)ごとの在宅医療や福祉サービスの整備体制なども盛り込んだ。

 こうした考えは、菅首相の6月の所信表明演説で示した「強い社会保障」に沿うものだ。長妻氏も26日の記者会見で、「参加型社会保障は、経済の足を引っ張るどころか、経済成長の基盤をつくる」と述べ、参加型社会保障の考えに基づいて来年度予算の概算要求を作成したと説明した。

 一方、今回の白書では、冒頭から15ページ分を使って年金記録問題や薬害肝炎事件など厚生労働行政の反省点を掲載。「国民からの信頼を失墜させてしまった」と国民におわびしたうえで、信頼回復のため「役所文化を変える」としてサービス向上策などを示している。全体のページ数は、昨年の246ページから406ページと大幅に増えた。(中村靖三郎)

2010年8月29日 朝日新聞

2010.08.29



遺伝性乳がん検査の説明体制、7割の医療機関「なし」

 乳がんの5~10%を占める遺伝性乳がんの検査を行うとしている医療機関のうち、カウンセリング体制を整えていない施設が7割以上あることが、読売新聞の調査でわかった。

 遺伝性乳がんは50%の確率で遺伝する。近年、原因遺伝子が特定され血液検査でわかるようになったが、専門家による適切な告知や説明がないと、受診者をいたずらに不安に陥れる恐れが大きい。日本人類遺伝学会などは、生涯変わらず血縁者にも影響が及ぶ遺伝情報を調べる場合、専門家によるカウンセリングを行うよう指針で定めている。

 読売新聞が5~6月、全国の主な医療機関約1400施設に行ったがんアンケートで、日本乳癌(がん)学会の認定・関連施設を中心に168施設が「自施設を窓口として、遺伝性乳がんの遺伝子検査を受けることが可能」と答えた。このうち、遺伝カウンセリング体制を整備していると答えたのは43施設(26%)だった。「検査は外注でできるはずだが、カウンセリングをする余裕はない」(関東の大学病院)などを理由としている。

 日本乳癌学会の遺伝性乳がんに関する研究班長、中村清吾・昭和大教授は「検査の予防効果について検証し、カウンセリング体制も含めた治療指針を策定したい」と話す。

2010年8月29日 読売新聞

2010.08.29



家族承諾のみ、4例目の脳死臓器提供 手続きを開始

 日本臓器移植ネットワーク(移植ネット)は28日、関東甲信越地方の病院に入院していた40歳代の男性が、改正臓器移植法に基づいて脳死と判定され、臓器提供の手続きに入ったと発表した。7月17日の改正法の本格施行以降、本人の意思を記した書面が残されておらず、家族の承諾だけで脳死の人から臓器が提供されるのは4例目。

 本人が書面に意思を残していたケースを含めて、脳死判定は8月に入って5例目で、月間の脳死判定数としては1997年の法施行後、最多になった。同法に基づく臓器提供は91例目。

 移植ネットによると、家族は28日午前7時50分ごろ、脳死判定と臓器摘出の承諾書を出した。28日午後7時すぎに2回目の脳死判定が終わって死亡が確定した。

 片方の肺は京都大病院で30歳代の女性に、肝臓は二つに分割して国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)で10歳未満の女児と京都大病院で50歳代の男性に、腎臓は千葉大病院で40歳代の男性に、小腸は東北大病院で20歳代の女性に、もう一つの腎臓と膵臓(すいぞう)は九州大病院で40歳代の女性に、それぞれ移植される見込み。(野瀬輝彦)

2010年8月29日 朝日新聞

2010.08.29



新型インフル、季節性扱いに…厚労省、来年度から

 厚生労働省は27日、今年度末をめどに新型インフルエンザの法的な位置づけを見直し、従来の季節性インフルエンザ並みの対策に戻す方針を発表した。

 世界保健機関(WHO)が10日に世界的大流行の終息宣言を出したことと、国内で昨年のような季節はずれの流行が見られないことなどから判断した。ただ、今年度中は警戒を続け、ワクチン接種事業などを実施する。流行の仕方などに例年の季節性インフルエンザと大きな違いが見られなければ、感染症法に基づく「新型」から外す。新型の指定が外れると、昨年の発生当初に実施された徹底した検疫やウイルス検査などは行わなくなり、高校や大学、専門学校は集団発生の報告が不要になる。ワクチン接種の推奨は終了し、低所得者への接種費用の補助もなくなる。

 政府の新型インフルエンザ対策本部(本部長=菅首相)も、27日に解散した。

2010年8月28日 読売新聞

2010.08.28



タミフル効かぬ新型インフルウイルス、通常型並み感染力

 抗ウイルス薬タミフルが効きにくくなった新型の豚インフルエンザウイルスが、通常の新型ウイルスと同様の感染力と病原性を持っていることが、東京大医科学研究所による動物実験でわかった。今後、タミフル耐性ウイルスが主流になり、治療に制約が出る恐れも否定できない結果だ。

 同研究所の河岡義裕教授らが26日、米科学誌プロス・パソジェンズ電子版に発表した。

 新型インフルウイルスでは、変異してタミフル耐性になっても、感染力が落ちてあまり広まらないだろうと予測されていた。

 河岡さんらは、患者から分離された通常の新型インフルウイルスと、タミフル耐性ウイルスをイタチの仲間フェレットに感染させた。翌日、通気のいいカゴに入れた未感染のフェレットを隣に置き、11日間、感染するか比較した。

 その結果、どのウイルスも、隣のカゴのフェレットに広がった。鼻汁中のウイルス量を分析すると、耐性ウイルスも通常と同程度の感染力があることがわかった。

 フェレットを感染6日後に解剖したところ、耐性ウイルスを感染させた場合も、気管支や肺に炎症が起きており、病原性は通常ウイルスと同程度だった。

 季節性インフルAソ連型では、ほとんどのウイルスがタミフル耐性に置き換わっている。タミフルが効きにくくなって、発熱期間が延びたなどの指摘が臨床の現場からは出ている。河岡さんは「タミフルの使用基準をもっと慎重に検討すべきだろう」と話す。(大岩ゆり)

2010年8月28日 朝日新聞

2010.08.28



改正後4例目 脳死判定

 日本臓器移植ネットワークは27日、くも膜下出血で松山赤十字病院(愛媛県)に入院していた40代女性が、改正臓器移植法に基づき、脳死と判定されたと発表した。

 改正法では、本人が書面で意思表示をしていなくても、家族の承諾だけで脳死臓器提供を認めているが、女性は生前に臓器提供意思表示カードに提供意思を記入していた。改正法全面施行後の脳死判定は4例目。

 肝臓は北海道大病院で30代女性に、腎臓は愛媛県立中央病院で70代男性、もう一方の腎臓と膵臓(すいぞう)は東京女子医大病院で40代女性にそれぞれ移植される見通し。心臓と肺、小腸は医学的理由で提供を断念した。

2010年8月27日 読売新聞

2010.08.27



卵子提供 日本の現状は

 自民党の野田聖子元郵政相(49)が、第三者の女性から提供された卵子と事実婚の「夫」の精子を使って体外受精を行い、妊娠したことを、「週刊新潮」9月2日号掲載の「手記」で明らかにした。

 米国で卵子提供を受けたというが、日本では、こうした生殖補助医療に関する法律や基準がまだ整備されていない。現状はどうなっているのか。

 国内では1998年に初めて、諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘(やひろ)院長が提供卵子による体外受精の実施を公表。これまでに約150例実施し、66人の子供が生まれているという。


 しかし、国内で提供卵子による不妊治療は、同クリニックを含む、ごく一部の医療機関でしか行われていない。根津院長は「日本ではシステムができていない。生まれてくる子供も含め、当事者を守るための法整備が急務だ」と話す。

 現状では、卵子提供による体外受精は、妻の卵巣や卵子に問題がある場合や、高齢で妊娠が難しい場合などに選択されている。2001年、当時60歳の日本人女性が米国での提供卵子で出産したケースもある。

 しかし、卵子の提供者に投与される排卵誘発剤には副作用の恐れがあるほか、母と子に遺伝的関係がないことから、将来家族関係が複雑化するという懸念がある。生命倫理に詳しい位田隆一京都大教授は「子供を持ちたいがために、使える技術は何でも使っていいのか」と疑問を呈す。

 関係者の間では、野田氏のように米国で卵子提供を受けた夫婦はこれまで少なくとも約1000組に上ると言われている。米国での不妊治療をコーディネートしているIFC(米国)の川田ゆかり社長は「米国では20年以上前から一般的な不妊治療で、これまで日本の約700組の夫婦を手助けしてきた。近年は年に100組以上から相談を受けている」と話す。

 国内では、厚生労働省の生殖補助医療部会が03年、法整備を前提に匿名の第三者に限って卵子提供を認める報告書をまとめたが、その後、法整備は進んでいない。関連学会の意見にも温度差があり、日本生殖医学会は09年3月、友人や姉妹からの卵子提供を認める報告書をまとめ、国へ提出したが、日本産科婦人科学会は、法制度が未整備な状況では、提供卵子による体外受精について慎重な立場だ。

 こうした状況に、不妊治療を行う医療現場がしびれを切らした。

 全国25施設の不妊治療クリニックで作る「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」は08年6月、友人や姉妹からの卵子提供も認める独自指針をまとめ、現在、実際に提供卵子による体外受精を進めているところだ。

 生殖医学会倫理委員長の石原理・埼玉医科大教授は「提供卵子が必要な患者は確実に存在し、世界でも体外受精の約3%は提供卵子によるものだ。野田さんの事例で国民の関心が高まり、速やかな法整備につながれば」と話している。(社会部 木下吏、科学部 木村達矢)

2010年8月27日 読売新聞

2010.08.27



ホメオパシー否定の談話、助産師会・薬剤師会も賛同

 日本学術会議(会長=金沢一郎東大名誉教授)が民間療法「ホメオパシー」の科学的根拠を全面否定する会長談話を出したのを受け、日本助産師会と日本薬剤師会も26日、賛同する考えを表明した。

 日本助産師会は「会員に対し、助産業務としてホメオパシーを使用したり、すすめたりしないよう徹底する」ことを決めた。山口市では、ホメオパシーを実践する助産師が女児にビタミンK2を与えずに死亡したとして、訴訟になっている。

 日本薬剤師会も「効能・効果が科学的に確認されていない『医薬品類似物』が医療現場で使用されることは、重大な問題だ」と指摘した。

2010年8月27日 朝日新聞

2010.08.27



特別枠で医師不足解消策・介護ロボなど 厚労省概算要求

 厚生労働省は26日、2011年度予算の概算要求を民主党厚生労働部門会議に報告した。一般会計は総額28兆7954億円。10年度当初予算の4.5%増で、ほとんどは社会保障費の自然増分だ。子ども手当は、半額分(月額1万3千円)の支給を続けるのに必要な国庫負担分1兆7375億円だけで、上積み分は事項要求にとどめた。

 菅内閣が示した概算要求基準は71兆円が上限で、厚労省分で4割を占める。今年度の当初予算を1兆2393億円上回るが、そのうち1兆2359億円は年金や医療などの社会保障給付分だ。

 子ども手当は当初、11年度から満額(月額2万6千円)支給だったが、概算要求では自治体や企業の負担を残す前提で、上積み分は「地域の実情に応じて現物サービスにも代えられるようにする」と記した。財源構成や上積み分の内容は年末の予算編成で詰めることになる。

 上積み分の「現物」となる可能性がある要求項目も。保育所の待機児童対策として今年度並みの約4千億円を盛り込んだほか、子宮頸(けい)がんワクチンの公費助成には150億円を計上した。

 雇用増などにつながる成長分野とする「特別枠」は1287億円で、水道整備事業などの公共事業費や人件費を今年度予算から1割程度削って確保した。子宮頸がんワクチンも特別枠になる。介護ロボットの実用化に向けたモデル事業や高齢者の在宅生活を支える24時間地域巡回型の訪問サービス、医師不足解消のための「地域医療支援センター(仮称)」設置、新卒者の就職実現プロジェクトなど計15事業を特別枠で要求する。

 特別枠は、優先順位を付けたうえで今月末に財務省に提出。政策コンテストを経て予算化する事業が決められる。

2010年8月26日 朝日新聞

2010.08.26